ベン・ルイス(集英社インターナショナル)
これは面白かった。ミステリーを読んでいるようだった。
ここで分かったことは、大幅な修復をした場合、どこまでが本来の作品と言えるのか、工房で作った一種の模写や弟子の作品にダビンチが手を入れた場合、何がオリジナルと言えるのか。金が絡むとこんな騒ぎとなる。更にアラブ世界の政治が絡むとどうなってしまうのか。興味が尽きない。
内容紹介
『アートをとりまく桁違いの華々しさと、深い闇。アートの価値は誰がどのように決めるのか、価値と値段は比例するのか―。最後のダ・ヴィンチ作品の発見として注目を集め、その後、史上最高額の510億円で落札され話題となった男性版モナリザ『サルバトール・ムンディ』。その謎に包まれた足跡を追う中で見えてきた美術界の闇。衝撃のノンフィクション!
著者略歴
ルイス,ベン
母国イギリスを中心に、著述家、ドキュメンタリー・フィルム制作者、美術評論家として活躍。美術批評を定期的に寄稿している
上杉/隼人
翻訳者(英日、日英)、編集者、英文ライター・インタビュアー、英語、翻訳講師。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書多数(70冊以上) 』
この作品についての解説が以下。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「幻の作品」が15日、ニューヨークのクリスティーズで4億5031万2500ドル(約508億円)で落札された。これはオークション史上、世界最高記録となる。
今回落札されたレオナルド・ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》は、イエス・キリストを描いた肖像画。タイトルの「サルバトール・ムンディ」は「救世主」を意味している。描かれたのは1500年頃。縦65.5×横45.1センチメートルの同作は、青いローブをまとったキリストが右手で天を指さし、左手に水晶を持っている構図。
ダ・ヴィンチの絵画作品において、この《サルバトール・ムンディ》以外はすべて美術館・博物館が所蔵しているため、同作は、個人が所有する最後のダ・ヴィンチ作品と言われてきた。50年に及ぶ行方不明期間の後、2005年にアメリカのオークションで発見。様々な調査を経た後、11年にナショナル・ギャラリー(ロンドン)で展示された。その後、13年にはロシアのコレクターによって1億2750万ドル(現在の価値で約145億円)で落札されて以降、公の場では展示されてこなかった。
同作を巡っては、プレビュー時から大きな話題を集めており、『ニューヨーク・タイムズ』紙は香港やロンドン、そしてニューヨークでプレビューに訪れた人数を2万7000人と報道。これは、単独作品の閲覧人数としてクリスティーズ史上最高だったという。
当初、予想落札価格は1億ドル(約113億円)とされてきたが、落札価格の508億円はこれを大幅に上回るものとなった。 』
・・・美術をめぐる膨大な金が一体どこから出て、どこに行ってしまうのか。作品を発掘した人たちの取り分があったり、修復した(作家)はどう評価されるのか。真贋騒動も絡む。人間っておもしろいなぁ。お金に縁がないから、活字で楽しんでいるだけですが・・・😋