シーラッハ(東京創元社)
この著者は、短編にその実力があると思う。
実際の事件や経験の想を得ているように思う。
さすがこんな事件があるのか、と思うような奇異なものもあって驚くけど。
内容紹介は
『赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人──唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士であり、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。訳者あとがき=酒寄進一/解説=千街晶之
「参審員」
「逆さ」
「青く晴れた日」
「リュディア」
「隣人」
「小男」
「ダイバー」
「臭い魚」
「湖畔邸」
「奉仕活動(スボートニク)」
「テニス」
「友人」
「逆さ」
「青く晴れた日」
「リュディア」
「隣人」
「小男」
「ダイバー」
「臭い魚」
「湖畔邸」
「奉仕活動(スボートニク)」
「テニス」
「友人」
著者
フェルディナント・フォン・シーラッハ
1964年ドイツ、ミュンヘン生まれ。ナチ党全国青少年最高指導者バルドゥール・フォン・シーラッハの孫。1994年からベルリンで刑事事件弁護士として活躍する。デビュー作である『犯罪』(2009)が本国でクライスト賞、日本で2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位を受賞した。その他の著書に『罪悪』(2010)、『コリーニ事件』(2011)、『カールの降誕祭(クリスマス)』(2012)、『禁忌』(2013)、『テロ』(2015)などがある。
訳者
酒寄進一(サカヨリシンイチ )
1958年生まれ。ドイツ文学翻訳家。上智大学、ケルン大学、ミュンスター大学に学び、新潟大学講師を経て和光大学教授。主な訳書に、イーザウ《ネシャン・サーガ》シリーズ、ブレヒト『三文オペラ』、ヴェデキント『春のめざめ』、セシェ『囀る魚』、シーラッハ『犯罪』『罪悪』『刑罰』、ノイハウス『深い疵』『白雪姫には死んでもらう』『母の日に死んだ』、コルドン〈ベルリン三部作〉、テツナー『黒い兄弟』などがある。 』
・・・ネットの感想を引用したい。『・・・特筆すべきは、短編だけに刑事弁護人の本音と苦悩が垣間見えるように感じることである。
例えば、「参審員」では、ある女性参審員が自らの実体験に基づく感情を法廷で漏らしてしまったために不公正として排除されるが、結末はその危惧感どおりとなり、司法制度の冷酷な無情さが描かれる。
また、「奉仕活動」では、貧しい移民の少女が苦学して弁護士となり刑事弁護人に憧れるが、実際に担当した事件の被告人は残忍な悪党であったことが法廷で明らかとなり、弁護人辞任を申し出るが裁判所に拒否される。その後は弁護人としての成果をなんとか挙げるが、苦い結末となる。
その他の短編も、人間の犯罪に至る暗い衝動や司法制度の矛盾をシニカルに描いたものが多い。
結果的に悪が罰せられずに終わる展開が多く、ドイツの刑事司法制度に対してやや厳しすぎるように感じる。 ・・・・・』
例えば、「参審員」では、ある女性参審員が自らの実体験に基づく感情を法廷で漏らしてしまったために不公正として排除されるが、結末はその危惧感どおりとなり、司法制度の冷酷な無情さが描かれる。
また、「奉仕活動」では、貧しい移民の少女が苦学して弁護士となり刑事弁護人に憧れるが、実際に担当した事件の被告人は残忍な悪党であったことが法廷で明らかとなり、弁護人辞任を申し出るが裁判所に拒否される。その後は弁護人としての成果をなんとか挙げるが、苦い結末となる。
その他の短編も、人間の犯罪に至る暗い衝動や司法制度の矛盾をシニカルに描いたものが多い。
結果的に悪が罰せられずに終わる展開が多く、ドイツの刑事司法制度に対してやや厳しすぎるように感じる。 ・・・・・』
・・・我が国と違ってかなり厳格にできているドイツの裁判制度のようだ。
・・・弁護士の活動にも、結果から見てむなしく思うような話が多くて悲哀というか矛盾を感じさせる点が少なくない。
・・・「逆さ」の結末がよく理解できない。何が逆さなのだろう?
・・・ともかく、堪能できた作品だが、人間の性の複雑感がいやになるなぁ。😱 諸悪の根源だよね。😕