読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「すぐ死ぬんだから」 

2019年06月27日 | 日記
 内館牧子(講談社)

 どうせ、ちょっとした老人話かと油断したら、ビックリの展開。少々無理があるけど、そうなったらこりゃ大騒ぎだなぁ・・・
である。主人公の生き方も楽しいけど、亡くなったご主人のような馬力があったらそれもまた面白いか(笑)。
 
 内容紹介は
『78歳の忍(おし)ハナは夫岩造と東京の麻布で営んでいた酒店を息子雪男に譲り、近所で隠居生活をしている。
年を取ることは退化であり、人間60代以上になったら実年齢に見られない努力をするべきだ、という信条を持つハナは美しさと若さを保っており、岩造は「ハナと結婚してよかった」が口癖の穏やかな男だ。
雪男の妻由美には不満があるが、娘の苺や孫の雅彦やいづみにも囲まれて幸せな余生を過ごしているハナだったが、ある日岩造が倒れたところから、思わぬ人生の変転が待ち受けていた。
人は加齢にどこまで抗えるのか。どうすれば品格のある老後を迎えられるのか。
『終わった人』でサラリーマンの定年後の人生に光を当てた著者が放つ新「終活」小説!

 終活なんて一切しない。それより今を楽しまなきゃ。78歳の忍ハナは、60代まではまったく身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身よりまず外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、問題は息子の嫁である。自分に手をかけず、貧乏くさくて人前に出せたものではない。それだけが不満の幸せな老後だ。ところが夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる―。人生100年時代の新「終活」小説!  』

 著者について
 内館 牧子
1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業後、13年半のOL生活を経て、1988年脚本家としてデビュー。1991年ギャラクシー賞、1993年第1回橋田壽賀子賞(「ひらり」)、1995年文化庁芸術作品賞(「てやんでえッ!」)、日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)、2001年放送文化基金賞(「私の青空」)、2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞(「塀の中の中学校」)など受賞多数。小説家、エッセイストとしても活躍し、2015年刊行の小説『終わった人』は累計30万部を超える大ヒットを記録、2018年6月映画公開となる。2000年より10年間横綱審議委員を務め、2003年4月、大相撲研究のため東北大学大学院 に入学、2006年3月修了。その後も研究を続けている。

・・・文中からの引用です。
『年を取れば、誰だって退化する。
鈍くなる。
緩くなる。
くどくなる。
愚痴になる。
淋しがる。
同情を引きたがる。
ケチになる。
どうせ「すぐ死ぬんだから」となる。
そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる。
身なりにかまわなくなる。
なのに「若い」と言われたがる。
孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。
これが世の爺さん、婆さんの現実だ。』
                     ***その通りだよー***

・・・後半の展開が、この話のミソですね(最近は「肝」なんて言うけど、キモち悪い)。
・・・笑いながら考えさせられる。おすすめ。
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「たべたくなる本」

2019年06月21日 | 日記
 三浦 哲哉(美鈴書房)

 着眼点が面白い。料理に関する書物をその著者とともに評価する。確かに美味しそうな話もあるし、作者が実際に作って見たりしているのが愉快だし実践的とも言えるだろう。

 内容紹介は(出版社のHPより)
『美味い料理、美味い酒には目がない気鋭の映画批評家が、料理本や料理エッセイを批評的に読む。食の素材、味、調理法、さらには食文化のあり方をめぐる、驚きと発見に満ちた考察。丸元淑生、有元葉子、辰巳芳子、高山なおみ、細川亜衣、ケンタロウ、小泉武夫、冷水希三子、奥田政行、勝見洋一……。その根底に流れるのは、「料理を作る・食べる・もてなす」ことに人生を捧げてきた人びとへのオマージュだ。「料理本批評」という、かつてないユニークな試みであり、もちろん本書も「食べたくなる本」である。
(千葉雅也(哲学者)・木村衣有子(文筆家)の両氏から、本書のオビに言葉をよせていただいています)
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目次
第1章 いろいろなおいしいのあいだを漂う
1 元天使のコーヒー
2 料理再入門
3 ファッションフード
4 福島のスローフード
5 ジャンクフードの叙情
6 「ダメ女」と「一汁一菜」

第2章 作家論+α
7 記憶の扉を開く味――高山なおみ
8 引き算の料理――細川亜衣
9 レシピ本のなかのありえない数値
10 おいしいものは身体にいいか・1――有元葉子
11 おいしいものは身体にいいか・2――丸元淑生
12 どんぶりの味――ケンタロウ
13 おおらかな味――小泉武夫
14 組み合わせの楽しさ――冷水希三子と奥田政行

第3章 ちがいを感じ、考える
15 習慣の裏をかく――エル・ブリ
16 サンドイッチ考
17 まぼろしの味――勝見洋一
18 「嗜好品」と太古の味
19 pénultième=最後から二杯目の日本酒
20 ビオディナミと低線量被曝

あとがき
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著訳者略歴
三浦哲哉みうら・てつや
青山学院大学文学部比較芸術学科准教授。映画批評・研究、表象文化論。1976年福島県郡山市生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程修了。
著書に『サスペンス映画史』(みすず書房、2012)『映画とは何か――フランス映画思想史』(筑摩選書、2014)『『ハッピーアワー』論』(羽鳥書店、2018)。共著に『ひきずる映画――ポスト・カタストロフ時代の想像力』(フィルムアート社、2011)『オーバー・ザー・シネマ 映画「超」討議』(石岡良治との共編著、フィルムアート社、2018)。訳書に『ジム・ジャームッシュ インタビューズ――映画監督ジム・ジャームッシュの歴史』(東邦出版 2006)。    』

・・・図書館で借りているのだが、誰も予約が入らない。こんなに面白いのに? ついでながら出版社のHPに本書の「訂正」が載っていて良心的だと感心した。良い本屋さんだね。
・・・食べ物と本に関心のある方にお勧めです。
https://www.msz.co.jp/_cover/front/08781.jpg
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「食の実験場アメリカ」 

2019年06月11日 | 日記
 鈴木透( 中央公論新社; 地域・文化版)

 なかなか面白い観点でアメリカを分析している。うっかりしているとチコちゃんにしかられそうです。
 このような一種の研究ができるのは良いね。

 内容紹介は
『先住インディアン、黒人奴隷、各国の移民らの食文化が融合したアメリカの食。そこからバーベキュー、フライドチキン、ハンバーガーなど独自の食文化が形成されたが、画一化されたファーストフードや肥満という問題をも引き起こした。そしていまアメリカではスシロールをはじめとする、ヘルシーとエスニックを掛け合わせた潮流が生まれ、食を基点に農業や地域社会の姿が変わろうとしている。食から読む移民大国の歴史と現在。

著者について
鈴木透
1964年東京都生まれ。87年慶應義塾大学文学部卒業。92年同大学院文学研究科博士課程修了。現在慶應義塾大学法学部教授。専攻、アメリカ文化研究、現代アメリカ論。著書『現代アメリカを観る』(丸善ライブラリー、1998)、『実験国家アメリカの履歴書』(慶應義塾大学出版会、2003)、『性と暴力のアメリカ』(中公新書、2006)ほか    』

・・・(ネタバレだけど、秀逸な読書論が以下)
『これほど面白いアメリカ関連本はないのではないか、というほどの一冊。
食を通してみるとアメリカという国と歴史をさらに理解出来る。
ポップコーンはインディアン由来、バーベキューは黒人奴隷がインディアンから教わって生まれ、フライドチキンは黒人奴隷のスパイスを使った味付けと白人貧困層の揚げる手法の融合で生まれた。このように意外にも、アメリカを代表する食べ物は「非西洋の遺産」ともいえる。
世界史を学んだ方は、ボストン茶会事件はご存知だろうが、今日のアメリカでは、旧イギリス領であるが例外的に紅茶を飲む習慣がなく、リーフから淹れることがないため、高級レストランでもティーバッグが出てくるそうだ。
いまや世界的飲料であるコカコーラが拡まったのには、禁酒運動の高まりが起因しているようだ。競合のペプシ社の社名は、消化を助けるイメージとして胃の酵素ペプシンに由来するといい、当時の清涼飲料は薬でありアルコールの代用品の存在であったらしい。
また市民に浸透した背景には、アメリカはドラッグストアという薬と食品両方を扱う店舗が存在し、薬品と食品の境目が明瞭でなかった点があったというが、いまや我が国も至る所に同様のドラッグストアが林立している状況である。
最も興味深く読んだのは、ファーストフードについて書かれている箇所である。ファーストフードとは「収益を最大化しながら同時に消費者を密かに飼いならすという、経営者にとっては夢のような」ビジネスモデルだ。その筆頭マクドナルドは、アメリカ人の8人に1人が、生涯のうち1回は働いたことになるというから驚きのデータだ。なぜファーストフードが急成長を果たせたのかは、レーガノミックス以降の経済的変化で、「没落する中産階級や増大する貧困層という潜在的顧客が増加したところへ、より低コストを実現できる移民労働力が供給される事態が重なった」ことによるという。
ファーストフードの台頭に対抗すべく新たに生まれたビジネスモデルが宅配ピザだという。元々ピザはイタリア全土ではなくナポリ低所得層のストリートフードであり、スライスで売られ、トッピングも質素なマルゲリータやマリナーラだった。それがアメリカではペパロニなどの肉類をトッピングした豪華で丸ごと提供するスタイルへと変貌を遂げた。ピザが受け入れられた契機は、2つの世界大戦で米兵がヨーロッパ戦で本場イタリア料理に触れたかららしい。そして宅配ピザはまずは大学学生の集会用に需要があった、ここはハンバーガーのシェアがカバー出来ていないニッチだったようだ。
ファーストフードは、不法移民を牛解体業で働かせるなど含め、「格差社会の底辺の移民労働力によって支えられ、没落した中産階級以下の顧客から確実に収益を吸い上げることによって、格差社会から恩恵を得つつ、格差社会の搾取の構造の固定化に加担してきている」と記される。
ファーストフードに対する告発は「スーパーサイズミー」による健康被害がよく知られる。またファーストフード一辺倒に一石を投じたのは、フードコートであった。メニューの限られたファーストフードに比して、複数店舗が集まることでメニューの種類を増やすことができた。
さらに脱ファーストフードとしては、フードトラックいわゆるキッチンカーだ。
フランチャイズ展開ではないので調理人は、料理に独創的な工夫が出来、腕を奮うことが出来る。
またクラフトビールの興隆もある。今や4000を超えるマイクロブリュワリーが全米にあるという。
そしてファーマーズマーケット。近在農家が仲買を介さず露店で販売する定期市だ。
多民族国家であり、歴史的経緯で様々な地域・人種によってもたらされたアメリカの食。確かに実験的性質を帯びている。今後どのような変化を遂げるのだろうか?
1つ気になったのは、ファーストフードはもちろん、ドラッグストア、清涼飲料水、宅配ピザ、フードコート、キッチンカー、クラフトビール、ファーマーズマーケットは、いまや日本で定着しているものばかりである。
ゆえに、あらためて日本はアメリカの食をそのままコピーしたような側面があり、アメリカの食におけるあらゆる問題は、そのまま日本にも当てはまるということをまざまざと思い知らされたのが読後の印象であった。   』
参考
https://www.amazon.co.jp/dp/4121025407?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div

・・・新書だから気楽に読めるし写真も多くて読みやすい。おすすめです。
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「宝くじで1億円当たった人の末路 」

2019年06月11日 | 日記
 鈴木信行(日経BP)と言う感じ。

 おバカなタイトルですが、ちょっと書いてみたのですかな。それにしても「宝くじ」だけの話と思ったら、いろいろな『末路』が書いてあって、人生の参考になる?かもしれない・・・と言うだけのもの。目次で面白そうなところだけ読むと良いです。

 内容紹介は
『「宝くじで1億円当たったら……」。こんな淡い期待を胸に、宝くじ売り場につい並んでしまうビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。 果たして、「宝くじで1億円当てた」後に待ち受ける末路とはどんなものなのでしょうか。

「大学時代からバックパッカーを続けて、20代を放浪の旅人として過ごせば、どんな人生が待ち受けているのか」
「30~40代で友達がゼロの会社員が孤独な生活を続けていったら、最終的に人生はどうなるのか」
「キラキラネームを子供に付けてしまったら、その子の将来はどうなってしまうのか」――。
いずれも、何となく"やばいこと"になりそうなのは分かります。

でも、その先の人生がどうなるか、正確に教えてくれる人はなかなかいません。
こうした疑問に、しっかり答えられる人も少ないはずです。
グローバル化とITの革新によって、私たちの人生の選択肢は、飛躍的に広がりました。
誰もが、その気になれば、大抵の挑戦はできる。そんな時代に私たちは生きています。
でもその割には、「いろいろ挑戦して人生を楽しんでいる人」って少ないと思いませんか?
みんな実は、人生で一つの「選択」をした後、どんな「末路」が待ち受けているかよく分からなくて、不安なのだと思います。
だったら、気になる様々な人生の「末路」を、専門家や経験者に取材してしまえばどうか。

本書で紹介するのは、「結婚」「マイホーム購入」「進路」といった、自分の意思で決められる選択だけではありません。
「宝くじ当選」のような受動的な選択も含まれます。
それはそれで、その末路を知っておくことは、思わぬ幸運(不運)が舞い込んだ際の心構えになると思います。
いろいろな「末路」を知れば、きっとあなたの心は解き放たれます。

「好きなように生きていい」。

専門家と著者が導き出す多様な「末路」が、そんなふうに、そっとあなたの背中を押すはずです。

≪23の末路≫
・宝くじで1億円当たった人の末路
・事故物件借りちゃった人の末路
・キラキラネームの人の末路
・「友達ゼロ」の人の末路
・子供を作らなかった人の末路
・教育費貧乏な家庭の末路
・賃貸派の末路
・自分を探し続けた人(バックパッカー)の末路
・留学に逃げた人(学歴ロンダリング)の末路
・「疲れた。海辺の町でのんびり暮らしたい」と思った人の末路
・電車で「中ほど」まで進まない人の末路
・「グロい漫画」が好きな人の末路
・外国人観光客が嫌いな人の末路
・癖で首をポキポキ鳴らし続けた人の末路
・8時間以上寝る人の末路
・いつも不機嫌そうな上司の末路
・体が硬い人の末路
・禁煙にしない店の末路
・日本一顧客思いのクリーニング店の末路
・リモコン発見器の末路
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路1
・ワイシャツのしたに何を着るか悩む人の末路2
・男の末路
・アジアの路上生活障害者の末路


◆朝日新聞書評 ライター・武田砂鉄氏「同調圧力なんて関係ない」
  現在放送されている、芸能人の同級生の現在を追うTV番組「あいつ今何してる?」(テレビ朝日系)と、
  終電を逃した人々に声をかけて自宅を訪問する番組「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東京系)。
  この二つの番組タイトルは、人が共通して知りたがるものを見事に伝える。私たちは、他人に「で、どうなの?」との問いを投げ続け、個人的な好き嫌いを存分に加味しながら、他人の振る舞いをジャッジして生きている。
  「人生で一つの『選択』をした後、どんな『末路』が待ち受けているか」、二十三の末路を追った本書の結論はシンプル。
「同調圧力なんて関係ない。今日から自分がやりたいことをやり、やりたくないことはやめましょう」。以上だ。清々(すがすが)しい。
  「日経ビジネス」副編集長が、宝くじで1億円当たった人、事故物件を借りちゃった人、自分を探し続けた人、留学に逃げた人、
  電車で「中ほど」まで進まない人などの末路について、専門家にインタビューを重ねる。分析に共通するのは、日本社会に染み渡る「群れる」意識。
  それは今年、「忖度(そんたく)」なる流行語が教えてくれた通り。
  社会はいつだって流動的。だから人は、他人との比較を繰り返して、増幅する不安を減らそうとする。
  テーマごとに一人の専門家に聞いているだけなので、その見解は偏る。その分析のひとつひとつに異論が出るだろう。
  でも、すぐに答えを欲する現代に求められるのって、これはあくまでも一人の意見、と受け流す姿勢でもある。
  本書について、ネット書店のレビューを覗(のぞ)くと「一冊全て宝くじが当たった人の話かと思ったら、
  最初の数ページだけでがっかり」との低評価が複数書き込まれている。少しでも目次や内容紹介を読めば分かること。
  なぜこんなにも即物的なのか。この手のレビューが、逆説的に本書の存在意義を知らせる。
  知らない誰かの選択をじっくり知り、末路を受け止める。それだけで視野は存分に広がるのだ。
※朝日新聞2017年7月23日掲載

◆経済評論家・森永卓郎氏「これはショートショートで読む人生訓だ」
  最初にタイトルを見たとき、この本は1億円を当てた人を何人も追いかけたドキュメンタリーだと思った。
  しかし、そうではなかった。宝くじに当たった人の話は、23あるテーマの冒頭を飾る一編に過ぎない。
  また、本書はドキュメンタリーでもない。本書の本質は、「ショートショートで読む人生訓」だ。
仕掛けはこうだ。人生の分岐点で、一つの選択をしたときの影響を、日経ビジネス副編集長を務める著者が、専門家にインタビューする。それをそのまま掲載したあとに、著者の解説をつける。その繰り返しだ。
  著者がインタビューをする専門家は、一つのテーマにつき一人だけだ。だから、それが本当に正解かどうかは分からない。
  例えば、「家を買うべきか借りるべきか」というのは、経済評論家のなかで、意見が真っ二つに割れる問題だ。それを本書は、「借りるべき」と断言する。私自身は、購入派なのだが、本書の主張に腹が立つことはない。賃貸のメリットをきちんと、ていねいに解説しているからだ。「購入も賃貸もそれぞれにメリットとデメリットがあります」なんてことを言われるよりずっと、すっきりしていて、気持ちがよい。また、本書に収められた専門家のアドバイスには、ハッとさせられるものも多い。「海辺のまちでのんびり暮らしたい人の末路」というテーマがある。引退したら、貯金を食いつぶしながら、のんびり暮らしたいと、心の片隅で私も考えている。ところが、本書のアドバイスは、「移住した後も、働け」ということだ。
  人間は、貯蓄が減り続ける不安に耐えきれないらしい。私は、貯金を食いつぶす生活の経験がないので、分からなかったが、そんなものかもしれない。そして、本書の最大のメリットは、各テーマがコンパクトにまとまっていることだ。だから、通勤電車が次の駅に着くまでに1テーマを読み終えることができる。人生訓は、延々と読んだらうんざりしてしまう。人生は自分で選ぶものだから、他人の意見は、あくまで参考に過ぎないのだ。  その意味で、本書は通勤かばんのなかに忍ばせて、軽い気持ちで読むのに最適の本なのだ。
※日刊ゲンダイ2017年5月21日掲載「週末おススメ本ミシュラン」より

◆モノマガジン書評「これは『人間名画劇場』で上演された23の短編作品だ」
  ユニークなタイトルで得しているのか、損なのか。いずれにしろ、一発で覚えてしまういいタイトルである。
  みなさんはどんな内容の本だと想像しますか。
  「そりゃ、宝くじで一発宛てた複数人に取材し、それぞれの身におきたあれこれ、人生の行く末。幸せもあれば不幸もある。人生いろいろレポートでしょう」と思いますよね。
  でも違う、いやまったく違いはしないが、それはいくつもある項目のうちのひとつ。
  本書はドラえもんの秘密道具「もしもボックス」に入って思わず口走っちゃった人の生き様オムニバス集です。
  『日経ビジネスWEB』での連載を加筆再構成した単行本で、表題のほか、友達ゼロの人の末路/電車で「中ほど」まで進まない人の末路/キラキラネームの人の末路/
  自分を探し続けた人の末路/子供を作らなかった人の末路/8時間以上寝る人の末路/ワイシャツの下に何を着るか迷う人の末路などなど、「あるある! 」な興味シンシン、多様な末路を、計23本収めている。
  章内の展開としては、テーマ毎にふさわしい専門家へ取材→ご当人、または友人・知人の経験談から想定しうる末路を導く→ビジネスパーソンの日常における実践的・応用的ノウハウとしての気づきを与える、
  となっている。本稿担当者は当初、本書をライフドキュメンタリーだと思っていた。いやいや、読み始めて間もなく、昨今流行の自己啓発本なのだと気づかされた。
  これらは「人間名画劇場」で上演された23の短編作品であり、人生を賭した貴重なレポートなのである。あ、暗さは全然なくて気持ち前向きになります、念のため。
※モノマガジン2017年7月2日号掲載「怪奇骨董新書箱」より

出版社からのコメント

【公式サイト】http://business.nikkeibp.co.jp/special/matsuro/    』

・・・これだけ書評を読んだら、内容は読まなくともいいかも?・・・





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「なぜ倒産」

2019年06月06日 | 日記
 日本経済新聞社

 上っ面的で、軽い読み物ですね。

 内容紹介は
『「成功はアート、失敗はサイエンス」という言葉がある。企業が成功する理由はさまざまでも、倒産には明確な要因と倒産に至るパターンがある。経営者にとって成功事例を知ることも大切だが、ある程度パターンを読み取れる失敗事例から学べるものは大きいということだ。本書では、そうした失敗の定石を、23の中小企業の実例を通して明らかにする。
 大ヒット商品を生み出した企業、時流に合ったビジネスモデルを確立した企業、大口顧客を抱え安定経営を実現していた企業…、こうした企業がなぜ経営破綻にまで追い込まれたのか。本書では、経営破綻のパターンを「急成長の落とし穴」「ビジネスモデルの陳腐化」「リスク管理の甘さ」という3つの切り口、11の破綻の定石で分類する。
 本書の元になったのは、『日経トップリーダー』誌の人気連載「破綻の真相」。実例には、経営者や取引先など、関係者の証言も多く盛り込まれている。同連載は 25年以上も続いているが、その間も経営環境は変化し続けてきた。それでも失敗の定石は高い確率で当てはまるという。中小・ベンチャー企業経営者・経営層には間違いなく必読の書だ。

要約ダイジェスト
急成長には落し穴がある
格安ピザ店で80店超に急成長、借り入れ頼みで資金繰りが限界に
 2017年4月28日、遠藤商事は東京地方裁判所に破産を申し立て、手続き開始決定を受けた。創業から6年で直営店と FC店を合わせて一時は国内外に80店以上を展開。2016年9月期には売上高 25億2,000万円を確保していた同社の破産は大きな波紋を広げた。
 遠藤商事は2011年5月の設立。ピザ店「ナポリスピッツァ アンド カフェ」を開発し、2012年4月、マルゲリータ1枚 350円」を打ち出して東京・渋谷に1号店を出すと女性客が殺到した。積極出店の武器となったのが、誰でもピザがうまく焼けるという窯や生地伸ばし機のセット。アルバイトでも1枚 90秒で本格ピザを提供できる。
 しかし、複数の FC店オーナーが「倒産の最大の要因は、出店のスピードが速すぎたことだ」と口をそろえる。一般に、FCチェーンの本部はマニュアルや教育の仕組みを整え、スーパーバイザー(SV)の社員が定期的に担当の店を回って店の運営をフォローする。
 「普通なら営業前の何日かは教育研修があるものだが、遠藤商事は「うちでしばらく人を出しますから、すぐ店をやりましょう」と出店を進めることが多かった」とある FC店オーナーは振り返る。ところが「2、3ヵ月すると、遠藤商事から手伝いに来ていた社員は、別の新規出店を支援するためにいなくなってしまう」(同)。
 それでも出店のアクセルを踏み続けたが、金融機関からの借り入れに頼った強気の出店で運転資金を確保する手法は長続きしない。負債が増えて金融機関の姿勢が変わると、一気に資金繰りは苦しくなった。
 2017年4月半ばには、代金の未払いが続いたある取引先が遠藤商事の預金の仮差し押さえに動いた。給与の未払いで出社をやめた従業員が出て一部の店は閉めざるを得なくなった。ついには営業を続けられずに、 』

・・・というわけで、たぶん、中小企業の経営者の方々には他山の石として価値ある話なのでしょう。具体的だし分かりやすい。つまみ読みで十分面白かった。人生いろいろ、会社もいろいろ・・・
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