読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「スティル・ライフ」

2019年09月19日 | 日記
 池澤夏樹(中公文庫)

 面白い本があった。理系の感覚で紡ぐ文章がきれい。

 内容紹介は
『この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。

「何故生きねばならないのだろう。」名だたる偉人たちが一生をかけて答えを探し求め、それでさえただ一つの絶対的な真理は発見されることのないこの問いに、私のような小娘が答えなど出せずに当然なのだと何とかケリをつけてなお、「どう生きるべきなのか」という問いからは依然としてその答えを迫られ続けている。

十年先に何をやっているかを今すぐに決めろというのはずいぶん理不尽な要求だと思って、ぼくは何も決めなかった。社会は早く決めた奴の方を優先するらしかったが、それはしかたのないことだ。ぼくは、とりあえず、迷っている方を選んだ。
主人公「ぼく」のいる状況もさほど変わりはしないだろう。ただ、「ぼく」の淡々とした語り口からは現状に対する焦りや不安は感じられない。前途未定である自分自身をおとなしく受け入れている。
人生においてある決断を迫られたとき、それを下すのが人より遅れれば遅れるほどと逃げや甘えという言葉を与えられそうになるものだが、自分という一つの世界をみつめる彼にその言葉はあまり似つかわしくはないように思われる。これは少し、私自身への弁護も含むかもしれない。
染色工場でアルバイトをする彼は、何かするに値すること、長い生涯を投入すべき対象を探している。そして、その染色工場で佐々井と出会う。彼もまたアルバイトを転々とする身であり、見かけは「ぼく」と同じようだ。しかし「ぼく」には、自分が探しているものを「彼はもう見つけてしまった」という印象を受ける。

少なくとも、彼はぼくと違って、ちゃんと世界の全体を見ているように思われた。大事なのは全体についての真理だ。部分的な真理ならいつでも手に入る。
人が人に出会う。自分に何かいいものを与えてくれるだろうという期待を抱えて誰かと繋がりを持つことはあるだろうし、それは決して悪いことではない。しかし、こちらからは特段の意図もなく、不意に誰かと深く接することになったときの心地よさ、高揚感は言葉に尽くせないものだ。佐々井は「人の手が届かない部分がある」と話すが、人の出会いもそれに違いないだろう。

佐々井からある計画を持ち掛けられた「ぼく」は、「妙な話をすべて歓迎する心境」からそれに協力することになる。「ぼく」は自分の世界に拘る一方で、外の世界からの何らかの作用が自分の世界を変えてくれるはずだという期待をも持っていたのだろう。そしてその計画の遂行により、佐々井のおそろしく現実的かつ実務的な顔が現れる。

興味深いのは、「ぼく」が佐々井の「遠方を見る精神」に一種の共感を覚えたのであり、「彼の現実的な面を信頼するのは話が別」とあくまでも冷静に彼を見つめるところだ。多くの場合、人のある面に好感を抱くとそれがその相手のただ一つの真実のように見える。それに反する面が覗くと「そんなはずではない。こんな人ではない。」とそれを否定し、自分の信じたい像を押し付けてしまう。
付き合いを続ける上で人は多面的なものだという割り切った前提の認識を持つべきであり、その全ての面を慕うことはあまり重要ではないのかもしれない。もしかすれば、違うようにみえる二つの顔の奥から何か一つの連続性が伺えることもあるだろうが。

どんなことになってもぼくを巡る世界はぼくを傷つけることができない。そういう自信があった。
話は終始「ぼく」の視点で進む。佐々井のことは「ぼく」が聴いて感じたことからしか分からない。佐々井は「ぼく」にある効果を与える物語上の一役割を担っているにすぎず、佐々井の視点を考えるのは無意味な気もする。だが私はふと佐々井の側に立ってみたくなった。
佐々井はなぜ「ぼく」を誘ったのだろう。「ぼく」が定職に就いていないからだとか、人とのつながりが希薄そうだからだとかそのような穿った推察は的外れに思われる。二人は自ら自分のことを語りだすまでは互いを深く追求したりはしない。佐々井にとっても「ぼく」のとる距離感が心地よかったのではないか。
人と人が適度な距離感を保ちながら、じんわりと影響を与え合うことはなんて尊いのだろうと思う。自分という世界に膜を張ることは、自分を保ち、守るという面で何かと都合がいい。だがその一方で知らず知らずのうちにその膜の厚みは増し、外の世界の感触に鈍くなることもある。膜が鎧であるうちはいいが、檻になれば反って我が身を苦しめてしまう。
人は一人では生きていけないなどという啓蒙じみたことを言いたいわけではないが、共感できる他者に求められ、その人生に一瞬でも深く触れることができるというその責任の重みは少し心を柔く温かくする。到底世間には大っぴらにできないある秘密を打ち明けられても、それは変わらない。それはやはり自分の世界があってこそなのだけれども。

大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。たとえば、星をみるとかして。    

全てが終ったあと、佐々井は「ぼく」の前から去っていく。じきに「ぼく」はまた以前の日常に戻っていくだろう。そして「するに値する何か」を再び探し出すに違いない。佐々井は、何かを約束したわけでもなければ、全体の真理を教えてくれたわけでもない。しかし彼は、それらを探し歩き続ける「ぼく」を包む空気を澄んだものに変える術、そのための世界・景色の観方を示していった。

世界は時折、人々が同じ速度で生きることを望むようだ。その速度についていけないものは群衆が過ぎゆくその背中を眺めることを強いられる。自分の速度で歩くことを自ら決めてさえも、とうに踏み荒らされ見えない道に傷つけられることもあるだろう。それでも、空気の澄ませ方を知っていれば呼吸はずっと楽になる。

忘れていけないのは、この世界とは別に、自分という一つの世界がすでにあるということ。場合によっては、自分という世界は、身近な、けれど遠くにあるものの力を借りて、外の世界よりはるかに大きなものになるということ。外の世界に飲み込まれることも、押しつぶされことも必要ないのだ。

最後に
ガラスを通して情景を知覚するような文章が静かにつづられ、透き通った言葉がゆっくりと沈み込んでくる。佐々井も「ぼく」もともに達観しているせいか、読んでいて苦しくなることはない。気を張ることなく心を委ねて、自分自身に溜まった泥塊を浄化できる。読了後、あまり知らぬ誰かとできるだけ遠くの話がしてみたくなった。たとえば、星をみるとかして。

引用:https://reajoy.net/book-report/155/                    』

 著者紹介
 池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 - )は、日本の小説家、詩人。翻訳、書評も手がける。日本芸術院会員。
文明や日本についての考察を基調にした小説や随筆を発表している。翻訳は、ギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 各地へ旅をしたことが大学時代に専攻した物理学と併せて、池澤の作品の特徴となる[1][2]。また、詩が小説に先行していることも、その文章に大きな影響を与えている

・・・ほとんど知らなかった作家だが、文章がきれい。帯広生まれだそうだ。
・・・古いのに、その古さを感じさせない。
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「ベストセラー伝説」

2019年09月13日 | 日記
 本橋信宏(新潮新書)

 あの本や雑誌にこんな裏話があったのかと感心。
 漫画はとりあえずすっ飛ばして、第5章の「平凡パンチ」と「週刊プレイボーイ」の話から読む。書評にあったのでおもしろそうだったからですが、初期のころの苦労話・・・とは言え、ヌードグラビア撮りが興味深かった。続いて6,7章の受験参考書。

 内容紹介は
『ウルトラCの企画や奥の手の販売戦略の数々‼
「科学」と「学習」はなぜ校内で販売されていたのか。
「平凡パンチ」で素人を脱がせていたのはどんな人か。
世間を震撼させた「ノストラダムスの大予言」の著者は今何を考えているのか……。
60年代から70年代にかけて、青少年を熱中させた雑誌や書籍には、
前代未聞の企画力や一発逆転の販売アイディアに溢れていた。
その舞台裏を当時の関係者たちから丹念に聞き出した秘話満載のノンフィクション。

【目次】
第1章 「冒険王」と「少年チャンピオン」
――手作り感があった付録と漫画
縁日の夜店風の雑誌/ ブローカーが買い占めた紙で出版業に/ 泥臭く作れ/
付録は社員が作っていた/ みんなが面白いと言うものはつまらない/
「ブラックジャック」で手塚治虫を再生/ 「サイボーグ009」を初コミックス化

第2章 「少年画報」と「まぼろし探偵」
――オリンピック直前に戦記物大ブーム
1963年の躁状態/ 「黄金バット」と「赤胴鈴之助」/ 新社屋落成にザ・ピーナッツ/
表紙のモデル江木俊夫は今/ 駆け出し時代の梶原一騎/ 撮影用の軍服はアメ横で調達

第3章 「科学」と「学習」
――みんな実験付録に夢中になった
校内で直販されていた学習雑誌/ 公職追放の元校長を販売部長に/
実験機材を付録につけることで大成功/ 寝ても覚めても付録のこと/
「学研のおばちゃん」の登場/ 「科学」から「大人の科学」へ

第4章 ポプラ社版「少年探偵シリーズ」
――学校図書室に「怪人二十面相」が置かれていた謎
あれは夢か幻か/ なぜ小学校に必ず置かれていたのか/
なぜポプラ社版が刊行されたのか/ なぜ挿絵の少年が魅力的なのか/
なぜ乱歩は洋館で創作するのか/ なぜ自作の評価に厳しかったのか

第5章 「平凡パンチ」と「週刊プレイボーイ」
――ヌードグラビアが元気だった頃
ナンパが編集者の仕事/ 日活ともめた浅丘ルリ子のヌードイラスト/
編集にも口を出すデザイナー/ 人生は運と縁/ 胸は大きく、写真は〝明るく〟/
ヘアヌード解禁!

第6章 「豆単」と「でる単」
――受験生なら一度は使った英単語集
1700万部以上売る驚異的ロングセラー/ 愛すべきマスコット/
元は日比谷高校のプリント/ 単語集にエンターテインメント性を/
著者の絶大なる自信/ 「老舗」のリベンジ/ 「でる単」に感じる俳句のセンス

第7章 「新々英文解釈研究」と「古文研究法」「新釈現代文」
――復刻までされた伝説の受験参考書
未来のエリートのための参考書/ 行間からにじみ出る毒舌/
復員した教え子のためにひと肌脱ぐ/ 近代文学が入試問題に出始める/
名著の意外な結末

第8章 「ノストラダムスの大予言」
――子供から大人まで世紀末を予感した
空から恐怖の大魔王が降ってくる/ 格下扱いだった光文社/
「日本沈没」も担当していた/ タイトルが一番大事/ 「サソリの勉」というあだ名

【著者プロフィール】
本橋信宏(もとはしのぶひろ)1956年(昭和31年)年埼玉県生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学政治経済学部卒業。ノンフィクション・小説・エッセイ、評論と幅広い活動を行う。
著書に『裏本時代』『AV時代』『高田馬場アンダーグラウンド』『全裸監督 村西とおる伝』など。
『全裸監督 村西とおる伝』は2019年夏、Netflixにより映像化。世界190カ国で同時配信予定。     』

・・・軽いエッセイだけど、歴史に残る話だね。特に受験生には「豆単」なんて青春そのもの。面白かったですよ。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51xcjdPqb6L._SX310_BO1,204,203,200_.jpg
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「ある男」

2019年09月12日 | 日記
 平野敬一郎(文芸春)

 色々な意味で考えさせられるところがあった。
 人の入れ替わりがちょっと複雑で混乱するけど、もしかすると実際にもありうる話なのかと思う。
 ともかく、一読価値あり。愛ってなんだろう・・・

 内容紹介は
『愛したはずの夫は、まったくの別人であった。
—「マチネの終わりに」から2年、平野啓一郎の新たなる代表作!
 弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。宮崎に住んでいる里枝には2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。

ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。人はなぜ人を愛するのか。幼少期に深い傷を背負っても、人は愛にたどりつけるのか。「大祐」の人生を探るうちに、過去を変えて生きる男たちの姿が浮かびあがる。
 人間存在の根源と、この世界の真実に触れる文学作品。

 読者へのメッセージ/ MESSAGE /
 小説家としてデビューしてから、今年で二十年となりますが、『ある男』は、今僕が感じ、考えていることが、最もよく表現出来た作品になったと思っています。例によって、「私とは何か?」という問いがあり、死生観が掘り下げられていますが、最大のテーマは愛です。それも、前作『マチネの終わりに』とは、まったく違ったアプローチで、今回はどちらかというと、城戸という主人公を通して、美よりも、人間的な〝優しさ〟の有り様を模索しました。
「ある男」とは、一体誰なのか?なぜ彼の存在が重要なのか? 是非、ゆっくりこの物語を楽しんで下さい。

 著者紹介(出版社の特設サイトから)
 1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒。1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在。2008年からは、三島由紀夫文学賞選考委員、東川写真賞審査員を務める。美術、音楽にも造詣が深く、幅広いジャンルで批評を執筆。2009年以降、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当している。2014年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。著書は小説、『葬送』『滴り落ちる時計たちの波紋』『決壊』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)『ドーン』(ドゥマゴ文学賞受賞)『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、エッセイ・対談集に『私とは何か 「個人」から「分人」へ』『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』等がある。   』

・・・『日蝕』の印象はないが本作は面白かった。人間の心理って揺れ動くしかなり相対的なものだと思う。お勧めです。
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映画「レッド・ライト」

2019年09月05日 | 日記
DVDで見ました。

 科学系の本で紹介されており、面白そうだと思いTSUTAYAで借りた。
 オカルトっぽいものが好きなアメリカ人には受けるね。ロバート・デニーロにシガニー・ウイーバーという豪華な顔ぶれで迫力があります。
 
 内容紹介は
『『[リミット]』『アパートメント:143』などで注目を浴びるスペインの異才、ロドリゴ・コルテスが監督と脚本を務めた新感覚ミステリー。再び現場に返り咲く伝説の超能力者と、彼を追う科学者たちの壮絶な心理戦を描き出す。謎の男を名優ロバート・デ・ニーロが熱演し、科学者を『ダークナイト』シリーズのキリアン・マーフィと『エイリアン』シリーズのシガーニー・ウィーヴァーが演じている。さまざまなトラップが待ち受ける先の読めない展開に、手に汗握る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ
科学者のマーガレット(シガーニー・ウィーヴァー)とトム( キリアン・マーフィ)は、超常現象の科学的解明の研究に没頭していた。そんなある日、30年前に引退したはずの超能力者サイモン(ロバート・デ・ニーロ)が復帰するというニュースが世間を騒がせる。マーガレットはその昔、サイモンの超能力のうそを暴くため彼に挑んだ経験があり……。

映画レポート
「レッド・ライト」超能力者VS.科学者チームの闘いを、考え抜かれた構成と演出で魅せる快作
 どうやれば超能力を科学的に検証できるのか? どうすれば偽超能力のトリックを見破れるのか? 大学の研究チームが超能力者と対決するスリルと興奮の中で、主人公たちと共に考えてしまう知的で斬新なミステリー。
 研究チームは、30年前から超能力を調べている沈着冷静な科学者マーガレット(シガニー・ウィーバー)と、時に熱くなる助手のトム(キリアン・マーフィ)、そして後から加わる学生サリー(エリザベス・オルセン)。
 前半はその調査を追い、騙しの技を、霊媒のシンプルな手口から心霊治療師一味のハイテク機器を使った組織的トリックまで段階を踏んで明快に示していく。その後でカリスマ超能力者サイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)を本格的に登場させ、予測不能の未知の領域に観客を誘う構成が見事。
 「シルバーは危険」と言うマーガレットの制止を振り切ってトムが調査に向かうや、彼の周りで不可解な現象が起こりはじめる。その続発する怪異の描写が秀逸なため、見る側はトムと共に「何が起こっているのか!?」と驚き恐れ、考え、見入ってしまうのだ。
 デ・ニーロがうさん臭いシルバーを威圧感たっぷりに体現。その卓越した話術、すべてが計算ずくの振る舞いや舞台仕掛けに幻惑される。対するマーガレットとトムには心の傷があり、いつしか「何かを信じることの意味」や「科学的に疑うことの難しさ」「心の弱さ」といった問題にも踏み込み、深い余韻に包まれる。緻密なリサーチを元に脚本も書いたロドリゴ・コルテス監督の考え抜かれた構成と演出、映像に魅了される快作だ。(山口直樹)   』

・・・最後のどんでん返し的な「解」にちょっとおどかされました。謎解きと超能力好きな方にお勧めです



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「新書848シニアひとり旅 」

2019年09月05日 | 日記
 下川裕治(平凡社新書)

 「シニア」になったので、何か参考になるかと思って読んだ。
 まあ、ヒマになったらこんな旅も良いよね。 

 内容紹介は
『歳を重ね、知識や経験が深くなったシニアだからこそ、若い頃には感じとれなかったひとり旅の良さが味わえる。
日本人の郷愁を誘う中国の寝台列車、戦前の面影が残る上海の街歩き、ベトナム戦争の記憶、心に染みるラオスの古都ルアンパバーンの静けさなど、アジア各地を旅してきた著者が、シニアに合った旅先を紹介する。
若い頃にはできなかった、シニアならではの旅に出よう。

《目次》
はじめに
第1章 中国──戦跡、面影、寝台列車……
七三一部隊跡と南京大虐殺記念館
上海の「日本」を探ね歩く
中国茶の世界を歩く
寝台列車を楽しむ旅
第2章 香港──海外への憧れを抱いた街
植民地ノスタルジック
茶餐廳の味わい
第3章 台湾──遠い「日本」といまを知る
続く台湾人気だが……
日本の統治時代のおもかげを探す
第4章 韓国──食、酒、そして安宿……
明洞を出て専門店の世界へ
ソジュを愛する酒飲み天国
温泉マークの宿にいまでも泊まってしまう
第5章 タイ──陸路で国境を越える
バックパッカーには田舎がいい
国境を越える旅に出る
軍事政権と国王の死
第6章 ベトナム──庶民料理と反戦ソング
胃にも優しいベトナム料理
夜行バスで食卓マナーを知る
フランシーヌの場合
第7章 カンボジア──新たな聖地になっていく
バイクタクシーを体験する
「外こもり」とロングステイの聖地
第8章 ラオス──静けさが恋しくなったら
快適な旅を楽しめる街なのだが……
音のない世界に迷い込む
第9章 ミャンマー──自由な旅はやはりいい
日本の流儀で酒が飲める街
ミャンマーから中国、そしてタイへ
終 章 シニア世代に必要な旅のノウハウ
格安航空券を手に入れよう
シムフリーを上手く使いこなす
日本語が通じる病院も念のため
老舗ホテルにこそ泊まってみたい

著者
下川裕治
1954年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。新聞社勤務を経てフリーに。アジアを中心に海外を歩き、『12万円で世界を歩く』(朝日新聞社)でデビュー。以降、おもにアジア、沖縄をフィールドに、バックパッカースタイルでの旅を書き続けている。『日本を降りる若者たち』(講談社現代新書)、『「生き場」を探す日本人』『シニアひとり旅――バックパッカーのすすめ アジア編』(ともに平凡社新書)、『ディープすぎるシルクロード中央アジアの旅』(中経の文庫)など著書多数。   』

・・・ちょっと旧サイゴン、今のホーチミンシティに行きたくなった。
・・・ベトナム関連で、「ベ平連」の話があって、実際の北ベトナムがアメリカに勝ったのではなく、負けなかっただけという指摘はその通りだよね。おまけに彼ら反対派は実際にはベトナムなんか行ったことも無いんだよ、も適切な発言だ。

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