読書感想とロードバイク日記2

週末のお天気の日にロードで走っています。晴耕雨読ならぬ、晴れたらバイク、雨の日は読書の日々

「ジャパン・ストーリー」

2019年08月28日 | 日記
 ジェラルド・カーティス(日経BP社)

 著名な日本研究者ですよね。
 もうお年で、研究の一種の集大成のような話ですが、日本の政治家が外国人対しては結構、腹を割って話したのかな、と思えるようなのがあって面白かった。

 内容紹介(出版社から)は
『「このまえがきを書いている現在、明仁天皇(現上皇)の退位が数週間後に迫っている。生前退位による天皇の代替わりは日本の歴史において約二〇〇年ぶりで、もちろん憲政史上では初めてのことだ。
天皇、皇后両陛下は戦後憲法で定められている象徴天皇としての職責を懸命に果たされてきた。体力が衰えて退位の道を選ばれたのは烈々たる責任感の表れだと思う。
昭和天皇が即位されたのは大日本帝国憲法下であり、戦前、戦中の激動の時代を経た後、戦後は日本国憲法の下で象徴天皇として公務を果たされた。そのため、昭和という時代には複雑な感情を持っている人が内外に多い。
だが、戦後の平和憲法が公布された後に即位された明仁天皇に対してはそうした感情はない。平成時代についての見方はさまざまだが、日本の天皇、皇后両陛下が国民に慕われ、外国人にも尊敬されていることは、この時代の興味深い特徴である。
 一九六四年に初めて日本に来た私は、昭和の最後の二四年間と平成の三十一年間の五十五年の長きにわたって日本の政治の変容と社会・経済の激動とともに生き、つぶさに観察してきた。本書は、日本の政治システムの継続と変化を書き留めた政治見聞録である。」
(本書まえがきから、一部抜粋)

 東京オリンピックが開かれた1964年に来日して以来、日本政治の研究者として選挙運動を分析した名著『代議士の誕生』(現在は日経BPクラシックス)をはじめ優れた業績を上げてきた著者による、歴代首相の秘話を盛り込んだカーティス版昭和・平成政治史。
2006年に行われた中曽根康弘元首相への幻のインタビュー「靖国、東京裁判、日本政治の危機」を収録。

第一章 日本のポスト戦後政治
第二章 大統領に近づく日本の首相
第三章 草の根民主主義と政治改革
第四章 日米関係の半世紀
第五章 東日本大震災に日本政治はどう対処したか
第五章 一九六四年の東京
第六章 二つの東京オリンピックーー継続と変化     』

・・・逆に今のアメリカの現状を分析した記述が、適格ですね『要するにアメリカが変わった背景には、二一世紀のアメリカに起きた構造変化がある。その中で最も重要なのは、次の四つだ。不平等への怒り、グローバリゼーションへの反発、人口構成の変化に伴う不安、既成政党およびエリート層編信頼の欠如である』。
・・・現代日本の政治状況を、首相の交代と人物を評価しながら描いていて、一読の価値がある。

https://cdnshop.nikkeibp.co.jp/0000/catalog/P89700/P89700_thumb_pc.jpg
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「辺境中国」

2019年08月27日 | 日記
 デイヴィッド・アイマー(白水社)

 なかなかの冒険のノンフィクション。
 中国って分からない国で、さらに分からないのがその奥地のチベットやウイグルなど。本書で面白かったのは、チベットは仏教だし、ウイグルはイスラムの宗教を大事にするが、中国人は「お金」が大事。そして共産党の一党支配で国民は、政治は政治で自分たちは個人の欲望である金儲け二走る。これで翌破綻しないものだ。
 その分からない辺境について実際に回った記録でもあり非常に面白かった。

 内容紹介は(出版社から)
『英国のジャーナリストが見た、少数民族のいま
 北京から遠く離れた国境地域のみならず「境界の向こう側」にまで足を延ばし、現在と過去を自在に行き来して、急速に進む漢化政策に抗い、翻弄される少数民族の実相を描く。ジャーナリズムに歴史的視点を巧みに取り込んだ傑作ノンフィクション!

米英主要紙誌が絶賛!
「中国共産党の公式見解に対する強烈なカウンター」――『ニューヨーク・タイムズ』
「土地や人びとの繊細な描写が秀逸」――『ウォールストリート・ジャーナル』
「独創的で洞察力に富む紀行書」――『ガーディアン』
「北京や上海に背を向け、著者のアイマーは中国の奥地に向かった。2万キロ以上に及ぶ国境線近くには、無法地帯もあれば、共産党の縛りが遠く及ばない町もある。アイマーは少数民族が住むこうした場所に足を踏み入れ、大多数の漢民族に対する抗議の声を丹念に拾い上げた」――『フィナンシャル・タイムズ』
「あまたある中国旅行記のなかで、まさに新境地を開いた傑作」――『デイリー・テレグラフ』

「境界」に漂うただならぬ空気
 ひと口に国境と言っても、さまざまなかたちがある。検問所が設けられ、出入国の際に賄賂が必要なもの。フェンスはあるが穴だらけで自由に出入りできるもの。そもそもどこが境なのか定かでないもの。
本書は、1980年代から中国取材を続けてきたジャーナリストが、新疆、チベット、雲南、東北部の国境地帯を歩き、そこに暮らす少数民族にいま何が起きているのかを詳細に描いたルポである。各地に共通するのは、漢化政策が加速し大量の漢民族移住者が押し寄せていること、そして、国境の「向こう側」と必ずしも隔絶しているわけではないということだ。
しかし、同じ国境地帯とはいえ、地域によって事情は大きく異なる。新疆やチベットでは、漢民族との軋轢が、ときに暴動や焼身自殺というかたちで表出する。一方、雲南に足を延ばすと、麻薬、売春、密輸、人身売買など、漢民族を巻き込んだ(あるいは無視した)国境なき不法行為が横行し、地元当局を悩ませる。そして東北部には北朝鮮という不確定要素が横たわり、人口減少が進む極東ロシアとの間では経済格差が広がるばかり……。
ジャーナリズムの手法に歴史的視点を巧みに取り入れながら、現地の人びとの生の声やエピソードをふんだんに盛り込んで、急速に進む漢化政策に抗い、翻弄されるマイノリティーの実相を描く。米英主要紙誌が絶賛した現代中国ノンフィクションの白眉! 

[目次]
はじめに

第1部 新疆──ニューフロンティア
 1 「ウイグル人はパンダみたいなもの」
 2 新たなシルクロード
 3 亡命者たち
 4 グレートゲームふたたび
 5 カシュガル再訪 
 6 三つの国境 
 7 ウイグルスタン

第2部 チベット──ワイルドウェスト
 8 チベットの国境地域
 9 ラサ
 10 ナンマは踊る 
 11 ウー・ツァン 
 12 高原の漂流者 
 13 雪の宝物 
 14 下山

第3部 雲南──楽園のトラブル
 15 シャイニー・ハッピー・マイノリティーズ
 16 ダイ国
 17 メコンを下って 
 18 ダイ族のディアスポラ
 19 ワ族とともに
 20 売りに出される女たち

第4部 東北部──境界を押し広げる
 21 平壌急行
 22 第三のコリア
 23 御言葉を広める
 24 極寒の国境地方
 25 アムール川に沿って
 26 拡張する帝国

 謝辞
 参考文献
 人名・地名索引

[原題]THE EMPEROR FAR AWAY: Travels at the Edge of China

[著者略歴]
デイヴィッド・アイマー(David Eimer)
2007~2012年『サンデー・テレグラフ』北京特派員。この間、コラムニストとして『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』にも寄稿。1988年に初めて中国を訪れて以来、中国行脚を続け、ほぼ全省を踏破した。2005~2012年、北京に滞在。その後、タイ・バンコクに居を移し、2012~2014年『デイリー・テレグラフ』東南アジア特派員。

[訳者略歴]
近藤隆文(こんどう・たかふみ)
翻訳家。1963年静岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
訳書に、クリストファー・マクドゥーガル『BORN TO RUN 走るために生まれた』、デイヴィッド・グラン『ロスト・シティZ』(以上、NHK出版)、J・B・モリソン『フランク・デリク81歳 素晴らしき普通の人生』(三賢社)など多数。  』

・・・面白い。ノンフィクションとして、中国の実際も見えてお勧めです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「食堂メッシタ」

2019年08月27日 | 日記
 山口

 ちょっと、イタリア料理用語が多すぎて「食傷気味」ではありますが、後半は、料理人の主人公の人生遍歴が面白くて、読みふけった。

 内容紹介は
『目黒にある小さなイタリアン「食堂メッシタ」。満希が、ひとりで切り盛りする超人気店。
ライターの笙子は、母親を震災で亡くして意気消沈していた折に、偶然「食堂メッシタ」の心と体に染みいる
美味しい料理に出会い、元気を取り戻した。それ以来の常連客だ。
そんな、満希が、お店を閉めるという――イタリア料理を愛する人々の幸福な時間と
人生を描いた書き下ろし長篇小説。

著者について
 山口恵以子 1958年東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。
会社勤めをしながら松竹シナリオ研究所でドラマ脚本のプロット作成を手掛ける。
2007年『邪剣始末』でデビュー。13年、丸の内新聞事業協同組合の社員食堂に
勤務するかたわら執筆した『月下上海』で第20回松本清張賞を受賞。
他の著書に『あなたも眠れない』『小町殺し』『恋形見』『あしたの朝子』
『熱血人情高利貸 イングリ』『食堂のおばちゃん』
『おばちゃん街道 小説は夫、お酒はカレシ』『早春賦』『風待心中』
『恋するハンバーグ 食堂のおばちゃん2』『愛は味噌汁 食堂のおばちゃん3』
『義母ですが、なにか』『トコとミコ』等。                        』

・・・ちょっとネットで発見したのだが、この”満希”さんのモデルがいるみたいで、予約を取らない口コミだけの知っている人だけのレストラン?があるようです。謎があるので行ってみたい気がするのですが、それはかなわないらしい。
・・・半ばノンフィクションみたいだ。料理好きにお勧めです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「暴君」

2019年08月21日 | 日記
 牧 久(小学館)

 やはり、権力は腐敗する。たとえ労働組合だってそのトップになれば、好き勝手になってしまう。主人公は動労の松崎明。さてどのようにJRに食い込みそれを支配したか、知らなかったことがたくさんあって面白かった。もう一つは、時間がすべてを解決するということ。その間はろくでもないことがあっても、人間の寿命がある限り、世界も変わって行く。

 内容紹介は
『暴君に支配された「平成JR秘史」
 2018年春、JR東労組から3万3000人の組合員が一挙に脱退した。同労組の組合員はあっという間に3分の1に激減し、崩壊の危機に追い込まれてしまった。いったい、何が起こったのかーー。
 かつての動労、JR東労組委員長にして革マル派の実質的な指導者と見られる労働運動家・松崎明の死から8年。JR東日本が、「JRの妖怪」と呼ばれたこの男の"呪縛"から、ようやく「解放される日」を迎えたのか。
 この作品は国鉄民営化に「コペルニクス的転換」といわれる方針転換により全面的に協力し、JR発足後は組合にシンパを浸透させて巨大な影響力を持った男・松崎明の評伝であり、複雑怪奇な平成裏面史の封印を解く画期的ノンフィクションである。

著者について
 牧久(まき・ひさし)/ジャーナリスト。 昭和16年(1941)、大分県生まれ。 昭和39年(1964)早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。 同年、日本経済新聞社入社、東京本社編集局社会部に所属。 サイゴン・シンガポール特派員、平成元年(1989)、東京・社会部長。 その後代表取締役副社長を経て、テレビ大阪会長。 著書に『サイゴンの火焔樹――もうひとつのベトナム戦争』、 『「安南王国」の夢――ベトナム独立を支援した日本人』、 『不屈の春雷――十河信二とその時代(上、下)』(以上、ウェッジ)などがある。 前著『昭和解体』(講談社)は、 国鉄民営化の裏側を深く取材した決定版通史として各紙誌書評で取り上げられた。   』

・・・革マルってここだったのだな。新左翼でもてはやされた時もちょっとはあっても暴力革命はしょせん絵に描いた餅。頭でっかちの理論で殺人事件も起こる恐ろしさ。ノンフィクションとして面白い。大学紛争世代ん尾おじさんたちへお勧めです。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51MRKCjbMtL._SX342_BO1,204,203,200_.jpg
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「クレーの絵本」

2019年08月20日 | 日記
 絵がパウル・クレー。好きなんですよ、私。
 詩を谷川俊太郎が書いていて、日本語が素晴らしい。直接、絵とは関係ないのでしょうが、それぞれの絵に振れてよびさまされた「詩」だと思う。

 内容紹介は
『40点の絵と14編の詩が奏でる二重奏(デュエット) 
 クレーの色彩世界に谷川俊太郎の詩が重なる。
 スイスが生んだ今世紀最高の画家クレー。音楽理論を融合させた詩情あふれる色彩世界に触発された詩人が紡ぎだすイメージ豊かな言葉が、新しい画集の形を提示する。

著者について
【パウル・クレー】
1879年、スイスのベルン近郊に生まれる。音楽教師の父と、声楽家の母、3歳年長の姉の4人家族の長男として、恵まれた環境に育つ。4歳で祖母から絵を、7歳でバイオリンを始める。絵と音楽と詩作に天分を発揮したクレーは、21歳でミュンヘン美術学校に入学。その後、20世紀前半のドイツで、絵画グループ“青騎士”のメンバーとして、また、“バウハウス”の教授として、新しい絵画運動の一翼を担う。晩年は、ナチスによる迫害と、皮膚硬化症という奇病に苦しみながらも、めざましい創作活動を展開し、1940年6月、療養先の病院にて永眠。絵と音楽と詩にあふれた生涯だった。
【谷川俊太郎】
1931年、東京に生まれる。18歳の時に書いた何編かの詩が文芸誌に掲載され、注目を浴びる。21歳で第1詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来さまざまな実験的な試みをして、日本語の詩の世界の豊かさを広げてきた。詩のほかにもエッセー、絵本、童話、脚本、翻訳など幅広く作品を発表。詩集『六十二のソネット』『コカコーラ・レッスン』『手紙』『女に』『はだか』『ことばあそびうた』『みみをすます』『モーツァルトを聴く人』『真っ白でいるよりも』など作品多数。   』

・・・眺めているだけで楽しくなってきます。良いですよ。


https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/5188T53PJ2L._SY423_BO1,204,203,200_.jpg
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする