読書日和

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「阪急電車」有川浩

2011-07-16 23:28:53 | 小説
今回ご紹介するのは「阪急電車」(著:有川浩)です。

-----内容-----
隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…
片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。
乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。
恋の始まり、別れの兆し、途中下車――
人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。
ほっこり胸キュンの傑作長編小説。

-----感想-----
「電車に1人で乗っている人は、大抵無表情でぼんやりしている」
この一文から物語は始まります。
解説の児玉清さんが書いていましたが、実に本質を突いた鋭い文章です。
本を読んだり音楽を聴いたりといったことが何もない人は、ぼんやりとするか寝ているふりをするしかありません。

この作品は関西圏を走る私鉄「阪急」の今津線を舞台にしています
今津線は宝塚駅から西宮北口駅までの8駅を結んでいて、片道わずか15分の小さな路線です。
この短い路線の中で、乗り合わせた人たちの物語が少しずつ交差していきます。

一番印象に残ったのが「翔子」というOLの物語。
彼女は同じ会社に勤める人と付き合っていたのですが、いよいよ結婚間近となったある時、彼氏の浮気が発覚。。。
相手はなんと、翔子と同期の友達でした。
どうやらその人も翔子の彼氏のことが好きだったようで、二人がマリッジブルーで倦怠気味になっている隙を突かれてしまいました。
この友達の確信犯的謀略により、翔子の彼氏とこの友達が結婚することに。
文字どおりの略奪婚でした。
しかし翔子は彼氏と別れるのを承諾する代わりに、ある条件を突き付けます。
それは、結婚式に翔子を必ず呼ぶこと。
女の意地とも言うべき復讐の始まりです。

通常、結婚式において「白」は花嫁の色なので、ゲストは白いドレスを着てはいけません。
結婚式の基本マナーです。
私がよく行く明治神宮でも何度となく結婚式に遭遇していますが、白を着ているのは白無垢姿の新婦だけで、他の人はベージュであったりブルーであったり、白以外のドレスを着ています
それを翔子は、ウェディングドレス並にデザインされた真っ白なドレスを着て乗り込んでいきました。
当然目立ちまくりで、新婦はかなり気分を害されることになりました。
これこそが、のうのうと二人を幸せな気分にはさせないという翔子の復讐でした。
翔子曰く、「一生に一度の晴れの日を、一生に一度の呪われた日にしてやりたかった」とのことです

そしてそんな怖い結婚式からの帰り道、乗っていた阪急電車の中で、他の乗客との間で少しだけ縁が生まれます。
ちょっとしたきっかけから会話が始まりました。
少しの時間話しただけでしたが、翔子にとっては荒んでいた心が慰められるような、貴重な時間になりました
その乗客に勧められるままに降りた駅では心温まる光景も見られ、段々翔子の気持ちも吹っ切れていきます。
翔子と話したその乗客にもその人の物語があるし、やがて今度は翔子が他の乗客とひょんなことから話すようになったりと、それぞれの物語が少しずつつながっています。

片道15分の電車とともに展開されていくそれぞれの物語は、恋の始まりであったり終わりであったり、楽しい会話や人付き合いの苦労など、色々なものがありました。
そしてどれも最後にはほっこりとさせてくれる温かさがありました。
シリアスな小説も良いですが、こういった温かみのある小説は読んでいて楽しいです^^
1人で電車に乗って退屈な時間を過ごしている人がいたら、この作品を読んでみてほしいと思います


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (けん)
2011-07-17 01:12:24
TBさせていただきました。
またよろしくです♪
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けんさんへ (はまかぜ)
2011-07-17 01:26:17
TBありがとうございます
私もTBさせて頂いたのでよろしくお願いします^^
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Unknown (ビオラ)
2011-07-18 12:44:23
阪急電車は、とっても懐かしいな^^
私の場合は、四条河原町⇔梅田を最も利用していましたが。

電車って、通勤の時は、いつも同じ時間帯に同じ人がいたりして、知らない人だけど、覚えていたりして、面白いものです。

それと、思い起こすと、電車って色んな思い出があるものだわ^^

それにしてもなぜ作者は、電車の中でも、わざわざ阪急電車を題材に、選んだのでしょうか?

映画と小説は、同じ感じのストーリー?

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ビオラさんへ (はまかぜ)
2011-07-18 22:28:21
どうやら作者は昔、阪急今津線の沿線に住んでいたらしいです。
その縁で、阪急電車を題材にした小説を書こうと思ったとのこと。
それぞれの話はどこかほっこりとした気分になれるものでした

映画と小説は、概ね同じ感じのストーリーです。
ビオラさんも機会があれば「阪急電車」、楽しんでみてください^^
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映画も (latifa)
2011-09-18 11:42:07
はまかぜさん、こんにちは!
私もこの本、面白く読みました^^
だいぶ細かい内容は忘れてしまった・・。
映画化もされたのですが、そちらは未見です。
私は図書館つながりで知り合ったカップルの出会いのきっかけが、素敵だなぁ~って思いました。
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latifaさんへ (はまかぜ)
2011-09-19 08:33:35
こんにちは!
latifaさんも読まれましたか
そうですね、あの図書館つながりのカップルの出会いは素敵だなと思います。
同じ図書館に通っていて、彼が手に取ろうとした本を彼女に先に取られていましたね^^
とても面白かったし、また機会があれば読み返してみたいと思います
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