読書日和

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「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎

2009-05-24 12:18:40 | 小説
今回ご紹介するのは「陽気なギャングの日常と襲撃」(著:伊坂幸太郎)です。

-----内容-----
人間嘘発見器成瀬が遭遇した刃物男騒動、演説の達人響野は「幻の女」を探し、正確無比な”体内時計”の持ち主雪子は謎の招待券の真意を追う。
そして天才スリの久遠は殴打される中年男に―
史上最強の天才強盗4人組が巻き込まれたバラバラな事件。
だが、華麗なる銀行襲撃の裏に突如浮上した「社長令嬢誘拐事件」と奇妙な連鎖を始め…。
絶品のプロット、会話、伏線が織りなす軽快サスペンス!
伊坂ブームの起爆剤にして、映画化で話題の「陽気なギャング」ここに待望の復活!

-----感想-----
本作は「陽気なギャングが地球を回す」の続編です。
一部前作からの引用もありますが、前作を読んでいなくても十分楽しめる内容だと思います。

華麗な銀行強盗4人組。
成瀬→嘘を見抜く名人
響野→演説の達人
雪子→正確な体内時計を持っている
久遠→天才スリ

というように、4人それぞれが特殊能力を持っています。
犯罪者が主人公なので、ルパン三世のキャラたちのような雰囲気があります

4人は最初、バラバラな事件に巻き込まれていました。
それが次第に、事件同士に少しずつ繋がりが見え始めてきます。
そしてその裏に浮上した「社長令嬢誘拐事件」。
この事件は、4人がいつものように華麗な銀行強盗を成功させた直後に起こりました。
事件に関わった人物たちに4人も少しずつ繋がりがあったこともあり、事件解決のために4人は動き始めます。
今回は最初から4人一緒に行動していたわけではないというのが、前作と違うところです。
このあたりもルパン的な雰囲気があって、銀行強盗をする際に初めて4人全員が揃ったあたり、いかにも悪党な感じがします(笑)
前作では銀行強盗の売り上げを横取りされた4人組ですが、今回は誘拐事件が発生したりして、トラブルに巻き込まれやすいようですね。
軽妙な会話とテンポの良さは健在で、事件解決に向けて動いていく中での4人のやりとりが面白かったです
以下に例を挙げてみると

「発言はな、自分の思っている七割程度でちょうどいい。相手の話を十聞いたら、三喋る、それくらいがちょうどいい」
「響野さん、人の話を聞いたためしがないじゃないか。十喋って、聞くのは0だ」
「こういう諺を知っているか?『わたしの言う通りにやれ。わたしのやる通りにではなく』」
「都合がいい諺だなあ」
「まあな」

他にも、以下のような場面もありました。

「人が多くて、煙っぽいこんな場所で、撃つわけないんだ」
その後すぐに、銃声が起きる。
「撃ちましたよ」
「物事には例外がある」

これは結構ウケました。
撃つわけないと言っている傍から撃ってきて、「物事には例外がある」とは。。。
なかなかユーモアセンス抜群な方々です。

物語の舞台が横浜なので、私的にとても馴染み深いです。
桜木町や山岸公園(おそらく山下公園のこと)などの名前が出てきて、場面を思い浮かべやすかったです。
横浜に馴染みのない方は、フォトギャラリー 横浜別館を参照していただければ、だいぶ小説の舞台を思い浮かべられると思います。
伊坂さんの作品は仙台が舞台になることが多いのですが、この作品は仙台以外が舞台となっている分、普段とは違った雰囲気が出ていると思いました。
今回も華麗な銀行強盗4人組の活躍を楽しませてもらいました


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