読書日和

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「夜のピクニック」恩田陸

2012-02-18 21:32:17 | 小説
今年最初の小説レビュー。
今回ご紹介するのは「夜のピクニック」(著:恩田陸)です。

-----内容-----
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。
甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。
三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために-。
学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。
本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

-----感想-----
この作品は以前から興味がありましたが、読みたい作品が色々あった為なかなか読めずにいました。
そしてついに本を購入したのが昨年の秋で、そこから通勤の電車の中で少しずつ読んでいきました。
家では読まなかった為、読書が進むペースは本当にちまちまとしたものでした。
ただこの読み方が予想外に作品の雰囲気と合っていたような気がします。
「夜のピクニック」という名前のとおり、この作品では夜通しひたすら歩くことになります。
この地道に歩きながら物語が進んでいくのと、同じく地道に進めていく読書がうまく合っていたように思います。
毎日少ししか読みませんが、その中で物語が少しずつ進んでいくのが楽しかったです

主人公は甲田貴子という高校三年生の女子で、彼女はある決意を胸に歩行祭に参加していました。
それは、同じクラスの西脇融という男子に関すること。
これだと告白でもするのかなと思いますが、実際はもっと込み入ったものでした。
西脇融と話し、三年間誰にも言えなかった秘密を清算しようという強い決意で歩行祭に臨んでいたのです。
西脇融とどんな秘密があるのかは早い段階で明らかになりますが、それを歩行祭のうちに解決できるのかは非常に険しい状況でした。
融のほうは貴子を邪険にしていて、なかなかじっくり話すチャンスがありません。
朝から歩き、やがて夜になっていきますが、チャンスはこないまま。
他の仲間たちと話すときは和気あいあいなのに、融と会話すると何とも言えぬ緊張が走ります。
この作品は本当にこの二人の因縁がどうなるかが最大の焦点でした。
その中で、80キロの道のりを歩きながら、高校生らしい青春が展開されていきます。
ただ歩いているだけなのに、不思議と惹きつけられましたね。
歩きながらの友達との会話、想像するとどこか自分もその場を歩いているかのように情景が思い浮かんできました。
考えてみると、友達と並んで歩きながら話すのはまさに青春そのものです。
他愛のない会話でも妙に盛り上がるんですよね。
社会人になってそういった機会がなくなると、「その頃」のことがとても尊く感じます。

ひたすら歩き続けるという、とてもシンプルな物語の中に、青春小説らしい爽やかさがちりばめられた良質な小説だったと思います。
第2回本屋大賞受賞は伊達ではないですね^^
良い作品に巡り合うことができて良かったです


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