読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「オートフィクション」金原ひとみ

2010-06-13 23:18:32 | 小説
今回ご紹介するのは「オートフィクション」(著:金原ひとみ)です。

-----内容-----
22歳の女性作家・リンが新たに執筆を依頼されたのは自伝的創作=オートフィクションだった―。
なにものによっても埋めることのできない、深い孤独を抱えた彼女が語り始めた「オートフィクション」は抹殺したはずの過去を描き出す。
切り取られたいくつかの季節と記憶。
通り過ぎる男たち。
虚実が錯綜し破綻した世界の中で、彼女が見いだしたものとは。
著者渾身の傑作長編。

-----感想-----
この作品はどこまでフィクションで、どこまで現実なのかよく分からない作品でした。
現実といっても小説の中での現実のことです。
主人公であるリンの書いたフィクションなのか、それともリンの実体験なのか、読んでいると分からなくなってきます。
たぶんそれが自伝的創作=オートフィクションということなのだと思います。
物語は4つに分かれていて、以下のようになっています。

22nd winter(22歳の冬)
18th summer(18歳の夏)
16th summer(16歳の夏)
15th winter(15歳の冬)

それぞれの年齢、季節でのリンが体験していく色々な出来事。
どれも男と付き合ったり別れたりといった展開になっています。
さすがに金原ひとみさんの作品らしく、話によってはちょっと破綻気味になっていたりもしました。
会話が何だか脈絡がなくて、今話しているところからいきなり突拍子もないところへ飛んだりもします。
主にリンがそんな感じで相手を振り回しています。
しかしそれぞれの話を読んでいくと、相手を振り回していたはずのリンがいつの間にか追い詰められていて、最後には自分自身が破綻するといった展開になることもありました。

また、一部には金原ひとみさん本人の体験をモデルにしているような話もありました。
2004年に芥川賞を受賞したとき、雑誌のインタビューで「当時付き合っていた男と極貧生活を送っていて、何日かコーヒーを飲むだけの時期もあった」というようなことを言っていました。
この作品で同じような展開が出てきたとき、すぐに上記のことが思い浮かびました。
自分の体験を、リンに反映させたのかも知れませんね

以前書きましたが、金原ひとみさんの世代には綿矢りささん、島本理生さん、青山七恵さんなどの強豪が揃っています。
そしてこの4人の作品を好きな順に並べると
綿矢りさ、島本理生、青山七恵、金原ひとみ
となり、金原ひとみさんの作品は最も苦手だったりします
グロテスクなイメージが強いのが理由ですが、それでもこの作品はまずまず読みやすかったです。
もしまた気が向けば、他の作品にも挑戦してみたいと思います。


※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。

※図書ランキングはこちらをどうぞ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サッカーW杯開幕!! | トップ | 餃子の王将 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
金原作品~ (あかね)
2010-06-16 15:49:34
私も金原先生の作品って・・・
グロテスクな描写が多い気がして・・・
二作目のアッシュベイビーで脱落した派です(アッシュベイビーは、自分には衝撃的すぎました・・・
でも、はまかぜさんのこの作品の感想を見るかぎり・・・「オートフィクション」は読みやすそうかな?

年代が近い作家さんなので、とても気になるから読んでみたい未だに、島本理生先生の「ナラタージュ」、青山七恵先生の「窓の灯」が未読で本棚にあります年内にはチャレンジしたいっ
返信する
あかねさんへ (はまかぜ)
2010-06-16 20:04:00
そういえばあかねさんも以前、苦手と言っていましたね^^;
「オートフィクション」は比較的読みやすかったので、無事に読み切ることができました。

「ナラタージュ」と「窓の灯」はどちらも面白かったです
年代の近い作家さんの作品は気になりますよね^^
ぜひ読んでみてください
返信する

コメントを投稿