読書日和

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「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」岡崎琢磨

2012-11-11 17:01:05 | 小説
今回ご紹介するのは「珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」(著:岡崎琢磨)です。

-----内容-----
京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。
恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。
長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星(きりまみほし)だ。
美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。
だが美星には、秘められた過去があり―。
軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。

-----感想-----
この作品は2012年の「このミステリーがすごい!大賞」の「隠し玉」として出版されたとのことです。
大賞の受賞は逃したものの、魅力の高い作品ということで全面的な改稿の上で出版されることになったようです。
「隠し玉」と呼ばれるだけあって、読んでいてかなり面白かったです

帯に書かれている「京都の町で、女性バリスタが日常の謎を鮮やかに解決!」の言葉のとおり、切間美星が名探偵さながらの頭脳で主人公・青山氏の持ち込む日常の謎を鮮やかに解き明かしていきました。
ちなみに「バリスタ」とは珈琲を淹れる専門の職人のことで、ワインにソムリエ、カクテルにバーテンダー、コーヒーにバリスタといった具合のようです。
美星さんは謎を解く時、ハンドミルという手で珈琲豆を挽く器具を使ってコリコリコリと豆を挽きながら謎解きをするのが特徴的です。
一方の青山氏のほうはどことなく抜けた感じのある人でした。
美星さんの謎解きの最中に「ははぁ、わかりましたよ、バリスタ」と言って自身も謎解きをしようとするのですが、「全然違うと思います」と辛辣な突っ込みを入れられることもしばしばでした(笑)
この二人のギャグの入り混じった軽妙な会話が面白かったですね^^

作品的に「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズと似たものを感じていたのですが、謎解きをする女性の性格は全くの正反対でした。
「ビブリア古書堂の事件手帖」の栞子さんは大人しく内気な感じなのですが、「珈琲店タレーランの事件簿」の美星さんははっきりと物を言うところがあります。
主人公・青山氏の渾身の推理を涼しい笑顔で「全然違うと思います」とばっさり切って捨てる場面など、なかなか容赦がないなと思いました(笑)
この「全然違うと思います」の決め台詞は結構何度も出てきて、そこから美星さんの推理が始まって核心に迫っていく、という展開が多かったですね。
青山氏は主人公なのに「古畑任三郎」で言うところの「今泉慎太郎」のような役どころになっていました
まあそんな青山氏も後半は美星さんの秘められた過去の解決のために奮戦するなど見せ場があります。
読んでいて「こういう展開になるのかな」と思っていたら「あれ?」と思うような意外な展開になることもあり、その辺りはさすがミステリー小説だと思います。

そして個人的にツボだったのが、物語の舞台が京都なところ。
京都が舞台の小説といえば森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」「宵山万華鏡」といった作品が真っ先に思い浮かんできます。
それらの作品に出てきた地名やお祭りが「珈琲店タレーランの事件簿」にも出てきて、俄然京都への興味が深まりましたね。
今出川通りや鴨川デルタ、祇園祭に五山送り火などなど。
和の雰囲気漂う京都の街を舞台に軽妙な会話を繰り広げながら謎解き、この展開は良いですね
美星さんと青山氏、この二人は名コンビだと思うし、出来たら続編を読みたいなと思います


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