「諸の心所法は皆所縁の於に兼ねて別相を取る。」(『論』第五・二十左)
(諸々の心所法は、すべて所縁に対して、総相と別相を認識するのである。)
「論。諸心所法至兼取別相 述曰。第三總結上類解頌此心所三字竟。自下第二別解遍行等義 問既言心所名義乃同。有何差別。(『述記』第五末・七十六右。対象43・422b)
(「述して曰く、第三に総じて上を結ぶ。類して頌の此の心所と云う三字を解し竟んぬ。
自下は、第二に別して遍行等の義を解す。問、既に心所と言う名義乃ち同なり。何の差別か有るや。」)
自下、これからの所論は、遍行等の意味を個別に説明する。
① 総標(まとめて示す)
② 列位(六位それぞれの心所数を列記する)
③ 結数(六位の心所数の合計の数を示す)
④ 釈名(心所の名の由来について説明する)
⑤ 会文(他の文献を会通する)
⑥ 総結(まとめて結ぶ)
「諸の心所は、名も義も異なること無しと雖も、而も六位の種類差別なること有り。」(『論』第五・二十左)
(諸々の心所は、名も意味も異なることはない、けれども六位の種類の区別は有るのである。)
六位の区別
① 遍行
② 別境
③ 善
④ 煩悩(根本煩悩)
⑤ 随煩悩
⑥ 不定
「論。雖諸心所至種類差別 述曰。下文有六。一總標。二列位。三結數。四釋名。五會文。六總結。此初也。心所3名義雖同。而體一一類各別故。(『述記』第五末・七十六右。大正43・422b)
(「述して曰く、下の文に六有り。一に総標、二に位を列す、三に数を結ぶ、四に名を釈す、五に文を会す、六に総結。此は初なり。心所には名義同なりと雖も、而も体一一に類各別なるが故に。」)