さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

各団体、ルール策定に動かねばもう嘘だ

2019-11-30 16:58:21 | 海外ボクシング



またしても、計量失格のニュースです。

アンドレス・グティエレス、数年前、日本王者になる前の坂晃典と対戦する話があり、そのとき動画を探して見たことがあります。
ただ、試合ぶりどうというより、フェザー級ランカーのはずが、その時点で130ポンドかそれ以上の契約での試合が続いていて、動いてる姿見ても大柄で「坂との試合、何ポンドで契約したんやろう」と心配になったものです。
結局その試合は、グティエレス側の都合で流れたように記憶していますが、なんだか妙な選手だなあ、と思いました。

で、忘れた頃に名前が出て、こんな話です。
オスカル・バルデスは以前、これも計量オーバーのスコット・クイッグと対戦して、大激戦の末勝つも、アゴを骨折してブランクを作った経験もあり、誠に気の毒です。
「被害者の会」の一員に数えていいでしょう。

以前、山中慎介が「被害」にあった件のとき、1~2ポンド程度なら、条件面や当日計量の数字で折り合えば試合開催、しかし大幅ならコミッションが許可しない、それが世界の趨勢で、統括団体がルールを策定しないのが現状であり、結局は試合中止が可能な状況にない日本の興行事情と、コミッションの無力さが問題だ、と書いたのですが、その前提が先のフィゲロア、セハ戦で崩れ、そして間もなくこんな話です。

今回は同一興行に、バルデスと試合が出来るレベルの選手が他にいたようですが、いつもそう都合良く行くわけでもないでしょう。
ワシル・ロマチェンコに確信的体重オーバー(と、反則技)で勝ったオルランド・サリド、そしてご存じルイス・ネリーなど、結局は契約体重に落とす努力をせず、体格の有利をもって強敵に勝とうとする「手合い」が、こう頻繁に現れるようになると、これはいよいよ、統括団体も具体的なルール策定をし、それを世界戦やイリミネーション、地域タイトルなどの認可の際に、契約に織り込むよう義務づけねばならない、そういう段階に来ていると思います。

そして、上記したような「前提」が崩れ...というか、そもそも存在しないなら、体重オーバーによる大試合中止が難しい日本の有力興行者、関係者やコミッションにとっては、世界の統括団体に対し、それを声高にアピールしていく必要があるだろう、とも。

少し前にコメント欄でご教示いただいた話によると、ジェイミー・マクドネルが大騒動の末に118ポンドで、きちんと計量をパスした背景には、非常に厳しい契約が結ばれていたから、という理由があったのだそうです。
JBCの「国内法」と共に、こういう事例もアピール材料のひとつとして使える...かどうかはともかく、世界の趨勢、関係者の、階級制や計量に対するルーズな感覚を、そろそろ正さねばならない、と思います。
本当に、単にファンとして腹が立つから、ではなく、事故などが起こってからでは遅い、という意味においても。



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総会前に爽快な勝利を

2019-11-29 20:40:07 | 関東ボクシング



来週月曜、ホールで井上浩樹がWBOアジアパシフィックタイトルマッチに出ます
翌3日から、東京でWBO総会が開かれるので、バルカルセル会長の観戦もあるかも、とのこと。
古い表現をすれば「御前試合」ってなものですかね。

日本への積極的な「営業」に乗じた?形で、日本の関係者によってアジアパシフィック王座が積極的に「導入」され、WBOは日本市場開拓という面において、IBFより先んじている感がありますが、いよいよ総会も行われるとなれば、その傾向はますます強まるのでしょう。
もちろん、デメリットもありますが、経済的に恵まれないジム所属選手に、世界進出の希望を与えた木村翔の成功例、そして、中量級以上の階級において、世界上位へのとっかかりが掴める、という点においては、WBOルートのメリットは大きなものがあります。
実際、結果に恵まれているとは言えずとも、このタイトルをきっかけに、ライト級より上のクラスでも、渡米しての世界ランカー戦、イリミネーションバウトを闘う選手が増えています。

井上浩樹もまた、その第一歩となるか、という試合に臨みます。
ジムメイトの平岡アンディが先んじてトップランクと契約しましたが、彼もそれに続くような存在になっていかないと、国内シーンで少々抜きん出たところで、このクラスでの世界上位進出は見えてこないでしょう。

相手のジェリッツ・チャベスは、二階級上げて適応に苦しんでいた?時期の内藤律樹をダウンさせた選手ですが、ここは井上浩樹の快勝を期待、です。
TVは6日金曜深夜、関東ローカルですが、なんとか友人の厚意にすがって...。



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会場が出来ました

2019-11-28 18:41:41 | 海外ボクシング



ということで、来月8日(日本時間早朝)に行われる、ルイスvsジョシュア再戦の会場が完成したのだそうです。

以前、カタールでワールドカップが開催されると決まったとき、メインスタジアムの場所がまだ更地というか、何にもない砂漠だったのを、地図で見せられ驚いたことがありますが、あの辺でのスポーツや他のイベントって、皆、そんな感じです。
MotoGPのカタールGPが行われるロサイル・インターナショナル・サーキットってところも、砂漠の砂が入ってきたり、暑いから夜中にレースしたりと、まあ常識が通じないことばかりです。


で、今回の会場、ディリヤー・アリーナですが、驚いたことに屋外なんですね。
二ヶ月前の写真がこちら。





数日前の記事で見た写真はこれ。
あんまり変わりませんが。






サウジアラビアの首都、リヤドはペルシャ湾から400キロくらい離れた内陸部で、夜と昼で寒暖差がある上、冬はそれなりに涼しいらしいし、時間も夜遅くだから大丈夫だとは思うんですが、てっきり屋内施設を作っているものだと思っていたので、最初見たときは驚きました。
これ、冬の時期なら使えますが、夏だと何にも使えないような気がするんですが...まあ、余計なお世話ですかね。そもそも夏は何もせん、ということなのかもしれませんし。

しかし、出来たても出来たての会場で、こんな大試合が行われるんですね。
かつて税制の関係で、ヘビー級タイトルマッチが世界各地に「輸出」されて行われた時期がありましたが(キングストン、東京、カラカス、キンシャサ等々)その頃も会場を巡っては色々あったようです。
今回、特に問題なく、すんなりと行われてほしいものですね。
試合が終わったあと、実はああでこうで、そのせいでどうのこうの、なんて話は聞きたくありませんし。


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そんなことで、一曲。
PANTA&HAL「ネフードの風」。






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救世主待望より、足元を見つめ直す話を

2019-11-27 23:49:31 | 関西ボクシング



日本のボクシングを関西のスターが動かしていた、という時期が、過去には何度かあったように思います。
渡辺二郎が孤塁を守っていたころ。赤井英和というスターの存在。
その赤井に憧れた井岡弘樹が若くして王者となり、辰吉丈一郎の登場という「爆発」で、その流れを決定づけた時期。
最近なら「徳山昌守以外、誰も世界では勝てん」頃を経て、長谷川穂積が長期政権の座にあった時期もそうだったように思います。

そして、辰吉の「直撃」を受けた世代が、関西のリングで活躍し、世界へ挑む流れというのは、割と普通のことだったはずです。
もちろん、全体的な「層」の厚さの話をすれば、日本のボクシングが常に「東高西低」であること自体が、揺るいだことはなかったですが。


昨日、こういう記事を見つけました。
関西世界王者の不在を取り上げ、辰吉寿以輝の次戦の話題に絡めた一本です。

辰吉寿以輝の名前を、こういうレベルの話に絡めるのは、現状、そもそも無意味です。
しかしそれ以前に、この記事が空しいものであるのは、関西の地盤沈下が何故起こったか、ということを、まったく直視していない。
触れてもいない、その意志もないから、です。


記事中にもあるように、寺地拳四朗は関西の興行に出る選択をしていない。
井岡一翔は引退を経て東京に拠点を移している。
若き逸材、京口紘人に至っては、そもそも最初から大阪のジムを選びもしない。


こういう、有名どころの目に見える話のみならず、我々の知らぬところで、さまざまに起こっていることどもの背景は、実情はいかなるものなのか。
救世主待望(まあ、本気で書いてるわけではなく「話題」の一環を書いただけでしょうが)ではなく、足元を見つめ直さないといけない、というのははっきりしています。
少なくとも、単に偶然、王者や世界上位の選手がいない時期、という話ではない。
現に「いた」人たちが、出て行ってしまっているのですからね。


若いボクサー、ないしはボクサーを志す若者が、己の立身を考えたとき、関西のボクシング界が魅力に乏しく、信が置けないものと見做されてしまっているとしたら。
その原因を見つめ直し、改善する意志が、どこにもないわけではない...と信じたいところですが。



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妙なカードがアンダーに並ぶ 「ホンマ」の試合は別会場

2019-11-26 13:28:06 | 海外ボクシング



ということで、WOWOW生中継を中心に、あれこれ見ていた日曜日ですが、ワイルダー、オルティス戦のアンダーには、妙なカードがふたつ並びました。


WBAのSバンタム、これは正規という名の第二王座ですが、王者ブランドン・フィゲロアがドロー防衛。
挑戦者のはずのフリオ・セハは、なんと計量4ポンド半ばかりオーバーで、勝っても王座奪取にはならない、という一戦でした。

セハは、日本におけるルイス・ネリーと同レベルのオーバー。フェザー級も超えてます。
しかし試合挙行。ネバダのコミッションが許可したことに驚きました。

以前、この問題について書いたとき、ランディ・カバジェロvsリー・ハスキンス戦中止の例を挙げて、こんなに酷いオーバーの場合は許可が出ないはずだ、という前提で話を進めたんですが、今回、その前提が崩れました。
コミッションには厳格な基準も、効力ある規定もなく、結局当事者同士の話し合いが優先されてしまう、というのは、洋の東西を問わない、と見るべきなのでしょうか?

試合自体は、解説の西岡利晃が指摘した、フィゲロアの拳の負傷を抜きにしても、やはりセハの体力にフィゲロアが苦しんだ感あり。
それでも押して、前に出て試合を作り、セハの攻撃をかなりのところまで封じたフィゲロアには感心もしましたが。

ただ、こんな試合、出来れば断ってほしかったなあ、とは思います。
経済的事情はもちろんのこと、そうした場合に何の保障もない、という、考えて見れば異常な現実があり、言いにくい部分ではありますが。

考えれば考えるほど、この問題については、あれこれと不備だらけですね。
この手の試合でリング渦でも起こらん限り、議論ひとつまともに始まらんのではないか、それが世界のボクシング界の現実なのかもしれない、と思うと、本当に気が滅入ります。


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で、もひとつ妙な、というか、セミのWBA、Sフェザー級「スーパー」王座決定戦。
さあ皆さん、色々突っ込んでおくんはなれ、と言われているようなマッチメイクです(笑)

前記事で「裏カード」と書いちゃいましたが、それはあくまでメインのヘビー級戦と比較しての話で、WBAのスーパーフェザー級タイトルマッチとしては、カンシオvsアルバラード戦が本来のもの、のはずです。
しかしスーパー王座を頭越しに作り、しかも決定戦に出るのは、元々フェザーのタイトルホルダーとコンテンダー。

昨今のレオ・サンタクルスは、世界どうこうというより、ヒスパニック系フランチャイズ王者、というのがしっくり来る存在でしたが、その路線継続とでも言いますか、もはや揺るがぬ感じです。
日曜の実況で、大病を患った父の治療費を稼ぐため、高額報酬の試合を望んでいる、という話が出ていましたが、加えて言うなら「高額の試合を継続して重ね、負けるリスクは極力負わない」というのが、その「望み」の実態でしょう。
こういうの、ええ話みたいには聞けないですね。無理がありすぎます。

試合自体はクリアに勝ちでしたが、見どころの乏しい内容でもあり、これで4階級制覇とか、内心忸怩たるものはないんですか、と訊きたくなります。
そもそもあちらのメディアって、こういうのを厳しく批判したりはしないものなんでしょうか。ようわかりませんが。

なんかもう、どんな横車でも通した者の勝ち、って感じがします。歯止めも何も無いのか、と。
計量の件も、こういうタイトル増殖の件も、本当に馬鹿が雪だるま式に大きくなっていくばかり、と見えてしまいます。


また、皮肉にも同日に闘われたカンシオ、アルバラード戦が凄い試合でして...あらゆる意味で、こっちが「ホンマ」やな、と。
勝った直後、歓喜と安堵でしばし、椅子から立てず落涙していたアルバラードの姿は、見ていてぐっと来るものでした。
周辺に諸々、色々あれど、やはりボクシングって凄いものだ、と素直に思える試合で、これこそビッグイベントのセミに相応しい、と思った次第です。



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そんなことで、一曲。
Eve「レーゾンデートル」。





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次回DAZNは12月1日、モナコの試合

2019-11-25 23:16:09 | 海外ボクシング



昨日はWOWOWとDAZNで三興行ライブ放送及び配信に加え、全日本選手権まで放送され、チェックするだけでも大変でした。

英国では、カラム・スミスが、正直どっちかわからんような試合で辛勝でした。
この興行は、DAZN USAがアンダーカード含めて、ハイライト出してます。
私はメインだけ見て、アンダーはこちらで済ませました。とてもじゃないですが、全部は見られません。






米国の「裏カード」では、アンドリュー・カンシオがレネ・アルバラードに打ち負け、TKOで陥落。リングサイドでロマゴンも大喜び。
シュー・ツァンは、マニー・ロブレス相手に手数の鬼と化し、判定勝ちで防衛でした。



で、DAZN次回のボクシング配信は12月1日の午前4時から。
現地時間では11月30日、モナコ公国モンテカルロでの興行。
WBAウェルター級王座決定戦、アレクサンデル・ベスプーチンvsラジャブ・ブタエフ戦です。

あと、13日の金曜日、こちらも午前4時から。
サンドール・マルティンvsジョー・ヒューズ戦、と。
なんじゃこりゃ、と思って調べたら、スペインはバルセロナでの試合。欧州スーパーライト級タイトルマッチなのだそうです。

とりあえず欧州系の試合を流しとこか、という感じみたいですね。
で、8日のサウジ決戦については、DAZNに予定が出ていません。
これはWOWOWのみの放送、ということなのでしょうか。それとも、そのうち予定が出るのか。
WOWOWに加入せず、DAZNのみの視聴者もいるのですから、早くしないとまずいようにも思いますが。



で、全日本選手権は、未だに見られていません。困ったことです。
昨年はゲストに井上尚弥が出てましたが、今年は内山高志だったそうです。
準決勝までの試合にも、要注目カードが沢山ありますが、ハイライトでもいいから見せてほしいですねー。



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7回にもなって決まった「初弾」が決め手 ワイルダー、難敵を返り討ち

2019-11-24 15:26:19 | 海外ボクシング



今日は朝から英国、昼前からアメリカの二試合がDAZNとWOWOWで生中継。
加えて全日本選手権も、NHKーBSで二枠に分けての放送と、どないせえちゅうねん、という日曜日でした。


とりあえず感想書いていきますが、やっぱりヘビー級から。
デオンテイ・ワイルダーとルイス・オルティスの再戦は、前回の内容を受けて、互いにどう出るか、という試合でしたが、思った以上に極端な展開でした。

ワイルダーが引いて見て、ほとんど自分から打たない。オルティスはそれに乗じて、というほどには攻めない。
この展開が続き、気づいたら試合が半分終わっていました。

初回、オルティスが左ダイレクトでヒット、その直後のバッティングで右のこめかみあたりを切る。
この出血はほとんど展開に影響なく、さいわいでした。

2回はオルティスが僅かに手を出すのみ。3回はオルティスがワイルダーのジャブを外して左を返す。
この回は上下のヒットあり。
4回もオルティスが散発的に左。ガードされたものも多い。
5回はオルティスが右上、左下のワンツー。ワイルダー右をのぞかせ始めるが、2度くらい。
6回、ワイルダーの左ジャブを外したオルティスの小さい右リターン。

互いの攻防を書き出しても、せいぜいこのくらいで、互いに警戒が勝つ、見合い、探り合いの前半戦。
手控え、間合いが伸び、見合えば見合うほど、オルティスの巧さがまさるばかりで、ワイルダーにいくら一発があると言っても...と思わずにいられませんでした。


7回も、流れが変わるような立ち上がりではなかったように思ったのですが、ここで少し様子が変わる。
ワイルダーが右ミス、オルティスが左カウンター、という攻防が二度あった後、ワイルダーが右ストレート、右フック、アッパー気味、と三発、違う右を打つ。
ああ、これは何考えてるのかわからない(失礼)ワイルダーが、実は彼なりに(これまた失礼)探りを入れ、照準を合わせようとしているのか、と見えたのですが、その後にオルティスの好打があり、一瞬それを忘れたところでした。

急にその「照準」が合ったものか、らくしもない力みのないフォームで、振りも大きからず、しかし縮こまらずに伸びのある右ストレートが、最短距離を通って、オルティスの顔の真ん中あたりを打ち抜き、オルティスダウン。
あー、さっきの三発のうち、一番最初のヤツや...と思っている間に、カウントが進み、試合が終わりました。


終わってみれば、右のミスを狙われたくないワイルダーが、前回の轍を踏まずに、難敵オルティスを仕留めた、という風に語らざるを得ない試合でした。
しかし、今時、試合の半分を「見て」過ごし、ほぼ全ラウンドで失点していた(と見えましたが)展開のあと、7回にもなって、やっと決まった、ほぼ最初のクリーンヒット「初弾」といっていいパンチを決め手にして倒す、という勝ち方は、あまりにも常識外れというか...。

まあ、これこそデオンテイ・ワイルダー、というしかないんでしょうが、感心するやら呆れるやら。
ある意味、これぞヘビー級、バケモノの世界なのでしょうね。普通の考えでは通じないものを見られる世界である、と。


試合後は、互いにリスペクトし合う間柄らしく、友好的なところも見せていた両者ですが、その闘いは静かながらも激しく、そして壮絶なものでした。
PFPランキングというようなもので、上位には出て来ないこともあるヘビー級王者たちですが、そういう「評」の世界には収まらないものを見ることが出来ました。


さて、来月のサウジアラビア決戦を経て、ヘビー級戦線はいよいよ面白くなりそうです。
この階級で、誰もが思い描くようなカードが組まれ、ヘビー級統一が実現すれば、さらなる興奮が味わえることでしょう。
大いに期待です。



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切るべき時に切らないから、後々祟る ネリー計量失格、試合中止

2019-11-23 11:44:51 | 海外ボクシング



ダン・ラファエルのツイートです。
エマヌエル・ロドリゲス(と陣営)は、計量オーバーのまま試合を挙行するための金銭的なものを含めた条件提示に同意せず、試合が中止になった、ということのようです。

起こったこと自体に驚きはありません。
ただ、エマヌエル・ロドリゲスとその陣営が下した判断は、非常にまっとうなものであり、賢明だったと思います。

そういえば、どこやらの国では、同じ事態を受けて、真逆の判断を下した陣営がありました
メインとアンダーの違いはあれど、これだけ見事に違うと、あれがどれほど異様なことだったか、改めて浮き彫りになったように思います。
単にネリーを悪者扱い(そりゃ、悪いんですけど)して終わり、という話ではありません。



それにしても、本当にどうしようもない奴ですね。今更何を、ですが。
1ポンドオーバーというのは、普通なら、幅としては大きいし、再計量で落とせるかな?と思いはしたものの、この男にまつわる話に、普通の常識でモノ考えてたら馬鹿見るだけだ、とも思ったのですが、まさか「ホンマ」だったとは。

やっぱり、ドーピング違反の段階で、然るべき処分をしないといかんかったですね。
文字通り「後々祟る」としか言いようがない現状を見るに、改めてそう思う次第です。



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考え得る中で最上位の代役 「寺地」拳四朗の相手はペタルコリンに

2019-11-22 17:25:47 | 関東ボクシング



先日、統一戦の中止を嘆いたばかりですが、拳四朗に挑む代理選手が、ランディ・ペタルコリンに決まったとのこと

アルバラード欠場の噂を知ったのは数日前ですが、当然、関係者の間ではもっと早くに情報が出ていて、そこから代理挑戦者の選定が始まっていたんでしょうね。
このタイトなスケジュールで、このクラスの選手が来日に応じるとは思っておらず、当該記事の中でも「なさそう」な顔ぶれのひとりとして、名前を挙げてしまいました。

boxrecによると、10月20日に試合したばかりですが、その後の調整がどうだったか、ですね。
もし、今回の挑戦話が早くから持ち上がっていたら、今回も、思う以上に良い状態で来るかも知れません。

何より、元々強い選手です。WBAライトフライ級暫定王座、またはランク1位の座にあった頃の試合映像も含め、当時何試合か見ましたが、この頃正規王者だった井岡一翔や田口良一にとっても、相当手強い部類の挑戦者だと見えました。
実際にこの両者と対戦することはなかったですが、それも成り行き、状況がそうだったというよりは、日本側が何とかして避けて通っているのでは、と思ってしまうほどに。

もちろん昨秋、アルバラードに敗れて以降2連勝とはいえ、一番勢いのある時期は、もう過去でしょう。
しかし乾坤一擲、この一戦に勝負を賭けてくる、という心身の構えだったら、拳四朗にとっても容易ならざる強敵です。
タイプ的にもアルバラードとは真逆、というのも難しいところでしょうか。
直近の相手が同じくサウスポーのタコニングだったとはいえ、これまたタイプ的には少し違いますし。

何しろこれは、東洋の軽量級シーンにおいて、見てみたかったカードのひとつです。
出来れば両者万全の、本来の形での対戦を見たかったですが、急遽決めねばならない、という制約の中、考え得る最上位の相手と言って良いでしょう。


そういうことで、あまり酷い相手だと、最悪キャンセルも、と思っていましたが、予定通りに観戦するとします。
「統一戦」という冠がなくなったことで、それこそTV局がこの試合をどう扱うか、わからなくなったことも含め、ですが...。


ところで拳四朗、改名して本名に戻すようです。
やっと耳に馴染んできた、というところだったんですが、まあ、本来こうなんですよね。
多少なりとも、知名度アップに資する...かどうかは、何とも言えませんが。



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「戦友」への思い、消えず 西岡利晃、ドネアを見て語った3分間

2019-11-21 17:31:21 | 西岡利晃




今頃ですが、月曜に放送されたWOWOWエキサイトマッチ、解説はジョーさんと西岡利晃でした。
番組冒頭、井上、ドネア戦のハイライトや、ポストファイトインタビューが流れました。
ハイライトは、時間として正味3分ちょっとくらいだったでしょうか。


この大一番が決まって以降、試合までの間には、ネットはもちろん、様々なメディアが予想や展望などを取り上げました。
元王者や評論家、現役選手その他、芸能人なども含め、多くがこの一戦について語っていたものです。

しかし、その中に西岡利晃のコメントを見ることはなかったように思います。
ひょっとしたらどこかにあったのかも知れませんが、私が知る限り、では。


ご存じの通り、西岡利晃のラストファイトは、ドネアへの挑戦試合でした。
バンタム級での挫折を経て、Sバンタムで世界の王座に到達するに留まらず、海外に雄飛し「早熟の天才にして、大器晩成」というべき成功を手にし、海外で残した戦績、そのインパクトから、後継の世代にあたる長谷川穂積、山中慎介以上に、国際的に評価された西岡が、ボクサー人生の集大成として臨み、そして打ち砕かれた、あの一戦。

当時、フライ級からSバンタムまでの軽量級ゾーンで、各階級において最強の王者を悉く打ち破っていたノニト・ドネアに挑み、敗れたことは、西岡利晃の心中において、誇りでもあるが、当然のこと、痛みでもあったはずです。


今回、井上尚弥と対するノニト・ドネアについて、西岡利晃の心中はどういうものだったのでしょう。
そこには、単に「健闘を祈る」というに留まらない、語り尽くせぬ思いがあったのかもしれません。

具体的に言えば「自分と闘ったドネアと、今のドネアは違う」という思いだったのではないか、と下世話に推測することも出来ます。
仮にそうだとして、それをそのまま口にすれば、何が起こるかということも、これまた容易です。
そして、それが対する井上尚弥への敬意を欠くことにもなる、と見做されるかもしれない。それとこれとは別の話、であっても。


実際のところがどうだったのかなど、知る由もありません。
ただ、一向に目に付かない西岡利晃の言葉、届かない声のことを、試合前に何度か思った次第です。



そしてこの月曜日、ほんの短い時間ですが、西岡はほとんど、ドネアのことだけを語っていました。


「ドネアは36歳で、バンタム級に落として、コンディションしっかり作ってくるのは、厳しかったと思うんですけど、まあ、良いコンディションでしたね。」
「(2回の映像を見て)良い左フックですね。」
「(5回の映像を見て)普通の選手だったらね、もう倒れてると思うんですね。ドネアだからこそ判定まで...こういう、良い試合が出来たと思いますし...。」
「(9回の映像を見て)ドネア、右も左も一発ありますからね。」
「(10回の映像を見て)この辺、よく頑張ってますよね。ドネアだからこそ、こういう激しい試合、面白い試合が出来た、っていうのが言えますね。」
「(試合終了後)本当にドネアが良く頑張って、こういう良い試合を、ドネアが作ってくれましたね。」


試合が終わって時を経て(初めて?)この試合について語った彼の声は、言葉は、軽量級最強を謳われたノニト・ドネアと闘ったことの誇りと、痛みと、それ故に抱く「戦友」への思いが、じわりと伝わってくるものでした。
その声色は、労いの穏やかさを湛え、同時に、自身の誇りをも託す対象としての、ドネアへの称賛に満ちたものでもありました。


もちろん、若き王者、井上尚弥への称賛、敬意も心中に秘めているはずですし、そもそも番組の構成者が、ドネアについて語る役割を、西岡に割り振っただけなのかもしれません。
しかし、闘い終えて時を経て、短い時間であっても、彼の声を、言葉を聞けて、見る側のこちらとしては、やっとこの試合が「完結」したかな、というか、一段落ついた、という気持ちです。

この辺は、やはりWOWOWエキサイトマッチならでは、というところでもありますね。感謝。


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西岡利晃について、一番最近書かれた記事についても、ご紹介。
Number webに掲載された、二宮寿朗氏による「井上尚弥にバトンを渡した人がいる。西岡利晃の「不滅のジョニゴン戦」」です。

先頃発売されたNumber誌において、事前に取材をした上で、こういう記事が載るのだろうな、と想像していた、ほぼそのままの内容です。
記事の半分以上が再録だから、Web上のみの掲載になったのでしょうが、長きに渡り西岡利晃の拳歴を見つめてきたファンにとっては、じわりと「来る」内容です。

すべては「つながっている」のです。そのはずです。
そう信じて、長きに渡ってボクシングを見てきましたし、これからも同じことを続けるのでしょう。







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ということで、一曲。
amazarashi「未来になれなかったあの夜に」。





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