さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

計量パス、検査も「クリア」 井岡一翔vs田中恒成、いよいよ明日!

2020-12-30 17:45:41 | 井岡一翔




井岡一翔、田中恒成、両者ともに計量パス
そして、記事によると、PCR検査もクリアとのこと。
まあ、本質的に意味があるのかどうかはともかく、お墨付きが出た、という形ですね。


井岡、すごいアタマしとるなあ、というのはまあ置いといて(笑)
世界戦、歴代最多の20戦目とありますが、中には、いくら4団体時代とはいえ、これが世界戦か、と思うようなのもありましたし、数字じゃなくて中身を比べれば、田中恒成とて、劣るものではないと思います。

ただ、スーパーフライで、という区切り方をすると、ドニー・ニエテス戦惜敗を含め、王者クラスや上位と4試合闘って3勝1敗の井岡と、今回初戦の田中では、当然井岡の方が上です。
もっとも、若い選手というものは、転級した途端、見違えるように良くなる場合もありますから、その辺はやっぱり、蓋を開けてみないとわかりませんが。


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今年は本当に、誰もが想像しなかった形で世界中が困難な時を過ごすことになりました。
しかし、このような状況にあっても、果敢に闘うボクサーの姿を見て、大いに勇気づけられましたし、自分がボクシングを見るということの意味を、その有り難みを、改めて感じたりもしました。
その締め括りに、このような大試合が無事、行われることとなり、安堵と喜びが心に広がっています。


さて、いよいよ明日です!
四の五の言わず、しかと見ましょう(^^)



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明日、大晦日はおそらく、記事更新は出来ないと思います。
新年が明けてから、簡単に感想を書くことになるかと。

この拙いブログを見てくださっている皆様、今年もありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。



コメント (7)
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「モノ」の差を埋める覚悟か 膨大な才能と速さか 井岡、田中決戦二日前

2020-12-29 16:12:24 | 井岡一翔




関東ローカルではプレビュー番組も放送されているという、井岡一翔vs田中恒成戦ですが、関西では毎度お馴染み「せやねん」でも取り上げられていましたので、ご紹介。







試合前から、こういうテーマでいく、という感じの発言を意図して行う井岡一翔、今回は「モノが違う」「レベルが違う」という趣旨の発言で押しているようです。

しかし、スピードや機動力といった部分を主に、様々な能力を比較すれば「モノ」としてより上等なボクサーは、明らかに田中恒成の方です。
井岡一翔は「上」にいる田中恒成を、いかにして止め、その道行きを妨げ、力を削ぐか、という闘いを強いられるでしょう。

そして、当然本人もそのことはわかっているはずです。
田中恒成との間に厳然としてある「モノ」の差を、いかにして埋めるか。
そのために歴戦の経験を生かし、技術と覚悟をもって闘う。
その覚悟をそのまま言葉にしないのが、井岡一翔らしい、という感じですが、これは実のところ、相当に...という風に見えます。



対する田中恒成は、その膨大な才能を、自らが心底から認めてやれない葛藤を抱えて、ここまで闘ってきた人なのではないか、という風に見えます。
それを自他共に認めうるものにするため、必要な結果が、井岡一翔戦勝利であり、そこから繋がる「その先」なのでしょう。

少なくとも、その才能は、国内のスター対決がボクサーとしての頂点ではない、と言えるレベルのものです。
辰吉丈一郎攻略がキャリアの頂点だった薬師寺保栄とは、もう一段違うレベルで見なければならないボクサー。
それが田中恒成だと思っています。



試合予想は、専門誌などが大がかりな特集を組んでいまして、楽しく読ませてもらいました。
海外のブックメーカーでは田中恒成がやや優勢なのだそうです。

当日、双方のコンディションに左右されるのは当然で、コロナの影響によるブランク、井岡がサラス・トレーナーの指導を受けられなかったこと、田中が転級後の調整試合を行えず、初戦が世界戦になることなど、色々と不確定な要素があり、あれこれ語り出すと終わらない感じですが...。

私のざっくり予想(笑)は、田中恒成の勝利です。
サッカーの世界では、決定力は七難隠す、という表現をする批評家がいますが、ボクシングでも同様に言うとしたら、パンチ力は...と同等か、或いはそれ以上に、スピードは...という言い方も出来そうです。


しかし田中恒成は、過去の試合の中で、速いけど軽率、というときついですが、その速さを闘いの中において、勝利への最善に結び付けられていない、という印象を残してもいます。
その辺の揺らぎというか、不安定さが、井岡一翔という大物との試合で、いよいよ焦点が定まった、と言える闘いぶりに変わり、それを貫けるなら、田中の勝利はますます堅いと思います。

もちろん、井岡一翔がその技巧で...的確な左、ボディブローで肉迫し、田中恒成に苦闘を強いる展開も充分あり得るでしょうし、その末に勝利するのかもしれません。
こればかりは、当日のお楽しみ、ですね。
ただ、両者万全なら、やはり田中恒成に分があるのでは、と見ます。



今日は検診が行われたとのことですが、両者無事に、大晦日のリングに立って、その技量力量を存分に発揮してもらいたいですね。
あと二日。色々あった今年ですが、忘れ難い一戦で締め括ってくれることでしょう。楽しみです。



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動きは切れるが瞼は切れず 高山勝成「6回限定」ながら復活

2020-12-28 17:42:46 | 高山勝成




昨日のエディオンアリーナ、グリーンツダ興行の模様を、BoxingRaiseで見ましたので、簡単に感想。


今回の興行は、まず高山勝成について語らねばならないでしょう。
スタートからトップスピートで飛ばし、左右に身を翻して、ジャブ、ワンツー、左右ボディ、細かい連打を繰り出し、身体の角度をずらして打つ右ダイレクトのストレートも。
捨てるパンチと当てるパンチの配置をよく考えていて、相手の手を引き出して、次、また次、と手を打ち、ヒットを重ねて行く。
この日は6回ということもあってか、失速もほぼ見られず、小西伶弥にしたら、的を捉える機会をほとんど得られず、歯痒い展開のまま、試合が終わってしまった感じでしょう。


高山勝成の試合は、新人王トーナメントに出ていた頃から直に見ていて、確かに一打の威力には欠けるが、非常に高度な攻防一体のスタイルを作ろうとしている、その姿に感心させられたことを覚えています。
その後の波瀾万丈、破天荒なキャリアを待つまでもなく、このボクサーは、他より抜きん出て、深く己を知り、自分の型を追求する志を持っているのだ、と。

その若き高山勝成の姿が、記憶が、一気に甦ってくるような、そんな闘いぶりでした。
正直、今の高山勝成が、こんな風に闘えるとはまったく思っておらず、驚きました。
スピード抜群、攻防の組み立ても際立ち、不安だった瞼の傷も切れず。考え得る中で最高の内容。
確かに6回限定ではありますが、こういう内容を「復活」と言わず、何と言えばいいのか。

やはり高山勝成、只者ではない、ということなのでしょう。脱帽するのみ、です。



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グリーンツダのホープ、前田稔輝は大久保海都に2回TKO勝ちでした。

寝屋川石田ジムの大久保は、会長にも似た痩身、長身の技巧派で、懐を深く使って、目で外し、身体を反らしたままカウンターを当てる技もあり。
前田、立ち上がりからやりにくそうでしたが、徐々に圧力をかけていき、2回、ロープ際で、大久保が身体を寄せられるのを嫌って?打った右アッパーを外し、空いたところに、最短距離を通るコンパクトな左の一撃を決めました。

ここまでなら、他の選手でも出来ることかも知れませんが、怖いのは、この一撃が即、フィニッシュになってしまうパンチの切れ、威力です。
好スタートとは言えない序盤だったはずが、一発で全部ひっくり返してしまう。
決め手を持つ選手というものは、ホントに凄いものですが、それをあの締めた構えと、落ち着いた試合運びの上に備えられたんでは、相手にしたら大変でしょう。

延期になった試合が、なんとか年内に組まれて、ひとつ貴重なキャリアを積めたことも含め、前田稔輝の今後に、さらに期待です。
来年は、日本上位クラスと闘って、どこまで通じるか、というところに、話のレベルが上がって行くことでしょうね。



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グリーンツダの元王者、奥本貴之と矢田良太は、共に敗戦を喫しました。
試合スケジュールの変更を強いられた奥本、地元の試合が直前に会場変更となった矢田、ただでさえあれこれと大変なところに、新たな負担を上乗せするような話で、調整段階でも色々難しかったのだろうな、という印象の試合でした。

奥本は左の単発ヒットはありましたが、逆に古谷昭男の右を再三好打され、いつものサイドからの攻撃に持ち込めず。
矢田は昨年、永野や別府との試合で見せた劣勢スタートを、一発でひっくり返し...かける、という展開を作れぬまま、打ち込まれて敗れました。

共に歴戦の疲弊も見え、ダメージも相当あるだろう、と思います。
程度の差こそあれ、そういう試合ぶり...身体を賭して闘う、というような展開を、何度も見てきました。
ランクで言えば格下、タイトルホルダーでもない選手に喫した黒星は、痛く、重いもので、彼らのキャリアも、いよいよひとつの岐路にさしかかっているのかもしれません。



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ということで、一曲。
androp “Bell” です。








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高山、小西戦はBoxingRaiseで後日録画配信 京口、タノンサック密着番組がNHKで明日放送

2020-12-27 17:18:51 | 関西ボクシング




今日は府立体育館地下、エディオンアリーナ第二競技場にて、昼の部は新人王の西軍代表決定戦、夕刻からは高山勝成、小西伶弥戦などが行われます。
もうそろそろ試合開始でしょうか。
グリーンツダのクラッシュボクシング興行は、ご存じの通り、当初予定の枚方市立総合体育館で開催予定だったものが、変更になりました。


おそらく、最初の予定通りなら、前回同様YouTubeでライブ配信が見られたのかもしれませんが、急遽、BoxingRaiseでの録画配信に変更されました
残念なことではありますが、事情も事情ですし、何とか見られるのだから良しとしましょう。
またまた「入ってて良かったBoxingRaise」という感じでもあります(笑)。



また、先月、残念ながら中止となった京口紘人、タノンサック・シムシー戦についてのドキュメント番組が放送されるとのことです。
「再びリングに立つ日まで~新型コロナと闘った世界王者~」というタイトル。
放送予定は、レコーダの番組表などでは明日、22時50分から。そして元旦、17時30分から。
いずれもNHK総合です。

両陣営の試合前、または試合中止後?の姿を追ったものなのでしょうか。
いずれにせよ、前例の無いことが色々起こった今年を「記録」した映像になっているでしょう。
試合あれこれも良いですが、こういうものも、しっかりと見ておこう、と思っております。




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「追う者」に迷いなし 三代大訓、伊藤雅雪に殊勲の勝利

2020-12-26 20:55:57 | 関東ボクシング




ということで、先ほどまでYouTubeのライブ配信を楽しく見ておりました。
先日、大画面のTVを買い換えたこともあって、まあ画質は最高とはいかないのですが、それでも迫力満点の映像を楽しめました。
アンダーから良い試合が続きましたが、とりあえずメインの感想から。



伊藤雅雪は、技巧のカウンターパンチャーから、アメリカ仕様?の攻撃型ストレートパンチャーへと変貌をとげ、WBO王座奪取に繋げたように、自己分析の能力を持つ、知的な選手です。
しかし、今回、ライト級に上げるに際して、細かいところの狂いというか、微調整が間に合わなかった面があったのではないか。
それが今日の試合を見ての印象でした。

三代の左ジャブが「うるさい」ものだ、とは当然承知していたでしょうが、初回早々から、右の相打ちかと見えたタイミングで、全然間合いを合わせられず、彼だけが打たれた場面は、見ていて驚き、首を傾げてしまいました。
初回、2回と、三代を見下ろすように構え、先制されたら、主に右のショートで叩き、抑えにかかるという風でしたが、三代の見映えの良い左を再三もらい、ワンツーを捨ててジャブ気味の左を「スリー」に配置した三連打を決められ、緩急を生かした右ダイレクトなども来て、接近戦はクリンチで止められる。

伊藤も4回、6回は取ったように見え(2回は微妙?)、6回ラストなどは三代を打ち合いに巻き込むことに成功したか、と思ったのですが、7回以降から三代がジャブ中心の流れを組み立て直すと、微妙だったこの回の次から、ラスト3回を全て落とし(たように見え)ました。
判定は2-0でしたが、クリアに敗れた、という内容だったと思います。



対する三代大訓は、ライト級に上げたことで、過去の試合に散見されたいくつかの問題が、多少、或いはかなり?改善されていたように見えました。

締まって見えるガードのわりに、試合が進むに連れて良く打たれる(でも、あまり堪えないのですが)選手かと思っていましたが、今回は伊藤の強打に対し、従来の良いガードや細かい回避動作に、足捌きも加わって、思った以上に打たれる頻度が低かった、という印象でした。
その辺、全体的に巧い選手だが、意外に防御がぞんざいなところがある、という私の「三代像」から、私の試合前の予想は、三代が左の巧さを見せて先行するが、どこかで伊藤が捉えて倒すか、逆転して勝つ、というものでした。

加えて、体力面でもやや不足を感じていて、実際、過去の試合では中盤、終盤に失速し、攻防ともに精度が落ちる、という風にも見ていたのですが、ここが階級を上げた効果なのか。
確かに若干の「ぶれ」はあったものの、伊藤の反撃を食い止め、逆にラスト3回を優勢のまま闘い終えたのには、少なからず驚かされました。
伊藤が先行を許しても、終盤に取り返す余地があるだろう、と見ていたのに、実際には、完全にその逆のことが起こったのですから。
何しろ、三代は堂々たる勝利を飾りました。お見事でした。脱帽するしかありません。



伊藤雅雪は、コンディションの問題もあったかもしれませんが、追われる者の苦しみと、世界への再浮上というふたつのテーマの間で、ボクサーとしての心身に迷い、狂いが出ている状態だった、と言えるのではないでしょうか。
そこを、挑む立場の三代大訓が、心身ともに現状のベストでもって挑み、攻略した。
そんな試合だったように思います。

勝敗は時の運、といえばそれまででしょうが、ボクサーの運命が切り分けられる瞬間を、まざまざと見せつけられました。
そこには陳腐な表現ながら、ふたりのトップボクサーの運命が交差して生まれた、鮮烈なドラマがありました。
それを見られたことが、まず何より、ボクシングファンとしての喜びです。

そして、このような、互いに「賭ける」ものを持つ者同士の、優勝劣敗の掟の元に闘われる一戦が、多くの目に触れるようになれば...という願いが、さらにひとつ実現したことも、また。
その喜びの機会を与えてくれた、伊藤雅雪、三代大訓の両者に感謝し、拍手を送りたいと思います。



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ということで、一曲。
Journey “Don't Stop Believin'” です。








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伊藤雅雪vs三代大訓、明日激突!

2020-12-25 15:52:41 | 関東ボクシング



ということで明日、待望の伊藤雅雪vs三代大訓です。
当初の11月予定で挙行されていれば、見に行っていたはずの試合なのですが、翌日にどうしても外せない用があって、上京しての観戦も、刈谷の試合の観戦も、共に諦めた次第ですが、さいわいなことにYouTubeのライブ配信があるので、大いに楽しみたいと思います。


ということで、両者が意気込み、闘志を語った動画をご紹介。
まあ、当然皆さん、すでにご覧のことかと思いますが、一応。







俗に「煽り」動画、みたいな言い方もされるのでしょうが、そういう言葉はちょっとしっくり来ないかな、と。
両者の誇りと、存在意義を問われる闘いに臨む、研ぎ澄まされた心の有り様、その片鱗がほの見える、心震える動画です。
そして、その全てが、明日の試合、リングの上でさらけ出されることになる。
勝敗と共に、様々なものが問われる、必見の一戦です。


明日、会場に行ける方々が羨ましい限りですが、こちらも気合い入れて、心して見よう、と思っております(^^)
石井一太郎氏を始め、この興行に関わった関係者諸氏の、新たな道を切り開こうとする意志、そして行動力に、改めて敬意と感謝を送り、選手の皆さんの健闘を祈りつつ。



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ということで、一曲。
U2 “Where The Streets Have No Name” です。








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道が拓かれる幸いが全てに勝る 京口紘人、マッチルームと契約

2020-12-24 16:15:22 | 関東ボクシング





エディ・ハーン率いるマッチルームが、京口紘人と契約した、との報。驚きました。


所属選手の試合はDAZNで配信されているので、おそらく京口もそうなるのでしょう。
村田諒太や井上尚弥とは違い、日本のTV局にとり、京口の試合は高視聴率を見込めるものではない現実があり、それ故にこういう話にもなったのでしょうね。
本人がYouTuberとして活動し、知名度を上げ、自身のチャンネルで試合を配信をしようとしていた(コロナに阻まれましたが)ことなども、プロボクサーとして彼が様々な道を拓き、現状を打破するための努力だったのでしょう。
それが、こういう形で結実した、と言えるのかもしれません。


マッチルームやDAZNにしてみれば、WBSSを通じて直にその実力を見た井上尚弥を「獲得」出来れば何よりで、おそらく何らかのアプローチもあったはずです。
しかし、先のマロニー戦について、大橋秀行がさもトップランクが100万ドルの報酬を出したかのようなコメントをしていたものの、実際は日本のTV局がもたらす利益込みの話なのでしょうし、それを無視できるはずもありません。
そこで色々「調整」が必要な井上(ないしは村田)は、全てを独占し、月額料金の枠に押し込めたいDAZNにとり、難しい対象だったのでしょう。


DAZNは軽量級でもエルウィン・ソトやフリオ・セサール・マルチネス、ティト・アコスタに、Sフライの両巨頭などを抱えているし、最近になって配信する国の数が増えたこともあり、軽量級のマーケットにも、抜かりなく目配りをしているのでは、と思います。
仮に日本で、井上尚弥の試合がDAZNでしか見られない(或いはAmazonプライム、またはNETFLIXなど)となれば大ごとですし、実際そうなったら面白いだろうなあ、という気もしますが、このあたり、既得権益が鉄壁の防御を誇る我が国、そういうことは起こっていません。
で、そういうプロテクトから外れているが、実力のある選手を、となれば、思い当たる数人の中で、上位に位置するひとりが京口だったわけですね。


大晦日の結果待ちですが、今後、田中恒成にも同様のことが起こって欲しいと思ったりもします。
彼の場合、全国区のスターになれるか、という、その才能からすれば、地べたを這い回るような話が語られていますが、やはり地方ナショナリズムの壁といいますか、その地域性、所属ジムと地元TV局を筆頭にした様々な誼に縛られている面があります。
しかし今度勝てば4階級制覇でもあり、もうそろそろ「フリー」な状況を与えてほしい、もう「奉公」は済んだでしょう、と、傍目には思えてなりませんね。

他にも同様に、国際的な舞台で闘う機会を得られれば、と思う選手はいます。
問題は、そういう場に立つまでに、キャリアの一番良い時期を捧げて、その後に...というのでは遅い、というところですかね。
もっとも、あの内山高志のように、ついにその時が訪れなかった例の方が、圧倒的に多いのですが。


京口が今回の契約を経て、どのような形で活動していくものか、情報がないので何とも言えませんが、まずはタノンサック戦、そして大きな試合へと進むことになるのでしょう。
その過程で、シビアな状況、対戦相手との闘いに勝ち抜いていかねばならない。
これまでとは、判断基準が一段上がるわけです。

にもかかわらず、ちょっとやそっとのことでは、桁外れに巨額の報酬があるわけでもないでしょう。
軽量級のグローバル・スタンダード、その報酬の水準は、けっして高いものではありませんし。
これまでの、TVコンテンツとして評価を得られない状況に比べれば良い、という程度でしょう。


しかし、傍目からすれば、甘い話ではないが、新たに道を切り拓き、そこで「勝負」をする京口紘人の姿を見られることは、幸いの一語です。
そして、想像ですが京口紘人本人にとっても、ボクサーとしての本懐がそこにある、という気持ちなのではないでしょうか。


そして、彼の今後が、日本ボクシング界の今後を大きく変える可能性もある、とも思います。
井上や村田、井岡に田中と、置かれた状況は様々ながら、国内でそれぞれに価値を認められたが故に、身ひとつで動けない部分もある選手とはまた違った「普通」の選手が、開かれた世界に打って出て、そこで得られるものは何なのか。

そこに是非「好例」を残してもらえたら、と思います。
それが、何かと旧弊蔓延る日本のボクシング界を、さらに大きく変えるきっかけになるのではないのか、と。

京口紘人の今後に、大いに期待します。



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ということで、一曲。
BBHF “Torch” です。







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技巧派故の「甘さ」も敗因のひとつ 元王者ロドリゲス、痛恨の連敗

2020-12-23 17:59:49 | 海外ボクシング



日曜日のWOWOWオンデマンド、ライブ配信は当初、我らが?ノニト・ドネアとノルディ・ウーバーリのカードでしたが、いざ当日が来てみれば、両者ともにコロナ陽性で欠場。
代役同士が闘うという、これもこの先、過去として振り返るときが来たら「あの年はホンマ、えらいことがたびたびあったものや」と言うしかない事態でした。


井上尚弥に敗れて以降、あれこれと理不尽な目に遭って、この試合がやっと再起戦となるエマヌエル・ロドリゲスは、若くて元気で、少々ラフなレイマート・ガバリョ相手に、要所でジャブ、ワンツー、右カウンターを決める。
初回早々から右クロス、左ジャブを綺麗に決め、ガバリョのバランスを崩し、4回の右応酬(ロドリゲスは右カウンターを当て、カバリョは右肘を当てる)、10回の左ジャブカウンターなど、その巧さを印象づける場面が多々ありました。

しかし、ガバリョもその合間に、左ロングアッパーで脅かしたり(当たってはいませんが)、ボディ攻撃から上へのワンツーを決めたり、ロドリゲスの右アッパーに左フックをカウンターしたりと、苦しいながらも果敢さを失わず闘う中で、色々と「仕事」をしてもいた。
それも確かなように思いました。

見ていて、WOWOWの実況解説陣が、ロマチェンコ、ロペス戦ほどではないにせよ、映像で鮮明に捉えられるロドリゲスの巧さに目を引かれてしまう傾向にあるな、これは一見する以上に、直に見ると競っている...かもしれない、という印象でした。
とはいえ、正直、競った数字のスプリットでロドリゲス、くらいに落ち着くだろう、とも思っていて、逆が出たのは驚きでしたが。


判定自体も当然、論議を呼ぶものかもしれませんが、ロドリゲス自身にも「敗因」はあったかな、と見ます。
井上戦では、初回から詰めた位置取りで、白黒はっきりとした「勝負」に出た選手が、その反省というのか...あの試合をどう省みたのか、という答えが、試合ぶりに全部出ていたように思います。
良いの当てても、追い打ちにいかない判断は、序盤の内はまあ良いとしても、中盤や終盤も同様、というのは、またえらく極端に「振った」設定やなあ、と。
ところが、実際の判定は、上記したような、ガマリョの「仕事」の量を、より評価したラウンド毎の採点になって現れました。


試合の格や規模は違えど、これまであれこれと試合を見てきた中で、会場で、それもけっこう良い席で見た試合の印象が、TVで見た人のそれと、天と地ほどにかけ離れている、という経験を、何度かしたことがあります。
今回の試合がそうだったのかは、何とも言えない部分もありますが、ロドリゲスは、ジャッジが自分の思うとおりに、見るべきところを見てくれているだろう、という認識で闘っていたのでしょう。しかし。


以下、ちょっと極論しますが、ジャッジなぞは所詮他人です。
そして、他人のやることなすことが、全て自分の思うとおりになるわけではありません。
しかし、倒してしまえば、誰が何を言おうと、自分が勝者なのです。

ガバリョに技巧の質でははっきり差を付け、好機もあり、しかし彼を生き延びさせてしまったが故に、仕事量を伴った健闘を許してしまった。
厳しく言えば、ロドリゲスのその「甘さ」もまた、敗因のひとつだろう、と思います。



それにしても、WBCバンタム級王座は、暫定王座がやれ提訴だ再戦だとなれば、また、一つにまとまるまでに時間がかかってしまいそうですね。
井上尚弥のバンタム級「4団体統一」というのは、従来の連続防衛だのという内向きの話や、希少価値を失った三階級制覇とかいう話に比べると、まだ世界的にも広がりのある話ではあるので、出来ることなら達成してほしい、と思いもしますが、こうなってくると...。
本当に、何かと難しい話ばかりです。井上尚弥の力を持ってしても、こればかりは、という。



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ということで、一曲。
米津玄師「恋と病熱」。








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世界戦中止でも、好試合が見られた 久高寛之、大橋哲朗に判定勝ち

2020-12-21 17:27:52 | 関西ボクシング




ということで昨日は、府立地下での観戦はならず。
DAZNを見終えた頃には、試合が終わっていたでしょうか。
京口紘人、タノンサック戦が中止になり、メインに昇格した一戦は、久高寛之が大橋哲朗に判定勝ち。
見に行きたかったなあ、と思う好試合でした。


2回にダウンを奪った久高のスリーパンチは、ひとしきり攻めておいて、相手の返す手にカウンター、という見事な技。
かつては引いて狙う場面が多かった久高が、ベテランの域に入って得た「進境」のひとつ、でしょうか。
3、4回は右ストレートのリードをダブル、トリプル。身体寄せたら左フックリード。
久高が若手有望株の大橋に、歴戦の巧さを見せつけるような試合でした。

しかし、5回から大橋が奮起、左右ボディを織り込んだ連打で逆襲。
6回は両者ボディ攻撃の応酬のあと、大橋の左ストレートが上下に飛び、久高が止まる場面も。

7回も大橋が出るが、久高も右ストレート、左フックの連打、もう「ラッシュ」という勢いで攻める。
最終回も激しい展開が続き、大橋が右アッパーを端緒にラッシュ、左で久高のガードを破る。
久高も負けじと打ち返し、場内拍手の中ゴング。
満員の会場でないのが惜しい、としか言いようのない熱戦でした。



久高にとっては、この試合が決まった時点で、中川健太と福永亮次のどちらに挑むにせよ相手はサウスポー、という状況を踏まえての相手選びだったのかもしれませんが、大橋の健闘は、そんな枠に収まらないものでした。
大橋は高山涼深戦に続く敗戦でしたが、結果はともかく、ある意味「再起成る」という試合内容だった、とさえ。

本当に、両者に拍手を送りたい試合で、それがYouTubeの配信により、ライブで全国のボクシングファンの目に触れたことも含め、何か見ていて、嬉しい気持ちになりました。
優勝劣敗がひとまず、しかし明確に切り分けられる様を見て、それでも清々しい気持ちになれるのも、こういう「良いカード」が組まれてこそであり、そして、それがより広く、多くに見られてこそだ、と改めて思った次第です。



YouTubeのアーカイブです。未見の方のため、ご紹介。






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ということで、一曲。
Orchestral Manoeuvres In The Dark “If You Leave ” です。








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初手から詰めて立てる「異様」 カネロ、驚異の馬力と圧力で圧勝

2020-12-20 16:49:21 | 海外ボクシング



ということで、昨日はDAZNとYouTube、今日は連日のDAZNに加え、WOWOWオンデマンドと、ライブ配信特盛な週末でした。
とりあえずカネロ、スミス戦から感想を。


試合前のリングアナウンス、スタジオ収録済み?のマイケル・バッファのと、現場のブルーザー・ブロディみたいな髪型の人のが、両方とも流れる。
何かの手違いでしょうか。妙な感じでした。

まあそれはおいといて初回早々から、長身カラム・スミスの左足のすぐ前に、カネロ・アルバレスが左足を置く「布陣」でスタート。
いや、これはいかんがな、と心中ツッコミが出ました。
こんなところが「スタート地点」で、そこから踏み込まれたんでは、身長、リーチ差の意味が無い。
それに、この位置取りを許し、下から攻め上げられ、重心が上がってしまっては、スミスの強打とて、威力半減を免れない。

案の定、こういう構図を作られてしまったから、なのか、それとも...なのか、スミスは最初から腰高で、なおかつ肝心の足取りが重い。
そこに、カネロが圧力かけて左ジャブを突き、フックで叩き、出てくる。

スミスは狭いスタンスで後退する、一昔前の古臭いヨーロピアン・スタイルのアウトボクサーのよう。
その格好のまま、ロープ際に追いやられ、そこにカネロが打ち込む。
クリーンヒット、強打とは言い切れないものも多いが、カネロ優勢という「絵」になってしまう。


3回までほぼこの流れ。
4回、スミスがさすがに奮起、少し広いスタンスを取り、踏ん張って打つ構えに。
しかしカネロはこの辺、勘所を押さえるのに長けている。引き続き、スミスにロープを背負わせる場面を作る。
カネロは攻めながら目で外す勘もあり、単にジャブやワンツーだけでは止められない。

5回、スミスは、今時のボクサータイプなら当然、「装備」しているはずの、ボディへの左ジャブや、左右アッパーを繰り出していく。
これが奏功し、この回はスミスが取る。
6回、カネロは即座に右で叩きにかかるが、スミスも右アッパー、左フック、右ストレートを上下に散らす組み合わせで反撃。

7回もスミス奮戦。大半のパンチをブロックされていたカネロだが、逆にボディやアッパーを織り込んだ連打で逆襲。
攻めるとき、スミスにロープを背負わせるあたりが、抜かりなく巧い。この回「印象点」もあり、カネロ。


そして8回、思えばここが最初の「勝負」どころだったか。
両者ヒットの応酬、スミスの右アッパー、右クロスも入るが、カネロがより力感のある攻めを見せる。

9回、カネロが抜け出す。右ロングを外から、右アッパーを内にダブルで、左フック返し。
スミスも右クロス、スリーパンチ返すが、カネロの右でロープによろめく。
強いヒットではないが、ダメージでなく圧力に負け、再三ロープに追われる。

カネロもきつそうだが、試合展開の「構図」を崩すまいと、必死に出る。
その成果というか、完全にスミスを打ち合いに巻き込み、突き放してどうとかいう話は、どこかに飛んでいってしまいました。


10回、場内はカネロのストップ勝ちを期待する雰囲気。
しかしスミス、まだ粘る力が残ってはいる。カネロが右フックから右アッパーへ繋ぐ攻撃で抑えるが、こちらもきつそう。
ラスト二つ、スミスの反撃は散発的で、もう力感がない。カネロが抑えて終了。


さうぽん採点は117-111カネロ。スミスに甘いか。
公式採点や、DAZN解説者の採点はもっと開いていたようでした。



感想としては、最初からあんなに踏み込まれてしまうとは...というに尽きます。
勝手なイメージの中のカラム・スミスは、もっと身体に力があり、広いスタンスで構え、長くて鋭い強打で、カネロ・アルバレスを迎え撃つはずでした。
その迎撃を、カネロがいかにしてかいくぐり、攻める流れに持ち込めるのか、と思っていたら...ええ?何で?というスタートでした。

それはカネロの馬力、圧力が物凄く、スミスを脅かしていたから、なのでしょう。
また、あれだけ積極的に出る展開ながら、防御勘や技術のレベルが極めて高く「防御率」が優れているカネロならでは、この展開構築が成せたのだし、その意図のとおりに押し切れたのでしょう。

カネロの才能、技術、そして闘い方の巧さは、世界最高峰のそれだと、改めて広く認められることでしょうし、納得もします。
かつてはフロイド・メイウェザーに完封されたこともありましたが、それこそ「今」のカネロなら、あの日のメイウェザーとどう対するか見てみたい、と思うくらいです。


しかし、今日の試合展開、その端緒と顛末をつぶさに見て、これもまた、改めて疑問に思うこともあります。
きついはずの試合終盤になってもペースはあまり落ちず、あまつさえ、インターバルの間、椅子に座らずコーナー近辺をのそのそと歩き回る様子を見ていると、単に感嘆するには留まらない、異様なものを感じもします。いったいどうなっているんだ、と。

元々ウェルターで始まった選手が、曲がりなりにもライトヘビーまでタイトルを獲り、またスーパーミドルに戻り、抜群の体格を誇る相手を、序盤から圧倒して押し切ってしまう。
そんな選手、おそらく誰も見たことがないし、フィジカルトレーニングの進化、という説明でも、納得は出来そうにありません。

もっとも、上記のとおり、ただ「それだけ」では、成し遂げられない仕業でもあり、その部分においては、事実として「偉大」なボクサーでもある。
カネロ・アルバレスは、様々な面で、未曾有のボクサー(の、ひとり)なのかもしれませんね。



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ということで、一曲。
PANTA&HAL 「ルイーズ」。








コメント (2)
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