さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

次も米国で?/思わぬ形で三戦目/独自路線、順調/こちらも順調に勝つ/登竜門

2017-03-30 12:29:48 | 話題あれこれ




ということで、あれこれ試合決定の合間を縫って話題あれこれ。


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シーサケット・ソールンビサイ、凱旋
代替わりした国王ではなく、首相を表敬訪問。一躍国家的ヒーローに、とのこと。

試合内容は、採点の是非はさておき、大舞台で自分の力を出し切った、といえるものでした。
やることはけっこう荒い、きつい、えぐい、と思うところもあったりしますが。

次は再戦という情勢のようですが、米国で活動していく意向のようだ、とのこと。
契約関係や再戦条項やらが絡んだ話かもしれませんが、それでも感心せざるを得ません。

仮に、日本の選手が同じことやったら、次はどうでも日本で、という一心で、
それこそ選手本人の得べかりし利益を削ってまで、あれこれ無理をすることでしょう。
もちろん、一部に例外がないこともないでしょうが。

あのナショナリズムというのを通り越した、様々な壁、異様にぐるり取り囲まれた...
と常日頃見て、時に見下げてもいたタイから、こんな選手が(突発的にせよ)出たというのに、
翻って我が国のボクシング界は...相も変わらず以下略、ですね。


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さて、今年一発目の会場生観戦は、あれこれとあって4月にずれ込んでしまいます。

2日の府立地下は、拳四朗vs久田哲也の京阪ダービー!
盛り上がっていくで~!と思っていたら、つい先日、拳四朗が王座返上。
ぎりぎりまで引きつけての一打で、驚くやら悲しいやら。

ことの是非はまあ、今後の推移を見るしかないですが、その代わりにというか、
当然、久田はチャンピオンカーニバルの一環における、空位決定戦に出場。
で、相手は誰かと思えば、なんと堀川謙一が名乗りを上げました

もちろん、傍目に思うほど単純な話ではないでしょうが、
過去二度、堀川に敗れ、日本王座挑戦への道を断たれている久田にしてみれば、
拳四朗挑戦が流れた空白を埋めるに余りある、宿敵との対決ではないでしょうか。

ファンとしては、思わぬ形で実現した三度目の対戦。
片方が二勝している以上、本来なら、滅多にありえない対決です。
これは何とか、会場に行かねばならんと思っております。
日程的にはそうとう厳しいですが、それでもなんとか...と。

どうでもいいけど、これまた京都、大阪の対決ですね。
最近は京都勢の健闘が目立ちますが、その一環ですね、これも。


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BoxingRaiseの動画配信において、関西バンタム級の若手ホープふたりの試合が見られました。

一人目はWBCユース王者、痩身、長身、美男のボクサータイプ、丸田陽七太
インドネシアのハムソン・タイガー・ラマンダウを6回にKO。
デビュー5連勝、4つめのKOを決めました。

初回から、長くて強い丸田のジャブが目につく。これが上にも、ボディにも突き刺さる。
続いて右のストレートが来て、小柄なラマンダウは遠い位置に貼り付け。

しかし2回、闘志を見せるラマンダウ、強引に左右を強振して攻め込んでくる。
数発ヒットを取り、さらに追撃。
丸田は少し打たれたのち、思い直したかのように距離を取る。

ラマンダウも散発的に攻めるが、丸田はジャブで突き放し、右。
左ボディーフック、左右アッパーをびしびし決め、距離はジャブで維持。
着実に攻めていく。3回以降はワンサイド。

6回、鼻血も痛々しいながら、頑張っていたラマンダウだが、
ジャブから右、左ボディー、最後にまた右を食い、さすがに戦意喪失、ダウン。
そのままKOとなりました。


デビュー戦の世界ランカー相手がどう、ユース王座がどう、という括りを抜きにして、
ここまで見てきた感想では、新人王戦に出ない、世に言う「独自路線」の選手としては
考え得る中で、割と厳しい部類の対戦相手を選択しているな、と見えます。

バンタムとしては図抜けた長身とリーチを持ち、それを存分に生かした、
ストレートパンチ中心のボクシングのみならず、遠くからボディも打てるし、
インファイトになっても、よりインサイドから打てるので、至近距離に長居しない限りは打ち負けない。

デビュー5戦の時点で、全日本新人王を獲得し、上位に勝ち残った選手と同等か、それ以上か、
その時々の比較対象にもよりましょうが、そのあたりの実力は、充分示している、と言えそうです。


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そしてもう一人、BoxingRaiseの動画配信で見たのが、一昨年の全日本新人王決勝で、
サウスポー武田航に敗れたのち、連勝を続けている姫路木下のボクサーファイター、清瀬天太です。

こちらは真正ジムの東泰誠と対戦。7勝9敗1分と、負け越しレコードですが、
戦績以上に良い選手で、きびきびした動きと連打が持ち味のサウスポー。

初回から清瀬が良い踏み込みで、右ストレートからリード。
この回終了直前、右を決めて追撃。

東は正対して連打で対抗するが、清瀬は左も多彩に繰り出す。
左フック、アッパー、ボディ打ちも出て、東はサイドに出られない。
東は左アッパーを返すが、コンビネーションに繋げられず。

清瀬は4回から左ボディーから右を返す攻撃。
5回、優勢ののち、6回に連打で攻めたところで、レフェリーが止めました。


こちらも武田戦後は5連勝。新人王西軍代表決定戦で、名古屋のホープ水野卓哉を
僅差で下した星が光りますが、その後も着実に伸びていると見ます。
派手さはないが安定していて、攻撃も多彩さが見え、パンチ力がついてきたようにも。


さて、丸田と清瀬の両者は、独自路線と新人王戦経由という、違う路線でデビューしてきましたが、
この辺で一度、若手同士の好カードとして、対戦を見てみたいなぁ、と思ったりもします。

たまたま近い日程で試合があり、動画配信を続けて見たから、というだけではなく、
順調にキャリアを重ねている途上、しかし日本や東洋や、というタイトルにはまだ少し遠い、
位置づけとしては似通っているような気もします。良い組み合わせじゃないかなぁと。


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で、何故そんなことを思うかという、もう一つの理由がこの記事です。
日本ユース、初代王座決定トーナメント開催、とのこと。

最近、WBOアジアや、WBAも新しいの作るやの、日本国内でもユースやのと
あれこれ新規のタイトル設立が話題になっています。
ご多分に漏れず私も「何ソレ」と思っていたのですが、この発表されたカードを見て
「アレ、意外と...」と思ってしまいました。

いろいろな「余計」を取っ払って見れば、出場選手やカード自体は、けっこう目を引くというか。
新人王や、その上位進出者、素質や実力故にマッチメイクに苦労しそうな?
地方のジムの若手選手なんかが名を連ねている。
これらの若手同士が、直接対戦する場としての「日本ユース」タイトルには、
それなりに存在意義があったりするのかも知れないな、と。

もちろん「日本」と称するタイトルを、安易に増やすのはどうかと思います。
かつてのA級、ないしはB級トーナメントのようなもの、
つまり「ユース・トーナメント」として、若手選手同士の好カードが実現すれば、
それが一番良いのかもしれません。

しかしあのような大会も、様々な事情があってか、今は「最強後楽園」として残るものの、
残念ながら規模としては縮小の一途です。
承服しがたいものはあるものの、若手選手の出場資格などが明確になり、
より公正に、開かれた大会になりうるのであれば、タイトル新設、その運営も、
ひとつの方法としては、あっていいのではないか、と。

ファンの要望としては、ユースのランキングを作るのか、そうでないなら従来の日本ランキングから、
選びうる最上位の挑戦者との対戦を常に義務づける、くらいの縛りが欲しいところです。
現実味のある話で無いことは承知ですが。


さて、出場選手の顔ぶれですが、知っている限りでも、目を引く名前が多いですね。
ユーリ阿久井など、試合枯れが他人事ながら心配だったのですが、来月16日、
地元岡山での自主興行のあと、こうした試合に出られるのは、素晴らしいことですね。

バンタムの武田航も、先日再起した試合をG+で見ましたが、闘志を全面に出す風に変わっていました。
ここに上記の丸田、清瀬らが絡んできたら、好カードになると思います。

Sバンタムは水野卓哉に注目ですね。攻撃には上位を狙えるだけの威力が、すでにあります。

他にもあれこれありますが、Sライトでは、広島にいた池田竜司が、昨年の全日本新人王、吉開と対戦。
共に全日本新人王で輝いた選手同士です。


こういうカードが次々と実現するなら、改めて、タイトル認可でなくトーナメント大会が良いとは思いますが、
日本ユースにも、一定以上の存在意義があるかもしれない、と思います。

例えば、スーパーフライ級の若き強打者、梶颯なんかも、帝拳という大手ジムにありながら、
その強さ故、マッチメイクに困っているのか、最新の試合は、何とも表現しようのないタイ人が相手でした。
ああいう選手のキャリア構築を助けるための機能として、ユースの試合、という発想は、
それなりに意味があるのではないか、と。

実際に見てみると、色々問題も出てくるはずですが、それでも今回の記事を見て、
単純に「面白そう」と思ったのも確かです。
良い形で運営され、好カードが恒常的に実現されるように期待します。

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一分の隙も緩みもない「自己ベスト」に期待 田中恒成、強打アコスタと初防衛戦

2017-03-29 16:22:32 | 中部ボクシング



ということで、4月から5月にかけて、年末世界戦ラッシュの余波からくる
世界戦の日程集中傾向が顕著になっている、日本ボクシング界ですが、
4月の大阪ダブルに続き、5月にもとんでもない事態が起こるらしい...と
話題になっている中、中部の星、田中恒成の防衛戦が決まりました


相手はプエルトリコ期待の新星、16戦16勝16KOのアンヘル・アコスタ。
当時世界1位のウトニを最終回TKOに下した試合のハイライトは、
以前動画を貼りましたが、それに加え、フルラウンドの試合やら、
相手の名前が記載されていない短い動画やら、ちょこちょこ見ておりまして、
正式に試合が決まれば、紹介しようと思っておりました。
そんなことで以下、簡単に見た感想を。


2015年3月14日、プエルトリコのカグアスで、アルマンド・ベラスケスバスケスと8回戦。
紺のトランクスがアコスタ。赤のベルトラインに緑地がバスケス。
フルラウンドの動画です。ありがたや。





初回、左突くアコスタ。しかし小柄なバスケス、右から左の返しを決めぐらつかせる。
アコスタ乱れ、露骨にワイドオープンになる場面もあるが、早々に回復。
右アッパーから左フックのパターンで挽回。3回、右決めて攻勢。

4回くらいから、距離を取って突き放す。この展開で攻め、または迎え打ち。
バスケスも粘るが、7回、左ダブルから右アッパー、右ショートで攻め、
最後は右アッパーから左フックで倒す。タフそうな相手をきっちり詰め、仕留めた。



続いて、以前も貼った動画ですが、今年2月11日、サンファンでの試合。
当時WBO1位のジャフェ・ウトニを10回TKOした試合のハイライト。





これだけでは、試合展開がどうとは言えませんが、見た範囲では、
果敢に打ってくる、自分より長身の相手をボディ攻撃で崩し、
打ち合いに持ち込んで、最後に仕留めた、という風です。


これ以外の動画もちょこちょことあります。
まずはハイライト。練習風景や、試合の様子。
4回戦の映像のようですが、最初のはひょっとするとデビュー戦?





バット使ってバッグ打ってますね。昔はこんな練習も散見したものですが。
この辺は野球王国プエルトリコならでは?


続いて対戦相手不明の動画。
動画アップの日時から推測すると、2016年4月23日のエリクソン・マーテル戦でしょうか。




サウスポーの相手が右振って来たところに、見事なタイミングで左カウンター。
怖いのはもう一発、追撃して効かせ、倒しているところですね。
相手の体勢が崩れたところを、間を置かず即座に打てる選手って、そうそういるものではないです。



対戦相手記載無しの動画、もひとつ。
これは2016年11月12日のルイス・セハ戦でしょうか?




最後は左アッパー気味(に見える)のパンチ一発です。
カメラの角度のせいでわかりにくいですが。
「現世に甦ったウィルフレド・ゴメス」との惹句は、この場面を見ると、
ちょっと説得力があるような気もしてきました。


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ということで、まず攻撃面から、ですが。
まず、全てのパンチが、身体の回転を効かせた強打になっている。
この前提がある上に、センスの良さが光っていて、攻撃面ではどこを見ても脅威だらけ。

左ジャブは普通に数が出る。
左フックはダブルが速く強い。好機にはさらに出る。
そして、無理な姿勢で突っ込んできた相手には、非常に敏捷に、
正確に、カウンターを決められる。

右は外からフックを叩き、インサイドには鋭いショートストレートを決める。
どちらも威力、角度とも抜群。
アッパーカットは攻め込み、迎え打ち、両方を兼備している。

これだけ揃った上に、好機の連打、詰めが鋭く、強い。
立ち位置を左右に変えながら、相手のガードの上を叩き、外から巻き、内を鋭く射貫く。
これが自然に出来ている。なるほど「ゴメス」風です。
これは巧さ以上に「天性」だと見えます。


続いて防御ですが、こちらは勘の良さが見えるかと思えば、穴もあり、という印象。

ガードは左右の設定が多少違う。
左は高低ともに、ヒジの角度を決めずに、ゆったりとした構え。
右は高低ともに、ヒジの角度を決めている。打つぞ、という威嚇の意図が見える。

しかし、このガードは展開によっては両方とも下がる場面もある。
優勢の時はいいが、劣勢のとき、膠着のときはどうなのか。
この辺はベラスケス戦以外に、資料となる映像が無いので、判断に困る。

あと、試合展開によって、防御への集中力が目に見えて違う。
良いときは目の良さが冴えるが、悪い展開のときは、打ち返そうと焦るせいか、
露骨にワイドオープンになって、見ている方が驚くくらい。

上体が立ったまま相手の距離にいて、相手のパンチをガードで防がなければならない場面で、
ケアレスミスとでもいうか、ガードが雑なせいで好打されている(バスケス戦、初回)。
また、接近戦で止まると、ガードを絞ってそのまま。少々稚拙、とさえ。



ということで総合的に見ると、若さと勢い、天性の攻撃力と勘を持つ強敵です。
防御面では欠点も見えましたが、それが映像で確認出来たのは2年前の試合であり、
この若さであれば、大幅に改善されているかもしれません。
その後の試合ぶりは、ハイライト映像ばかりなので、悪いところはほとんど出ていませんから、
実際どうかは何とも言えませんが...。

田中恒成からすれば、まずはあの強打を、とりわけボディ攻撃を外すことが肝心でしょう。
上のパンチは、しっかり動いて、いきなり食うようなことはない(もしあれば大変です)としても、
やはりウトニ戦などは、ボディで止め、力を削ぎ、打ち込んで倒す、という流れが見えました。
この流れに巻き込まれたら、そこからは力勝負です。良い展開とは到底言えません。

昨年末のフェンテス戦でも、ほぼ完勝のなか、2回の前半のみですが、
相手に攻め込まれる時間帯がありました。
あのような展開を許したら、攻め口の鋭さではフェンテス以上のアコスタが好打し、
それをきっかけに攻め込んでくるだろう、と思います。


田中恒成には、そうした隙、緩み一切なく、ミスが許されない一戦であることを前提に、
心身共にベストのコンディションを作って欲しいですね。
ことに防御面において、過去の試合の全てを越えた「自己ベスト」のものを期待したいと思います。
心配なのは、転級してなお囁かれている減量苦ですが...。

また、相手との相性やスタイルからすると、KOは狙わずに闘った方が良いのかも、と。
そういう方針で闘って、結果がそうなる場合もあれば幸い、というくらいで良い、とも。


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それにしても、改めて、初防衛戦から、なかなか燃える相手との対戦になったものです。

もちろん、王座決定戦で勝ったのだから、その次が最上位との対戦になるのは当然なれど、
その当然すら実現しない事例が散見される現状、すんなりその通りに話が進み、
しかも相手がこんな選手です。
田中恒成に対するファンの期待、仮託したい思いが燃え上がる、そんな試合になるでしょう。

また、本人が語る、統一戦や将来の展望はなかなか強気で、なおかつボクシングファンの思いにも
真っ正面から応えるものでもあります。
現実に、国内の統一戦が実現するとも思えない現状において、考え得る中で最強の相手と闘う
この一戦の内容と結果を受けて、その先にどんな未来が、情景が見えるのでしょうか。

田中恒成の未来は、井上尚弥とそれと並び、日本ボクシング界の未来そのものでもあります。
その先に、彼自身が持つ、才能への自信と誇りに相応しいものが見出せるように、
この強敵に対する、田中恒成の勝利を、ファンとして切に願います。


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しかし、冒頭にも書いたとおり、またしても壮絶なる日程バッティングが起こるのやも?という話ですね。
またしても関西では(関東も?)放送がないらしく、中部ローカルというかオンリーというか、
本当に、アタマを掻きむしりたくなるような事態になっておる上に、
「ほなら、久々に名古屋乗り込んだろか!」と思ったら、他の大試合と丸被り?という。

もはや「度し難い」という他ないレベルの「てんでばらばら」「好き勝手」ですが...
本当に、ボクシング業界の皆様、ことにプロモーターライセンスをお持ちで、
大試合を興行することの多い方々には、ファンの都合に影響する事案について、
もうちょっと横のつながりといいますか、何か話し合う機会を持っていただけないものですかね。

こんだけ携帯やスマホやなにやらで、SNSやLINEやとコミュニケーションツールも山ほどある中、
未だに黒電話使うてはるんですか、と訊きたいくらい、肝心な話がバラバラに進み過ぎです。

まあ、そういう「ファン」よりも、他に重きを置く対象がおありで、
結局はそっちの方だけを向いてはるんやろうなぁ、とは容易に想像がつきますが...。



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「英国シリーズ」終了、ここからが大勝負 リナレス、クロラを返り討ち

2017-03-26 16:02:35 | 海外ボクシング



ということで今日は、早朝からWOWOWオンデマンドを見ておりました。


そもそも前回の試合内容にしてからが、何もどうでも再戦せな済まん、とは思えませんでした。

クリアに中差で勝ちか、という内容で、けっこう競った採点が出る。
レフェリングの細かいとこ含め、やっぱり英国の「いかがなもんか」な部分が見えた印象で、
即再戦というのも、ボクシング業界の好景気から来る、英国ならではの力業、無理押しやなと。
もっとも、日本のボクシングファンに、それを言う資格があるかどうかは別ですが。


そういうことで組まれたホルヘ・リナレスとアンソニー・クロラ再戦ですが、
前回以上に大きな差を付けて勝ったリナレス、その好調ぶりは見事なものでした。

初回、のそのそ前に出るのかと思ったクロラが、足からリズムを取って動く。
両者ジャブの応酬、探り合い。クロラも良いが、リナレスはジャブが速い。

しかし、2回からリナレスが走り始める。ジャブ上下、スリーパンチ、右クロスも。
いずれも速く鋭く、ヒットしなくても「脅かし」効果あり。

4回、クロラが左ボディを決め、リナレス一瞬止まるがジャブ返す。
左右アッパーをボディに、または上に。
6回、クロラは右振ってロープ際に追うが、リナレスはダックしてサイドへ、簡単に脱出。
リナレスのヒットが続き、クロラの左目尻から出血。

7回、ロープを背負った位置からリナレスの左アッパー。クロラの顔面をかすめるようにヒット。
角度やタイミングが、リカルド・ロペスがビラモアを倒したアッパーにそっくり。
クロラにとり、想定外の距離から来た、見えなかった一撃だったか。
さすがに堪えられず、ダウン。立ったが、リナレスの狙い撃ちに遭う。

8回、クロラが出るが、リナレス右アッパー3発、左も。
9回、クロラの右クロスが入るが、リナレスが返した右がテンプルに。クロラの足が見るからにぎくしゃく。
これで試合の形勢は「逆転不可能」なものになった、と見えました。

ラストみっつ、クロラの粘りは驚異的ながら、リナレスが問題なく捌いて終了。
前回以上の差がついて、公式採点も大差。私もラウンド数で言えば10対2、ないしは11対1と見ました。


試合前は、冒頭に書いたとおり、前回があの内容であの数字ということは、
もう少し内容が接近しただけで、悪い結果が出る可能性もあるのかな、と嫌な予感もあったんですが、
終わってみれば最初から最後まで、リナレスは文字通りクロラを寄せ付けない快調さでした。
余計な心配をほぼ完全に吹き飛ばし、英国リングで三連勝を決めました。


次は強敵マイキー・ガルシアとの対戦が噂になっていますが、リナレスにとっては、
米大陸のリングで、スター選手となれるか否かの大勝負です。

昔ほどの格差はないにせよ、英国、ないしは欧州の相手に勝つことは、
米大陸の強豪と闘う前段階での「試金石」に過ぎない場合も多い。
それが未だに、多くの場合の現実だと思います。

ライト級は現状、ロバート・イースターとマイキー・ガルシアが強く、
リナレスはリングマガジンベルト保持者としての価値を、彼らとの闘いで証さねばならない立場でしょう。

その意味からしても、クロラ相手にもつれるような試合をしていては、
仮に勝って返り討ちにしても、まだ不安あり、不足ありだったでしょうが、
今回の試合内容は、考え得る限り、これ以上ない、という線引きにかなり迫ったといえるものでした。

何しろ終始速く、鋭く、正確で、隙らしいものがほとんど見えなかった。
速いもの鋭いのも、過去の良いときはそうだったに過ぎない、と言えば言えますが、
それに加えて、あらゆる局面において、強度が高く、試合運びも冷静で、判断に迷いが見えませんでした。

この日の出来なら、マイキー相手でも充分やれる、と見ます。
徹底的に速さを打ち出し、好機における攻撃の威力を上乗せ出来れば、勝機もあるでしょう。

試合後の顔も綺麗で、表情も充実感に溢れていました。
「英国シリーズ」はこれで終了。
次はおそらく、かつて痛烈な敗北を喫した米国リングで、頂点の座を賭けての「再挑戦」となります。
南米生まれ、日本デビューの天才、ホルヘ・リナレスにとり、大勝負のときがやってきます。
その時を楽しみに待ちたいと思います。


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今日の配信については、WOWOWのHPでは午前4時からとありましたが、前座がどのくらいあるのかどうか、
過去の英国からの生中継だと、メインは早くても6時か、普通なら7時か、というところ。

ただ、一度だけ、想定以上に早くメインが始まり、ライブ配信ではなくなってしまった事例があり、
そのために早い時間からの配信になっている。
それはわかっていて、まあ4時に起きることもないかと思ってはいても、
一応早寝して、4時頃に起きてはみました。

結果、前座は二試合目のミドル級がけっこう面白かったですが、他はまあ普通か。
もっとも、英国の国内レベルを日本のそれと比較したら、なかなかのレベルやなー、とは思いましたが。

たまにはこういう、普段見ることのない他国のナショナルタイトルや、地域タイトルの試合も面白くはあります。
ただ、やっぱり眠くなってしまい、セミの試合はほとんど実況解説の声だけを聴いているような有様でした。
上手いことメインの前くらいに目が覚めましたが...。

朝早くから実況解説の方々も、お疲れだったことでありましょう。
高柳さんは途中、しきりに我々視聴者への気遣いがにじむコメントをしてはりました。
と同時に、前座長ぇなー、判定ばっかかよ、という思いも言葉の端々に...(^^;)


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勝負は無情、されど思いも情けもあり 船井龍一、中川健太をKO

2017-03-22 22:38:16 | 関東ボクシング


今日はBoxingRaiseのライブ配信で、日本スーパーフライ級タイトルマッチを観戦しました。

試合前からあれこれと話題になっていた「親友対決」は、
酷薄無情に優勝劣敗が切り分けられるボクシングならではの、強烈な結末を迎えました。


試合は初回、2回と探り合い。
サウスポー中川が左に動いて(動かされて?)いる分、船井が右リードで入れる。
船井は左回りが基本、中川の左が遠い。

3回終盤、中川が右フックヒット、連打。
4回早々、左二発。最初まっすぐ、次スイングと打ち分け。

距離やテンポに少しでも間が生まれると、鋭い強打が出る中川。
高いKO率もなるほど、と納得。

しかしキャリアの中身で上回る船井は、即座に右から当て返し、徐々にペース掌握。
距離を詰めてボディから攻める。中川も返すが、距離が詰まると船井が優勢。

6回、船井が出て、ロープに押し込んで攻める。右をボディに決め、上に返す。
中川後退、よろめく。
7回、今度は中川が出て左。船井、少し右に追われるのが気になったが、反撃。
右ショート、左ボディ、接近して押す。ラウンド終盤、右連発、最後右ストレート。
中川倒れ、カウント中にタオル投入。TKOで船井の勝利でした。



強打のサウスポー中川健太の試合は、これまで見たことがなかったのですが、
長身、痩身、白面の左強打者、ブランクを経て再起、連続KOで駆け上がり王座へ、
という概略だけでも、充分に魅力的、興味津々でした。どんな凄い選手なんだろうと。

対する船井龍一は、無冠ながら充分に有名選手で、ロリー松下に完敗、石田匠に惜敗の後、
3度目のタイトル挑戦。その実力は充分知っていて、無冠の帝王、というと大仰かもですが、
タイトルのひとつくらい持っていて、何の不思議も無い。

ただ、三度目の正直で迎える相手が高校時代からの友人で、互いのボクサー人生にも
大きな影響を与え合った者同士の試合。
単に「話題」として軽く扱うには、あまりにも劇的でした。

もっとも、それを言えばこの世にある全てのボクシングの試合とて、
縁もゆかりも無い者同士が切り結ぶ「運命の劇」なのでしょうが...。



試合後、両者は健闘を称え合い、船井は中川に、ジムの指導者に、後援者に対し、
できる限りの名前を列挙し、丁寧に感謝の意を述べ、今後への豊富を語っていました。


「試合が決まるまでは(中川とは)本当にやりたくなかった」
「これまで指導してくださった指導者の方々に感謝します」
「自分がここまで来れたのは、期待して応援してくださる皆様のおかげで...」


ボクシングとは酷薄無情の闘いなれど、
当然ながら人の成すこと、そこにはやはり、尽くせぬ思いも情けもある。

船井は「試合の30分だけは、思い切り殴ります」と言ってリングに上がったそうですが、
試合が終われば、様々な思いを、情けを身にまとって生きる、人の姿が、そこにありました。


その実力からすれば、遅かった戴冠かも知れませんが、ボクシングファンとして、
多大な祝福に値する、新チャンピオン誕生を見ることが出来た喜びがあります。
良いものを見ました。今後の健闘にも期待したいですね。


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王者の衰えか、挑戦者の質ゆえか ゴロフキン僅差で勝つ

2017-03-21 17:06:34 | 海外ボクシング



「セミ」の衝撃で霞みかねないメインイベントでしたが、こちらも普通なら
なかなか想像しない試合内容が見られました。

いつも圧勝するのが常のゲンナディ・ゴロフキン、ついにカリブの天才ウィルフレッド・ゴメスの
17連続KO防衛記録を破るか、という試合でしたが、純正ミドル級、タイトルホルダークラスの
アメリカ黒人ボクサーであり、ゴロフキンのキャリア中最高の相手か、と見えた
ダニエル・ジェイコブスの前に、世界戦では初の判定防衛でした。


初回、ゴロフキンが出て、ジェイコブスは時に下がり、回り、出る。
距離が詰まったら、ゴロフキンが振りの小さい、力を込めた右。外れる。
すると間もなく、今度はジェイコブスが同様の右を振り切る。これも外れる。

共にミスブローでしたが、このふたつのパンチに、それぞれの意志が見えたように思いました。
闘う型、展開は違えど、共にここぞという時には、力を込めて急所を狙う意志が。

ゴロフキンはいうに及ばず、ジェイコブスとて、ピーター・クイリンとの
ブルックリンダービーにおける、右一発からの超高速ラッシュでのストップ勝ちを見れば、
たった一瞬の隙を、瞬きする暇もないうちに、自らの勝利への決め手に変えてしまう力があります。

両者はその力を、意志を互いに秘めたまま、緊迫の攻防。
がっちりした、という表現を越えた「異形」の厚みを持つ肉体のゴロフキンが、
じりじり出てジャブから右。
しかし、いつものような、思うさま打ちまくるという展開には持ち込めず。

フレームでは上回るジェイコブスは、派手では無いが丁寧に打ち、こまめに動く。
キャンバスに幾何学模様を描く、とまではいかずとも、適切な位置取りの繰り返し。

ただ、サウスポーへのスイッチは「止めた方が良い」と断じるようなものでなく、
一定の効果はあったにせよ、良し悪しもまたあり。
4回、ダウンを喫した、飛び込みざまの右ダブルは「そのせい」で食った?とも見えました。

中盤以降、ゴロフキンの「いつもと違う」感じは変わらず。
ジェイコブスはダウンが軽ダメージだったことを証すように、懸命に動いて当てる。
9回、右アッパーを決めたゴロフキンが、「いつも」の展開に持ち込むかと思ったら、
ジェイコブスもシャープな連打を返す。

終盤みっつ、ゴロフキンは未知のラウンドに突入、もちろん威力ある攻撃を見せるが、
ジェイコブスも果敢に反撃、左フックやボディのヒットなどが印象的。
結局倒せず、判定でした。


正直言って、採点に迷いまくった試合でした。

ゴロフキンは体つきこそ、衰えどころかさらに分厚くなっているようにさえ見えましたが、
肝心の動きに切れや思い切りの良さが見えなかった。さすがに若干衰えてきたのかな?と。

しかし、こちらが普段、ゴロフキンの圧倒的な強さを見慣れているせいなのか、
ジェイコブスのまとまりの良い攻防が、実際以上に印象的に見えてしまっているのかな、とも。
残念ながら、印象的なヒットはあれど、威力は足りず、ダウン奪取やKOの予感などは皆無だったわけですし。


結果はゴロフキン勝利でしたが、自分の採点は、と見ると、6対6。
ダウンの分だけ勝ったかな、という感じでした。

しかし、最初から最後まで迷い、保留、どっちもあり、と記した回が全体の半数以上(汗)
こんなもの、もはや「採点」の体を成していない。
まあ、所詮素人の仕業、こんなものですが、それでもこれはいかん、と反省した次第です、ハイ。


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さて、今後は母国でサンダース戦、その次がカネロ戦という計画というか方針というか
はたまた観測気球なのか、そんな話も早速出ているゴロフキンですが、
その圧倒的な実力と、着実に上昇中とはいえ、人気や知名度ではカネロに劣る現状故に、
これまではなかなか、ビッグマッチが決まらなかった状況が、少し変わり始めるかな、とも思います。

今回の試合内容は、彼の衰えなのか、挑戦者の質が高かったゆえなのか。
カネロ側がどう見るのか、そして試合が組まれるとして、それが条件面や状況をどう決めるのか。

私は、ゴロフキンの状態に対する不安を感じるクチですが、
それが、これまで恵まれなかったビッグマッチ決定を後押しするなら、
その先はもう、彼の奮起、ひと頑張りを期待したい、という気持ちでもあります。
矛盾もいいところですが、ファンというのは、常に勝手なことばかりですので...。


何かとごちゃごちゃ、余計な話ばかりのボクシング界において、
ゲンナディ・ゴロフキンの圧倒的な強さは、細かいことを吹き飛ばす爽快感に満ちていました。
これぞ最強、わかりやすく強い。
誰が何を言うたって、この先生が、出るとこ出て、白黒つけてくれはるわ、と。

しかし、そういう彼のキャリアも、これからそう長いわけではないでしょう。
その最後が、カネロ・アルバレス戦を含めた、大きな試合で締め括られることを願っていましたが、
今回の試合を見ると、期待と不安、共にあり、という感じになってきたのも事実ですね。



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「情勢」が変化した ローマン・ゴンサレス僅差で初黒星

2017-03-20 11:55:28 | 海外ボクシング



昨日は一応、結果知らずで録画したWOWOWを見ることが出来ました。

全体として、誰もが思い描いていたような内容や結果が揃わなかった、というに尽きます。
毎度のことではあるのですが、ボクシングというのは、こちらの勝手な思い通りにはならないものです。


ローマン・ゴンサレスはシーサケット・ソールンビサイに判定負けでした。

昨年9月のカルソス・クアドラス戦で、少なくともTVの映像で見た限りでは、
フライ級までのようにパンチの威力が通じない、好打しても強打たり得ず、
さすがに4階級目にして、体格差の壁にぶつかったように見えたロマゴンが、
115ポンド級二試合目で、いかなる変化、適応を見せられるのか。
誰もがその点を注目していたと思います。

リングに上がったロマゴンは、筋量の配分がバランスよくなされた体つき。
ただ、目に見えて、極端に肉体改造をしてきた、という風でもない?微妙な印象。

技術面では、これまでどおりに、やや前傾して、7~8割のパンチで入り、
同じくらいのパンチを繋ぎ目なしに連打して攻めていく、という型。
長年指導を受けたトレーナー、アルヌルフォ・オバンド氏と死別したものの、
このあたりは基本的に変わりませんでした。

初回のダウンは、クリーンヒットではなく胸のあたりを打たれ?押され?
スローで見ると頭も当たっていたようで、不運なものでした。
その後の出血も含め、これ、今日は全部悪く回ってる、まずいなあ、という展開。

ただ、初回からそうでしたが、ロマゴンの立ち位置が、時々まともに
シーサケットの手が出る角度になっていて、どうも不安でした。
うまく外している時も当然あるが、シーサケットの左から右の返しという
基本的な攻撃のコンビを出させてしまう、そして時に、まともに受ける。

そういえばロマゴンの対サウスポー戦って、過去にあったかな、見たことあったっけ...
と記憶を探るよりも先に、バッティングに出血が重なり、試合はどんどん荒れていく。
そして、動いて外し当てるより、正面から打ち合う、消耗戦の様相。
体格面で不安がある試合なのに、その不利をまともに被る展開は、見ていて重いものでした。

結論として、スーパーフライ級への適応、対応はならなかった試合でした。
連打の繋ぎはいつも通りスムースなれど、好打のあと緩急の「急」の追撃がなかった。
これまで通りの、パンチの効果がある前提での連打でしかなかった。
体格面のみならず、闘い方自体にも、ほぼ変化がなかったことは、残念に思いました。

それでも判定はロマゴン僅差勝利かな、と見たんですが、ダウンの失点は大きかったか。
バッティングのWBCルールによる減点も、二度ではなく一度だけでした。
出血はロマゴンの右目尻と、あとはそのほぼ真上の頭部からあり、
こちらの出血の量が上乗せされたような形で、相当闘いにくかったことでしょう。


対するシーサケット・ソールンビサイは、良くも悪くもいつもどおりに、
持てる「手管」を繰り出し、力を出し切って闘いました。

上体を立て、正面から左、右を返し、追撃なればアタマも添えて。
揉み合えば負けず、打たれても耐えて怯まず、必ず返す。数でも負けない。
ボディが堪えれば逃げ、また絡み合い。
攻めてパワフル、受けてタフ。どの局面でも相手に楽をさせない。

ロマゴンの「好打が強打にならず」が、また繰り返されたことが前提にあるとしても、
こうしたシーサケットの闘いぶりには、感嘆させられました。

また、序盤にダウンを奪い、アタマであれなんであれ、出血もさせ、
誰もが思い描いていたものとは違う「絵」を作ってみせたことも大きかったでしょう。
試合の序盤からの、このような展開が、後々の競った回の採点に、少なからず影響したはずです。

セミセミの試合では、ジャッジはカルロス・クアドラスの顔だけを見て、
ダビ・カルモナのヒットを真面目に見ていないのか、と思うような採点が出ましたが、
シーサケットは、こうした有名選手ならではのアドバンテージをロマゴンから奪った。
それ故に競り勝てたのだ、とも見えました。



タイ国内の試合ではなく、天下の殿堂MSGのリングにおける、
ロマゴン相手の大試合で、ほぼ完全に、普段通りか、それ以上の力を出し切った。
カルロス・クアドラス戦の経験があるとはいえ、元々日本で噛ませ仕事をやっていた選手が...
などと今更言うのは無意味かつ失礼でしかありません。

こんなタイ人ボクサー、過去にいたかなぁ、と思います。
ぱっと思いつく限りでは、ロスでパスカル・ペレスを破ったキングピッチ、
メキシコで強打アラクラン・トーレスと二度闘い、一勝一敗のチャチャイ、
オランダ領キュラソーでイスラエル・コントレラスを一蹴したカオサイ・ギャラクシー。
あとはチキータを倒したサマン・ソーチャトロンもそうかもしれません。
ほとんどが、タイの歴史上「超」がつく一流のチャンピオンです。

シーサケットが佐藤洋太と闘う前には、これらの名前を彼の比較対象として挙げることなど、
想像もつかなかったことです。
彼の闘いぶりや、その実力をあまり過大に見るのはどうか、と思う反面、
この日の勝利が、相当な「大仕事」であったことは、認めざるを得ませんね。


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で、以前から拙ブログでグチグチと書き、心中怖れていた「情勢の変化」が
ついに現実となってしまったわけですが...。

まあ、いざこうなってしまったもの、どうしようもありませんね。
何だそれは、というツッコミが聞こえてきますが、実際、どうしようもありゃしません。

井上尚弥の落胆たるや、相当なものがありそうで、WOWOWのスタジオでは、
一瞬、目が死んでいるようにも見えましたが、優勝劣敗の掟は、軽量級史上屈指の王者とて、
例外たり得ないという、それだけのことです。

かくなる上は、井上尚弥が同級最強の証を立てられるような試合の実現を期待するのみ、ですね。
ロマゴンやシーサケットのみならず、他にもそれに相応しい相手はいるわけですし。


ただ、若干嫌らしい物言いになりますが、破ったことから得られる付加価値のようなものが
これほど大きかった相手を「逃がして」しまったことは、やはり惜しまれますね。
仮に安い報酬でも、それこそ「B面」扱いであったとしても、
さっさと、そっち向きの「勝負」に踏み切っていれば...と思ったりもします。

まあ、どこまでも呑気なのか、怖がりなのか、そもそもやる気がないのか、実際のところは不明なれど、
ファンとしての傍目で言えば、シーサケットあたりに先を越されたマネジメントの鈍重さは、
目を覆いたくなるものがあります。どないもこないも、です。


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香港の熱闘/タイでKO勝ち/本場に出ねば/強い東洋王者?/名伯楽死す

2017-03-13 12:27:36 | 話題あれこれ



4月から5月にかけて、世界戦年末集中開催からの間隔ゆえに、
またもあれこれと折り重なるように、大きな試合の話が出てきています。
5月20日有明の話は、いろんな意味で「ホンマですか...」と思わされますが、
まあそれはまた後日、発表後に何か書くとして、試合の話題などを。


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土曜日、香港で熱闘あり。レックス・ツォvs向井寛史の一戦は、
地元の大歓声を受けたツォが、打ち合いを制して8回KO勝ち。
向井は激しい打ち合いを繰り広げましたが、敗れました。

動画ありましたので貼ります。




2回、6回にダウンされ、8回はツォの左レバーパンチを食ってKOを喫する。
しかしそこまでの展開は一進一退、好打で敵地の観客をどよめかせる場面も。

序盤から、スピードを生かすより、正対しての打ち合いに巻き込まれてしまい、
本来の良さを出し切れたかというと、そこがちょっと残念な部分ではあります。
しかし、厳しい展開になってしまった、敵地故の難しさもあったにせよ、
その中で、果敢に打ち合った、健闘だったと思います。

ツォは井上尚弥に挑戦して勝てるような選手ではないにせよ、
体力、耐久力で向井を上回り、地元の声援を受けて、好打されても怯まず攻めきりました。
過去にも日本の選手に何度か勝っていますが、向井はおそらく過去最強の相手だったでしょう。
試合後の本人、周囲の喜びようからも、それが見て取れました。


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少し前ですが、WBCフライ級王座決定戦はタイで開催。
ファン・エルナンデスがナワポーン・ソールンビサイを3回にTKO、新王者に

これまた有り難いことに動画がありましたので貼ります。




1、2回はエルナンデスが動いて、ナワポンが馬力のあるところを見せるシーンも。
しかし3回、エルナンデスの左アッパーがナワポンのガードを貫く。
効いたナワポンに連打で追撃、左フックでダウン。

エルナンデス、左上下を踏み込みひとつで打ち分け、右ストレートを上に、という詰め方。
ナワポン連打にさらされる時間が長くなり、レフェリーストップとなりました。

序盤はナワポンも力のあるところを見せたが、防御の甘さを突かれた感じ。
エルナンデスはフライ級では若干小柄ながら、井岡一翔戦でも見せた左の連打は健在。
好機の迫力は、階級を上げた効果か、かなり増している印象でした。

比嘉大吾のターゲット決定、という目でこの試合を見ると、
比嘉が出て攻め落とせるかどうか...少なくとも、比嘉が過去に闘った誰よりも
機動力があり、左が多彩で、攻防のバランスに優れた選手であることは間違いないでしょう。

厳しい試合展開が待っているでしょうが、そこでどれだけ踏ん張れるか...
いずれにせよ、見応えのある試合になりそうです。
夏か秋頃、ひょっとすると山中の次とダブルだったりするのでしょうか?


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井上尚弥、ロマゴン戦解説決定、インタビュー
結構興味深い内容です。

しかし、一方ではWBCシルバーベルトを、かのファン・エストラーダが獲得、ということで、
米大陸のマーケットにおいて、Sフライ級はWBCタイトル中心に話が回り始めていますね。

5月予定の井上の防衛戦は、当然国内で、おそらく有明で、しかも他に大きな目玉もあるとか?で
著名選手招聘という話も出ませんし、そんなこっていいんですかね、と毎度の通り思います。

ロマゴン戦実現の見込みは、ないことはないのかもしれませんが、情勢の変化があれば
当然消えて無くなるのが、ボクシングの試合というものですし、そうなった場合のことも含め、
それまでの、普通の試合でも、評価上昇に繋がる何事かを、追い求めるべきじゃないかと思うんですが。

結局、過去のいつくかの事例のとおり、井上尚弥が、せっかく世界的に盛り上がっている
115ポンド級のシーンを、外から眺めているだけで終わるというのは、いかにも惜しい話です。
ほんまに、どないかならんものですかね。
どないかしようと意志の存在を、形として見せて欲しい、と思うのですが、今のところは...。


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と、井上についてはあれこれと、やきもきしながら見ている反面、
こちらのお方については、まったく思うところがなくなって久しいところです。

12年間無敗!ハグラーみたいやなー(笑)とか、61連勝とか、
まあ何せ大層で、思わず笑いが漏れますが、せいぜい頑張っていただきたいものです。
しかし、こうなると昔の東洋王座みたいな感じになってきましたね。
まあ、強い部類の東洋王者であることは、多くが認めるところではありましょうが...。

当日は名古屋で観戦予定で、早く終わればハシゴかけたるー、と意気込んでいます。
しかしお目当てはあくまで大森将平ですが。
TBSのダブル世界戦なので、あまり遅くなるようなら、メインは見ずに帰ります。
意外に終電がシビアだったりしますので(←いや、本当なんですよ)。


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名伯楽死す

ロス五輪組を中心に、一時は大勢のチャンピオンを指導していて、
海外の試合見ていると、しょっちゅうお顔を拝見しました。

なんか、昔気質の、怖そうなおっちゃんやなー、という感じで、
ジムではけっこうアナクロな指導してるんちゃうかなー、なんて勝手に思っていましたが、
見ている選手たちは皆、オーソドックスな基本と、先進的なテクニックを兼ね備えていて、
ああこれはそういう思い込みとは違う指導者なんやろうな、と思い直したりもしました。

94歳、大往生ですね。ご冥福をお祈りします。


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スイッチヒットで大逆転 西谷和宏、ホールでKO戴冠!

2017-03-05 10:06:51 | 関東ボクシング



昨夜はG+の生中継を見ておりました。
前座から、特に期待度の高いカードもないなぁ、とぼんやり見ていたら、
内容がこちらの思っていたのと違う、こら大変な、という試合の連続でした。


メインイベントは、強打とセンスの土屋修平に、長身と粘りの西谷和宏が挑んだ一戦でした。

土屋が荒川仁人と対戦しないまま、日本王座を獲得した経緯には、
いかにもな「人事異動」「たらい回し」の印象がぬぐえず、
内心鼻白む思いではありましたが、さりとて西谷が土屋を攻略しえるかというと、
それは難しいだろう、とも思っていました。


土屋はいつもどおり、序盤から探り、測りの過程を省略し、強打で攻め落とす闘い方。
西谷は長身を折って、変則的な左右を打ち返す。
ボディの好打を受けても、逆にヒットの数で上回り、この一戦に賭ける気合いが見える。

4回、右を打ったあとスタンスが乱れる、と見ていた西谷が、そのまま右足を前に出しスイッチ。
パワーを溜めた左フック、アッパー好打。これまでの試合で、こんなことやってたかな、
中南米の選手みたいな...と、ちょっとびっくり。

しかし5回、土屋はテンポで上回り、連打の最後に右をクリーンヒット、西谷のミスを捉えてダウンを奪う。
やはりパンチ力、決定力でまさる方が勝つのか、と思ったら、西谷が逆に打ち返す。
7回は一進一退、8回土屋の速い左ダブルが出たが、西谷がまたスイッチして左アッパー。
土屋、まともに打たれダウン。追撃もスイッチしての左連発、二度目のダウンで即座にTKOとなりました。


西谷の試合は、京都での徳永幸大戦はもちろん、小國以載が移籍する前、
彼の試合のアンダーカードに出ているのを、何度か見たことがあります。

長身、リーチに恵まれるも、それを生かし切れない試合ぶりは、どうにももどかしく見える。
バランスも良いように見えず、スタンスも乱れることが多く、粘り強さはあるが...という印象でした。
新王者に対し誠に失礼ながら、あの選手がホールでKO勝ちして日本チャンピオンになる、とは
想像してみたこともありませんでした。

チャンスとピンチが交錯する、一進一退の激戦でしたが、この一戦に賭ける気合いが
ひしひしと伝わってくる闘いぶりは、勝敗以前に、見ていて惹き付けられるものがありました。
今はただただ、脱帽です。お見事でした。


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セミファイナルは岡田博喜が調整試合に登場...と思っていたら、相手の体格が意外に大きく、
パワーも闘志も思った以上のものがあり、緊張感のある一戦でした。

ロデル・ウェンセスラオの上体は、ひとつくらい上の階級のそれに見え、岡田の好打があっても、
なかなか止まらず、打ち返してくる。
岡田は丁寧に見て外し、防いでいるが、ときにヒットも喫し、危ないかなと見えましたが、
そこはさすがで、ちょっと長引いても仕方ない、という感じで、時にカウンターを狙い、
時に手を出させて疲れさせ、という具合で徐々に崩していき、7回に仕留めました。

この辺は岡田博喜の巧さ、さらにいうなら確かさが見えました。
よくある「日本は卒業」なんて類いの話には、首をかしげることも多かったりしますが、
このくらいになればそれも納得です。
今後は、出来れば新設のなんやらいうやつじゃなく、OPBFのアル・リベラに行ってもらいたいですね。
世界をいうなら、最低限このくらいは、という気がします。
さらにいうなら、岡田博喜ともあろう者が、という気持ちでもありますしね。


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そのほか、前座もあれこれ賑やかでした。
斉藤一貴の逆転KO、小池信五の不運な切られ方によるTKO負け、
大橋健典の強打、武田航の再起戦勝利などなど。

大橋以外はタイ、フィリピン相手だったので、ああ、いつもの感じなんやろうなー、と
ぼんやり見ていたら、おいおい、ちょっと待て、という感じの試合ばかりで(笑)
俗にいう「噛ませさん」にも、一分の魂ありなんやな、という印象で、
終わってみれば最初から最後まで、期待を超えた「見応えあり」な興行でした。


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記録達成に不安も 山中慎介「危なげのある」V12

2017-03-02 21:48:10 | 関東ボクシング



山中慎介、カルロス・カールソンを5度倒しV12達成。
具志堅用高の記録にあと1と迫る、神の左炸裂、と華やかに報じられることでしょう。

しかし、実際のところ、いろいろと不安に思うこともある試合でした。


初回、ぱっと見てカールソンの体格が異様に大きく見える。
計量から試合まで、どのくらい体重を戻したかわかりませんが、
スーパーフェザーくらいにはなっていたんじゃないでしょうか。

その大柄なカールソンが、身体を沈めながら、右を飛ばして出てくる。
それに対し、山中は右回りよりも、正対して、左を打ち込んで行く流れ。

外す自信がある、または左を当てれば倒せる自信があるからでしょう。
実際、左を当てれば即座にダメージを与えていました。
しかし、外す方の自信は、その通りにはいかない場面も目について、
ちょっと怖いな、という序盤でした。

2回、左目尻を切り裂く左が決まり、3回は左ボディストレート。
一発でダメージを与える攻撃が続き、5回は右を外して左カウンター、ダウン奪取。
山中にしてみれば、セーフティーな判断よりも左を決めればこうなる、という
自信通りの展開だったでしょう。

しかしこの時点では、カールソンの身体の芯にまでダメージがある状態でもないと見えました。
連打で追撃し、2度目のダウンを奪ったあと、カールソンの左を食って、逆に少し効いたか。
後退とクリンチで凌ぐ展開に。まずまず冷静に対処していたのは良いですが...。

6回、また打たれた後、前にのめったカールソンに左を打ち下ろし、ダウン3度目。
ここもまた粘られたが、7回に左をまともに決め、追撃で4度目。さらに5度目でストップでした。


以前プレビューめいたことを書いたときにも思いましたが、実力差は歴然のカードでした。
それは実際に試合を見終えても同じでした。
しかし、やはり世界戦のリングで、実際に闘えば「楽」な試合などそうそうありはしないし、
その現実の上で、格下とされる相手と闘うことには、色々難しさもあるのでしょう。

加えて、本人は「意識しない」と言い続けているそうですが、防衛記録云々の話もまた、
山中慎介にとっては、重い宿命というか、足枷になっているようにも見えました。

もしこれが、防衛回数の少ない時期に闘われた試合だったら、それこそ序盤で倒していたのでは、
という気がするほど、技量力量の差は明らかでした。
しかし、鮮やかな勝利への、そして防衛回数更新への期待感というものは、
やはりそこかしこに、山中慎介の動きの中に見える慎重さとして現れていたように思います。

そしてその隙間に、単調だが果敢なカールソンの攻撃が割り込んできました。
ダウン5度奪取の7回TKO、12度目防衛、という結果以上に、内容としては
「危なげある」ものだったようにも思います。
もっともその試合を、良い結果で終わらせる山中慎介の左の威力は、まさに神がかりですが。

あくまで内向きの話、と思うのも事実なれど、同時に、そう無下に切り捨てるには惜しい、
「具志堅越え」の防衛記録更新を、ここまで来たら達成して欲しい、という気持ちにもなろうというものです。
しかし、この日の内容だと、相手次第とはいえ、そう簡単にはいかないかもしれない、とも思います。

次は指名試合か、統一戦か、他団体の元王者クラスの招聘か、或いは...
山中慎介のキャリアは、いよいよ真のクライマックスを迎えようとしています。
不安もあり、しかしそれを帳消しにし続けてきた左の強打から、やはり目を離すことは出来ませんね。


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