さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

心配は古傷だけ 高山勝成V字回復 原隆二に逆転勝利

2015-09-27 22:11:11 | 高山勝成



今日は昼間の西日本新人王決勝戦、平野拳生や中谷有利を見に行きたかったんですが
所用のためかなわず。TVはどこにも放送予定が無い模様で、ちょっとがっかりです。
またそのうちYoutubeで見られるかなぁ...。
さいわいにして坂本真宏も勝ち、去年も出てた倉敷守安のユーリも勝った模様。
西軍決定戦は絶対行くぞ!とうそぶいていますがどうなるか。行けたらいいなぁ。

※訂正です。スカイAで23日に放送ありとのこと。失礼しました。



そういうことで夕刻からは、MotoGPとボクシングを交互に見ておりました。
Moto3クラスではダニー・ケントとバスティアニーニが最終ラップで別個に共倒れ(>_<)
なんじゃそりゃー、と嘆いたあとに高山vs原を見て、Moto2が赤旗で仕切り直しになったところで
井岡vsソーサに切り替える、という、まあ何だかわからんことになっておりますが、
とにかく夕刻からはTVつけっぱなし。
とりあえずブログ書いてから、残り2つのレースを録画で見ます。結果知らずで。


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そういうことで高山勝成vs原隆二、世界というとどうかいな、というのはおいといて、
なかなかの好カードであることは事実です。実際、期待以上の激しい試合になりました。

原と陣営(曲者?揃いの大橋ジム)は、高山の明らかな弱点であるボディをいかに攻めるか、
明確な方針を立てていました。かつてイーグル京和は、ジャブ、ワンツーで突き放して
高山が入ってくるところに右アッパーでボディを叩くという作戦を完璧に実行して、
高山の機動力を著しく低下させ、明白に勝ちましたが、原は左ボディアッパーを時にリードに使い、
時にカウンターで迎え打つ、という手法を採りました。

これがかなり奏功した上、ポイントリードで進んだ3回に高山がカットするおまけまで付き、
原はかなり優勢に立ちました。いよいよ高山の長きに渡る拳歴の終わりが来るのか、と
そんなことまでちらっと思い始めた4回、高山が足を使ってサイドに回りました。

距離を作ってサイドへ出て、アングルを変えて、原の左ボディブローをほぼ外し、封じると
リズムに乗って速い連打で攻勢。左ボディ、右クロスも決まり、どんどんテンポを上げて
相手のリズムを切り、バランスを壊す攻勢。7回、右を5発決め、8回、連打でストップ。

序盤の劣勢、目的をもった相手の攻め口に対し、極めて冷静な対応をして、展開を変えた。
その上で、高山の闘志、勇気と日々の鍛錬が十全に生かされた試合ぶり。

前の試合の、無理をして劣勢になり、それを覆そうと無理をしてはまた...という
無理と無茶の積み重ねのような攻め方とは違った、理詰めの果敢さ、とでもいうべきか。
とにかく、高山勝成の良さが急に甦ってきたかのような、見事な逆転勝利でした。


試合後、田中恒成がリングに登場、大晦日に名古屋で闘いましょうという呼びかけがあり、
高山もそれに応じたそうです。おそらく既定路線でしょうし、実現することでしょう。

正直、今日の試合を見るまでは、仮に今日、原隆二に勝てたとしても辛勝だろうし、
その後のことまで考えられるような心境になかったのですが、今日の4回以降の「V回復」を
見せられると、これは是非見たいなあ、という気がしてきました。
高山は古傷、田中は減量苦と、それぞれに気に掛かる点もありはしますが。


しかし高山、今日は本当に良かったです。
相手も田中を除けば国内では最高の強敵、原隆二でしたが、思った以上に差をつけて勝って見せた。
前の試合があまりにアレだったもので、いろいろ心配だったんですが、余計なことだったようです。
今日は正直、脱帽しないといかんですね。若手の頃の高山の姿を思い出させるような、そんな勝ちっぷりでした。


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井岡一翔は、これまた大晦日に予定されているであろう大一番?に向けて、
レベコ陣営の手持ちから選ばれた選手と防衛戦、という、いかにもありがちな試合に完勝しました。

ロベルト・ソーサは一階級上で世界挑戦経験があるというわりに、体格の大きさも感じられず、
リーチはなるほど長いですが、その割には相手と近いとこに位置取りをする選手で、
振りの小さいパンチを打ち分ける井岡一翔にとっては、すんなり試合を展開できる相手でした。

すごく良い例えをすれば、ミゲル・カント14度防衛(内容的にはこれが未だにフライ級史上最高の記録)を
共に達成したメキシコの名匠ヘスス・リベロの指導を受けていた頃のデラホーヤにも通じる、
手を少し前に出して構え、防御と圧力のために用いて、空いたところをじわじわと打つ、城攻めボクシングでした。

もっともデラホーヤのように、格下の隙を強打で叩いたり、引きつけてカウンターで仕留めるような
破壊力や切れ味がまったくないので、結局KOは出来ませんでした。

ただし、そんなことをするつもりは、最初からなかったのかもしれませんが。
打たせず打つ、というテーマで見れば、あの距離で闘い続けたにしてはほぼ完璧に近いものがあり、
これがもっと力量のある相手との試合であれば、当然失点するラウンドも出てくることも承知で、
技術面の精度を上げねばならない、という考えなのかもしれない、という気もしました。

まあ、次は予言者宇弓さんのお言葉通りなら、十中八九レベコとの再戦で、それを何やら
物凄いビッグマッチみたいに喧伝するんでしょうけど、試合への興味や、タイトル自体の是非はおいて、
もし井岡がレベコに、前回以上に差を付けて勝てるんなら、それは一定上の評価はされるべき...なのでしょう。


今日のTBS実況では、これまでいないことになっていた(笑)エストラーダやロマゴンの名前まで
一応紹介されていたりして、ちょっと方針が変わってきたんかな?という感じもしました。
もっとも、方針を変えたのがTV局なのか、陣営なのかで、だいぶ話は変わってくるんでしょうが。


しかしTBSも相変わらずというか、エストラーダを「WBO王者」ってねぇ。
いや、確かにそうなんですけど...ほんとに、TV局って、知らせたいことだけ知らせる、
みたいなことを、あらゆる分野において、平気でやりますね。

結局、こういうことをする奴らって、視聴者を馬鹿にしてるんですよね。
自分たちこそ、救いようのない馬鹿なんだと、何故気づかないのか、不思議でなりませんが。


あと、この試合、全般を通じて井岡のローブロー見逃しが酷かったですね。
けっこう露骨やな、という気がしました。まあ勝敗には何の影響もなかったでしょうが。


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ということでMotoGPの録画鑑賞に戻ります(^^)


仕切り直しで、先頭走ってたのが台無しのリンス、えらい怒ってたなー。
冷静に走ってもらいたいものでありますが。



コメント (8)
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最高峰の力と技を堪能 これぞ至高の一戦 山中慎介V9、技巧モレノに僅差の勝利

2015-09-23 10:49:13 | 関東ボクシング




大田区総合体育館のリングに立ったアンセルモ・モレノは、飄々として見えました。


かつて山中慎介が初防衛戦で戦ったビック・ダルチニアンは、遠目にも「打倒」への意欲、
闘いへの渇望をこれ見よがしに?振りまいていたものですが、それとは余りにも違っていました。

この世に起こる出来事全てに対し、何一つ驚きも慌てもしない、という風情。
好不調いずれにも見えず、それを傍目に見取らせもしない。

これほど「ハッタリ」感の無いボクサー、あまり見た記憶がありませんでした。
それこそ、やる気があるのかないのかさえ読めない。不気味やな、という。

試合が始まると、モレノは山中慎介と「探り針」のジャブ、フェイントの応酬を終え、
リング中央に陣取り、自分を軸に山中を回す展開を、ほぼ固定しました。

長いリーチと、斜に構えていながらやや前傾、という微妙な構えの調整により距離を作って、
山中のパンチを外し、防ぎ、肩で受け流し、多彩な右を伸ばし、時に左を叩いてくる。
2回こそ山中に譲ったかに見えましたが、徐々にその技巧を発揮しだしました。


ここで何より驚き、予想外だったのは、モレノの「布陣」の位置と手法です。

動いて、回る足捌きを控えめに、広くスタンスを取り、ほぼリングの中央を「陣地」として、
山中の攻撃を捌いては突き放す。相手の攻撃力を考えれば、相当に難易度、リスクの高い選択。
しかし、現実にはその攻防で、徐々に山中をコントロールし、ヒットを取っていく。



山中慎介は、強打の手応えや、その威力による威圧で優位に立ち、
それを前提にリズムに乗って試合を支配し、さらに攻撃を上積みしていくのが常です。
この試合、その前提は、徐々に成り立たなくなりました。
言い換えれば、モレノの技巧は、その前提を山中に与えませんでした。


眼前の試合は、するりと、パナマ人の「手に落ちた」ように見えました。
ですので、4回終了後の途中採点は、正直に言って驚きでした。
山中の強打(ボディブローも含む)の効果を、最大限に評価すれば、あり得る採点、でしょうか。


いずれにせよ、この採点を聞いて、モレノはより明白に試合を抑えにかかったように見えました。

5回、山中の左を外へ外し、インサイドに小さい右。6回、今度はカウンターで左。
7回、右リードでほぼ支配。8回、互角に近いが最後に左を2発。
モレノ、一気の巻き返し。公式採点も同様と見え、8回終了時の採点発表でそれは確認出来ました。


採点どうこう以前に、山中に悪い「回り」に見え、それは山中も陣営も同感だったのでしょう。
9回、攻めて出る。しかし左から右の返しを打つ隙間に、モレノに右フックを合わせられ、ぐらつく。
思うに任せぬ展開の果てに、この好打。終盤、試合は破局へと向かって不思議のないところでした。


しかしここから、山中慎介が只者でないところを見せます。

10回、打ち合いの中、モレノのリターンも鋭いが、山中が左、右とヒット。さっきと逆。
モレノは、それまでとは明らかに違う様子のクリンチを繰り返す。
あの淡々とした風情はかろうじて保つものの、挙動は明らかに危機にある者のそれでした。

世界最高峰の技巧を持つモレノの堅陣を、クリアな、正当な攻撃で、ここまで打ち崩した選手を、
少なくとも私は初めて見ました。しかもこれほどの苦しい展開から。
山中慎介の力と闘志は、これまた驚異と感じました。


11回以降は、両者共にいよいよ精一杯。山中左クロス、即座にモレノ、小さい左アッパー。
山中ワンツーにモレノ右アッパーのボディ。モレノが接近戦で右を当て、山中が尻餅。
悪くすればダウン裁定もあるかと見えたがスリップ。
最終回、試合を左右するポイントがかかった3分。山中が強引ながら手を出す形で終える。




私の、会場での採点は、モ山モモ、モモモモ、モ山山山、8対4、モレノ勝利でした。
迷う回(3回、8回)を全て山中に振ってもドローまで。
ただし、迷ったのを山中に振った回もあります。総じて言うと、逆はない、というのが私の結論です。


しかし、あくまでこれは自分の席から見た印象であり、その見方が何よりも正しいとは言いません。
個人的には、逆があるとは見えませんでしたが、際どいところでの印象が違って、
その積み重なりが違う結果になった、それはありうること...なのかもしれません。




採点のことはおいて、確かだったこと、一番大事なことについて、書きます。

終始、なんと密度が濃く、レベルの高い攻防だったことか。
強打と技巧のサウスポーふたりは、リードやフェイントの応酬、上下の打ち分け、
リターンやカウンターの選択、その読み合い、外し合いを終始、高い密度で繰り広げました。

切り返しの速さ、鋭さに震え、選択の多彩さに驚き、敗北以外の何物をも怖れない勇気に感嘆させられる。
これこそがまさに、世界最高峰の力と技の激突なのだ、という強い実感が、
試合の最初から最後まで続きました。

試合が終わり、判定を受け、様々な見解や論議があろうとて、その実感を得られた喜びこそが、
間違いなく、何よりも大きなものでした。


ことに、様々な苦境にあると伝えられながら、敵地でその技巧を存分に発揮し、
バンタム級屈指の強打を持つ山中慎介を苦しめたアンセルモ・モレノの姿は、感動的なものでした。
けっしてスペクタクルな試合をするではないボクサーですが、その試合ぶりは見どころに溢れ、
見ていて目に楽しい、滅多に見られないレベルの、素晴らしいボクサーでした。



そして、採点に恵まれた感は残ったものの、苦しい終盤にその力を見せ、最後も懸命に手を出して
際どいながらも必要な得点をもぎ取った、山中慎介の力と粘り強さにも感心しました。
クリアに、明確に、倒して勝つのが常のボクサーであるからこそ、思うに任せぬ試合で、
終盤の入り口に決定的な打たれ方をしてしまえば、無惨に「決壊」することだってあり得る。
そういうこちらの思いこみを、彼は身をもって覆した。
山中慎介はこの試合で、これまでの試合では見えなかった、見せる必要のなかった力を証明しました。



今後の展開がどうなるかは不明です。山中が、モレノが、両陣営がこの試合をどう評価し、
今後、活動していくのかは、今の時点では報道を見ていないのでわかりません。


しかし、ことのいきさつがどうであれ、この難敵と闘うという選択をした王者と、
捲土重来を期して、強打の王者に挑み、その技巧を存分に見せつけたかつての王者、
この二人の闘いを、私はボクシングファンとして大いに楽しませてもらいました。


世にはこの試合に関心を持たず、試合自体を見ずにいる人も大勢いると思います。
勿体ないことだな、と思います。そして、自分はボクシングファンで良かった、とも。
なぜなら、こういう素晴らしい試合を、真の一流同士が闘う、世界最高峰の一戦を、
事前にそれと知っていたからこそ、最初から最後まで余すことなく見られたのですから。


アンセルモ・モレノと、山中慎介に拍手を送りたいと思います。心からの敬意を込めて。
素晴らしい試合でした!




コメント (10)
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ひまわりホールの激闘 大内淳雅復帰二戦目、再起期す新鋭上久保をTKO

2015-09-20 22:13:08 | 関西ボクシング



22日にのこのこと上京観戦するというのに、今日も今日とて姫路に遠征。
姫路駅から播但線で30分、扉の開閉ボタンを押さないと乗り降りできない電車に揺られ、
市川町ひまわりホールという会場に行って参りました。

かかる時間は自宅から会場まで、片道、正味4時間弱。
毎度のこととはいえ、ええ加減にせい、東京行けるわ!という感じなんですが、
今日はメインイベントの新旧対決が素晴らしかったので、小旅行レベルの長旅もまた楽し、でした。


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元々は地元、市川町の出身、その後角海老ジムで活躍するも、日本王座は引き分けで惜しくも逃し、
最強後楽園で堀川謙一に敗れたのを最後に、姫路木下ジムに戻ってきた大内淳雅は、
そこからさらなる苦難の道を歩むことになります。

復帰初戦で、エディジムの強打、油田京士をダウンさせ、優勢に闘いながら逆転の6回KO負け。
その後、網膜剥離を発症し、完治するまで1年4ヶ月のブランク。
再起初戦は6回戦で快勝し、二戦目が今日の試合でした。


対する上久保タケルは、井岡弘樹会長の秘蔵っ子として昨年2月にデビュー。
そこから年末までの10ヶ月の間に8試合を闘い、全勝して5KO勝ち。
しかし今年4月の9戦目で、大内を破って日本ランクに入った油田に初回KO負けで初黒星。
長身、リーチに恵まれ、スピードやセンスも感じさせるが、経験不足を露呈。
そして、まだ身体が出来ていない感があり、KO負けの影響も心配なところに、
大内のような、油田以上に実績のある相手と再起戦。試練の一戦となりました。



序盤、上久保が足を使ってジャブを出していく。コーナーからは前戦の結果を受けて、
距離を取れという指示がさかんに飛ぶ。上久保は手数は出るがミスも多い。
大内はじっくり見てブロックで防ぎ、右を合わせ、ヒットを取る。

3回、大内が左ボディから右クロス、対角線のコンビ。上久保後退、大内攻勢。
大内が良く見て右クロス。
上久保はリーチを生かして突き放す意識より、どうしても打ちたい、手応えが欲しい風。
大内は待っていれば来る、という感じで、その出鼻を再三捉える。この辺が経験の差か。

4回も大内が少ない手数でヒットを取り、優勢。
ところが大内がダックしたところに、上久保が連打から右アッパー。
これが決まって大内後退、失速。上久保追撃もミスが多いが、展開を変える。

5回から大内が足を使い、上久保が出る展開に。大内は余裕が失せ、打っても上久保を止められない。
上久保はもうひとつ精度に欠け、決定打を決められない。大内も上手くブロックする。
両者共に苦しいながら、果敢な闘いぶり。右のクロスとボディが相打ちになったり、
きわどい打ち合いの場面が再三見られる激戦に。

しかし7回、攻める上久保に大内の右がクリーンヒット、追撃がまた決まり、上久保後退。
大内が出て攻め込み、右が入って上久保がさらに打たれたところでレフェリーストップ。
大内がベテランの意地を見せ、新鋭上久保を退けた一戦でした。


試合数では3倍くらい違う両者でしたが、それぞれに抱えたキャリアの危機を乗り越えるべく、
相当な闘志、意気込みで臨んだという意味では、共通するものがあったのでしょう。

大内にとっては、かつて敗れた堀川謙一が、京都三人目の日本チャンピオンになったばかりで、
当然、堀川への雪辱と、タイトル奪取という目標のためにも負けられない。
上久保は、再起初戦で実績十分のベテランを食って、一気に再浮上したい。

両者のそういった背景を知っても知らなくても、この二人のボクサーが、
互いにどうしても譲れぬ思いを抱えて、懸命に闘っている姿は、充分過ぎるほどの熱量を持っていて、
それは確実に、ひまわりホールの客席にも届いていました。

勝った大内はもちろん、厳しいマッチメイク故に勝てなかった上久保も、
双方がボクサーとして、確実に何かを勝ち取った、そんな試合だったように思います。


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今日は前座も熱戦あり、逆転ありで、なかなか盛り上がっていました。
あんまり前座のことまで語られることのなさそうな興行ですので、メモ書き程度ですが、簡単に。


4回戦

56.5キロ契約 ○宗 雷門(むね らいもん/姫路木下) KO1R ●野崎純平(倉敷守安)

始まって早々に野崎の右で宗ダウン。しかし宗が右で倒し返す。
最後は宗がまた右で倒し、ツーダウン逆転KO。いきなり場内を暖めるオープニングファイトでした(^^)

68キロ契約 ●横山圭吾(姫路木下) TKO1R ○釜屋憲吾(エディタウンゼント)

短躯の釜屋が右オーバーハンドを決めて、横山よろめき防御姿勢を取れず、早々にレフェリーストップ。
これまた早いKO決着。

50キロ契約 ●白岩義也(姫路木下) 3-0判定 ○木村廉(高砂)

長身の白岩がややバランスを崩しながらも手数を出す。デビュー戦の木村は立ち上がり少しばたつくが、
徐々に落ち着いて、鋭い右で白岩を脅かし、勝利。

バンタム級 ○中島将太(姫路木下) 3-0判定 ●武田誠人(倉敷守安)

3勝2敗のサウスポー、中島が単発の左を当てては動く。
デビュー戦の武田はよく鍛えられている風で、右を狙って迫るが、ヒットの差は明白。
好選手でしたが、5戦やっているサウスポー相手のデビュー戦とは、さすがに厳しい印象。


6回戦

スーパーバンタム級 ○芹澤天明(姫路木下) 3-0判定 ●志水亮太(森岡)

短躯のファイター芹澤が左アッパーを多用する連打で攻勢。
5回には左フックを決めて優勢。そのまま押し切る。



プロの試合前には、恒例のキッズボクサーの試合もあって、これもなかなか見ものでした。
男女の組み合わせなんかもあって、それはちょっと...出来るだけ避けた方が、という気もします。

あと、攻撃力ばかりでなく、一回り大きな子を相手に、攻めあぐみはしましたが
丁寧なウィービングを再三見せる、防御センスのよさそうな少年ボクサーもいて、感心しました。

将来「ああ、あのとき見た子や」と思い出すときが来るかもしれません。
密かな楽しみとして、記憶しておきたいと思っております。




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攻略至難、されど至高の一戦間近 山中慎介、最大の難敵モレノと激突

2015-09-19 20:48:26 | 関東ボクシング



ボクシングの試合映像については、いろんなものを録画しては、PCのHDDに保存しております。
とはいえ、HD画質のものばかりになった昨今は、容量がいくらあっても追いつかないので、
以前ならなんでもかでも残していたものですが、さすがに取捨選択をしたり、試合によってはレートを落として保存したり、
あれこれ苦肉の策をめぐらせては、やりくりしております。

で、22日に迫った山中慎介キャリア最大の一戦に向けて、パナマの大師匠アンセルモ・モレノの試合は
果たして何試合残ってんのかね、とHDDの中を検索してみたら、6試合ありました。
シドレンコとの二試合、ダルチニアン戦、デラモラ戦、マレス戦。Youtubeで見つけたロリー松下戦、です。

まあ何もそんなことせんでもええのに、ちょっと「予習」しとこかな、なんて思って、ぼんやりと眺めてたら、
なんか段々気が重くなってきました。今更ながら、相当大変やでコレ、という...。


そんなことで、ざっと見返して、やっぱりこの選手、大変な難物、取り扱い要注意物件やなー、という感じです。
せっかくの大試合、いちおうプレビューめいたこともやっとこかな、というところで、以下、とりとめもなく。


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そういうことで、アンセルモ・モレノの防御から。
足捌き、柔軟な身のこなし、目の良さが、とにかく凄い。

普段練習しているジムで、より足に負担の掛かる、柔らかいマットの上でステップを踏んでいる様子が、
先日、日テレの番組で紹介されていました。
シドレンコ戦などが典型で、ゆったりした数少ないステップで、多くのパンチを外し、適切な移動を実現していましたが、
ここにその秘訣があります。試合の硬いマットでは、鋭いステップが踏めるわけですね。

身体は柔らかく、スウェー、ダックも自在。膝を柔らかく使ったダックの際、ほとんど目線を切らない。
そして目が良い。目で外す自信があり、小さい動作でパンチを躱すので、バランスが崩れず、反撃の手が良い姿勢で出せる。

ただし、ステップに無駄が無く、よける動作が小さい、大変結構なのですが反面、若干自信過剰になって打たれる場面も散見。
大抵は単発で済ませ、後続は断ち切ります。打たれても意外にタフな印象。
もちろん相手は世界上位ばかりなので、時に打たれて当然です。しかし、巧いゆえの陥穽もあるかなと。
今回、山中の左がまともに入って、後続を断つ余裕があるかどうかは、重要なポイントです。


攻撃について。
やや前傾で、手を前に出し加減の構えから、ジャブをポンポンと突き、左に繋げる。
これはサウスポー相手でも基本的には同じ。相手の強打を警戒すると、時に斜に構えることもあり。
おそらく今回の試合では、斜に構える時間帯が多くなるでしょう。最初からそうなるかは不明ですが。

ストレートパンチで距離を作れ、遠くからボディも打てる。相手にしたら非常にきつい。
基本的に軽打、時に機を見て左を強打、といっても7~8割くらいか。
しかしサウスポー相手の時は、意外に体重を乗せ、右肩越しにクロスを狙ったりもする。

山中との比較において、パンチ力では山中が上、と見られていますが、それは全体像としては正しいとはいえ、
モレノにパンチが無いかというと、それは違うと見ます。
むしろ、パンチが無いわけじゃない。なのに、敢えてフルに強打しない時の方が多い、というだけ。
山中が攻めあぐんで疲れ、バランスを失うようなタイミングがあれば、思い切り左クロスを打つ場面もありそう。
この辺はけっこう、怖いところです。


あと、試合運びは基本的に省エネ指向。若い頃からベテランみたいな試合運び。
今回見返した試合に限れば、何回もローブローをアピールし、休憩をもらう場面あり。
そりゃホントに打たれたのもありますが、そうでなさそうなのもあり、です。


で、山中慎介がこの難物をどう攻略するかですが、力ずくで左を振りかざしたりしたら、空転させられるでしょう。
まあ、そんなことはしないと思いますが。

基本的には、いつもの構えからジャブ、ワンツー基調で崩そうとするでしょう。
山中はスリーパンチを使うとバランスが前に出て、そこを打たれた試合が過去にありましたので、
バランスに留意しながら攻めてほしいところです。

具体的には右のジャブとフックを組み合わせた、ダブル、トリプルでのリード中心で攻めたい。
これでモレノのゆったりしたリズムを断ち切りたい。好打がなくてもポイントを拾うくらいの意識で。
モレノをポイント上、劣勢にしつつ闘えれば、その中で山中もいろいろ狙える確率が増えてきそう。
遠くからのボディに左を逆に合わせるとか。強引に押し込んで、揉み合いを増やしてもいい。

山中の左の威力、決定力は、いかなモレノにとっても脅威ですが、それでもなお、
狙って倒せる相手ではない、と思えます。
偶発的に強打が決まる、というのも、少なくとも序盤は難しそう。
試合がよほど上手く運べて、終盤にモレノが疲労していれば可能性はあるでしょうが。

基本的にはポイントで勝つ意識で、そのための手立てを何重にも用意し、辛抱強く闘えば、
その中で倒す機会があるかもしれない。でもそれを当てにせず闘うことが肝心。何やら禅問答みたいですが。


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本当にとりとめもなく書いてしまいましたが、この試合はとにかく世界最高峰のバンタム級ふたりによる
アルファベット要らずの「世界バンタム級タイトルマッチ」と呼ぶに相応しい一戦です。

脅威のダウンシーン製造機、山中慎介と、ラテンアメリカが生んだ技巧派の最高傑作、アンセルモ・モレノ。
まったく持ち味の違うサウスポー同士が、その力と技を競い合う12ラウンズの緊迫は、
派手な展開や結末があれば当然、そうでなくとも、見る者の目をリング上に引きつけて放さないものになる、そう確信します。


チケットが完売、当日券販売無しという事実が、この試合への評価を、すでにして決めてしまっていますね。
世間様は、他の試合とどこがどう違うのかわからんという向きも多いんでしょうし、玉石混淆の現実を受け容れた上で
体裁を取り繕っているしわ寄せが、こういう真の大一番を闘う選手に来てしまうことには、何とも言い難い感情がありますが、
そうした不満も、このふたりがリング上で対峙している間は、すっかり消え去ってしまっていることでしょう。

その至福、至高の時間が、もうすぐやってきます。
山中慎介、アンセルモ・モレノ、両選手には、試合前から感謝の気持ちでいっぱいです。
大いに楽しみたい一戦ですね。


コメント (4)
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圧倒したが快勝ではない、しかしそれも大器の証 大森将平、地元京都で初防衛

2015-09-17 12:15:57 | 関西ボクシング



ということで昨夜は京都府立体育館島津アリーナで観戦してきました。
GAORAで生中継があったので、全体的な感想を簡単に。



大森将平は高校の先輩である向井寛史との対戦。
サウスポー対決は右リードの攻防でまさる者が有利、とはよく言われることですが、
全体的に、向井の右リードに苦しみ、ジャブの数で劣っていました。

しかし、少々強引な感じでしたが、左からの攻めで反撃し、パワーの差は明白。
2回から、上下に強打を散らし、遠い距離からでも当たるボディ攻撃。
3回、4回にレバーへのパンチでダウンを奪う。
向井の抵抗にあって、時折ヒットもされましたが有効打で圧倒、6回にストップでした。


大森は体格とパワーの差で圧倒はしましたが、ジャブを外せず、捨て身の抵抗を許し、
ここ数試合に見えた、相手との厳しい対峙の姿勢が、少々崩れていた、という印象が残りました。

高校の先輩である向井に、右ジャブの数で劣り、捨て身の抵抗を許していましたし、
力押しが勝ち、雑な攻防があり、普段見せている下半身の柔軟さや、そこから刻まれるリズムが
全体的に欠けていた感じでした。
このあたりは、大柄な大森が夏場の体重調整で苦しんだため、という見方もあるでしょう。


しかし、彼の将来を考えれば、ジャブの応酬の段階で、厳しい撥ね付け方を見たかったと思います。
ダイレクトの左から反撃出来たのは、彼の圧倒的な強さ故で、それはもちろん凄いのですが、
より強く、より巧く、鋭いであろう相手との、将来の対戦を思えば、というところです。

普通に見れば、若い日本王者の初防衛戦としては充分な試合、勝ち星です。
しかし大森将平の試合を見るということは、普通よりも明らかにレベルが上の話なのです。
彼の素質、将来性が素晴らしいだけに、どうしてもそうなってしまいます。

来週に行われる、同級の最高峰にある二人のサウスポー(しかも特色が全く違う者同士)の対戦がありますが、
このようなレベルの試合が、将来的に大森が到達すべき次元であるとするならば、
昨夜の試合を、快勝とは言えないでしょう。大森本人が試合直後にそう断じていたとおりです。

しかし、逆に言えば、一気に注目度も上がり、周囲の状況も変わった中で、楽では無い相手に
不足を感じさせながらも勝利する、それは大森将平が大器であるがゆえ、でしょう。
彼の将来に対する期待は、変わらず大きなままです。また次の試合が楽しみですね。


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ライト級タイトルマッチは、関西の上位対決、それぞれに特徴のはっきり違った選手同士の、壮絶な試合でした。


徳永幸大は長身、リーチと強打が持ち味。しかし距離を厳しく維持出来ず、相手を引き込み過ぎる面あり。
鈴木悠平は能動的に動いて攻める積極性と、KO率6割の強打を持つが、後半のペースダウンが課題。

序盤、早々に鈴木が攻め込む。徳永は引き込んだり、右で釣ったりして左フックを合わせる。
鈴木が右クロスを再三当ててリード。中盤以降、徳永は左右のアッパーを増やし、徐々に挽回。
両者、激しい打撃戦を繰り広げ、場内は双方への声援が飛び交っていました。

終盤、ポイントは前半の貯金で鈴木ながら、徳永のクリーンヒットが増え、鈴木はダメージありあり、だが踏ん張る。
最終回、見るからに決壊寸前、という風だった鈴木が、懸命に構えて手を出していく。感動的な奮戦ぶり。
しかし徳永が左から右、まともに決まり、最後左をフォローすると、鈴木倒れ、立ち上がろうとするもかなわず。
激闘にふさわしい、壮絶なラストシーンでした。


当然ながらどんなボクサーも、強さと弱さを併せ持っているわけですが、両者がその全てをはっきり見せた試合でした。
それは当然、課題として残ったとも言えますが、己の強さを信じ、弱さを否定するために拳を振るう二人の戦士は、
終始堂々と闘い続け、その姿は、我々がボクシングに求めるなにごとかを、端的に表現してもいました。

終始迫力満点、スリリングな展開、そして結末。凄い試合でした。両者に拍手、感謝です。


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京都府立体育館島津アリーナは、昨年、村田諒太の試合を見に行って以来でしたが、
場内の入りは、平日、やや悪天候、そして会場の規模がやはり大きすぎるという面もあり、いまいちでした。
やはりもう少し入って欲しいなと思うところですが、仕方ない面もありましょう。

これは関西全体に言えることですが、どうしても中規模の会場がほしいところではありますね。
数百人の小会場や、劇場用の会場から、一気に5~6千人収容の大会場に飛んでしまって、その間が無い。
いわずもがなの後楽園や、名古屋の白鳥センチュリーホールのような、2~3千人規模の
手ごろな会場がほしいところですね。私が知らないだけで、良いところがあるのかもしれませんが。

しかし場内に駆けつけた観客の応援「濃度」とでもいいますか、それはけっこう高かったです。
試合が熱戦だったこともありましょうが、かなりの盛り上がりぶりでした。
次回以降の興行で、少しでも「口コミ」が広がって、もっとお客さんが来てくれたらいいですね。



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待望の檜舞台/来やがったなこの野郎(笑)/「敵ながら」/顔で笑って心で泣いて?(動画追加)

2015-09-14 13:31:47 | 話題あれこれ



ということで先週末ですが、とうとう待望の一戦が決まったと発表されました。
ミゲル・コットvsカネロ・アルバレスのビッグマッチのアンダーに、三浦隆司が出場。
相手は1位のメキシカン、フランシスコ・バルガス。





このファンマ・ロペスを倒した試合は、WOWOWで放送されたと思いますが、
見た目はぱっとしない(失礼)印象ながら、大柄で、見た目以上にパンチがあり、
無理押しの攻め方で、打たれつつも手数が出る。
時にパンチを繋ぐ「間」を変えて、相手の手を外してカウンターを取ったりもする。
粘り強そうですし、サウスポー相手だからどう、というのも見えない。
かなり手強くて、厄介なタイプですね。
当然あちらでも期待されているでしょうし、日本に招くのでは無くお出かけになったのもそのせいでしょう。

しかし、そういう強敵相手の試合こそ、三浦隆司が出向いていって闘うに相応しいものだ、とも言えます。

今の三浦は、それこそかつてヨネクラジムの松本清司トレーナーが語った
「世界中どこに行っても、倒して勝てるようなのを育てたい」という理想を実現しうるボクサーのひとりです。
全世界注目の大興行で、日本が誇る、誇りうる真の強者が、その実力を見せつける。
全てのボクシングファンにとって、まさに待望の一戦であり、今年の日本のボクシング界において、
もっとも重要な一戦である、と断じて良いものです。

おそらく一筋縄ではいかない相手であり、セルヒオ・トンプソン戦以上の激戦になるかもしれません。
しかし三浦隆司ならばきっと「やってくれる」でしょう!大いに期待します。
今から楽しみで仕方ないです。今年は秋から年末にかけて、いろいろ燃えますねー(^^)


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パナマからアンセルモ・モレノが来日
来やがったなこの野郎(^^)という感じです。

そういえば今、パナマには世界王者がいないんですね。
このレベルの先生というか、大師匠クラスのボクサーが、そういう状況を背負って
強い意気込みでかかってくるとなると、ますます容易ならざる試合になりそうですね。


ところで、奥さんがマネージャーとして帯同とあります。
確か離婚がどうした、裁判がどうした、というお話を聞いたような気がするんですが...
どうなったのですかね、その辺は。


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Numberのウェブに掲載された、昨日の試合についての記事。渋谷淳氏の手によるものです。

一番最後の記述は、上手いなぁ、の一語ですね。共感する部分もあります。
私の場合はもっと「嫌気」が勝ってますけども...。


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もう明後日に迫った、京都でのダブル日本タイトルマッチ。
井岡一翔の時期防衛戦の話のあと、毎度お馴染み「せやねん」でも取り上げられましたのでご紹介。
すぐに消しますのでお早めに。

先日のプレビュー番組で、長谷川穂積との対談がありましたが、そのおまけ部分。
大森が日本王座を獲った試合後、リング上から愛の告白をしましたが、その後の話が語られています。






いやはや、なんともかとも、哀しい結末が待っていたんですねぇ。
長谷川も、試合のこと以上に深く踏み込んでますが(笑)


それはさておき、本当に楽しみな試合がこれから続きますね。
内外ともに、まさしく豊穣の時が来ているのかもしれません。大いに楽しみたいと思っております。


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先日のプレビュー番組、第二回。動画紹介します。

長谷川との対談はますます盛り上がっています(笑)






最後の方、ちょっとだけしか取り上げられてませんが、徳永幸大と鈴木悠平の関西ライバル対決も
大いに注目ですね。長身の徳永、強打の鈴木、どちらが自分の持ち味を出せるかでしょう。


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「未来永劫」の記憶は残らず メイウェザー、49連勝で引退

2015-09-13 14:47:23 | フロイド・メイウェザー



ということで、生中継を見終えました。

アンドレ・ベルトの闘い方は、力及ばずではあっても、方向性としては正しいものだったと思います。
トレーナーにバージル・ハンターがついていたそうですが、なるほど一流の指導者というものは、
ボクサーをこれほど正しく導き、良き示唆をもって闘わせられるものなのだろうか、と感心しました。

踏み込んだ距離での相打ちで、より良い右の角度とタイミングを取って打ち勝つ、という以外に
あまり持ち味を感じなかったベルトですが、抜群の距離感と反射神経を持つフロイド・メイウェザーに対し、
強いが当たる確率が見込めない右を控え、速い左を多用して間を詰め、メイウェザーに楽をさせない試合運びは、
もちろん完全にとはいかずとも、これがメイウェザー攻略への、遠回りに見えて一番の近道である、という意味で
見ていて納得感のあるものでした。

メイウェザーは、格下(あくまで、メイウェザーと比べたら、ですが)の相手が、思いのほか
力んだ無理押しに出てくれないので、けっこうやりにくそうで、思うに任せない感じでもありました。
もちろん要所に巧技を見せ、最近の試合よりは力感の見える右カウンターを打っていましたが、
残念ながらベルトを止め、闘志を断ち切るほどではなく、得意の突き上げる左のカウンターも決まらず。
最終回の右アッパーは見事でしたが、追撃はならず、拍子木の音を聞くと踊り出す、お寒い締め括りでした。


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本人が言うには「引退」なんだそうですので、メイウェザーへの思うところを、ざっと振り返ってみます。


リッキー・ハットン戦までのメイウェザーはまだ、ボクシング界を代表する天才として、
その試合ぶりには説得力を感じましたが、一時引退というか休養を経てのファン・マヌエル・マルケス戦以降は、
カネロ戦のような大仕事はあったにせよ、基本的には「驚異的な才能を持つ、変わり種」の域を出ていなかったと思います。

例えばウェルター級史上最高、レナードよりも上と言われる「マンテキーヤ」ホセ・ナポレスと比較すると、
見る者の想像を超えた防御勘、速さや巧さは共通しても、やはりそれを防御というのを通り越した「保身」と
「自己顕示」にばかり使っている、という印象が拭えません。それは突き詰めてしまえば、メイウェザーの弱さなのでしょう。


中継終了後、ジョーさんが「メイウェザーはボクシングを誤った方向に進化させた」と語りましたが、ほぼ同感です。
ビジネス面のみならず、ボクシングの競技形態においても、おそらく様々な意味で、大きな揺り戻しが起こることでしょう。
そして、それを「ポスト・メイウェザー」の時代とするなら、その時代はもうすでに始まっていて、
その流れの中で彼が試合前からしきりに語っていた自賛の言葉は、遠からずその意味を失っていくことでしょう。

試合前のインタビューでの、空疎な言葉の数々や、Tシャツにプリントされた"THE BEST EVER"のロゴには、
正直、反発を通り越して、哀れみさえ感じました。
これだけの才能を持ち、大金を稼ぎ...しかし、彼のことを、過去のみならず未来永劫、最高のボクサーと
位置づける人はどのくらいいるのでしょう。私は、その中には入らない一人です。


とはいえ、過去にもあれこれつべこべ書いてきたように、過去の一定の時期においては、本格派とは言えずとも
ボクシングというものが生み出した、特異な才能の持ち主として、他では見られない希有なる天才性を、
彼自身のやり方で十全に表現して見せてくれました。
そのことに対しては、改めて敬意を払わねばならない、そう思わせてくれる存在でもありました。


あと、引退云々については、本当なら本当でいいし、翻意があるならそれもいいでしょう、という感じです。

ボクシングの歴史上で、未来永劫、最高のボクサーとして語られる資格がある者など、ごくごく少数です。
もちろん人ぞれぞれに意見があるにせよ、シュガー・レイ・ロビンソンとモハメド・アリは外せないでしょうが、
それ以外に何人のボクサーを取り上げることが許されるでしょうか。デュランでもアルゲリョでも厳しいでしょう。

そして、あともう一試合があろうがなかろうが、その中にフロイド・メイウェザーが入るとは、私には到底思えません。
どうなとしたらよろしい、という感じ、ですね。



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今回、中継終了後、ジョーさんが久々に、ボクシング批評家らしい仕事を(TVで)してくれましたね。
正直、中継自体は、高柳さんの実況が、注意力や集中に欠けた散漫なものでしたし
(最近、他のスポーツでも目に付きますが、試合中に何が起こっているかを無視して「お話」が優先されてしまう)、
今回のマッチメイクへの評も非常に甘く、どうにも見ていて気分の良い物ではありませんでした。

しかし、それまでいろいろ制限されていた部分もあったのか、試合終了後、言わずにおれないという風で
久々に往年のジョーさんを少し思い起こさせる「評」が聞けましたね。
もちろん賛意もあれば異見もあるんでしょうが、一応お金払って見てる番組なんですから、
視聴者向けの宣伝の体裁に従うばかりではなく、きちんとした「評論」があって然るべきです。

かつぐ神輿の言いなりになって、その筋立てに従うばかりの、阿呆な地上波の中継とは、
ひと味違うところを見せてもらいたい。そういう日頃の不満が、少しだけ解消されました。
これからも、この調子で頑張ってもらいたいものです。



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京都から世界へ(動画追加)/不安だけど注目/悪役、勝つ/勝負師の覚悟(笑)

2015-09-10 07:01:54 | 関西ボクシング


しばらくこれといってめぼしい試合も話題もなかったので、ついつい、更新をさぼっておりました。

しかしバンタムの日本、世界(アルファベット無しでも通るやつ)タイトルマッチも近づき、
またとりとめもなくあれこれとやっていきます。とりあえず話題と、動画をいくつか。


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大森将平、スパーリングでパートナーをダウン。好調らしいですね。

マイケル・ダスマリナスというのは、昨年、伊藤雅雪vs仲村正男戦の前座で
今度、石田匠に挑む木村隼人をダウンさせ、判定勝ちした強打のサウスポーです。
動きはやや重めながら、強打はなかなかのものがありました。

正直「仮想・向井寛史」としては、ちょっと持ち味が違うかな...というのはおいて、
パートナーとしては、手強い部類かと思うんですが、ものともしない感じですね。

言うてる間にもう来週です。GAORA生中継、関西ローカル深夜録画放送も決まり、
今、世界挑戦未経験者としては、関西では一番の注目選手でしょう。
当然、会場に足を運ぶ予定です。楽しみです。

昨夜放送されたプレビュー番組の動画を紹介しておきます。15分番組でした。
上記のスパーリングの様子は1分25秒くらいから。
当日、解説を務める長谷川穂積との対談もあります。
毎度の通りすぐ消しますので、お早めに。






※動画追加します。こちらは短いインタビュー。地元京都のUHF局、KBS京都で放送されたものです。
大森会長、園寿和さんのコメントもあります。






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で、バンタム級つながりでいえば、上は山中慎介vsアンセルモ・モレノの話になりますが、
下、というと感じ悪いので、未来の話、と表現するとして、こういう試合が決まりました

対戦相手は、世界レベルの高度な技巧を持つわけではないでしょうが、体力やパンチ力はかなりありそう。
そんな印象の相手ですが、デビュー戦のボクサー、しかも高校年代からプロに転じたボクサーが
今闘うにはかなり手強い相手のように思います。
かつて強打で鳴らしたドリアン・フランシスコを倒した映像を見ると、いかに相手が衰えていたとしても、
ことパワーに関しては一定の水準を超えているという感じでした。

率直に言って、あまり、賛成はしたくないマッチメイクではあります。
また、仮に勝って世界ランカーという肩書きを手にしても、内実が伴わないものだった場合、
その後のマッチメイクが、逆の意味で難しくなったりもしそうですしね。

果たして、丸田陽七太というボクサーが、そこまでの試練を乗り越えられる逸材なのかどうか。
期待していいのかどうかより、やはり不安や疑問が先に来ますが、どうしても注目もしてしまいますね。
なんとか良い形で、次へ繋がるような試合になってくれたらいいのですが。


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悪役俳優ボクサー、ランク入り初戦をKO勝ち

この選手の試合は直に何回か見てると思います。
けっこう長い選手ですが、引退したのかと思っていたら、元野球選手(独立リーグながらプロ)という
異色の経歴を持つ横川聡也を破って、ランキング入り。その次がこの日の試合でした。

以前、アポロジムを月亭八光が訪問する番組で、少年ボクサー達に混じって、明るく練習していたのを見ました。
それから数年経ってますが、年内のタイトル戦はともかくとして、まだまだ元気に頑張っているんですね。


ちなみに記事にある出演映画の予告編を見つけました。
後半の方に出てくる、殴り合いをしている人のうちのどれかだと思うんですが、私には判別がつきません...(^^;)







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さて、最後はオチ要員にご登場願います

何も知らんと読んだら、凄く格好いい勝負師の覚悟、ってな言葉ですね。
正直、私は、笑いを堪えることができないですが(笑)

この人達、基本的には、笑いのセンスの欠如甚だしく、二重三重の意味で「寒い」んですけど、
時々こうやって天然かまして、笑わせてくれるんですよね。困ったもんです。


しかし「敗者には言葉は無い」ですか。カッコイイー。
過去に、数々のややこしい展開を経て、相手に敗北を押しつけてきたこのお方
(実質、すでに7~8敗くらいしてますよね。もっとか)が言うと、実に味があって良いです。

本業には期待することは何一つないですが、また時々、こうやって笑わせてほしいものですね。
若社長の健闘に期待しますです、ハイ。


コメント (4)
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