非国民通信

ノーモア・コイズミ

悪いのは相手だとしても

2010-11-01 23:01:13 | ニュース

 前にいた会社で、とてもイヤな人がいました。まぁイヤな奴ぐらいはどこの職場にもいるもので、一口にイヤな奴と言っても千差万別ではありますが、そんな中でも「他人のミスを絶対にカバーしない」人がいたわけです。大方の仕事は担当者1人で処理されるものではなく、それぞれ上流の工程と下流の工程があったのですが、どこかしらミスをしてしまう人も出てきます。そんな時は前後の工程の人が処理をやり直したりミスを修正するなどして対応するのですが、しかるに件のイヤな奴は他人のミスを絶対にカバーしようとしないのです。

 もちろん上司の命令や個人的に親しい友人の頼みであるなら話は別なのですが、友人でもなければ上司でもない人からの協力依頼は絶対に受けません。本人に言わせれば「私のミスじゃないのに、なぜ私が対応しなくちゃいけないの!」とのこと。確かにそのイヤな奴自身はあまりミスがないようで、その点では本人に非がないにも関わらず、ヘマをやらかした他人のせいで仕事が増えてしまうともなれば少なからず不満を感じるところはあったのでしょう。とはいえ、いかに当人の仕事に瑕疵がなくとも「自分は悪くない」とばかりに非協力的な態度を貫かれては周りが困りますよね。「私は悪くない」と上手く周りにアピールできれば会社での評価は悪くないみたいですが、こういう人ってどう思いますか?

関係悪化「理由は中国側に」=民主・枝野氏(時事通信)

 民主党の枝野幸男幹事長代理は31日、岡山市で記者会見し、日中関係に関し「こじれている理由はひとえに中国サイドにある」と述べ、ハノイでの首脳会談を拒否した中国の対応を批判した。

 枝野氏は、尖閣諸島沖での漁船衝突事件に触れ「中国船が領海侵犯して日本の法に触れた」と強調。「日本側の事情なら打開の努力をするが、こちらが関係修復のために何かすべきだとは思わない」とも語った。

 さて、枝野がまた妄言を吐いています。曰く「こじれている理由はひとえに中国サイドにある」「日本側の事情なら打開の努力をするが、こちらが関係修復のために何かすべきだとは思わない」とか。この人が中国側からほとんど相手にされていないのは不幸中の幸いと言えますが、しかし政府与党の役職者としてこの発言はいかがなものでしょう。公式な首脳会談がドタキャンされて非公式な会合に切り替わった件に関しては中国側の対応に問題アリとしても、だからといって「私は悪くない」で済まされるものなのかどうかは考えてみるべきです。

 漁船衝突事件に関しても領海侵犯云々はあくまで日本の国内法、いわばローカルルールの話であって、そこに正当性があると思っているなら相手側にも理解してもらえるよう努める義務がありそうなものですし、仮に日本側が全面的に正しいとしても、「中国が悪いのだから日本側が何かすべきだとは思わない」などという態度でよいのでしょうか? 「私は悪くない」と自己の正当性を周りにアピールするのも結構ですが、それで解決する問題など何一つないわけです。枝野自身の保身なりパフォーマンスとしてならいざ知らず、相手が悪いのだからと何も行動しないというのなら、それこそ与党幹部としての責任を放棄する行為と言えます。

 似たような事例としては、北朝鮮の拉致問題と安倍晋三の関係が挙げられます。安倍晋三もまた北朝鮮が悪いと相手を罵りこそすれ、何もしようとはしませんでした。「こじれている理由はひとえに北朝鮮サイドにある」「日本側の事情なら打開の努力をするが、こちらが関係修復のために何かすべきだとは思わない」というわけですね。歴史的な関係から切り離して拉致問題だけを見るなら、確かに北朝鮮側に一方的な非のある問題ではありますが、しかし悪いのは北朝鮮であって日本のせいではないからと、何もしないことが果たしてプラスに作用したのでしょうか?

 恐ろしいことに拉致被害者の家族会と今なお最も親密な関係を保っている政治家は、拉致問題を何一つとして進展させることがなかった安倍晋三です。「悪いのは北朝鮮」だから「こちらが関係修復のために何かすべきだとは思わない」という考え方は、少なくとも家族会の間では通用しているようです。ことによると中国との外交問題も同様、「こじれている理由はひとえに中国サイドにある」から「こちらが関係修復のために何かすべきだとは思わない」みたいな考え方は世間一般に受け入れられがちなのかも知れません。枝野発言はそうした昨今の政治文化を象徴するものと言えます。外交関係の悪化から、政治や経済を初めとして多岐にわたる分野で不都合が生じたとしても「理由は中国側に」として政府の不作為が肯定されてしまうとしたら、それこそ国益が損なわれるというものなのですが。



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10 コメント

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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-11-01 23:23:03
否、むしろ耳を貸さないことが場面によっては求められてすらいるように見えるのが何とも言いようがないですね。
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Unknown (HANAKO)
2010-11-02 00:26:10
私もこの手に近いタイプに悩まされたものです。相手が非協力的だったり、こちらのミスをあげつらったりばかりだと余計こちらのミスが増えたり増えないまでもそれ自体たまった物ではないです。こういう感覚が政治に持ち込まれる社会に辟易します。



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Unknown (非国民通信管理人)
2010-11-02 11:03:17
>ノエルザブレイヴさん

 事態を後退させようとも、対話を拒否した方が国内的にはウケが良いくらいですからね。有権者ウケを重視して外交を蔑ろにする政治家も増えるばかりのような気がします。

>HANAKOさん

 組織として仕事をする上で、明らかにマイナスになっている人もいますよね。まぁ所詮は民間企業の片隅のことなら単に不愉快なだけですけれど、これが政治の場にまで及ぶと大変です。
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私も (Bill McCreary)
2010-11-02 14:43:24
拙ブログで何回も指摘しているとおり、安倍は首相だったとき横田夫妻に

>めぐみさんが生きている可能性は九九%ないが、政府としては”生きている”という前提で北に圧力をかけるから同調して欲しい

といったという話があります。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/e8830c1ef76351478c3e11357dd8d9d5

さらに増元照明氏にいたっては、

>ヘギョンさんと横田夫妻が面会するのは、めぐみさんと一緒に日本で面会するときだ。

とまで主張する始末で、これじゃあどうしようもありませんねという以上の話じゃありませんね安倍も増元氏も、よくぞここまでクズなことをいえるなと思いますが、要は北朝鮮というより朝鮮総連へのいやがらせをしたいだけでしょう。私は横田夫妻にも批判的ですが、これには彼女らを気の毒に思いました。

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/c8b2f591d178b44e37abc0e98bf492ec

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/eb222e2b6fbdf05cce2a968af55b2d54

で、こんどは民主党の政治家が中国相手ですもんねえ。強攻策とるなら、それでどれくらいやれるかを綿密に計算した上で(それだってしょっちゅうまちがえますが)やらなければならないんですが、民主党の強攻策は、後先のことを考えない場当たり的なやり方ですからね。知恵が足りません。
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Unknown (24)
2010-11-02 21:42:54
私が個人的に「ヘタレ左翼、ヘタレ右翼」と呼んでいる人たちがいます。口だけは達者で立派なことは言うけれど、いざ実行するとなるとモジモジして何もできない左翼・右翼的言動をする人たちです。それかポジショントークだけをし続けて何も行動しない人。
左右問わずこういう人たちは一定数いて、ほんとどれだけ多くの人が期待かけ、裏切られたのかと思います。

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Unknown (非国民通信管理人)
2010-11-02 23:16:44
>Bill McCrearyさん

 結局、国内向けのポイント稼ぎが優先で外向的な成果は蔑ろにされがちなんですよね。勇ましいことを主張して支持を集める政治家には事欠きませんけれど、その結果をどうするかまでは知恵が回っていないと言いますか……

>24さん

 まぁ私も何か運動を引っ張るようなことをしたわけでもないのでヘタレ左翼ということになりそうですが、とりあえずその人の行使できる権限の範囲も考慮に入れてやってください。市井の人間、少数政党の人間、野党の人間、与党の人間でそれぞれできることは異なりますから。
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日本と中国、どっちがマシか? (貝枝五郎)
2010-11-03 09:35:30
という問いは以前もたてましたが、
http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/c6966f621ff3f9b821937d3028500ba9/

世界汚職度調査によれば日本の方がマシな様子です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201010281525394

ただ、日中間の差異は量的なちがいにすぎず、質的なちがいはウヨクどものいうほどには無い様な気がします。あえていうなら、上記の記事と関連するであろう汚職というか賄賂に関する意識は、おそらく1000年くらいの歴史的時間軸でとらえても日中の間に差異があるとおもうのですが(『平家物語』の登場人物と『水滸伝』の登場人物を比較しても前者の方が後者ほどには賄賂を、すくなくとも表立っては容認しなかったと推測しますが)、そうした部分的な政治課題ではなく根本的な価値の基盤すなわち現代社会の基盤をなす人権思想が浸透している度合いという点では、日中間には質ではなく量の差しかない様な気がするんですが、貝枝の感じ方はまちがっていますでしょうか?
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Unknown (ノエルザブレイヴ)
2010-11-05 13:33:13
まあしかし実際は「悪いのは相手なのだからどんどん攻撃せよ。非礼や違反もためらうな。だって悪いのは相手なのだから。」とばかりに相手の悪さを免罪符にすることが求められるのでしょう。しかしそれは「愛国無罪」と大差ないのでは?
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もう少し思ったこと (ノエルザブレイヴ)
2010-11-06 15:28:54
相手が頭下げてくるまで何か言ったら負け、的な発想はかなり多そうです。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-11-06 18:44:14
>ノエルザブレイヴさん

 実利ではなく「勝ち負け」優先なんですよね。どのように問題を解決していくか、ではなく「どっちが悪いか」というレベルで物事が考えられている、これでは政治の役目を果たせているとは言い難いのですが、しかるに世論の求める方向はと言うと……
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