民主・前原氏、小沢マニフェスト批判…中央公論7月号で(読売新聞)
民主党の前原誠司副代表は、10日発売の月刊誌「中央公論」7月号誌上で、自民党の与謝野馨・前官房長官と対談した。
前原氏は小沢代表の下で昨夏の参院選公約としてまとめた「参院選マニフェスト」について、「仮にこのまま民主党が政権を取っても、まともな政権運営はできない」などと述べ、実現性に強い疑問を投げかけた。
(中略)
また「民主党が最もしてはいけないのは、国民に耳当たりのいいことばかり言い、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』となること。すぐに自民党に政権が返る。最悪だ」と述べ、参院選公約の抜本的見直しの必要性を強調した。
前原氏は7日にも、京都市内での会合で、農家への戸別所得補償制度について、「ばらまきだという批判があるが、私もそういう気持ちが強い」などと述べた。
例えばまぁ、小泉時代の自民党など民主集中制の徹底された組織ですと異論の許されないところもありまして、党執行部の方針に反した言動や行動をとると裏事情を暴露されて国策逮捕されたり、党から除名されたり、刺客を差し向けられたりもするわけです。で、そうした体制の対極にあるのが民主党でして、党及び党首の方針に公然と反旗を翻す人も目立つわけです。ちなみに国会では自民・公明連立政権ですが、私の地元は自・民・公明の3党連立体制、そのせいか自民党と対決する党本部の姿勢を地元の民主党議員が街頭演説でボロクソに叩いている光景も散見されます。
当面の目標を選挙に勝つこと、多数派になって自民党を第一党から追い落とすことに置くのなら、政策面で真っ向から対立する相手でも議席を取れる実力者である限りは自陣営に留めておきたい、そういうものなのかも知れません。日本会議の平沼赳夫なんぞと組もうという動きが民主党にはあるようですが、政策面の相違は留保して議会の半数を抑えることを優先するのなら、それも一つの手なのでしょう。しかしまぁ、敵将を後一歩のところまで追い詰めておきながら、味方の裏切りで瓦解する、そんなことにならなければいいのですが。
現状では前原のような世襲議員でもタレントでもない人間が自民党の中枢に入ることは難しいのでしょう。いかに政策面で自民党のそれと一致していたところで、やんごとなき5世議員から「前原のような貧乏人の小倅を自民党の幹部にはできないわなあ」と一蹴されて終わりでしょう。とは言え、勢力が衰えれば自民党の態度も和らぐもの、かつて追放した議員でも一部の地盤の強い議員を復党させようとしたように、なりふり構わぬ党勢の強化に努めることもあります。自民党が衆院でも第一党の座を失ったとき、自民党がプライドを捨てて世襲議員でもタレントでもない前原誠司を迎え入れることもあり得る話です。政策面での障壁はないわけですし。
そもそも、前原氏にとって望ましいのは民主党の勝利なのでしょうか? それとも自民党の勝利なのでしょうか? 自分の党が政権を握ることを選ぶなら前者ですが、自分の政策が実現されることを願うなら後者です。前原氏はどちらに世論を動かしたいのでしょうか? 今回の対談云々を見るに、意図しているのは後者のようです。「民主党(野党)には政権担当能力がない」=「政権担当能力があるのは自民党だけ」という出来合いの神話を今さらながらに力説しているわけですから。
「国民に耳当たりのいいことばかり言い」「やっぱりできません」となる可能性を前原氏は示唆します。しかるに小泉純一郎の例を思い起こすまでもなく、「国民に耳当たりのいいことばかり言い」その結果が伴わなくとも、有権者の支持が衰えるとは限りません。実態や不都合を他人のせいにする、悪者を作り上げる能力に長けていれば、有権者の多くはそれを信じてきました。だからこそ今まで政権交代が起こらなかったのだと、そう付け加えておきましょう。むしろ前原氏が恐れているのは、今の自民党の失墜に乗じて現執行体制のまま民主党が政権を取ってしまうこと、その掲げる政策が実行に移されてしまうことの方にありそうです。
一見すると巨額の予算が必要に見えますが(というより、そう見せようとしている人が多いわけですが)、0から捻出するわけではなく今まで捻出してきたモノの配分を変えるだけの話ですから、別に無茶なものでもありません。まぁ私自身は前原氏ら自民党支持層とは全く別の理由で農業助成には異論があるのですが、それは別の機会と言うことで。
細川政権で選挙が三回程度行われていたら自民党はバラバラになりその後政権の座に復活することはなかっただろうという分析があります。政権の座につくと沢山のうまみが手中に出来てまったく主張も中身も違う議員たちに党への結集力が働くのだということなんでしょう。
逆に言うと民主党も他の野党も政権の座に就いて数回の選挙を経てどうなるか。国民の選択がその度にどう変わっていくのか、先の長い話しを何度でもやっていってこその国の将来と云うことなんでしょう。
その長いスパンの中でどうなるんでしょう・・前原議員などの民主党議員と現政権与党の議員たちとの選挙区地盤の競合具合も選挙の強さもいろいろと分析しなければいけないのでしょう。当選してナンボの運命らしいですから。
農業助成の論説楽しみにしています。
では。
では。
いい悪いの問題はさておき、自民党の政治なんて、まさにその繰り返しだと思いますけどね。そんなことをいまさら語るところが、前原さんの甘いところというか、弱さなんでしょうね。
早くガラガラポンしてスッキリして欲しいんですが、結果的に新自由主義者対国家主義者の対決の構図にマスコミがデッチ上げてリベラルが弾き飛ばされそうで怖いって気もします
自民党の意のままになっていれば、結果的には前原氏の政策もほぼ実現されるわけでもありますしね。
>単純な者さん
政策は同じでも与党として見た場合と、野党として見た場合では、大きく違ってくるでしょうね。自民党支配の稀少な例外である細川政権に「if」があればという思いがないでもありません。その辺を考えればまずは政権を取ること、そのためには政策面で対立しても選挙で自民党と渡り合える有力議員は自陣営に、現状はそういう判断でしょうかね。
>Bill McCrearyさん
まぁ、生まれと育ちが自民党的でないだけで、それ以外は心の底から自民党議員ですから。それなのに自民党のやってきたことが見えていない、自分がわかっていないと言うことで……
>kamaさん
平沼新党(仮)との連携案もあるようですが、これが実現すると民主党側にも新自由主義と極右の二枚看板が揃ってしまいますから、下手をすれば新自由主義&国家主義の政党と新自由主義&国家主義の政党、この争いにもなりかねません。共倒れとか、漁夫の利があればいいのですが。
この記事で取り上げられた前原のはね上がりぶりが原因で、ついに民主党内から前原に離党勧告を突きつけた議員が出ましたね。
http://www.j-cast.com/2008/06/12021716.html
民主党にもまともなバランス感覚を持った議員がいるようです。前原に離党勧告した議員は、それぞれ旧社会党、旧新生党、民主党プロパーで、立場はさまざまなようです。
あとは、平沼赳夫一派と連携しようなどとする執行部の妄動にも、断乎として批判する人たちが現れてくれなければ困りますけどね。
小沢と平沼の連立政権なんて、今の福田康夫政権よりもっと期待できません。新自由主義は大して是正されず、改憲指向は逆に強まることでしょう。
こちらこそ、コメントありがとうございます。まぁ前原もさることながら平沼など党の支援がなくとも自力で当選できてしまうほど強固な集票力のある人物ですから、党執行部が原罪掲げる政策実現よりも選挙戦の勝利を優先するとなると、連携はあり得るのかも知れませんね。前原や平沼、こうした連中への対応によって民主党執行部が何に対して本気なのか、そこが見えてくるような気がします。