非国民通信

ノーモア・コイズミ

中の人などいない

2008-02-06 23:03:33 | ニュース

なまはげ「正しい暴れ方」 若者激減、ルール伝授難しく(朝日新聞)

 昨年の大みそか、秋田県男鹿市の旅館に乱入したなまはげは、東京在住の20歳の会社員が扮していた。酒を飲み過ぎた末、女性数人の体を触ったという。国の重要無形民俗文化財でもある伝統行事で、不祥事が起きたのはなぜか。再発防止策はあるのか。

(中略)

 ただセクハラまがいの行為は昔からあったそうだ。市内の女性に聞くと「おしりを触られた」といった話は数知れない。「なまはげさんに顔を覚えてもらえ」と、娘や嫁をなまはげの前に引っ張り出す家族もあった。

 こうしたふるまいが表面化しなかったのは、「行事の中のできごと。相手は酔ってもいるし、山神のなまはげによる戒めと納得してきた」(58歳女性)からのようだ。

(中略)

 「若かった頃、旅館の客の女子学生に触っても、文句を言われなかった」「少しぐらい触っても許された昔とは時代が違う」。率直な意見を交わした。「暴れ方のマニュアルを」との提案も出たが、「今回の問題は観光客相手に起きたことで、地域の人だけのなまはげとは別物」「青年に事前に注意しておけば、こんなことは起きなかった」という理由で見送られた。

(中略)

 〈なまはげ行事〉 起源はわからないが、200年ほど前からあったとされる神事。なまはげは家屋の内外で四股を踏み、大声を出す。四股は家の下の邪気を払うため、大声は家の中の邪気を払うためとされる。家の中で主人と向き合い、来年の豊作や豊漁をあらかじめ祝う問答を交わす。子どもや嫁には威圧的な口調で訓戒を与え、来年も来ると約束して山に帰る。

 微妙に話題というか問題になっているなまはげの事件です。とは言え人気のない場所にむりやり引きずり込むならいざ知らず、わざわざ人の集まる大浴場に白昼堂々乗り込むくらいはご愛敬? あんなごてごてした衣装では何か邪なことを考えても何も出来ないでしょうし、あんな藁の手袋をはめた手では、どこを触っても無意味のような? 手袋を外してからお触りに及んだのでしょうかね?

 それはさておき、長いので大幅に省略しましたが引用元の記事を読んでみますと、なまはげという伝統行事の性質そのものに問題があるのであって、たまたま欲情して浴場に乱入した若者の問題ではないようにも見えます。そもそも今回がたまたま問題になったのであって、昔からセクハラまがいと言いますか、セクハラそのものの行為はあったようですし。そしてセクハラを受け容れる土壌も。

 解説にある通りなまはげというものがイエを祝福し嫁と子供を戒めるものであるならば、それはまさしく家父長制の守護者のようなものです。その役目は「イエ」という枠組みを守る、家長と「女子供」の上下関係を強固にすることでしょうか。一方に対等に向き合い、一方には上から訓戒を与えることで、その主従関係を印象づけるわけです。そこで女性に対するセクハラや子供に対する恫喝など、その人の尊厳を公然と侵害してみせることで、権力関係をより露わにすることがなまはげに期待されてきた役割だったのでしょう。家族を守ることではなく、敢えてなまはげに犯させること、こうすることで上下関係を刷り込むのです。

 逃げ場のない閉鎖的な社会では、そうした権力関係も自然に受け容れられてきた、強いられるままに従うほかなかった、それゆえにセクハラがあっても問題にはならなかったのでしょう。ところが、逃げ場がある旅行客に対して痴漢行為に及んでしまったために、問題を覆い隠すことが出来なくなったのが今回の事件の真相ではないでしょうか?

 なまはげの「正しい暴れ方」って何なのでしょうか? セクハラが昔からあったなら、その禁止ではなさそうです。では何が? ならばセクハラ行為に及んでも問題にならない相手、泣き寝入りしてくれるであろう逃げ場のない相手を選ぶ目を養うことでしょうか? かつて「男たちは中学生ごろからなまはげについて回り、先輩のふるまいを体で覚えた」そうです。何を? セクハラしても問題にならない弱い立場の人間を覚えたのでしょうか? ムラの権力関係を覚えたのでしょうか?

 

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