光回線の強引勧誘に苦情増 クーリングオフ適用外が背景(朝日新聞)
インターネットの光通信サービスの契約を巡る消費者トラブルが増えている。「強引な勧誘を受けた」などの苦情相談が、全国の消費生活センターに2010年度は11月までで3500件を超え、前年度同期の約1.6倍。クーリングオフ(無条件解約)などを定めた特定商取引法が、契約代理店など電気通信事業者に適用されないことも、増加の背景にあるようだ。
昨年夏、埼玉県久喜市の男性会社員(42)宅に、光通信サービスの代理店を名乗る男性営業員が訪ねてきた。「いまだにADSLを使っているなんて。絶対に損はないから乗り換えて」。留守番をしていた母親(73)に契約を持ちかけた。「いりません」と言って帰らせても、週に3、4回来ては1、2時間も勧誘を続けたという。根負けした母親が息子名義で契約。男性は代理店に苦情を言い、契約解除したが、代理店契約を結んでいた通信会社にも苦情を言うと、「どこが問題なのかと、取り合わなかった」という。
光通信はインターネット回線の一つで、従来主流だったADSLに比べ、大容量のデータを高速で通信できる。動画や音声を送受信する機会が増えたことなどで需要が高まり、通信会社が直接販売するほか、通信会社と契約を結んだ代理店が戸別営業に回っている。同じ地域で多数の代理店が営業活動をするなど業者間競争が激しくなっている。
経済誌や就活本の類をいくら読んでも永遠に知ることはできないけれど、直近で就職活動をしたことがあれば簡単に気づくことと言うのも多いと思います。エコノミストやコンサルタントの類が「見ないで済ませる」「なかったことにする」代物には事欠きませんから。アホなコンサルの著書を鵜呑みにして、すっかり裸の王様になっている人もまた多いわけですけれど、そうこうしている間にも日本社会は経済を中心に着々と衰退を続けています。
さて光回線の強引な勧誘に苦情が増えているそうです。まぁ、そうなんでしょうね。何となくわかる気がします。だってほら、光回線の勧誘をする仕事の求人って恐ろしく多いですから。あれだけ盛んに求人を出している業種であるなら、その営業活動が活発であろうことは容易に想像が付きます。業態としては「押し売り」と呼ぶのが実態を正しく伝えているのでしょうけれど、その辺の内実は丁寧に包み隠して至る所に求人が出ているわけです。以前にも同様に強引な勧誘が問題視されているマンション販売業を取り上げたことがありますが(参考)、それと比べても通信回線経の押し売りは求人が多いように見えます。かつてはタクシー業界が「雇用の受け皿」みたいに言われたものですが(実際に受け皿として機能したかははなはだ怪しいものです)、今「雇用の受け皿」と呼ばれるにふさわしいだけの求人を出しているのは、こうした押し売り・勧誘系のビジネスと言えそうです。そして勧誘系ビジネスの中でも特定商取引法の規制の適用外となる通信関連は、とりわけ営業活動にも採用に積極的になるのでしょう。
強引な勧誘を受ける側の人にとっては迷惑この上ないでしょうけれど、勧誘する側だって必死なんです。相手のニーズなど考えている場合じゃありません。とにかく契約を取らなければ自分のクビが危うい、こんな仕事でも続けざるを得ない、生きるためには人の心を捨てて戦闘機械にならなければならない、アフリカ辺りの紛争国の少年兵みたいな状況に置かれている労働者も多いはずです。他に選択肢があれば、こんな道を選ぶ人などほとんどいないと思いますが、「生きるためにはそれしかなかった」みたいな状況に追い込まれている人は増加の一途にあるのではないでしょうか。
学生に対して「中小へ目を向けよ」などと説くのが昨今の流行りですが、しかるに「採用に積極的な中小企業」の実態は決して語られることがありません。ではいったいどういう企業が積極的な採用姿勢を見せているのか、実際に求人を見てみると真っ先に目に付くのは、引用元でも問題視されているような勧誘系の職種、要するに押し売りだったりするわけです。人に迷惑をかける押し売りなんてやりたくないと、良心が咎めない真っ当な仕事を探せば採用は遠のき、選り好みするから悪いのだ、企業のせいにするなと説教されるのが現状であるにも関わらず、その一方で押し売りが迷惑がられているとしたら、もはや生きていてごめんなさいとでも言うほかなさそうです。。
ちなみに、この手の押し売りは、しばしば「コンサルティング営業」なんて触れ込みで求人が出されていたりします。私に言わせれば「コンサルw」といった風情ですけれど、アホなコンサルタントの妄言を鵜呑みにする人も後を絶たないことを見るに、それなりに「かっこいい言葉」として認識されているのかも知れません。しかし、コンサルタントの「中小に目を向けよ、中小は採用に積極的だ」という虚言を真に受けて、「採用に積極的」名業界に飛び込むと、「コンサルティング営業」として世に迷惑をかけ、当然のこととして疎まれる日々が待っているわけです。とんだお笑い種ですが、このお笑い種に否応なく付き合わされるのが日本の現状でもあります。
>
強引な勧誘を受ける側の人にとっては迷惑この上ないでしょうけれど、勧誘する側だって必死なんです。相手のニーズなど考えている場合じゃありません。とにかく契約を取らなければ自分のクビが危うい、こんな仕事でも続けざるを得ない、生きるためには人の心を捨てて戦闘機械にならなければならない、アフリカ辺りの紛争国の少年兵みたいな状況に置かれている労働者も多いはずです。他に選択肢があれば、こんな道を選ぶ人などほとんどいないと思いますが、「生きるためにはそれしかなかった」みたいな状況に追い込まれている人は増加の一途にあるのではないでしょうか。
けっきょくこういう話になっちゃうんですよね。こんな仕事、したくてしている人は多くないでしょうが、だからといってほかに見通しが多々なければとりあえずやるしかないですしねえ。それで露骨に嫌そうな声で断られる…。なーんか人ごとながら絶望的な気分になります。
人並みの給料で人間らしく働いて欲しい……。
欲張りな望みでしょうかね。
世論には逆らえないのか、と悲しくなります。
私の大事な人達も、こうした点では世論の味方であることが多いです。
失敗してもざまあみろ、では済まないのが辛い所です。
>紛争国の少年兵みたいな状況に
農家の3男で高卒で実家を追い出され、東京に流れ着いた人が上記の仕事をやっているのを見てしまったのでなんとも言えないです。
余談ですが、購入を勧めてくる時その人は笑みを浮かべていたのですが、正直気持ち悪かったです。容姿の問題などではなく、その時に浮かべていたのが心のこもっていない作ったような笑顔だったからです。相手に好印象を与える(私には逆効果でしたが。)ために上辺だけの笑顔を浮かべ、自分の保身のためにモノを必死に売る。一つの最悪な未来像を見た気がしました。
特にテレアポ営業なんかは派遣業界でも求人の多さが目立ちますし、この辺は今後とも増えていきそうな気がします。こんな仕事をやりたがる人は滅多にいないでしょうけれど、さりとて他に仕事はない、仕事を選り好みするなと迫れる時代ですから。
>頭痛の種さん
健康で文化的な生活や、良心が咎めない仕事を望むことさえ、この日本では高望みになりつつある気がしますね。自身ではそれを望んでも、他人がそれを望むのはワガママだと考える人も多そうですし。
>2823さん
特別な資格もキャリアもない人ができる仕事となると、どうしてもこの手の押し売りになってしまうのでしょうね。求人の段階ではマトモな仕事に見せておきながら、その内実は……という仕事ばかりでもあります。
>GXさん
きっと日本の誇るスマイルスキャンで笑顔の作り方も指定されているのでしょう。内心では毒づきながら作った笑顔を浮かべて不要なものを売りつける、売る方だってたまったものではないはずですが、それができなければ仕事を失うのですから酷いものです。
>ローリーさん
まぁ、それは採用時には重視されやすい、仕事で本当に必要な能力よりも重視されることがある能力ですから。
思えば、学生時代の就活なんかでも、積極的だったのは、商品先物取引業など怪しいといわれる企業でした。まあ、求人雑誌とかでも人の出入りが多い企業・業界ほど、切れ目なく掲載されているものです。
とはいえ、こういう企業が結果としてセーフティネット扱いされる状況は、御免被りたいものですが。
基本的に「採用に積極的」=「離職率が高くて絶えず人員補充の必要に迫られている」ですからね。大学新卒を中心に就職難が報道されることが多い中、数値だけを見て「採用に積極的」なところを奨める輩も後を絶ちませんが、その結果にも少しくらいは気を回して欲しいものです。
社長や部長が大卒なら受け入れやすいでしょうけど、就活中の学生の学歴が高いと一発で不採用ということはあり得ます。
社員の人数や人間関係も考慮しないと中小企業を受けることは危険だと経験上指摘します。
以前のエントリと関係しますが、聞けば最低限必要なことを教えてもらえる会社か、自力で何とかしなければならない会社に入社するかで自分の取るべき方法が変わります。