非国民通信

ノーモア・コイズミ

やはり社民と民主では政治的な方向性が違いすぎたと思う

2010-05-29 23:06:53 | ニュース

首相、福島氏の更迭を検討 署名に応じぬ場合 普天間(朝日新聞)

 鳩山由紀夫首相は27日、沖縄県名護市辺野古周辺を米軍普天間飛行場の移設先とする日米共同声明に反対している社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相について、説得が不調に終わった場合は更迭する方向で検討に入った。福島氏を更迭しても、直ちに社民党全体の連立政権離脱にはつながらないとの判断がある。

 首相は28日予定の日米共同声明の発表後の閣議で、声明を政府の方針として確認する文書に全閣僚の署名を得て、閣議了解としたい考えだ。

 だが、福島氏が署名を拒む姿勢を崩さないため、官邸内には「福島氏の更迭もやむを得ない」(首相周辺)との意見が広がっている。首相側近議員の一人は「社民党に弱腰なところを見せれば、政権の評価はますます落ちてしまう」と懸念しており、首相に更迭を進言。首相もこのままでは、福島氏の閣内残留は難しいとの判断に傾いている。

 さて、この後の続報で福島氏の更迭が発表されたわけですが、今後はどうなるのでしょうか。社民党内部でも連立維持か離脱かで揉めているようですし、前途は多難です。福島党首に関しては「民主党への妥協を拒んで政府与党から追い出されるか、民主党に妥協して福島瑞穂が社民党内で居場所を失うか、そのどっちかになりそう」と以前に書いたのですけれど、下手すれば「どっちか」ではなく「両方」になりそうな勢いでもあります。

 元より民主党と社民党とでは政策面で決定的な違いがある上に、亀井静香のような老獪さを持ち合わせた人材にも事欠く少数政党が現政権の中で生き残っていくのは無理があったような気もします。しかし、民主党も支持率の下落に歯止めがかからず、次の選挙で単独過半数がとれるかは疑わしいところです。もう一方の連立相手である国民新党も決して有権者から好かれてはいない、しかも社民党と同様に民主党とは政治的な方向性が根本的に異なる党ですから当てにはしにくいところでしょう。そうなると政策面で近い自民党、みんなの党や各種新党との連立も予想されます。

 国政しか見ていないとわかりにくいかも知れませんが、地方自治体レベルでは民主党系会派と自民党系会派の相乗りで首長を支えているところも多いです(京都辺りでは共産党vs自民&民主&公明&社民みたいな構図になることすらありますし)。民主と自民の連立などネット上の論者にしてみれば「あり得ない」ものに見えそうですが、地方の政治に密接に関わっている人からすれば実績十分の黄金タッグのようなものでしょう。まぁ連立先の最有力は「みんなの党」と「日本創新党(首長連合)」辺りと見ますが、とりあえず共産党以外だったらどことでも連立の可能性はあると思っておいた方が良さそうです。

 政局ごっこはさておき、「社民党に弱腰なところを見せれば、政権の評価はますます落ちてしまう」と発言した「側近」がいたそうです。そうですねぇ、政権交代以前から、アメリカ以外に弱腰なところを見せれば政権の評価が落ちる、とりわけ国内の反対派に弱腰なところを見せれば政権の評価が落ちる傾向にあったように思います。ですから現状分析としては間違った発言ではないのかも知れません。しかし、国内の反対勢力、与党内部で異論を唱える人を切り捨てることで「リーダーシップ」を見せつけるような手口は、いい加減に改めて欲しいところです。

 たぶん、官邸の決定に異議を唱えた人を抵抗勢力とでも呼んで、造反者を与党から除名する、ついでに次の選挙では刺客でも差し向けてやれば、有権者の中には「改革にかける断固たる決意」を感じてしまう人もいそうな気がします。有権者のウケを考えれば、政府内の反対意見に「毅然とした態度」を見せる方が得策であり、そうした政治手法の継続に疑問を感じていない人が現内閣にも多いのでしょう。

頭越しに徳之島反発「強行なら成田闘争以上に」(読売新聞)

 「頭越しで何をするのか」――。28日朝、日米両政府が発表した共同文書で、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設先として再び名護市辺野古が明記され、訓練の移転先には鹿児島県・徳之島も検討対象になった。

 地元の合意がないまま、鳩山首相が言う「5月末」の決着期限を達成するための見切り発車。2006年の日米合意とほとんど変わらない内容に、地元関係者は「できるはずがない」と強い反発の声を上げた。

 交渉の当事者であるはずの沖縄県には、記者発表と同時に防衛省から共同文書のファクスが届いただけ。ある幹部は「これはほぼ現行案ではないか。首相が来県した時、県内に残るのはごく一部のような言い方だったのに。どういうプロセスでこのような結果になったのか、政府にただしていきたい」と不快感を示した。

(中略)

 このほか、徳之島・天城町の大久幸助町長は「政府は地元の合意が大切といいながら、合意など全くない。絶対に受け入れられない」と強く反発。「私たち徳之島の3町長は、これでますます結束が強くなる。国策として移転を強行した場合、成田闘争以上になるだろう」とけん制した。

 閣内で異論を唱えた福島党首は更迭となりましたが、地元自治体、反対派住民に対してはどのような態度で望むことになるのでしょうか。既に右派や日刊ゲンダイのような翼賛紙には、こうした現地の反対派を貶めるような言動を取る傾向も見られますけれど、場合によっては政府与党もまた、そうした論調に荷担することもあるかも知れません。反対の声を上げている自治体首長や住民を悪者にすることで、むしろ意見を聞かないことが正義になる、そうしたカイカク的手法が沖縄と徳之島にも向けられる可能性は否定できないところまで来ているような気がします。

 

 ←応援よろしくお願いします


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鳩山の基本姿勢 | トップ | 働かせるのは楽ではないらしい »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>意見を聞かないことが正義 (Bill McCreary)
2010-05-30 14:20:38
>反対の声を上げている自治体首長や住民を悪者にすることで、むしろ意見を聞かないことが正義になる、そうしたカイカク的手法が沖縄と徳之島にも向けられる可能性は否定できないところまで来ているような気がします。

私も残念ながらそうなってしまう可能性があろうかと思います。ある意味そうやって無理を通すのが一番安易かつ容易な方法でしょうから。ていいますか、鳩山氏が本気で沖縄県外の移転を考えていたかもどうかというくらいですから、ある意味なるべくしてこうなったと理解するのが妥当でしょう。で、私も「やっぱり」くらいしか感慨はありません。
Unknown (伊東勉)
2010-05-30 20:26:03
 この意見を見て馬鹿正直に思った事いいます。

 事あるごとに「お前が動くから俺たちの力つかないじゃないか」(比喩的表現)と言い続け、いたぶってくれた連中に。
 「それでもあなたたちは“力(だけ)貸してくれ”といいますか」
 「あなた方は今、俺らにかける言葉ありますか」

 …○○○○寸前にまで追い込んでくれたお礼に聞いてみたいですね。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-05-30 21:57:26
>Bill McCrearyさん

 実績抜群の方法ですし、ネット上の各党支持層はともかくとして、選挙戦の体制を左右する「無党派層」の多くは、そうした方法に肯定的だと思うんですよね。公務員/官僚とか、社会的に「悪玉」と見なされている相手であれば、もう何でもありですから。

>伊東勉さん

 結局、「自民党ではない」というだけの党に期待を集めてもどうにもならないんですよね。もうちょっと、その党が将来を託すに足る方向性を持っているか、今までどういう政策を唱え、どんな決議に賛成/反対してきたか、その辺が考慮されるようであって欲しかったところです。今となっては、と言うところがないでもありませんが……

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ニュース」カテゴリの最新記事