前原外相に進退論 外国人から献金受領 4年で20万円(朝日新聞)
前原誠司外相は4日の参院予算委員会で、京都市内の在日韓国人の女性から政治献金を受け取っていたことを明らかにした。政治資金規正法は外国人からの寄付を禁じており、献金を受けた経緯や前原氏側の認識次第では同法違反の罰則にも問われかねない。自民、公明両党は外相辞任を要求し、民主党内からも辞任論が出はじめた。進退問題に発展する可能性もある。
なにやら前原が「外国人」から献金を受け取っていたとかで新たな火種になっているようです。中身はと言えば4年間で20万円という慎ましい個人献金ですが、かつて「(二階俊博の方が献金額が大きいのに)小沢が責められるのはおかしい」と奇々怪々な主張を繰り広げていた人は、この金額の「慎ましさ」を前に何を思うのでしょうか。まぁ、世間一般では「外国人」から金を受け取ったことが大きく取り沙汰されているわけです。ダメなものはダメという決まりなのでしょうけれど、所詮は個人の献金ですから特定の団体や組織あるいは企業から金銭を受け取るよりは危惧すべき点は少ないようにも思われます。それでも「外国人」などとんでもないと、そういう感覚が根強いのでしょうね。
今回のケース、前原は相手が外国籍と知った上で受け取っていたようですから既存の法を公然と無視したという点では非難の余地はありますが、じゃぁ今後は個人献金を受ける際には「おまえは日本人か!」と相手の国籍を確認しなければならないとしたら、それもまた世知辛いものです。法人や組織と関わりを持つなら取引先の信用調査をするぐらいは常識でしょうけれど、個人の場合にはどこまで踏み込むべきなのか、大富豪が1人で巨額の資金を提供するならいざ知らず、さしたる影響力など行使できるはずもない個人献金レベルの話です。日本人であるかを問うて神経質に「外国人」を排除しなければならないのか、その辺は問われてしかるべきでしょう。
上で軽く触れたように個人と法人、私人と組織・団体では意味合いも大きく異なってきます。概ね前者には融通を利かせ、後者には厳格にというのが妥当なところと思われますが、昨今の日本社会の情勢を見るに、むしろ外国の影響が強まった方がずっとマシなのではないかという気がしないでもありません。しばしばグローバル化への批判、昨今ではTPP批判の文脈の中で諸外国は「日本を脅かす侵略者」のごとく位置づけられがちですけれど、でも日本の企業や政治って、そこまでして守るべきものなのかと疑問に感じるわけです。いっそのこと外国のそれに置き換えられた方がマシではないか、少なくとも今より酷くなることはないのではないか――その辺は極論であるにせよ、あまりに「外国人」あるいは「外国」の進出を警戒するのは弊害ばかりが多いのではないかと思います。
高島部屋に所属していた元幕下・大天霄(だいてんしょう)こと、高山健氏(旧名:ノロジンハンド・アユルザナ=26)が、無断で出された引退届により解雇されたとして、解雇無効確認や給与支払いを求めた仮処分申請について、東京地裁(伊良原恵吾裁判官)が日本相撲協会に対し、3月から2カ月ごとに15万円(場所手当相当)の支払いを命じる決定を、2月25日に出していたことが分かった。代理人は「解雇無効が認められず、支払額も請求の一部にとどまった」として、即時抗告などをする方針を明らかにした。
大天霄は01年3月場所で初土俵。最高位は関取目前の幕下7枚目まで昇進したが、10年7月場所限りで、本人の合意なく、師匠の高島親方(元関脇・高望山)に引退届けを提出されたと主張している。最後の場所の番付は幕下10枚目だった。
モンゴル出身の大天霄は09年11月に日本国籍を取得している。相撲界には外国人枠が存在する。かつては、1部屋2人以内、全体で40人以内の規定であった。これが、02年に40人枠が撤廃され、1部屋1人に変更された(変更時点で1部屋2人いた場合は可)。ところが、複数の外国人力士を所属させるため、親方が半ば強制的に帰化させる例が後を絶たなかった。大天霄もそのケースと思われる。この現状を是正するため、10年2月に外国人力士枠が外国出身力士枠に変更され、外国出身力士は帰化者を含め1部屋1人のみとされた。これにより、大天霄らが帰化までした意味はなくなった。
高島部屋には大天霄をクビにした直後の10年9月に、モンゴル出身の10代の青年が入門。この青年はいまだ新弟子検査を受けていないもようで、大天霄との関連性は不明。だが、外国出身力士が1人しか在籍できないため、高島親方が大天霄を切って、この青年を選択したと見る向きもある。
さて暴行致死はともかく八百長は大問題という「国技」の世界では、こういう事例もあるようです。「(外国人が)日本人と同等の権利が欲しいのなら、日本に帰化すべきだ」と言い放つ手合いには事欠きませんけれど、今度は帰化したところで「出身国」による差別が待っているのですから世話はないです。結局、日本国籍を取得したところで国外にルーツがあれば差別の対象とされる、それは角界に限らず、政界や一般社会全般でも同様ではないでしょうか。「外国人」からの献金をことさらに問題視している人の大半は、その「外国人」が日本国籍を取得したところで決して態度を変えることはない、また新たな非難の口実を見つけてくるはずです。
>事欠きませんけれど、今度は帰化したところで「出身国」による差別が待っているのですから世話はないです。
>結局、日本国籍を取得したところで国外にルーツがあれば差別の対象とされる、それは角界に限らず、
>政界や一般社会全般でも同様ではないでしょうか。「外国人」からの献金をことさらに問題視している人の大半は、
>その「外国人」が日本国籍を取得したところで決して態度を変えることはない、
>また新たな非難の口実を見つけてくるはずです。
これのど真ん中を行く行動を実際に平沼がやりましたよね。
「もともと日本人じゃない」 平沼氏、蓮舫氏を批判
ttp://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011801000285.html
事業仕分けの是非はともかく、このときの平沼の発言はまさに「日本人と同等の権利が欲しいのなら、日本に帰化すべきだ」
というお決まりの主張が方便に過ぎず、日本国籍を取得したところで民族の違いなどを理由に非難することの証左でしたよね。
それでいて、小池百合子なんかそうでしたが、出自どころか「反日日本人」なんてことまで言い出します。小池は、「事業仕分けは中国による日本弱体化工作」といってました。もっとすごいことに、「朝鮮学校のみならず日教組が強い学校も無償化するな」ともいっています。
小沢支持の知人のなかにも、「慎ましすぎるぐらい」なので、しかも朝鮮人差別はよくないと言い切っている人はいます。「殴られたら殴り返す」式の支持者が多数派でないことを祈るばかりです。
>この現状を是正するため、10年2月に外国人力士枠が外国出身力士枠に変更され、外国出身力士は帰化者を含め1部屋1人のみとされた。
これは明らかに事後法のたぐいでまずいんじゃないんですかね。とりあえず現状の力士については不問とするのが最低の措置でしょう。
鳩山由紀夫夫人でも、出自をどうこう言っているのはいますが、「学校や職場で他人の出自や国籍をあげつらって居心地が悪くなっても一生反省しない」類と見なせます。
年5万…このくらいの金額で日本の政治がどうこうなるわけじゃないし、純粋な個人献金・支持だったんでしょう。
でも自民党末期政権で、閣僚に同じことが発覚しても居直ったでしょうね。
ラモス瑠偉、呂比須ワグナー、三都主アレサンドロ、田中マルクス闘莉王といったブラジルからの帰化選手とは対照的に、李忠成には侮蔑的なことをいう輩は多いですね。
ラグビーは在住年数などで、出身国ではなく在住国の代表になれることがありますが、仮に韓国籍や中国籍の選手がラグビーの日本代表になったら、どんな反応が起きるやら?
まぁ今回の前原にせよ蓮舫にせよ、一刻も早く政界から遠ざかって欲しい連中ではありますが、往々にして見当違いの理由で攻撃されていますよね。あの事業仕分け自体が十二分に非難に値する、政治家としての資質を疑わせるものであったはずですが、「日本人じゃない」と持ち出す辺りが日本の政治の水準を示しています。
>ノエルザブレイヴさん
一部の台湾人や、アメリカ人辺りからの献金であったなら、周囲の反応も少なからず変わってくる気がしますよね。「外国人」でも国次第……
>ルーピーさん
私なぞ「愛国」な人に言わせれば、その辺の外国人よりも遙かに「反日」でしょうからね。今回は「外国人」の寄付だからと問題視されていますが、組合からの寄付と同じようなロジックで嫌悪されているフシがありそうです。
>Bill McCrearyさん
イタリアのサッカーリーグでは外国籍選手の制限が割と厳しかったりしますが、制限強化よりも前に契約していた選手に関しては例外扱いだったりします。それくらいの救済措置は執らないと人権侵害に当たると思うのですが、「国技」の世界は冷淡ですよね。
>不肖の弟子さん
なんだかTPPそのものの弊害より、TPP反対の中で変にナショナリズムや排外主義が盛り上がってしまうことの方が、私には懸念されるんですよね。
>十三湊淳之介さん
国民レベルではともかく、政府側の「異文化」の扱いに関してはロシアに一日の長がありそうな気がしますね。しかるに権利を求めるのなら国籍を取得せよと説き、国籍によって扱いを隔てる日本ではこの先どうなるでしょうか。外国籍の取得を理由に日本国籍及び権利を剥奪しようなんて動きが盛り上がってくるのではないかという気すらしてきます。
>あるみさん
金額の多寡はさておき、あくまで個人献金ですからね。特定企業や特定組織が影響力拡大を狙って献金したのとは、もうちょっと別枠で考えられても良さそうなものです。
>凡人69号さん
野球なんかでも、韓国・朝鮮にルーツを持つ「日本の選手」が数多く活躍していますけれど、そういう選手をことさらに悪く言う、ルーツを強調する人も多いですよね。この辺、一昔前はどうだったのでしょうか。
>往々にして見当違いの理由で攻撃されていますよね
ここに行き着いてしまうんですよね。どうも政治において考えと違う事態になることが多く、数少ない「望む結果」に至った時は過程がいまいち腑に落ちない、そういった傾向が続いているような気がします。