経済なんでも研究会

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巨大予算でも 低成長のワケ (下)

2022-12-28 08:00:16 | 予算
◇ これでは賃上げも難しい = 政府は22日、23年度の経済見通しを閣議了解した。それによると、実質GDP成長率は1.5%になる見通し。22年度の見込みは1.7%なので、やや鈍化することになる。理由は世界経済が減速するためだという。一方、民間調査機関の予測は平均で1.0%。年末に発表する政府の予測は、たいてい民間よりも高くなる。目いっぱい高く見積もらないと税収が伸びず、予算編成が困難になるからだ。

それでも成長率は1.5%だから、低成長から抜け出せない。22年度は140兆円、23年度は当初予算で114兆円。これだけの予算を組んでも低成長から抜け出せないのは、予算のなかに成長を積極的に刺激する費目が少なすぎるからに他ならない。工場の修理をするとき屋根や壁ばかりを綺麗にして、肝心の設備にはカネをかけない。見栄えはよくなるが、これでは経営はよくならない。

政府の経済見通しが低成長だと、企業の経営者は将来に確信を持てない。だから一部の大企業を除けば、設備投資や人件費を大幅に増やすことには躊躇してしまう。エネルギーや原材料費が高騰しているから、特に中小企業は賃上げするだけの余裕がない。政府や経団連が「賃上げを」と叫んでも、好循環が始まらないのはこのためだ。

社会保障費などの自然増や防衛費の増額などで、予算編成が苦しいことはよく理解できる。そこで、この際は「選択と集中」に専念する。たとえば5兆円ぐらいの予算を投じて、蓄電池の研究・開発に全力を挙げる。次世代型の電池を大量生産できるようになれば、再生可能エネルギーやEVの普及が促進される。近い将来「電池は日本製に限る」という評判になれば、輸出産業の軸にもなる。そういう展望が開けば、成長率も上昇する。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +42.00円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫


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