経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

落日の 太陽光発電 (中)

2019-11-28 07:41:58 | エネルギー
◇ 家庭では採算がとれない? = 小規模事業者・家庭に対しては、従来通りのFIT(強制買い取り制度)が継続される。ところが大規模事業者の場合は契約期間が20年なのに、小規模・家庭の契約期間は10年と設定されていた。このため小規模・家庭の太陽光発電は、ことしから順次FITが適用されなくなってしまう。たとえば10年前から1㌔㍗時=42円で電力会社が買い取ってくれた家庭は、今後7-8円でしか売れなくなる見通しだ。しかも主客が転倒し、今後は価格設定権も電力会社に握られる。

家庭の太陽光発電で、ことし中に契約切れとなるのは53万件。23年まででは165万件。すべてが契約切れになると700万㌔㍗、原発7基分にのぼる発電設備が、約束された売り先を失うことになる。こんな状況のなかで、新規に発電パネルを設置する家庭があるのだろうか。いまの経産省の方針が法制化されると、家庭の太陽光発電は全滅してしまう危険がある。

ことし日本は、台風や大雨で大きな被害を受けた。山肌の狭い土地や家屋の屋根に設置した発電パネルも、吹き飛ばされたりしている。ところが発電能力が50㌔㍗以下の小規模事業者には、被害を報告する義務がない。このため経産省は、被害の状況を知ることが出来ず、対策も講じられない。これもFITを導入した当時、小規模発電の普及を急ぐあまりに経産省がそれまでの「発電能力20㌔㍗以下」だった報告義務を50㌔㍗に引き上げた結果だ。

経産省はFITを導入した12年当時、あまりにも普及の促進ばかりを重視した。その結果、電気料金が上がり過ぎると、こんどは料金の値上がり抑制ばかりを考えている。これでは大規模事業者も小規模・家庭も、太陽光発電を増やす意欲を失ってしまうのではないか。そして、その根底には、責任官庁である経産省がエネルギー計画を作成できずにいるという重大な欠陥が隠れている。

                             (続きは明日)

       ≪27日の日経平均 = 上げ +64.45円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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