1
いずれ、死ぬんだよね。そうだよ、死ぬんだよ。
2
長く長く生きてきたから、いつ死んでも、文句は言えないよね。
3
長く長くお守りを頂きました。有り難うございました、を言うだけだよね。
4
うん、それでいいんだよね。それ以上はないよね。
5
でもよくまあ、今日の日まで生きて来られたね。
6
生きていいだけのあらゆる条件を完備してもらっていたから生きて来られたんだよね。
7
ここまで来る間には、条件が不備になるときも数々あっただろうけどね。
8
「もうダメです、手を尽くしましたがどうにもなりません、死んで下さい」って時も、あっただろうね、何度も。
9
それがそうならなかった。助けが入った。死なずに済んだ。上手い具合にそこをジャンプできた。
10
助けに入った主体者・行為主がはっきり存在していたんだろうか。
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ただ単に偶然が重なっただけだったんだろうか。そんなことってあるのかなあ。
12
1000000000の偶然が一つ残らず完璧にそろって提供されたなんて! 考えにくいよね。
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うん、考えにくい。
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では、どうしてそれだけ、「あなたは生きなさい」ということになったんだろうね。
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わたしが生きていけるだけの条件整備が、どうしてそこでもここでも、千回も万回も、なされたんだろうか。
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そらや、聞いてみないと分からないよ。
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誰に聞くんだい?
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さあ、誰に聞いたらいいんだろうかね。
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いずれ、死んだ後になったら分かるかも知れない。
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分かったら感動するよね。泣き出すよね。
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うん、感極まって泣き出すよね。
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それだけ一生涯、生まれてから死ぬまでずっと、いっさい手を抜かずに、わたしが大事に大事にされて来た、その事実の歴史を確認できたら。
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そのあたりの秘密事項、シークレット、手の内を明かされることがあったら?
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そりゃ、泣き出すよね。わんわん、わんわん声を振り絞って。
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「そこまでこのわたしに愛情をかけてもらっていたのですね」「何にも知らずに申し訳のないことでした」を何度も繰り返すだろうね。
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いずれ、そういうことが分かるんだろうね。
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死ぬってことは、だったら、それほどまでに厭うべきことでもないのかもしれない。
28
未来が明るくなって来たよ。