アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

2月文楽 国立劇場 天網島時雨炬燵

2006年02月22日 | 文楽

第3部 『天網島時雨炬燵(てんのあみじましぐれのこたつ)』

文楽って、氷上のチェス”カーリング”(トリノってますな~)
見る前は「よく判らんし、チンタラしてんのちゃうん」
見出したら「なんでか釘付け」
ジックリ!HOTに!エエやないかいな。
オバチャンプレーヤーもおるで!

今日もぎょ~さんの人が来てる。
若い人増えたなぁ~。オジサン達もっ!
奥村書店』の若旦那発見!
 ※ 歌舞伎座のご近所にある古本屋 → 奥村書店HP
   大旦那(勝手に名付けた)は、いつも小唄のようなものを口ずさんでいる。
   古い写真も売ってます!品揃えも充実。エエ本屋です。


『天網島時雨炬燵』は近松の『心中天網島』の改作。
何故そうしたか?その事情はイヤホンガイドで…
アチャ~借りへんかった。聞いた人教えて下さい~。
『心中天網島』観たことあるけど、
”違いが判る”(byネスカフェ・ゴールドブレンド)にはならんやろなぁ…。

北新地河庄の段

大坂はキタ、曽根崎新地

 
「ヤ小春様か、なんといの。気色も悪いか顔も細り、
 いかうやつれさんしたなう。」

『曽根崎心中』に続いて、またここでも!言われてみたいわ~。

遊女小春にご執心な江戸屋太兵衛。
金にものを言わせて恋人・紙屋治兵衛との仲を裂いた。
ルンルンで茶屋河庄にやってきた太兵衛と相棒善六。
「毛虫!嫌い!今日のお客は侍や。あっち行ってんか」
小春に言われてんのに、

  「ヤ侍客ぢや。侍なんぢやいなんぢやい、
   へヽなんの刀差すか差さんか、侍も町人も客は客ぢやわい。
   なんぼ差しても五本六本は差すまいし、よう差して刀脇差たつた二本ぢやい。
   (略)二本差が怖けりやなあ、フン田楽屋の門を通れんぢやないかい」

箒を三味線に見立ててベンベンやり出したで~。
お客さん、笑えよ~(by横山たかし ひろし)

でも、ズズンっ!とやって来た侍に、恐れをなして逃げよった。
吉田玉女っ!男っぷりが上がったな!(人形を見ろ~)

竹本住大夫&野澤錦糸
「待ってました!住大夫!」声も掛かった。拍手もデカイ!

 √ 天満に、年経(ふ)る千早振る、神にはあらぬ紙様と、
   世の鰐口に乗るばかり。小春に深く、大幣(おおぬさ)の、
   腐り合ふたる御注連縄。
   今は結ぶの水無月、堰かれて逢はれぬ身となり果て、
   哀れ逢瀬の首尾あらば、それをふたりが最期日と、名残の文の云ひ交はし、
   毎夜々々の死に覚悟。魂抜けてとぼとぼうかうか、身を焦がす。

「天満のイーイーイーイ年経る千早振る」までを時代物のように語れと、
先代喜左衛門師匠に教えてもらいました。
「神ににはあらぬ紙様と~」からコロッと
本来の世話物語り口調に変えないかんのです。
大夫だけではなく、三味線もここで雰囲気を変えて弾きます。
(「
文楽のこころを語る」)

そ、そんな所まで聴いてなかった…すんまっせん m(_ _)m 

小春は侍に「心中しないでイイ方法」を尋ねたりなんかする。
「クッソー騙しやがったなー!」店の外で聞いていた治兵衛、
思わず脇差を店の中へブスッッッ!!!
アララ、侍に縛られても~た。

河庄』(歌舞伎)のセットと違う!
格子窓が客席から丸見え~。
だから、治兵衛は後ろ姿。おまぬけなお尻やわ~。クックックッ。

下手サイドブロックからは、
その裏で喋ってる河庄亭主(玉勢)が見えんかった…(ガックシ…)

身動きとれない治兵衛~。
通り掛かった恋敵の太兵衛にいじめられる。
あ~情けない声やなぁ。治兵衛さん。

侍は治兵衛の兄孫右衛門やったっ!
交わした起請を焼いてくれ!と兄に頼む。
小春の懐に入っている起請の中から、ポロ…と
「小春様参る 紙屋内」
ギョッッ!目と目を合わせる小春と孫右衛門!
な~んも知らん治兵衛。
ギャ~ギャ~喚いて、小春を蹴飛ばし去ってった…。
ほんま治兵衛って!(アホっ)

 √ 『ハッ』とばかりに泣き別れ
   帰る姿も痛々しく
   跡を見送り声を上げ、嘆く小春も惨らしき
   不心中か心中か、真の心は女房のそのひと筆の
   奥深き誰が文も見ぬ恋の道
   別れてこそは立ち帰る

住大夫の声って、桜餅(関東でいう道明寺のことね)!
ごちそーサマでした!!
いや~円広志来ぃへんかったで!ヤッホ~!

ハタと気がついたんやけど、
この上方の空気、”こってりしてんのに風通しがエエ”ってやつ。
これを伝えてくれるのは、年代的に住大夫で終わりなんや…。
歌舞伎では、二代目鴈治郎で終わってるから(そう思うねん私は)
体感できるのは”文楽”でだけやっっっ!!
今までは子守唄になってたけど、
これからは、住大夫を大切に聞こー!(遅ッ!)

天満紙屋内の段

炬燵の中で泣いてる治兵衛。
それを見た女房おさん♪恨み~ま~す♪(by中島みゆき)
「もうあいつとは関係ない。小春は太兵衛に見請けされるんや」
その一言に、おさんはガクガク~。
「小春さんが死んでしまう!!見請けの金、金、用意せな」
妻の手紙で小春が身を引いたと知った治兵衛は放心~。

男を巡って本妻と愛人がいがみ合ってる。
と思いきや、譲りあってんのかいな。

そんな所へドカスカやって来たのが、おさんの父。

  「女郎の誠とな、鬼瓦の笑ひ顔とはないものぢやぞよ。
  サア手短におさんに隙やりや。(略)
  サア誓紙の代わりに去り状書け。エヽあんだら臭い」

カチン!ときたおさんの話を聞いて、ビックリなのは観客。
なんと!この父親が、銀山投資で店の身代を傾けたんやと。
それを世間に洩らさない為の偽装工作が”治兵衛の茶屋遊び”!
おさんは、出掛けて行く姿を拝んでたっちゅーねんから…。

でも結局、父親に引っ張られて行ってしまった。
取り残された治兵衛の前に現れたのは小春!
2人に残された道は”心中”…。

娘お末がツルツル坊主(キュート!)でメーセジを持って帰ってきた。
父「150両やるから小春を請け出せ」
妻「娘と尼になるから、息子を頼む」
やっぱり、2人に残された道は”心中”~。

またまた恋敵・太兵衛が来た~!
揉み合っているうちにグッサリ…。
やっぱり、やっぱり、2人に残された道は”心中”~!

道行名残の橋尽くし

堀川橋から下を覗いて心残りを振り返る、治兵衛と小春。
死に場所求めて歩きだす。
アラ…『曽根崎心中』みたいに手繋いで…ないで。
お初&徳兵衛みたいに、若さでGO~!
そんなわけにいかんわなぁ。

    「後まで残る死に顔に、泣き顔残すな」
    「残さじ」
 √ と気を取り直しひと刃、抉(えぐ)る苦しさ暁の
   見果てぬ夢と消え果てたり

小春の喉を突き、ちょっと離れた所で、首吊りする治兵衛。
『心中天網島』と違う!
あっちでは、治兵衛の体がブラブラ揺れたのに~(幻想か?)

”近松の心中物”2本も上演する意味は何じゃろ~?
ちょっとくたびれたなぁ。
でも、まだまだ終わらん文楽month!
お次は、第1部に突撃~!

こちらもどうぞ → 人形遣い 吉田玉勢
           「河庄(歌舞伎)
                         

ルポレポはこちら  11日~26日 国立小劇場 

   第1部 「御所桜堀川夜討」 「関取千両幟」
   第2部 「小鍛冶」 「曽根崎心中
   第3部 「天網島時雨炬燵」    
  
      

おすすめ本はこちら
文楽に連れてって
文楽ざんまい」」「文楽のこころを語る」 
舞台宇宙の住人たち

イラストつきでおもろい解説 → 大入り!文楽手帖


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