紀伊国屋サザンシアター 8/21(木)
いや~観劇予算削減で、
観に行くのをあきらめたつもりが…。
広島、長崎、終戦。
この日を迎えると、いつもはあんまり気にしていない
心のトゲがひっかかる。
グイグイ引っ張られるようにポチっとー。
チケットまだあってよかったぁ。
闇に咲く花 こまつ座
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:石母田史朗/浅野雅博/辻萬長/
小林隆/石田圭祐/ 北川響/水村直也(g)/増子倭文江/
山本道子/藤本喜久子/井上薫/高島玲/眞中幸子
8/15~31 紀伊国屋サザンシアター
客電がほぼ落ちた頃、
下手脇から聞えるのはー。
ギターを弾く男。その名を加藤さん。
何かの祈願に、ず~っとああやってるらしい。
イイのよぉ、イイの。
その加藤さんの爪弾く音色が♪
さり気なく物語を包み込むギターが♪
昭和二十二年、夏、
東京神田の愛敬稲荷神社
お面が何十個もぶら下がってる。
冴えない髭モジャ男は宮司だね。
ドデカイお腹の女達がゾロゾロ。
闇米の買い付けに大成功~!
賽銭箱にドドド~っとその米をー。
敗戦から2年。
誰もが必死で生きてるって、
ひしひしと伝わってくる。
家に帰れば皆心配事ばかり。
でも明るい女性達。
華やかで、時々ちょいと色っぽい♪
戦争未亡人。
キャラ立ちもクッキリ!
ああ、気持ちイイ~♪
こういう舞台って好き♪
宮司の息子の幼馴染が帰還!
そうして、
伝説のエース投手、
死んだはずの宮司の息子健太郎も帰ってきた!
彼は記憶喪失になって、
アメリカで捕虜収容所に入っていたんだって。
偶然、野球をやったら記憶が戻って♪
ワッハワッハとおみくじ引いて、
幸せに浸る皆。
大笑いしながら泣かされてー。
でも、
その野球が彼の運命を翻弄する。
うう~ん。
投手と捕手が揃ってチームを作るのかも。
そう思ってたのに…。
グアムで、
健太郎とキャッチボール中に、
現地人が脳震盪を起した。
前後の繋がりを聞いたら、なんちゃないこと。
なのにそれが、拷問されたことになってる!
だからC級戦犯にー。
ふとした事で、
またまた記憶が消えた健太郎。
子供に戻ったまんまで生きるのか。
記憶を取り戻して逃げながら生きるのか。
幼馴染の精神科医の力で、
健太郎が正気に戻った!
戦争を忘れてはならない。
忘れたふりはなおいけない。
ウ…。痛いっっ。
63年後に生きてる私の胸に。
突き刺さるよ健太郎ー。
GHQも警官も、
見逃してやればイイじゃん!
でも、そうはしてくれなかった…。
健太郎はグアムで、
裁判にかけられ…処刑。
エエっっ!いくらなんでもッ!
まだ夏は終わらないー。
警官は神社に転職。
GHQは…退職して故郷に帰るんだって。
2人とも、
心の錘に耐えられなかったんだね、きっと。
神社は、道端の名も無い花なんだ。
清く明るくあらねばならない。
健太郎の言葉は皆の心に息づいてる…。
人も宗教も、国の下で己の役割を果たした。
ただそれだけ。
なのにモヤモヤしたものがくすぶってる。
それは、
戦争に勝った負けたの話しじゃないんだ…。
不幸なことがあったー
それがまるで嘘の様。
全て夢だったのでは…そう思ってしまうラスト。
でも…私達は忘れてはいけない。
忘れたふりはなおいけない。
『父と暮らせば』とは違う角度から、
井上ひさしが投げる球は、
やっぱり直球勝負じゃないんだけど、
いつの間にか、ストンと心に落ちてくる。
この世の中、イケイケドンドン!
そんなエンターテイメント演劇が、
ブイブイ幅を利かしてるし、そういうのって楽しい…。
演劇は歴史という人間の記憶を再現する装置であり、
人間や世界の醜い裏面を暴く。
ですから、わかりやすいだけでは解決などできない。
もともと回答の出ないものを探るために、
私たちは稽古場という演劇の現場に通っているのです。
パンフ(the座)で栗山民也がこう言ってた。
そうだった!
舞台からのメッセージを受け止めて、
自分の血や肉にするー。
そういう演劇が…大好きなんだっっ!
派手な音楽も、デッカイ映像も、場面転換もない。
ストーリーを支えるのは”台詞だけ”
滋味な演劇を支える、
文学座と青年座の若い俳優達が、
とってもジューシー♪ああ、眩しいぃ♪
詳しくは → こまつ座 こまつ座通信
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