アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

舞台宇宙の住人たち

2006年01月10日 | 

持田諒 著 惜水社 1890円

激しい動きをみせた弁慶の衣装や鬘や兜巾が
寸分も乱れていないことに気付く人はいないでしょう。
扮装への心配りを含んだ役者の名演技があったとしても、
ベテラン衣装方の着付の妙技や床山方の隠れた技に
思いを馳せる人はいないのではと思います。
「思われないこと」。「全てが役者の演技に吸収されていくこと」。
そのことを一番望んでいるのも又、職人の心の広さなのです。
それは、或る意味で”高度な創造意識”ともいえるのではないでしょうか。(序より)

この本は「日本芸術文化振興会ニュース」に9年余にわたり連載した
『舞台宇宙の住人たち』及び『舞台の風景』をまとめたもの。
そう、この”ニュース冊子”。
国立劇場の入口左と2階に置いてあるの。(他にもあるかも)
行くたびに、ついつい手が出る優れもの。
表紙のイラストも冴えてるヨ。
国立劇場のお楽しみグッズです!

そこに掲載されていた”舞台の風景”。
これまたお楽しみ~。
隼子さんと大阪から時々芝居を観に来る船代さんが、
仕事中の老棟梁を訪ねて舞台裏にやってくる。
ってところから始まる、これ毎回のお約束ね。
でもって、歌舞伎とか文楽について質問するんだ。
老棟梁は気難し屋でボソボソっと喋る。
その僅かな言葉にヘェ~ヘェ~ヘェ~。

本の帯の後ろ側見てみて~。41種類の職名ーっ!!
こ、こんなに”舞台宇宙の住人”っているわけー。ヒョエー!!
前半は彼等をクローズアップ。
マジでプロッッッ!!職人魂っっっ!!
上演中にヅラ飛んじゃダメだし、帯緩んじゃダメだし。
セットは倒れちゃダメだし、
転換だって時間通りにしないと何が起こるか判んない。
役者だけで演ってるように見えたりするけど、人様の命預かってるんだもんな。
スタッフあっての舞台でございます。

だから、宝塚歌劇で、先月フライング中に転落したタカちゃんは悲劇…。
卒業までのギアチェンジしたばかりだったのに…。
ライブショーは中止。ディナーショーも中止…。
その後、順調に回復しているのでしょーか…。

人はよ、理屈で生きているようで、
その実、とんでもねえ絵空事を受け入れて楽しむところがあるだろ。
俺は、これも、”間”の一つだと思うのさ。
”演技の間””装置や扮装の様式美にある間”
それによ、俺は、”想いの間”ってのがあるような気がするんだ。

”歌舞伎・文楽の一歩奥へ”ってなもんじゃ済まねぇぇ。
とーっても、広ーく、深ーく体感できるこの一冊。
国立劇場の売店でも売ってるよん。

ピカ~ッてスポット浴びるだけが人生じゃないね。 
”地道””裏街道””影法師”…。
地味でけけっこう!お~いにけっこう!(毛だらけ、ネコ灰だらけ)

文化ってのは”おふくろの子守り歌”だな。
将来どんな仕事で困難にあっても、心根にしみついて、舵をとってくれるからよ。

その他のおすすめ本はこちら
文楽ざんまい」 「文楽のこころを語る」 文楽に連れてって!


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