アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

文楽に連れてって!

2006年02月15日 | 

田中マリコ 著 青弓社 1680円

数ある文楽入門書の中で、なんと言っても一等お気に入りなのがこれ!
「文楽について知りたいっ!」と、初めて手に取ったのがこの本ナノダ。

著者の名は田中マリコ
彼女は知る人ぞ知る、宝塚歌劇の評論では、右に出る者なしの”オモロイ”人。
『宝塚アカデミア』では、何人かと分担している批評も、
『宝塚つむじマガジン』など、青弓社から出している(同じ出版社じゃ!)
数々の本は単独で!
ヅカのありったけをビシバシ叩いてくれるのよ~。
そこに”遠慮”という言葉はなし!
見つけてビックリ~!!
ヅカと文楽…どっか繋がる???
読んでビックリ~!!
突っ込み鋭く、アゴも鋭い(そりゃ吉本新喜劇の辻本やん!)
ノリも鋭いぃぃぃぃぃ!

竹本義太夫をジーザス・クライストと呼び、
彼が出逢った近松門左衛門が、
歌舞伎の座付き作家から、浄瑠璃にシフトした理由を
「近松さんは役者のアドリブが不満だったらしい」
(インタビューしたんかい!)
と思ったら、真面目に「虚実皮膜論」てのを教えてくれたりー。

今活躍中の大御所が、若かりし頃体験した2派分裂を
「ウエストサイド文楽物語」って言うー。

現在の文楽は、日本人が壮大な時間をかけて1つ1つ積みあげて
構築した日本文化によるサグラダ・ファミリア=聖家教会だったのだー。

写真つきで、大阪の郷土芸能を証す、座跡を紹介するのも忘れないー。
お次はこれ!

歌舞伎VS文楽
歌舞伎はスペイン語でいうとVIVA!だろう。
「生きる、生きてる」の意味である。
そして、人形浄瑠璃はANIMO!(アニモ)である。
「生命を与える」という意味で、生命を吹き込むアニメーション。
(文楽は”アトム”やねんて!)
歌舞伎は生きた人間だから当然エロスがある。
ところが人形は生身の性的な魅力に欠けるという致命傷をもつ。
歌舞伎は本能的な魅力(エロス)を単純に持ち合わせているから
ビギナーも入りやすいが、
文楽はビギナーが熱狂的に沸きあがりにくい面がある。

文楽は人間になれない人形だからこそ、
歌舞伎のようなVIVA!の魅力を超えた芸の神髄を追求しているともいえないか。
文楽は人形を人間として見せる必要があり、
三業それぞれに完璧な実力がそろって人形浄瑠璃である。
気を抜けばたちどころに木偶に戻る人形の虚構は、
門閥制度では支えられない。
実力がなければ誰それの息子というブランドなど役立たずでしかない。
花形技芸員の息子であったとしても、実力がなければ大成できないのである。
ひじょうに公平な世界だ。

ウヘェェェェ。
キッパリ!スッパリ!気持ちエエ!

「人形アラモード」と題して、伝説の人形師・大江巳之助のことから。
「もっと!文楽アラモード」では、阿波人形はなぜデカイのか、まで。
痒い所に手が届くだけやない。痒くない所にも手が届く~。
小難しい研究本読んでるより、トリビアの和泉気分~。
「玉男ちゃん”探偵ナイトスクープ”に出る!」にアッハッハッ!!

どこを開いても笑いが渦巻く”文楽へ連れてって!”
最後にツボをグリグリしてくれたのが
「謎の人形写真」(209頁)
それは…売店に…おんねん(怨念)…。
し…心霊…?
ちゃうちゃう~。
国立文楽劇場でしか見られへんねん。(行ってみてー)
こっちは”御堂筋パレード”の写真。デカッッッ(219頁)
いや~さっすが関西人!最後までコテコテやー。

文楽東京公演!
竹本住大夫文化功労者顕彰記念
2/11(土)~26(日)
 →国立劇場HP 

その他のおすすめ本はこちら
文楽ざんまい」 「舞台宇宙の住人たち」 「文楽のこころを語る


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