カナダの東海岸ノバスコシア州ケープ・ブレトン島。
グレースベイという町に、マギーの博物館はある。
そこに陳列してある物は、マギーの父や兄、
弟や夫が残した作業着や靴、道具など様々。
炭鉱の町で汗と闇と低賃金に喘ぎながら死んでいった人達。
2012年4月13日(金)
紀伊国屋サザンシアター 6列センター
マギーの博物館
作:シェルドン・カリー
脚本:ウェンディー・リル
訳:吉原豊司
演出:高橋清祐
スタッフ
装置:堀尾幸男
照明:中川隆一
衣裳:半田悦子
効果:岩田直行
キャスト
マギー・マクニール:日色ともゑ
キャサリン・マクニール:箕浦康子
イーアン・マクニール:みやざこ夏穂
じっちゃん:田口精一
ニール・カリー:千葉茂則
物語は1947年
マギーの夫となるニールとの出会いへ…。
ドジでのろまなカメ(by堀ちえみ)なマギー。
今日も来るか来ないか判らない唯一の友達を待って…。
ほら、ドライブインみたいな。よくアメリカ映画に出てくる。
ああいう所。なんていうのかな?喫茶店じゃないし…。
ボ~っとしている彼女の向かいに座ったのがニール。
ジャンボな男にちっこい女。まるで”チッチとサリー”
小さな恋のものがたりじゃないかいな♪(古っ!)
マギー役の日色ともゑは、幾つなんだあ?
チャーミングな乙女にしか見えない。
この日は台詞のトチリがあったり…他の人にも…。
こんな日もあるのね!なかなか波に乗れないのかも…。
そのせいか、私もグイっと前のめりになれないんだけど…。
バグパイプを抱えた戦争帰りのニールが、
マギーの家に転がり込んじゃった。
そこには、長年炭鉱労働で肺をやられたお爺ちゃんが。
家族との会話は筆記だっ。どうしたのかと思ったら、
喋ると咳き込むからって口を閉じてしまったんだって…。
やがて歩くこともなくなり、今じゃぁベットで寝たきり。
労働組合に未来を託すマギーの弟イーアンと、
働き者の母親の4人が暮らしてる。
質素な掘っ立て小屋の住人となったニール。
炭鉱の仕事を拒絶しながら毎日ブラブラ。
一家の大黒柱イーアンは、
食い扶持が1人増えて困っているはずなのに、
何も言わず黙々と働いてる。
”男は黙ってサッポロビール”ってやつなのか(また古っ!)
ニールの心の内が判っているのかもしれんなぁ。
ひたすらグチをこぼすのは母さんばかり。
ニールの吹くバグパイプの音に、
故郷スコットランドを思い出し、ニッコリ微笑むじっちゃん。
その楽器、見たことあるし、音も聞いたことあるけど…
だって、”キャンディキャンディ”のアンソニーが♪(またまた古っ!)
バグパイプを目の前で見たのは初めて!
なんだかへんてこな楽器だぁ。しかもデッカイ。
生音聞くのも初めて!バカ高いぃぃ!!
肺活量がめちゃくちゃ要りそうだぁ。
でもなんとも言えず不思議な音色。
マギーとニールが海岸でイイムードになってる時…
劇場が揺れたッッ!!グヲォォオオ~!
地震だぁああ。なんちゅうこっちゃぁああ。
去年の4月11日。東日本大震災から1ヶ月目のあの日、
劇場で芝居なんて観る気になれない。そんな心を奮い立たせて、
この紀伊国屋サザンシアターで!この劇団民藝を観劇中も!
グラグラきたんだじぇぇええ。またかよぉぉお。
→ 帰れ、いとしのシーバ
さすがに客席は、あの日の様にざわめかなかったけど。
ビルの7階にある劇場だから余計に揺れるんだろうな…ヤレヤレ。
海の傍に家を建てる夢を抱いた2人。
ニールはやがて炭鉱夫として働くようになり…。
幸せに暮らして、めでたしめでたし…じゃなかった。
賃上げ要求のストライキで、マギーの家族の心がバラバラに…。
決死の覚悟の末、勝ち取ったのは雀の涙分のお金。
ある日、炭鉱事故でニールとイーアンは呆気なく…。
そうしてマギーは、彼等の身体の一部を切り取り…!!
うわぁ!あれだっ!!博物館にあるホルマリン漬けの…っ。
おかげでマギーは留置所にっ!
そんなことまでやっちゃったのは、
炭鉱で働く。その現実を”身を持って”知らせたかったから…。
そうマギーは笑顔で私達に語りかける。
幕
これノンフィクションなのかな…。
もしそうなら本当に入館者があるのかなぁ。
ちっこい町みたいだけど…。
でも、日本にも炭鉱だった町には記念館があるよね。
行ったことはないけれど…。
長崎県の軍艦島も最近は観光地になってるし…。
そうやって、一生懸命自分の持ってる知識と繋げてみた。
でも”炭鉱”っていうものに、リアル感がイマイチ無くって…。
こう、モヤモヤした霧が私と舞台の間にあって…。
マギー達にそれ以上近づくことが出来なかったぁ。
日本の何処かの話だったら、もっとグっと来たんだろうか…。
”移民”というものにもあんまり…。
嗚呼、赤毛物(翻訳劇と言え!)は難しいぃ。
1976年のシェルドン・カリーの短編小説
『グレースベイの炭鉱夫博物館』をもとに、
ラジオドラマの脚本として出来たのがこの作品。
カナダ演劇を初めて観たっ。
トロントは、ニューヨークに継いで北米第2の劇場数。
その数30以上!!!
多民族国家カナダだけに、人種問題を扱った重いテーマから
素人っぽさの残る舞台まで。
スッゲェェエ!!
カナダという国にあまり興味が無くって(すみません)
演劇という角度からも考えた事無かったんだけど、
昔堅気な気骨ある国なのではないかしらん…。
次回公演
うしろ姿のしぐれてゆくか
~漂泊の俳人 種田山頭火~
2012年6月1日(金)~13日(水)
紀伊國屋サザンシアター
主演の大滝秀治は体調不良で降板…。
残念ぅぅぅ。ゆっくり静養して下さい。それでも観に行くぞい。
震災後の初観劇でぇぇえ! (2011.4.14記)
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喜劇 ファッションショー (2011.3.2記)
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~追記~
カナダ演劇繋がり!
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