徒然なるままに

日常を取り留めなく書きます

レストランにて2

2009-02-24 00:09:52 | 空想
サンタがグラスビールをあけたころ、ウエイタが食べるものを運んできた。
ちょっと豪華なピッツァ、パスタ、ウインナーなどの皿がテーブルに並んだ。
サンタは2杯目のグラスビールを注文していた。私のグラスにはまだ半分くらいビールが残っていた。
私は先ほど、サンタの年齢を聞いて、しばらく沈黙していた。しかし、サンタが2杯目のビールを頼んでいるのを、特に止める気はしなかった。彼が見た目とても15歳には思えなく、また、この男に何を言っても無駄のような気がした。
少なくても、この男は私の常識の範囲外、異質な存在だ。大人びているなどという範疇を完全に超越している。私は、サンタの話を聞くまで、少なくても彼の言動、振る舞いは20代後半に見えた。もう彼のことを詮索するのをあきらめていた。
サンタは2杯目のビールを口に含み、ピッツァを頬張り、パスタにフォークを伸ばしていた。
私も、ピッツァを一切れ食べた。とろりとしたチーズの濃厚な味覚とベーコンこんがりとしたカリカリした食感。味は私の好みだった。
ひととおり、つまみを食べた後、サンタはポケットから、手のひらより少し大きな機械を取り出した。それは私が持っている携帯電話より、少し大きなサイズのシルバーの、電子辞書みたいなものだった。
サンタがパカリと端末のふたを開けると、中には液晶ディスプレイと、小さなキーボードがあった。サンタはその小さなキーボードを器用に操作して、何かを入力した。そしてしばらく液晶のディスプレイを見ていた。
「ふうん、ページは見つからないね。掲示板はなくなっている。でもサーバ自体はまだ、生きてるようだ」
サンタは独り言のように言った。
「サンタ君、その、機械って、携帯なの?」
私は、サンタに聞いた。
「いや、携帯より、ちょっと高級なマシン。モバイルPCだとちょっと大きくて持つのにかさばるから、このようなPDAを使っているんだ。日本じゃあまりメジャーじゃないけど、ちょっとインターネットにアクセスするのには、結構重宝してるんだ」
そう言うと、サンタは小さなキーボードにまた何か打ち込んだ。
サンタはしばらく無言で、かちゃかちゃとその小さなキーボードを操作していた。
「このサイトにはいろんな掲示板を無料で作成できるようになっている。レンタル掲示板だ。ミツヤさんにさっき教えてもらった裏サイト、誰かが作った掲示板なんだけど、削除されていて見られない。この無料掲示板を作成できるサイトは『コスモス』っていう会社かな、いや個人かもしれなけど、そのコスモスっていうところが運営している」
「でも、掲示板が削除されてしまっているのだから、もう中身の確かめようがないよね?」
「いや、コスモスのサーバにはログが残っていると思う。おそらく完全には削除されていなくて、なんらかのデータはコスモスのサーバの中にあると思うんだ」
「じゃあ、コスモスの管理人に聞けば、教えてくれるの?」
サンタは私の方に微笑を浮かべながら言った。
「いや、それはたぶん無理だろうね。このコスモスってのが、そもそも何者なのかわからない。極端な話、管理人が日本人とは限らないし、サイト自体、日本にあるのか、アメリカにあるのか、インドにあるのか、わからない」
私はそれを聞いて、ため息をついた。しかしサンタはすかさずこう言った。
「まあ、ちょっと見たけど、このサイトのセキュリティは大したことはない。このPDAじゃ無理だけど、ちょっと工夫すれば、サーバに侵入して、中を見るくらいならすぐにできそうだ」
「そんなことができるの?でもそれって犯罪じゃないのか?」
私は小声でサンタに言った。
「見つかれば犯罪になるかもしれないね。でも世の中には何の侵入の痕跡も残さず、企業や国家のホームページを改竄するやつもたくさんいる。俺がやってもいいけど、めんどくさいから、知り合いのハッカーに頼むよ。おそらく1週間もすれば結果がわかるよ」
サンタは平然とそう言った。
「それよりも―、前提知識として、ヨウコさんの職場環境、とくに周りの人間について聞いておきたい」
サンタは今度は真剣な表情で、私の目を見ながらそう言って、2杯目のビールを飲み干した。

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本日の収支:-28k
2009年度収支:-120k
コメント:何ともならない。この調子だと年間200万くらい負けるぞ!

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