目覚めると蝉の声が煩い。裏山からの蝉の声は、ぼくの寝起きの頭の中で反響しあって、増幅されているようだ。
朝、まだ涼しいうちに宿題をやる予定になっていたが、今日は近所のともくんと一緒に海へ行く予定で、勉強する気にならなかった。
冷蔵庫を探ったり、カブトムシのいる虫かごを覗いたりしていて、宿題にまったく手がつかない。
家の中をうろうろしていると、母が「読書感想文は書いたの?」「計算ドリルは終わったの?」「漢字の書き取りを毎日やりなさい」とうるさい。
ぼくは我慢できなくなって、巨人の帽子をかぶって、水着を持って、ともくんの家に行ってしまった。
ともくんは宿題をしているようだったが、しばらくすると黄色の帽子をかぶってでてきた。さあ、泳ぎに行こう。
ぼくらの家から歩いて5分もすれば海岸だ。
太陽が眩しい。
海風が心地よい。
潮の香りがどこか懐かしい。
光を浴びながら、ぼくらは海にもぐった。
あの夏の海は今も色あせずに記憶の中に残っている。
ぼくはエアコンのきいた部屋でビールを飲みながら回想する。
あれほど太陽が眩しかったのに、全然暑さを感じていなかったのは不思議である。
いつから夏はこんなに暑くなってしまったのか。
夏休み前半に九州に旅行してきた。博多・小倉に行ってきた。博多の料理はおいしかったし、ビールもたらふく飲んだ。
感じたのは夏の暑さ。炎天下をちょっと歩くだけでも汗をかく。体力を消耗する。
夏を暑く感じるのは歳のせいなのだろうか?
地球が暑くなったのか、それとも体が衰えたのか・・・、いや、やっぱり両方なんだろうと思う。
でも、最初冒頭の文を読んだとき、「実は『ぼくのなつやすみポータブル』やってます」ってオチかと思った(苦笑)。