徒然なるままに

日常を取り留めなく書きます

裏サイト3

2009-04-26 19:50:47 | 空想
私はサンタからのメールに添付されていた裏サイトの掲示板の記録を何度も読み返した。
読むたびに目玉の奥の方でに鈍痛を感じた。
読むたびに頭の中に火花が散って、焦げ臭いような匂いを感じた。
3度目に読んだ時は、軽い眩暈がした。
これはいったい―。
ばあさん。
死ね。
ゴキブリ。
これはいったい何なんだ。ばあさんとはヨウコさんのことなのか?
死ねとはヨウコさんへの言葉なのか?
いったい誰なんだ。
こんなことを書いて許されるだろうか?
気づくと私は微かに震えていた。目を閉じるとヨウコさんの笑顔が浮かんだ。とても澄んだ無邪気な笑顔だった。
それなのに―。
何故ヨウコさんがこんな言われ方をしなければならないのか?いったい彼女が何をしたというのか?
私の目に涙がやってきた。
悲しいのか?
悔しいのか?
またヨウコさんの無邪気な笑顔が浮かんで、ただ私は泣いた。
涙がキーボードを濡らす。マウスを持つ手が震える。
こらえきれなくなり、嗚咽がもれる。
ヨウコさん、悲しかっただろう。悔しかっただろう。
いつも職場で明るく振舞っていたヨウコさんの姿が目に浮かんだ。
こんなサイトがあるのに、彼女はいつも明るく、気さくに振舞っていた。
私は何も知らなかった自分がとても哀れに思えた。
私は何をしていたのだろう。彼女に何もしてやれなかった。相談に乗れなかった。
彼女は苦しんでいたのだ。
そう、おそらく相当、彼女は苦しんでいたのだ―。
涙はやまない。悲しみ、悔しさ、愛おしさ、憤り、怒り、あらゆる感情が私を責めた。
そして―。
そして、怒りが残った。
ハヤシ。
トキタ。
コマツ。
ミヤモト。
ヨウコさんの職場の男の顔が目に浮かんだ。
こいつらだ。
こいつらが掲示板に書き込んだのだ。職場ではそ知らぬ顔で仕事をして、裏ではひどいことをしている。

コイツラガ、カキコンダノダ。

コイツラガ、ヨウコサンヲコロシタノダ。

誰かが私の頭の中で叫んでいる。
私の中で何かが弾けた。私は右拳を握り締め、パソコンデスクに叩きつけた。キーボードとマウスがデスクから落ち、ディスプレイは倒れた。
こいつらまだ会社に居るのか?私は車のキーを握り締め、アパートを出た。