ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

本の旅

2017年11月20日 17時58分03秒 | 本の中から
たまたまモリエール全集を読み、
それに刺激されてラシーヌを読み、
さらに刺激されて古代ギリシャの悲劇、
エウリピデス、アイスキュロス、ソポクレスを読み、
今はアリストパネスを読んでいる。
アリストパネスは昔々・・・高校時代夢中になって読んだ。
今でも結構覚えているはず・・・と思ってたけど、結構忘れていた。

昔の喜劇は悲劇と違ってとても読みにくい。
モリエールの性格劇のような作品なら時代の予備知識がなくても、時代・空間を超えてそのまま楽しむことができるけど、
風刺・皮肉・パロディ・洒落・・・はその時の時代背景、言葉を知らないと面白さがわからない。
そのためやたらとページをめくっては(注)を読むのがとっても煩わしい。

それでたいした予備知識がなくてもそのまま楽しめる悲劇と違って、
しばしば時代・世相に左右される喜劇は悲劇よりも劣ったものとみられがちだ。
でもそれは違う。
人を楽しませ喜ばせるのはやっぱり喜劇だ。
それに喜劇には悲劇よりも大きな大きな世界がある。
地獄に旅することもできる。
雲に乗ることもできる。
鳥の国に行くこともできる。
それにアイスキュロス、エウリピデス。ソクラテスまでも劇に登場するのが楽しい。
ソクラテスがプラトンを通してでなく、アリストパネスの喜劇に登場するととっても身近に感じられる。
もっともプラトンも「饗宴」でそのお返しか、アリストパネスを登場させて面白おかしくアリストパネスの説を披露させているのも、
当時のアテネのサロンの自由な雰囲気を感じさせて楽しい。
そんな輝かしいアテネの時代が終わってペロポネソス戦争に負け暗い暗い時代のアテネ。
ソクラテスも死刑になった。
そんな暗い暗い時代のアテネ。
でもそこに喜びを希望を与えるのは喜劇、笑い。
喜劇の世界だったら、そこは(女だけで)簡単に平和を得ることもできる。
災害や戦争などで打ちひしがれた人たちにまず必要なのはパンと笑いと音楽。

アリストパネスの自由奔放な発想、まるで現代のSF小説だ。
そこに新しい希望を見出すことができる。
これこそ喜劇の王道、醍醐味。
アリストパネスやルキアノス。
世相が暗ければ暗いほど、アリストパネスの喜劇やルキアノスの作品が輝きを増す。
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