福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

企業不正2017(2) 人間の根本的欠陥に由来する企業不正

2017年10月30日 10時02分08秒 | 時事問題 社会問題
 私たち人間は未来を展望しながら生きていく存在である。より良き未来を築くためには、現在生じている問題を直視しなければならない。

 しかしながら、一昨年以降、次から次へと「立派な会社」の不正、隠蔽工作が明らかになった。
 今年になってから「日産自動車」、「神戸製鋼所」、「スバル」の不正が明らかになった。
 日産自動車、神戸製鋼所、スバルなどの場合は不正の結果は国内外に及ぶ。物としての信用度の他に日本の車、日本の製品は、高級で安全、信用できると行ったイメージにまで傷をつけた。
 
 これらの企業では30年以上前からの不正もあり、組織ぐるみの疑いが強い。

 かつての「立派な企業」とは単に儲けだけを追求する企業ではなかった。ブランドイメージは信用に繋がっている。だから、ユーザーは高い金を払うのだ。
 日本の産業が発展してきたのは、ごまかさず品質を追求する、真面目なもの作りの姿勢ゆえであったはずだ。
 なぜこんなに幼稚な不正が横行してしまうようになったのか。私は呆れているが、ここに人間の根本的弱さがある、と考えている。

 昨年問題になったVWの不正を見れば、日本だけの問題ではないと分かる。
 欧州の中でも抜きんでて真面目なイメージがあるドイツにあって、VWは特に質実剛健、真面目一辺倒の企業だと思われていた。その車が米国の排ガス規制をクリアするために、テスト時のみ排ガス浄化能力を最大限に働くソフトウエアを搭載していた。
 販売台数世界一を目指しての不正だというが、なぜ世界一になりたいのか?「世界一」をブランドの頭に冠したかったのだろう。

 「いいものを作る」から「売れる物を作る」へのシフト、「立派な会社」から「評価を得る会社が立派な会社」への価値観の大逆転だ。
 自分たちの製品が「人類に貢献し、人々を幸せにしている」、のではなく、「ひたすら売りまくって経済的に勝利する」、これが組織の経営の考え方ならば、人間の尊厳の敗北である。組織人は、やがてその先にある空虚感に苛まれることにならないか。組織そのものには力がある。エネルギーがある。そこの構成員一人一人が、人間の弱さを知り、他人への思いやりに満ちて、人が見ていなくてもコツコツと努力する。そうした「勤勉さ・誠実さ」が必要なのだろうが、それが死滅しようとしている。

 なぜこんな風潮になるのか??組織の抱える問題点は何か??いつも私は考えているのだが、よくわからない部分がある。
 でも、根本は構成するメンバーの人間性にあると思う。組織を動かすような立場になればなるほど人間性が問われてくる。
 「日産自動車」、「神戸製鋼所」の不正は、組織的で、幹部が知っていた、という。重症である。

 ■ 人間の問題。人は自分にさえ嘘をつく。ましてや複数の人間関係の中では嘘をつき、それを隠蔽するのが当たり前。
 ■ 不正をしても自らが直接利益を享受しない場合、背徳感は乏しくなる。
 ■ 他人の不正を看過する無責任さ。
 ■ 組織犯罪は、一般的に個人の刑事罰は問われない。
 ■ 慢性的疲労蓄積。
 ■ 資本主義社会の右肩上がりの思考。
 ■ 安ければ良い、という消費者の嗜好。
 ■ 日本の社会が育てる道義感の希薄化。
 ■ ・・・

 結局、人間そのものの問題、組織という構造、社会の経済事情・・・などである。
 尊厳ある人間としての教育と創造性を高めなければならない。
コメント
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