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福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

日本の食文化の崩壊2019(15) 日本の漁業(2) 日本は漁業後進国

2019年10月31日 21時50分04秒 | 時事問題 社会問題
 我が国は漁業後進国の中に分類されるらしい。
 識者らはこの辺の事実をもっと声を大にして主張しなければならない。
 国民の中で漁業に関心を持っている人はどれだけいるのだろうか??

 日本は海洋大国である。政府は2008年「海洋立国」構想を打ち出した。日本が周辺の海を最大限生かせるよう、関係省庁が一丸となって取り組むことによって、他の主要先進国のように漁業か成長産業化し、補助金に頼らないどころか、税金を納める産業になれる可能性がある。

 しかし、実際は先進国どころか漁業は衰退の一途を辿っている。
 積年の管理なき漁獲の問題点は、日本の水産物市場が乱獲や違法に漁獲された水産物でも気にせず受け入れ取り込んできたことにある。
 小売店の店頭に程良いサイズの魚を並べるために、陰では多くの小型魚や混獲魚が無駄になっている。そのことが漁獲量低下に拍車をかけていることなどを消費者は知らない。

 水産物を含む輸入食品が潤沢に安価に入手できることに甘んじて対策が後手に回っている??それが漁業を衰退させている。少なくとも私には有効な対策がなされているされているようには見えない。

 我が国は漁業の先進国どころか、衰退の一途を辿っている。

 漁業衰退の原因は、水産庁の国内漁業での無策と海外漁業での失策だと言う。
 日本の無策が、いかに国内資源を枯渇させたか、日本の水産外交の失策でどれほどの海外権益が消失したか、国民の多くは知る由もない。

 昨年末、70年ぶりとなる改正漁業法が成立し、来年夏の施行を目指して準備が進められている。
 改正案が公表されて1週間後に国会審議入りした。これでは何ら意見を挟む間も無かった。方は決定的な審議も経ずに1力月足らずで成立した。 

 法改正のきつかけは、17年秋の政府の規制改革推進会議の議論だった。漁業者の高齢化や漁業生産量の低迷を背景に、養殖漁業への民間企業参入拡大、資源管理の見直しといった新自由主義的な内容が改正案に盛られた。
 短期利益を追求する企業参入が進めば、魚の値崩れや浜の混乱などの影響は避けられないのに、漁民や漁協の多くは今も法改正の内容を具体的には知らされていない。
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日本の食文化の崩壊2019(14) 日本の漁業(1) 魚を食べ続けるのができるのか?

2019年10月30日 18時54分19秒 | 時事問題 社会問題
 最近の漁業に関するニュースを見ていると、不漁のニュースばかりで、このままで行くと我が国は水産資源物、すなわち魚を食べ続けるのができるのか? と不安になる。

 今年の漁業・水産ニュースの中で私のファイルにある漁業関連ニュースのうち、具体的に不漁が挙げられているのは、あいうえお順に並べると、「イカ」、「エゾアワビ」、「カツオ」、「サクラマス」、「サケ」、「サバ」、「サンマ」、「タラ」、「ハタハタ」、「フグ」、「マグロ」、「マダイ」、「ワカサギ」・・・・である。

 一部は私にとって高級過ぎて身近な魚ではないが、これらが総じて不良と言われると日本の漁業は今後どうなるのか、不安にもなる。実際に漁業は衰退の一途を辿っている。

 地方紙などを見ると、幼稚園の子供たちを使って各種の稚魚の放流のニュースは見られる。しかし、これらは地域のお遊び程度の活動でしかない。私から見て、日本の漁業政策の大きな視点での、持続可能な水産対策が欠けているように思える。だいたい、日常のニュースの中で農林水産省のトピックが出ることは極めて稀である。 
 
 識者らに言わせると、我が国は漁業後進国の中に分類されるらしい。
 識者らはこの辺の事実をもっと声を大にして主張しなければならない。
 国民の中で漁業に関心を持っている人はどれだけいるのだろうか??
 新聞や雑誌などを見るとグルメ関の記事が多い。日本人は食うこと、美食にしか興味がないのかな?、と思ってしまう。日本人の食を考える(1) 日本人は食べることにしか興味がないのか?

 日本は島国であり、日本の国土は狭い。だが、海洋まで展望すれば実に広い。管轄権の及ぶ領海と排他的経済水域(EEZ)、大陸棚を合わせた面積は世界で6番目で、そういう視点を持ち込むと超大国である。しかも、海底地形は変化に富み、豊かな生物資源にも恵まれている。
 水産物は昔から我が国の重要な食料資源であった。

 そんな我が国は国際的に見れば、漁業後進国などと言われたら耳を疑う。
 日本に欠けているのは、科学的根拠に基づく養殖計画と漁獲量設定である。 

 政府は2008年「海洋立国」構想を打ち出した。海洋資源の開発・利用、海上交通の安全確保、環境保全、科学的な探査、国民の理解増進、人材育成まで、その内容は12項目にわたっていた。日本が周辺の海を最大限生かせるよう、関係省庁が一丸となって取り組むことが肝要だ。しかし、水産物を含む輸入食品が潤沢に入手できることに甘んじて対策が後手に回っているのではないか??少なくとも私には見えない。
 国際的な視点も重要だ。日本のEEZは中国や韓国など七つの国・地域に接している。権益の主張が重複する海域もある。国連海洋法条約などの国際ルールに基づいて日本の権益を毅然として守らねばならない。

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本 松本清張「闇に駆ける猟銃」 中公文庫 1095年 (「ミステリーの系譜」に含まれる)

2019年10月29日 17時56分45秒 | 書評
 私は犯罪の社会的背景、犯罪心理学、死刑制度、警察検察、裁判等の報告書、ドキュメンタリー、関連小説などを読んできた。リストアップすれば優に100冊は超えるだろう。これもそのうちの1冊。
 津山事件は戦前1938年(昭和13年)5月未明に現・岡山県津山市加茂町行重の集落で発生した世界最大級の事件、日本の犯罪史上でも前代未聞の事件である。2時間余の間に死者31名に上った。

 この事件の詳細は、筑波 昭氏が「津山事件—日本犯罪史上空前の惨劇—-」にまとめ、松本清張氏が「闇に駆ける猟銃」を上梓している。事件の資料としては筆者の主観の介入が少なく、前者の方が優れている様な気がする。
 後者が本書で、中公文庫文庫『ミステリーの系譜』の中に収められている。大正、昭和史に残る犯罪実話、「闇に駆ける猟銃」、「肉鍋を食う女」、「二人の真犯人」の3篇が収められている。
 
 (中公文庫文庫『ミステリーの系譜』の表紙 古くて変色しているのでモノクロで取り込んだ)

 松本清張氏の事件に関する記述は時系列に沿った文体なので分かり易い。
 調書・裁判資料・警察官取材など緻密な資料集めと分析、怜悧な資料解析はさすが。淡々とした文章の中に、胸に迫る真実が濃縮されている。綿密な取材を通して表されるリアリズムは、一部に虚構や主観が含まれているとはいえ、これはまとめ上げるために必要な著者の推論や主観であって、読むものに救いを与える。人物の息遣いが感じられるほど真に迫った表現になっている。

 松本清張氏は犯人の生い立ちから事件の背景を分析している。犯人の性格はいわゆるネクラタイプで、対人関係が苦手だった。犯人は健康上の問題で深く悩み、本人の被害妄想、自意識過剰から来るもののようで、医学的にはさほどのことはなかったようだ。学業は優秀で、容姿も悪くなく、むしろ色白の美青年だったようだ。犯人に前科があるわけでもない。

 このようにどこにでもいそうな、平凡でありふれた青年が何故これほどの大惨事を引き起こしたのか、に注目して論旨を展開している。
 犯人はかなり頭脳明晰な様だ。2年ほどかけて着実に準備をしている。襲うべき住居を調べ上げ、施錠されているのか、どこに誰が寝ているのか、などまで。また誰かが警察に通報した際には、警察が何分で駆けつけるのかなど計算し、犯行時間は実質2時間しかない、と割り出している。

 一度警察の捜索を受けて銃器などが押収されているが、その日のうちから次の準備を始めている執念深さがのぞく。

 犯行の前に2通の遺書をしたためている。記述内容はしっかりしている。
 犯行の日、村に入る電線、電話線を切断、村を光のない孤立状態にしてから犯行に臨む。最初の数人は斧や日本刀などで殺害している。銃声が聞かれれば次の犯行に支障が出るとの配慮である。その後は銃で次々と殺戮を繰り返す。その現場の記述は真に迫る。

 犯行終了後に自分の胸を打ち自殺するが、その直前にも姉宛の遺書を認めている。文章もしっかりしているのが驚きである。

 松本清張氏の卓越した記述力が発揮された作品である。社会の闇を鋭く切り裂く氏の視点を十分に堪能できるノンフィクション作品である。

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本 津山事件 日本犯罪史上空前の惨劇 筑波 昭著 新潮文庫 2005年

2019年10月28日 09時52分43秒 | 書評
 私は猟奇的な趣味はないが、犯罪の社会的背景、犯罪心理学、死刑制度、警察検察、裁判等に興味があって入手できるいろいろな報告書、作家によるドキュメンタリー、関連小説などを集めて読んできた。リストアップすれば優に100冊は超えるだろう。
 
 本書にある津山事件は戦前1938年(昭和13年)5月未明に現・岡山県津山市加茂町行重の集落で発生した。2時間足らずで30名(本人を含めると31名)死亡、3名が重軽傷を負った。当時としては世界最大級の殺人事件であった。犠牲者数が27名のオウム真理教事件も上回る、日本の犯罪史上前代未聞の事件であった。
 本年の京アニ事件は死者36人で、この事件を上回った。

 この事件をヒントに作家の横溝正史が「八つ墓村」を、松本清張が「闇に駆ける猟銃」を上梓している。



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 犯人の青年は犯行21歳。2歳のときに父を、3歳のときに母を肺結核で亡くし祖母が後見人となって育てられた。成績は優秀だったが次第に家に引きこもるようになり、同年代の人間と関わることはなかった。
 一方で、子供向けに自信が作り直した小説を近所の子供達に読み聞かせて、彼らの人気を博していた。さらに、近隣の女性達とこの地域での風習でもあった夜這いなどの形で関係を持つようになっていた。
 徴兵検査不合格と、不治の病という二重のショックで、失意のどん底にたたき落とされ、性的異常素行などで村では完全に孤立状態となった。

 その一方で、自分を拒否した女性達に憎しみをいだき、特に自分と関係を持ちながらも、別の男と結婚した二人の女性には、とりわけ強い殺意を持つようになっていた。

 やがていつの頃からか銃や刃物を集め、来たるべき日に備えて、山奥で射撃の練習した。
 実行の3日前、犯人は遺書を残している。自分の悪口を言って歩いた何人かの女性の名前をあげて、「復讐のために殺す」という内容などが書かれてあった。

 反抗の日、夕方に村の送電線と電話線を切断。当時は強風などで停電が珍しくなかったために誰も怪しむ者は無かった。
 深夜、彼は鉈を手に、まず眠りについていた祖母の首を斬り落とす。事件後に悲しい思いをさせたくなかったからと自殺直前の遺書に認めてあった。

 次いで、詰襟の学生服を着込み足にはゲートル、頭には2本の懐中電灯を括り付け夜中の村へ出た。

 隣家で老婆とその娘を日本刀で刺殺。次は、かつて夜這い相手だった人妻の家に忍び込み下腹部へ散弾を打ち込んだ。夫も幼い娘も即座に射殺。

 深夜1時から、わずか2時間足らずで30人の村人を殺害した犯人は、村はずれの家を訪ね、紙と鉛筆を所望し、山の高台に上り姉に宛てた遺書を書き記した後、猟銃を自分に向け、その引き金を引いた。

 自殺直前に書いた遺書には、「村人の余所者へ対する差別」、「結核患者への差別」、そして夜這いなどの「村の悪しき因習」について記されていた。

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 犯人の遺書はしっかりした内容で異常性はそれほど感じられない。それがために、凶暴性、偏執性、凶行のすべてが、一層おそろしい。
 30人殺しの方法や内容は生々しく、背筋が凍る思いがする。
 彼を追い詰めたのはなんであったのか。犯人を含め多くが死亡しているために推定しかない。

 関係者によっていろいろ取りざたされた。多くは、父母愛の欠乏、爛れた性、の因習、疎外感孤立感などが挙げられるが、あくまでも一因でしかなかろう。
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私のジェンダー論(7) 性同一性障害を抱える人々の社会的困難

2019年10月27日 05時35分52秒 | コラム、エッセイ
 従来、我が国の戸籍法では一欄登録されると性別の変更は不可能せあった。今までは人年には男性と女性しかいなかったからである。しかしながら、近年、性別は男女2大別されるような単純なものではなく、その間に色々な多様性があることがわかってきた。

 医学的にも性同一性障害に対して、ホルモン投与や性別適合手術を用いて、当事者のジェンダー・アイデンティティに合わせて社会適応させることが可能となってきた。
 しかし、戸籍上の性別が変更できない状態では、外見と性別記載が食い違っているために本人確認に問題を生じ、また差別を受けることもあった。

 2003年7月「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が可決された。この法律は高齢の男性議員の無理解もあって成立までに紆余曲折した。その経緯を読むと面白い。国会議員はいかに偏見と差別観に満たされた異常集団であるか知ることができる。よく成立したものだと思う。国会は「老害・男害」に満ち溢れている。この面からも、早く女性が力をつけて男性中心社会に切り込み、活躍できる時代が到来することが望まれる。

 この法により、性同一性障害者のうち特定の要件を満たす者につき、家庭裁判所の審判により、法令上の性別と、戸籍上の性別記載を変更できる様になった。

 法令上の性別と、戸籍上の性別記載を変更する要件として以下の要件が求められる。
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 ■1 20歳以上であること。
 ■2 現に婚姻をしていないこと。
 ■3 現に未成年の子がいないこと。
 ■4 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある。
 ■5 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
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 大きな進展だとは思うのだが、当事者からは、■性別を変えるには離婚しなければならないのか? ■同性婚が許されない状況にしたのではないか?■子を持つものは性別原稿を諦めなくてはならないのか?■手術を受けるよう勧奨する法律ではないのか?■・・・
などの反発が聞かれる。

 欧米では男女の夫婦として結婚して後に同性婚となったケース、子を持つ夫婦ながら同性婚と認められたケースなどが報告されている。

 性の世界は複雑で、改めて驚かされる。
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