福田の雑記帖

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健康増進・医療にどこまで期待できるのか(6) 米国「Choosing Wisely」 日本の「お薬手帳」

2017年10月24日 17時35分28秒 | 医療、医学
 国は医療費抑制策に必死であるが、医療費を改善するために日本医師会も何を考えているのか?疑問である。だいたい、医師はコスト感覚が欠けている。いや医師だけでなく患者達も、である。その背景には日本の医療が廉価であった時代の背景がある。

 ■米国「Choosing Wisely」の動き
 第2次大戦後、米国の医療は臓器別・疾病別に専門化が進んだ。その行き過ぎを反省して、総合的な医療が見直され、科学的、臨床的な研究データを根拠に診療しようとする動きが米国医学界で生じてきた。それの作業を専門学会が進めている。 

 ネツトで「Choosing Wisely」を検索すると、ABIM財団のサイトが簡単に見つかる。約70の学会が「医者と患者が検討するべき五つのこと」を各学会が発表したリストは印刷するとA4判で160p余りにもなる。
 原則5項目だが10-15項目をあげる学会もある。それぞれの項目に、解説と根拠となる研究論文が明示されている。主要な専門学会が名前を連ねているから、全米医師の8割程度がカバーされる。

 私は常々、現代の医療には過剰検査、過剰治療が多いと考えているから、そこで挙げられている各項目は、そう驚くべきことではない。ただ、医療に漫然と疑問を感じていても、根拠になる情報や考え方が日本では乏しかった。私は資料集として参照している。

 日本では自分が受ける医療に疑問を持だない人が多いが、自分の健康に関することだから、いい情報はもっとあっても良い。

 英名Choosing Wiselyを自身の視点で選択し、「絶対に受けたくない100の医療」としてまとめた。本書は米国の動向に触れながら日本国内でも行われている無駄な医療をリストアップし、日本の医療、臨床医、患者に提言している。

 医療が高度化し医療費が増大する中、それぞれの検査や薬が本当に必要なものか、重複はないか、ますます真剣に考える必要がある。しかし、わが国ではまだその動きは少ない。

 ■お薬手帳
 薬剤治療の面では薬剤師会が主導して普及に努めた「お薬手帳」は多剤投与や重複投与の情報を伝え、そのれらの弊害を防ぐ面でとても役立っている。
 お薬手帳の内容は、処方内容/調剤日/調剤薬局名/処方せん発行医療機関名/薬剤名/薬剤の用量・用法/日数/ジェネリック医薬品か否かなどであるが、副作用歴、アレルギー歴、も記載され、クスリのリスクを減らす効果がある。急に余所の医療機関に受診する場合に貴重な情報となる。薬剤師会の大きな業績の一つである。
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