高知県メタンハイドレート開発研究会

土佐湾沖の海底にあるメタンハイドレートを掘り出す国家プロジェクトを、高知県に誘致する開発研究会を立ち上げました

7月18日(海の日)、高知県メタンハイドレート開発研究会の設立・記念講演会のご報告です。(その3)

2011-08-19 | メタンハイドレートに関する記事

遅くなりましたが・・・7月18日(海の日)に開催された、高知県メタンハイドレート開発研究会の設立・記念講演会のご報告です。(その3)

画像は、当日記録担当をお願いした当会副理事長の大原正典さん(高知新聞広告部長)ほかを活用させていただきました

 10分間で結成総会を行いました。お決まりの総会に時間を取らず、記念講演に重きを置いたためですが、事前に会則案をネット上や高知県メタンハイドレート開発研究会準備会のメーリングリストで提案させて戴き、ご意見も承って必要な点は修正して臨みました。

高知県メタンハイドレート開発研究会 会則(案) 

事務局長の坂本耕平氏から、これまでの取り組みの簡単な報告と今後の展開方針・役員の紹介がありました。

この中で、南国市の山岡様から”遺族の遺産の一部を社会のために役立てたい・・・”との思いで、この会へ百万円の寄付を戴くことが報告されました。

 

会則と役員に関する、今後の展開方針

○活動の広がりに併せて役員を増員する事にし、ボランティア参加できる役員を自薦・他薦を含めて募っていきます。

 ○今後取り組みが進んで、NPO化する事になればきちんとした会則等、にしたいと考えております。

○今後は、年に1~2回程度開催予定の「推進会議」(会則第4条の3)の中で、講演会とともに交流会も入れて、会員の皆様の意見や提案を引き出していくようにしたいと思っています。その中では活動・会計報告も行い、総会と言う形はとりませんが、これに代わるゆるやかな場として、位置づけていきます。

  ○会則5条で、「有識者会議」を設置する事にしており、目的達成のため特に県内外の有識者の皆様には、一層のお力添えを頂きたいと考えています。

 

役員の皆様が紹介され、代表して理事長の鈴木先生より短い就任の挨拶がありました。

 

高知県メタンハイドレート開発研究会 役員 (2011.7.18現在)

(実務型の役員体制にしました。取り組みの広がりの中で増員していく予定です)

 

理事長   鈴木 朝夫(高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

 

副理事長  大原 正典(高知新聞社広告部長)

副理事長  宮本 典晃(NPOももたろう企画・元キリンビール高知支店長)

副理事長  川村 貞夫(高知県エコ議員連盟特命委員・高知市会議員)

副理事長  高村 禎二(高知エコデザイン協議会会長)

 

 

理事    坂本 雅彦(ホテル日航高知マネージャー)

理事    渡邊  毅(NPO法人 きらりこうち都市づくり理事長) 

理事    根木 勢介(土佐観光ガイドボランティアほか多数のボランティア活動中)

理事    森田 俊彦(鏡川こども祭実行委員長・こうち宵まつり実行委員長)

理事    西村  理(株式会社 丸誠)

理事    川竹 大輔(元高知県庁勤務ほか)

理事    團野 哲也高知県立大学生活科学部准教授

 

 

事務局長  坂本 耕平(「高知ファンクラブ」運営事務局長)

事務局次長 中屋  進(高知工科大学博士課程)

事務局次長 西村 直己(会計を担当・元四国銀行職員)

事務局員  前田 悦三(元高知大学職員) 

 

 

  監事    安宅 正雄(紀和工業株式会社代表取締役) 

閉会のごあいさつを 高知県エコ議員連盟副会長の黒岩正好・高知県議会議員にお願いしました。

黒岩議員は、大雨の中、参加いただいた皆様への感謝を込めながら、高知の活性化のために粘り強く取り組んでいくこと、また参加された皆様をはじめ多くの皆様のの今後とものご協力と併せて、「有識者会議」を設置する事にしており、県内外の有識者の皆様には、一層のお力添えを頂きたい旨お話いただきました。 

 

 

終了後、三翠園1階の喫茶室でコーヒーなどを飲みながら、講演や会議の運営でお世話になった方々、役員などで反省会とこれからの進め方などの打ち合わせ会を行いました。

今年の3月まで高知コア研究所の所長代理でおられ、4月から独立行政法人 海洋研究開発機構 海底資源研究プロジェクト プロジェクトリーダーを務めておられる 木川栄一氏にも参加していただき、少しお話を聞くことができました。

反省会に参加した全員から感想や意見を聞くことができました。

桑名龍吾・高知県新エネルギー議員連盟事務局長・県議会議員より、開会のご挨拶をされた浜田英宏・高知県エコ議員連盟会長・高知県議会議員が、新しく「高知県新エネルギー議員連盟会長」にも就任されたことが報告されました。

この取り組みも超党派で県議会などとの連携を強めて、県選出国会議員の皆さんとの連携のもと、メタンハイドレートを掘削する国家プロジェクトの拠点の一部を高知に誘致する運動を盛り上げていくことを確認し、終了しました。

 

 

メタンハイドレート事務局

 

 

7月18日(海の日)、高知県メタンハイドレート開発研究会の設立・記念講演会のご報告です。(その1)

 

7月18日(海の日)、高知県メタンハイドレート開発研究会の設立・記念講演会のご報告です。(その2)

 

 

 

7月18日(海の日)、高知県メタンハイドレート開発研究会の記念講演会のご案内 

 

 

ブログ NPO高知県メタンハイドレート開発研究会

 メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー  


「鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー」 作成しました

2011-05-21 | メタンハイドレートに関する記事

メーリングリストからの転載です。 

"目に青葉 山ホトトギス 初鰹" の季節となって来ました。私の住んでいる団地では、未明からホトトギスの鳴き声が聴こえて来るようになりました。ウグイスの巣などへ"托卵"するホトトギスの声に、ウグイス達の警戒は大変だとか・・・
その後、皆様いかがお過ごしでしょうか。NPO高知県メタンハイドレート開発研究会 設立準備会 事務局の坂本です。

「鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー」  作成しました。
http://blog.goo.ne.jp/metanh-k

鈴木先生から以下のコメント付きで原稿をいただきました。

「辞書のように項目に分けて記述してあります。必要に応じて、依頼を受けた講演の趣旨に応じて、取捨選択できるような構成です。
また、時々刻々、 補充・改訂・追加・削除を続けていく予定です。7月の講演では、杉本特許の部分を取り上げる予定です。未完ですので、とりあえず見て頂き、不備な 点などご指摘頂ければ幸いです。」
 

燃えるメタンハイドレート

日本周辺海域のメタンハイドレートの推定埋蔵域

画像出展:ウイキペディア メタンハイドレート 



その後のコメントより・・・

字引のように項目別にしたことが特徴である。
1)追加記述できるようにしたこと。
2)各種の依頼講演に適応できるようにしたこと。
必要なところだけ選択して講演すれば多様な用途に使える。
3)項目の書き換えも随時可能。

皆さんの多数のコメント、ご指摘を期待します。
今後も改訂を続けていきますので、

発足の講演会には、図を付けて、杉本方式に重点を置いた話にする予定である。  鈴木朝夫

NPO高知県メタンハイドレート開発研究会の
設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、・・・(於ける:三翠園ホテル)

 

http://blog.goo.ne.jp/metanh-k/e/39196487150dffce690b43416c810c92

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次 

設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 


鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その6 石油の代替エネルギー  

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・

その6 石油の代替エネルギー   

鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

  

6) 石油の代替エネルギー


{石油ピーク} 

石油の産出量がピークを過ぎると、緩やかな減少に転じて石油減耗の時代となる。米国の石油生産量は1971年にピークを迎えたことが知られている。既に、全世界の石油生産量はピークを過ぎ、石油減耗の時代に入ったとも考えられる。

 

{エネルギー利得率、EPR} 

EPR=(出力エネルギー)/(入力エネルギー)である。採掘・精製・保管・輸送などの生産に必要な入力エネルギーと利用出来る出力エネルギーの比がEPRである。石油火力は7.9である。石炭火力が6.5、液化天然ガス火力2,4、風力3.9、地熱6.8などとなっている。なお原子力は17.4となっているが、計算の根拠が不明である。

 

{原子力エネルギー} 

津波による福島第一原発の事故で、信頼は一気に低下した。また、地球温暖化は原子炉の排水による海水温の上昇であると考える人も多い。都市のヒートアイランド現象に匹敵するとする試算もある。また建設段階から高レベル廃棄物処理、そして廃炉までの入力エネルギーの見積もりは難しいし、CO2排出も大きいと思われる。

 

{メタンのエネルギー利得率} 

燃料としては天然ガスの代替として使える。ガスタービン発電は一般的である。また水素燃料電池としての可能性も高い。C1化学の原材料として、複雑な有機化合物の合成も、また使いやすい化合物に変化させた燃料も可能である。

 

{ハイドレートからのメタンは副産物}

リチウムがメタンハイドレートの分解水に含まれているとすれば、どちらが副産物か分からなくなる。局所加熱によるエネルギー節約型の掘削法でもあり、総合的なエネルギー利得率はかなり大きなものになると期待できる。

 

{大地震の誘発は}

今の人類の知識の範囲では因果関係を考える根拠を持たない。予知できる学問の進展への期待と、コスト・ミニマムの安全・安心の対策を考える必要がある。

 

{地球温暖化への影響} 

 CO2の20倍もの温室効果があり、5500万年前の生物の大量絶滅の原因とも言われているメタンである。これは46億年にわたる地球のダイナミックな営みの中での物語である。議論になるのは、掘り出して燃焼させることと、自然放出との比較になる。メタンはCO2の排出量の差から、石油に代わるエネルギー源として期待できる。

 

 

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設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 

 


鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その5 新しいメタンハイドレートの掘削法

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・

その5 新しいメタンハイドレートの掘削法   

                  鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

  

5) 新しいメタンハイドレートの掘削法


{特許権の確定}  

 出願番号:特願2005-238783号、名称:「ガスハイドレート層からのガス回収システム」、出願人:(有)アトラス、公開日:平成19年3月1日、公開番号:特開2007-061508号、確定日:平成23年3月 日。

 

{加熱法(その場局所加熱)の掘削法}  

この特許のメタンハイドレート分解・回収装置の基本は「加熱法」である。掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式と呼べる。地上からは、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号を送り込み、地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガスを取り出すことになる。掘削先端近くに置いたガスタービン発電装置で、その場で発生のメタンを地上からの酸素で燃焼し、それで電力を供給し、各種の熱エネルギー発生装置の電源とする。ヒーター熱による蒸気発生、高周波加熱による過蒸気生成、メタン押し上げのための超臨界水の発生、衝撃波発生によるMH層の破砕、マイクロ波発生などの各種の電源になる。(図3 その場局所加熱掘削装置の概要)


 
{ジェット・スクラバー}

超臨界水を経路を狭めて高速循環させることで、より強い減圧部分と高圧部分が発生する。ジェット・スクラバー(エゼクター型、ベンチュリー型)の原理である。メタンハイドレートを効率よく吸い上げて、分離した水も、堆積粒子汚泥も現場に残留させて、地上に持ち来さない方式であり、地上へも、海底にも環境汚染を引き起こさないことが大きな利点である。このことは必然的に、取り出すに必要なエネルギーを小さくして、エネルギー利得率を大きくできる。

 

{ガスタービン} 

ガスタービンの特徴は1)は小型で高出力、省スペース、2)は始動時間の短さ、3)は排気温度が高いなどである。1)の特徴は、ジェットエンジンと呼ばれ、航空機に活かされている。3)の特徴は、コンバインド・サイクルとして、排気熱による蒸気発生で蒸気タービンを廻し、熱の再利用が行われる。このような特徴を持つガスタービンを掘削時にその場で使うことは理に叶っている。熱エネルギーを有効に利用して、熱の及ぶ範囲を拡げることができるのも大きな利点である。


                                                                   
 {超臨界水}

超臨界とは液体と気体の差がなくなる状態である。水は374℃ 以上、220気圧以上で超臨界状態になる。気体の性能を備えた液体、液体のような気体と言っても良い。言い換えれば、密度の極めて高い気体、構成分子が乱雑に激しく運動する液体であり、運動量が大きくなり、反応性が高くなるのが特徴である。水分中のLiを含む可能性を増すかも知れない。また、他の有用なレアメタルを濃縮できる可能性もある。


                                             
{試掘権の設定} 

特許権認可を前提に、経済産業局長宛に試掘権を2011年2月に願い出た。鉱区は南海トラフ上の数カ所、対象鉱物は分類Ⅱの「石油、天然ガスなど」である。

 

 

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設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 

 
 

 


鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その4 メタンハイドレートの掘削は

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その4 メタンハイドレートの掘削は   

                   鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

  

4) メタンハイドレートの掘削は

 


{従来のエネルギー資源の掘削法} 

固体の石炭:固体を掘り出す。液体の石油:液体が湧き出る、液体を汲み出す。気体の天然ガス:気体が噴き出す、気体を吸い出す。固体のメタンハイドレート:固体を気体(メタン)と液体(水分子)に分離し、気体として地上に取り出す。石炭、石油、天然ガスの従来のエネルギー資源との大きな違いがここにある。

 

 

 

 

{ハイドレートからのメタン回収法}  

 「加熱法(温水圧入)」、「加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」、「分解促進剤注入法」、「ゲスト分子置換法」などが考えられてきた。温度を上げれば、体積の増える方向の水とメタンの分離に向かう。圧力を解放すれば、同じく体積の増える方向に向かう。加熱法は、際限なく加熱し続ける必要が出てくる。また、メタンハイドレートの形成を阻害する分解促進剤(インヒビター)を、例えばメタノールや塩を注入すれば、メタンの分離は可能だが、促進剤注入のコストが問題になる。また、炭酸ガスをゲスト分子として、メタンを炭酸ガスと置換した混合ハイドレートにすれば、CO2固定が可能であり、環境配慮として意味のある技術になる可能性は高いと思われる。

  

{減圧法によるメタン回収} 

日本のMH21開発計画では減圧法が採用されている。ハイドレート堆積層に水平抗を堀り、発生する水を汲み上げて圧力を低下させ、これにより発生するメタンを吸い上げる。この分解は吸熱反応であり、周囲の温度を低下させる方向に動く。しかし堆積層の周囲の地熱により溶解が進み、圧力低下を持続させる。問題は減圧効果の範囲と持続時間にある。生産性障害になるのは、氷の生成であり、自己保存性が裏目になる。温水圧入や抗井加熱などの加熱法との併用が試みられている。出砂も問題であり、海底や地上に大量の堆積粒子汚泥を取り出すことになる。

  

 

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー 

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 


鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その3 メタンハイドレートの分布域は

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その3 メタンハイドレートの分布域は   

                            鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授)

 

3) メタンハイドレートの分布域は                
{メタンハイドレートの起源} 微生物分解起源と熱分解起源のメタンハイドレートがある。地層中に堆積した動物や植物の生物起源の有機物をバクテリア(古細菌)が分解し、メタンを生成する。一方、更に地中深く沈み込んだ有機物は地熱により熱分解し、メタンを発生させる。いずれも隙間の多い砂泥互層(ダービダイト)に集積する。海水温は深くなると低下し、圧力は高くなる。海底下の地層は深くなるとさらに圧力も高まるが、温度も地熱により高くなる。その中間にメタンハイドレートの安定な温度域・圧力域が存在する。
 
{メタンハイドレートの分布域は}  静岡から四国・九州の100~300km沖合、南海トラフ一帯に分布する。その他に茨城県沖、新潟県沖、北海道南岸沖などが有望視されている。水深700~2000mの海底下、100~500mの地層がメタンハイドレート形成の条件を満たしている。海底疑似反射面(BSR)で当たりを付け、試錐を行って詳細を知ることができる。

{海底疑似反射面(BSR)とは}  船で曳航するエアガンから大きな音波を出し、多数の受信機で地層からの反射音を記録する。地層構造からの反射とは別に、層状に横たわるメタンハイドレートの下層境界部分からの強い反射が帰ってくる。このBSRは海底地形に平行になっている。これから下は水とガスを含む柔らかい地層であり、上に行くほど地熱の影響が弱まり、メタンハイドレートの安定な温度・圧力になる。BSRはその境界面であり、その分布調査からハイドレート層の存在域が推定できる。

{メタンハイドレートの賦存量は} 日本周辺に賦存するメタンハイドレートは、我が国の天然ガス年間消費量の約100年分と推定される。天然ガス消費量は年間937億m3である。

{泥火山とは} 南海トラフの地中深部の未固結堆積層に高圧がかかり、流動化してその上位にある浸透率の低い粘土層を破砕して、表面に噴出してきたものが泥(どろ)火山である。メタンハイドレート層に貫入・上昇した泥ダイアビルは泥の他に、メタンと水を伴ってて噴出する。

{リチウム、Li} メタンが噴き出している泥火山で、メタンと共に噴出する水に大量のリチウム(海水の1000倍)が含まれている。しかし、その理由は解明されていない。NaClはメタンハイドレートの安定領域を低温・高圧側にシフトさせ、インヒビターとして使えると報告されている。他の塩とは逆に、海水中に含まれるLiClがメタンハイドレート形成を助けるのかも知れない。あるいは、濃縮されるとすればその仕組みを考える必要がある。

{海水からのリチウム抽出} スピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)を使って、海水からのリチウム回収の研究が進んでいる。メタン回収に際して得られるであろう「リチウムに富んだ水」から、効率の良いリチウム回収が期待できそうである。リチウムイオン二次電池の正極材料、電解質、負極材料の何れにも必要である。今後のエネルギー問題にとって不可欠の物質である。 

 

 

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー

 

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 

 

 

 


鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その1 メタンとは  

2011-05-19 | メタンハイドレートに関する記事

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたい・・・その1 メタンとは   

                            鈴木 朝夫 (高知工科大学名誉教授・東京工業大学名誉教授) 

1) メタンとは                                                    
{メタンの仲間たち} メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)・・・の順に炭素の数が多くなる。分子量が、16、30、44・・・と大きくなるにつれて、液体が安定になり、液体から気体に変わる沸騰点(℃)は、-162、-89 、-42 ・・・ と上昇していく。

{温暖化への影響度}フロンのような人工的な化学物質以外では、水蒸気(H2O)、炭酸ガス(CO2)、メタン(CH4)などが大きい。大気は地球環境を暖かく包む毛布の役割である。太陽から受け取った熱エネルギーを宇宙に放散するのを遅らせ、冬夏、夜昼の温度差を緩和する役が大気である。この作用が過度であれば温暖化になる。

{フロンとは} メタンの4個の水素の2つを塩素(Cl)に、残りの2つをフッ素(F)に置き換えれば、代表的なフロンである。オゾン層破壊物質であり、温室効果ガスでもある。

{メタンの発生源} 湿地帯・湖沼、熱帯雨林、天然ガス、海底から湧出、泥火山、家畜の糞尿や牛のゲップ。一方で、森林の土壌がメタンを吸収すると言われている。

{天然ガス}  主成分はメタン。輸送・貯蔵は、気体の1/600の体積を持つ液体状態(LNG)で行うが、温度を-162℃以下に保たなければならない。

{固体・液体・気体} 一般に、物質に圧力を加えれば、体積は小さくなる。そして、気体は液体に、液体は固体に変化(相転移)し、体積を減少させていく。物質の温度を下げれば、体積は縮小する。気体は液体に、液体は固体に相転移し、その時は発熱を伴なって温度を一定に保とうとするかのように振舞う。自然界では、外界からの変動を、自分自身を変化させて緩和しようとしている。物質の変化も同じである。

 

 

鈴木朝夫のメタンハイドレートのこと、もっと知りたいコーナー

 

メタンハイドレート の取り組み 記事 目次

設立総会・記念講演の開催2011年7月18日(海の日)、 

 


メタンハイドレート の取り組み リンク

2011-03-03 | メタンハイドレートに関する記事

メタンハイドレート の取り組み リンク

リンク①

YouTube - 日本は資源大国 海に眠る300兆円 20110123

 

リンク②

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21研究コンソーシアム) 

経済産業省が平成13年度に策定した「我が国におけるメタンハイドレート開発計画

フェーズ1を遂行するため、資源エネルギー庁から業務を受託

(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構、(独)産業技術総合研究所、(財)エンジニアリング振興協会の3者 (プロジェクトリーダー田中彰一東京大学名誉教授)

メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21研究コンソーシアム)を組織

フェーズ1の結果概要と残された課題

フェーズ2の基本方針と体制

 

リンク③ 

バンづけ|真相報道バンキシャ!

今後期待できる日本の海底資源 
(出展:社団法人日本プロジェクト産業協会  05~07年の平均金属価格より評価

  • 1位

    「メタンハイドレート」・・・120兆円相当

     

    メタンハイドレートは「燃える氷」とも呼ばれ、
    新しいエネルギー資源として注目されているんです。

    水深1000メートルの海底。白っぽく映っているのは、全てメタンハイドレートなんです。

    深海探査機で掘ってみると、ブクブクと泡が出てきます。
    これがメタンハイドレートから出るメタンガスなんです。

    日本の海には、天然ガスにして100年分もの
    メタンハイドレートが埋まっているとみられています。
    (海底のメタンハイドレート 提供:JAMSTEC)

     

  • 2位

    「コバルトリッチクラスト」・・・100兆円相当

     


    携帯電話などIT機器には欠かせない鉱物で、
    今、世界で争奪戦になっているレアメタルが、黒い部分にギュっと詰まっているんです。

    例えば、現在は、ほぼ輸入だけに頼っているコバルトは、国内の年間消費料のおよそ200年分。
    電池の材料となるマンガンもおよそ200年分。
    また、ニッケルもおよそ36年分が、
    日本の海底にあるコバルトリッチクラストに含まれている計算なんです。
    (コバルトリッチクラスト 提供:JOGMEC) 

 

 リンク④  画像ほか

メタンハイドレート実用化戦略のミーティング

メタンハイドレート実用化研究委員会の開催

メタンハイドレートって(なに)? 

日本近海のメタンハイドレート分布

 

 リンク⑤

日本が資源大国になる? メタンハイドレートに3つの追い風|inside ...

 リンク⑥

メタンハイドレート入門

 


鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・活力は土佐沖の海底より出づ

2011-03-03 | メタンハイドレートに関する記事

活力は土佐沖の海底より出づ   

                                                                         情報プラットフォーム、No.2801月号、2011

  

燃えるメタンハイドレート

 

日本周辺海域のメタンハイドレートの推定埋蔵域

画像出展:ウイキペディア メタンハイドレート 


楽しい夢を見た。高知から元気と活気を送り出すのである。鉱物資源に恵まれた「黄金の国、ジパング」復活の夢である。深海海底下400mに眠っている膨大 な資源、メタンハイドレートの掘削技術の発明が夢の始まりである。


 ある日、県内企業のZさんから「この特許出願書を見てくれんろうか。」と相談を受けた。メタンハイドレートからメタンを取り出すことの難しさを 多少は知っていたが、従来の「加熱法(温水圧入)」、「加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」、「分解促進剤注入法」のどれとも異なっていた。命名す れば「加熱法(掘削先端加熱)」である。「優れた特許だからといって、それが直ちに事業に結び付くとは限りませんよ。」と説明した。


 気体包接水和化合物と言われるように、5.75個の水分子が作るカゴ構造の中に、1個のメタン分子が収まっており、これが立体的に連続して、規 則正しい結晶構造を作っている。高圧・低温の安定領域は、例えば{1気圧,-80℃}、{10気圧,-30℃}、{50気圧, 6℃}である。常温・常圧下でも表面が薄い氷で保護されるために比較的安定で、急に燃え出さず、天然ガスのように自噴することもない。この性質が困難を作 り出している。何れの掘削法も、メタンを分離した途端に水分が凍結し、排出管を閉塞させるのである。


「わしの掘削先端加熱法は、酸素だけを供給して、メタンを局所燃焼させる『その場加熱法』ながじゃ。メタンを効率よく取り出いて、分離してくる水も、堆積汚泥もその場に残しちょく。地上や海底に汚泥を出さんようにし、環境汚染がないがよ。」とSさんは説明する。「加熱範囲が際限なく広がらない局所 的な加熱法で、メタンを取出すに必要な最小限のエネルギーで済むのですね。」、「そうじゃ!!」と会話が弾んだ。


「工事が目的の事業と批判された高知新港(FAZ)やが、今となっては先見の明のある先行投資ちゅうことや。」、「2006年1月に、地球深部探査船「ちきゅう」がFAZに寄港し、一般公開があったときは興奮しました。海洋コア総合研究センターを高知大学に誘致できたのもFAZがあるからこそです ね。」、「高知龍馬空港も2500mになっちゅう。高速道から伸びる高規格道が、FAZを、空港を結んでくれるし。」と夢を膨らませた。


 南国市・高知市を中心とする香長平野は、平坦な広い土地を確保し易く、上記のように交通の要に位置しており、研究支援設備などの立地に最適であ る。試験掘削、実証試験は勿論、実用操業でもFAZは様々な役割を担うことが出来る。メタンハイドレートは高知県沖の南海トラフなどに大量に存在し、その賦存量は日本の天然ガス消費量の約100年分に相当すると言われている。温室効果ガス としての危険性が指摘されているが、海底の泥火山からは常にメタンが放出されており、心配は無用と分かっている。メタンはCO2の発生量が少な く、環境の視点からも理想的である。


「東京のY特許事務所のXさんから、今がチャンスやきと、国が公募している政策提言の申請用書式を送って呉れちゅう。どういても、東京での打ち合わせに同行してくれんかよ。」、「高知の立地条件を拠り所に、発明が高知から出ていることを強調して、高知に拠点を置くような構想ですね。」、「統括責任 者を誰に頼もうか?」、「高知に縁があり、海底探査の実績を持つWさんしか居ませんよ。」、「最適任やか。」と二人の意見が一致した。年頭に当た り、一富士(無
事)、二鷹(高)、三茄子(成す)の初夢を披露させて頂いた。

 

 

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