まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

メンヘラブ

2013-04-07 | 北米映画 08~14
 「世界にひとつのプレイブック」
 妻の浮気が原因で精神のバランスを崩してしまったパット。精神病院を退院した彼は、両親の待つ実家へと戻る。情緒不安定なままなパットは、ティファニーという若い未亡人と出会う。彼女もまた、不幸な過去のせいで心を病んでいた…
 アカデミー賞など賞レースを席巻した話題作を、ようやく観ることができました。
 精神や情緒の病気や問題が、ますます深刻化しているような現代社会ですが。ひと昔前に比べると、社会の理解も深まってきていて受容もされつつあり、治療や制度も進んでいるともいえます。この映画でも、家族や周辺社会に迷惑かけまくりなパット&ティファニーに対して、冷ややかな偏見や差別が向けられることがなく、温かく我慢強く見守り支えている人々の姿が印象的でした。
 それにしても。タイムリーかつ切実なテーマである精神障害を、コメディにしてしまってるところがスゴいです。精神病者を、イタい変な連中として嘲笑的に描いていなかったのも好感。アメリカ人ってホント、大らかで寛大なんだなあと感嘆しました。日本、とりわけ私が住んでるド田舎とかだと、パットとティファニーは完全に危険な異常者扱いされるでしょうから。エキセントリックすぎるパットとティファニーを見てると、考えずにはいられませんでした。彼らって、もともとメンタルに問題があったのかな、と。妻の浮気や夫の急死で、あんな風になってしまうものでしょうか。私の周囲にも同じような、いや、もっと過酷な不幸に遭遇した人たちがいますが、みんな気丈に生きてますし。周囲の優しさに狎れて、言いたい放題やりたい放題が許されてたパットとティファニーって、本当に幸せな人たちだなと思いました。実際、精神障害のある人たちの多くは、周りからの理解や支えが得られず苦しんでいると思うので…
 ケンカしながら仲良くなり、やがて恋に落ちる…という、ラブコメの王道をメンヘラ風味にした内容。パットに興味を抱いて積極的に近づいてくるティファニーですが(近づき方もメンヘラで怖いけど笑える)、もしパットがイケメンじゃなかったら、たぶんティファニーも迫ってこなかったんだろうなあ。ラブコメはやはり美男美女の世界ですね。
 パットとティファニーのみならず、登場人物みんなが機関銃のように喋り散らし喚き散らし、ドタバタと騒々しく動き回るハイテンションさには、見ていて疲れるものがありました。台詞が多くて、字幕を追っかけるのも大変だったし。体力気力のない日には観ないほうがいい映画です。前評判が高すぎたせいか、期待してたほど笑えず感動もしなかったのが残念。同じデヴィッド・O・ラッセル監督の作品なら、意味不明で変てこな高尚さが笑えて、キャストが超豪華な「ハッカビーズ」のほうが好きかも。
 キャストの演技は、評判通りユニークでチャーミングでした。主演男優女優、助演男優女優賞の演技部門すべてオスカー候補にあがったのは、二十数年ぶりの快挙だったそうです。
 パット役は、ブラパことブラッドリー・クーパー

 ブラパ、大熱演でした!キレたら発作的に凶暴になる時の迫力、落ち込んでショボンとしてる時の情けなくも切ない表情、思いこみが激しすぎるポジティヴ言動してる時の無邪気すぎる笑顔etc.渾身の演技で、役者としての力量を発揮したブラパです。やっぱ彼って、コメディで本領発揮する男優ですよね。カッコいいのにトボけたアホ可愛さに満ちてて、何か笑えるし。優しく爽やか顔でガタイがいいので、メンタルが不健康な男には見えなかったけど。でもまあ、いかにも病んでます狂ってますが似合う俳優がリアルに演じるのではなく、精神障害とは縁がなさそうなブラパが明るく楽しく演じたから、秀逸なコメディ映画として成功したのでしょう。

 それにしても。ブラパみたいなイケメン亭主がいるのに、何で奥さん浮気なんかしたんだろ。しかも相手は髪の毛薄いおっさんだし。短髪もアメフトのジャージ姿もイケまくり、一生懸命なダンスシーンも微笑ましく、演技だけでなくブラパのカッコカワイさも満喫できる映画です。今回は脱いでませんが、ガッチリムッチリとゴツいカラダつきもたまりません抱いてブラパ!
 ティファニー役は、この作品でアカデミー主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンス。弱冠22歳の快挙!彼女、美人でも可愛いくもないんだけど(強いて表現すれば、ブサカワ女子?)独特な味わいのある女優ですよねえ。若いくせに貫禄と、もう崩れた色気がある。あのフテブテしさがいいですね。ティファニーの不安定さを攻撃的かつ繊細に演じていて、観客の目をグイグイ引きつけます。それにしても。22歳であの強烈な存在感は何なんでしょう。22歳って日本でいえば、AKBとかと同じぐらいですよね?末恐ろしい女子です。
 パットの両親役は、ロバート・デ・ニーロとジャッキー・ウィーヴァー。

 この二人が、いい味だしてるんですよねえ。すっかり好々爺になってるデ・ニーロ御大、ギャンブル狂いだけど気のいい親父をオチャメに演じてます。デ・ニーロおじさんとブラパは、「リミットレス」でも共演してましたね。ママ役のジャッキーおばさんは、肝っ玉オバタリアン風の容姿と可愛らしい声&キャラのギャップが素敵。パットの病院仲間役、クリス・タッカーも好演。彼、はじめ誰だか???なほど太ってましたね。

 映画の宣伝で来日したブラパ。爽やかですね!今はアゲアゲ状態をキープしとかなきゃ!な彼、ガンガン働いてて新作も続々。セクシー男ナンバーワンの座を競ったライアン・ゴスリングとの対決が楽しみな「プレイス・ビヨンド・ザ・パイン/宿命」が近日日本公開。デヴィッド・O・ラッセル監督の新作では、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、ジェレミー・レナ、そして再びジェニファー・ローレンスと共演してるブラパです。



 
  
 
 
 

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