まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ミャンマー祈りの旅③ 拈華微笑の国

2017-04-16 | 旅行
 早朝ホテルをチェックアウトし、再びKLエクスプレスに乗ってクアラルンプール空港へ。結構早めに来たのに、荷物預かりも出国審査も長蛇の列!まさかまさかの超ギリギリ搭乗に、寿命が縮まりました。もっと余裕のある旅がしたい。自分の要領の悪さがつくづく嫌になります。
 乗った航空機の翼が、びっくりするほど年季が入ったボロボロさで、離陸後にガタガタ飛行機が揺れるたびに、すごい不安に。クアラルンプールからミャンマーのヤンゴンまで、約3時間ほどのフライト。現地時間午前10時頃、ついにヤンゴンに到着!
 ヤンゴン国際空港は、コンパクトでこぎれいな空港。到着ゲートを出ると、ダウンタウンまでのタクシーを手配してもらうべく、タクシーカウンターに。そこにいた何人かの職員さんたちが、にこやかに私に微笑みかけてくれます。どこへ行っても冷たくあしらわれてしまう私なので、優しい笑顔は本当に嬉しい。しかし。受付の若いお兄さんは愛想よく、今日はもう終わりました♪と。え?!と耳を疑う私。終わったって、まだ昼前ですよ?!早くも脱力しかけましたが、仕方ない、自分でタクシーを捕まえるべく、空港の外へ出ます。日差しのまぶしい明るさ、マレーシアとは違うカラっとした暑さが、まさに乾季の真っただ中という感じ。タクシーの運ちゃんたちは、私に気づくとワラワラと寄ってきます。中にはコンニチハ!など日本語を口にする運ちゃんも。怖気づきながら、いくらでダウンタウンに行ってくれますかと交渉を始める私。このタクシー交渉が、ミャンマー滞在中もっとも重要かつめんどくさい必要事に。12000K(チャット 1K≒0.1円)!と答える運ちゃんたち。え!8000Kが相場と聞いてたけど!とオズオズ不平を言うと、それはない!12000K!と運ちゃん軍団がいっせいに反論。じゃあ他のタクシー探すわ~と逃げようとすると、分かった!10000Kでいいヨ!と、おじさん運ちゃんが半ば強引に私をタクシーまで連行。値切れた!頑張れば8000Kまで落とせたかもしれませんが…値段交渉なんて普段やらないから、ほんとめんどくさいわ~。
 タクシーの運ちゃんは、とってもフレンドリーなおじさん。お互いカタコトの英語で、日本やミャンマーことを話したり、ここがヤンゴン大学だヨ~インヤー湖だヨ~とか、軽く車内観光案内もしてくれました。

 それにしても。話には聞いてたけど、聞きしに勝るヤンゴンの交通事情。ビュンビュン飛ばしまくって、運転も荒っぽい。交通違反など存在しないも同然。タクシーの運ちゃんも、華麗な?ドライビングテクニックで、ひえ~な車線変更、猛スピード。車だけでなく、歩行者の怖いもの知らずさも驚異でした。信号も横断歩道もないに等しく、うわっこんなところ渡る?!危ないよー!どうかしてる!と悲鳴を何度上げそうになったことか。アイルランドのダブリン、マレーシアのブキッビタンもカオスでしたが、ヤンゴンのワイルドさはその比ではありません。でも、お互いに上手によけ合ってる車と歩行者の、鮮やかすぎる調和は見事の一言でした。事故とかしょっちゅうでしょ?と訊くと、全然ないよ!と運ちゃん。その言葉通り、私がヤンゴンに滞在中は一度もそれらしき場面には遭遇しませんでした。交通ルールが厳しい日本では、毎日のように事故現場を見てるのにね~…。

 ↑ホテルがあった裏通り…
 20分ほどで、タクシーはヤンゴン中心街に滑りこみます。目の前には、黄金に輝くスーレーパヤーが。たくさんの赤い提灯がぶら下がっているチャイナタウン近くに、私が予約したホテルはありました。まさに裏通りといった趣の、ちょっと怪しげな環境にある、こじんまりしたB&Bです。ホテルの中から若いイケメンが出てきて、私をお出迎え。慎ましげな笑顔が好ましい少年。ホテルのボーイさんかと思ったら、何とホテルの経営者だった!どう見ても10代なんだけど?!25歳だという彼は、上手な日本語を喋ってさらに私を驚かせます。日本人観光客が増えたので、独学で日本語を学んでるんだそうです。偉い!助手みたいな男の子も、なかなかのイケメンでした。ミャンマー、ひょっとしたら想定外のイケメン天国?!

 ↑ちょっと広いこぎれいな独房、みたいなシングルルーム
 案内された部屋は、TVも窓もない、でも広くて清潔な部屋でした。ちょっと休んで、さっそく街ブラ。ヤンゴン中心地でも、交通ルール無視な車と通行人との危険な調和に驚かされます。バスとかありえないほどギューギューづめで、開いたままのドアから乗客がはみ出てる!日本では絶対に見られない光景です。いろんな人種が混在してる国らしく、同じ国民とは思えないほど、顔も衣装も多種多様。共通点は、みんな色が黒いこと?ほとんどの女性(老若問わず)が、頬っぺたに真っ白なクリームを塗ってます。タナカという日焼け止めです。ミャンマーでしか見られない習慣?若い女性は、みんな美人で可愛い!でも男性は、うう~ん?イケメンそんなにいないじゃん…ホテルの二人が、例外だったのかしらん。たまに満島ひかりの弟とか、勝村政信とかココリコ遠藤に似た男がいたりしましたが。男性も女性も小柄で痩身。デカい、デブ、は少なかったような気がします。

 ゴチャゴチャした猥雑な雰囲気、光景が、まさに発展途上国。いろんな物を売ってる屋台も目に楽しい。でも、野菜とか果物とかに、ブンブンと蝿がそれを振り払おうともせず、平然と放置し売ってるのもカルチャーショックでした。屋台の人や、すれ違う人の多くが、私と目が合うとシャイな感じで微笑んでくれる。外人=冷たい、という定説が私の中では成り立っているのですが、ミャンマーは嬉しい例外でした。さすが仏さまの国ですね。つっけんどんにされたり、無視されたり、という海外旅行ではお馴染みになってるイヤな思いは、ミャンマーではほとんどありませんでした。優しいミャンマーの人々ですが、ちょっとのんびりしすぎて、怠け者でもある?熱心に商売するよりも、のんきにおしゃべりしてたり昼寝してる人のほうが多いんですよ。たくさんの子どもが売り子してたり、ウロウロしてたのも気になった。学校、行ってないのでしょうか。

 さてさて。空は気持ちよく晴れ渡り、ちょっと不衛生ながらも活気に満ちた街ヤンゴン。絶好の街ブラ日和。スーレーパヤーの前にある市民の憩いの場、マハバンドゥーラ公園に入り、そびえたつ白い独立記念碑を見上げながら、とりあえず海外旅行恒例の絵葉書でも出そうかな、郵便局はどこだっけと地球の歩き方を開こうとした私に、ミャンマー滞在中もっとも忘れられない出来事が、早くも起きようとしていたのでした…
『コンニチハ』
 スーレーパヤーの前で、突然日本語で私に話しかけてきたのは…
 to be continued…
 
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こじらせ家族ゲーム

2017-04-11 | 北米映画 15~
 「たかが世界の終わり」
 劇作家のルイは、ある告白を家族にするため、12年ぶりに帰省する。母と妹のシュザンヌ、初対面の兄嫁カトリーヌはルイを歓迎するが、兄のアントワーヌはとげとげしい態度を取り続ける。やがて家族は、ルイをめぐって激しくぶつかり合うようになり…
 早熟の天才として、世界にその名を轟かせてるグザヴィエ・ドラン監督の新作を、ようやく観ることができました。去年のカンヌ映画祭でグランプリ受賞、そしてフランスの人気スターを集結させた豪華キャストなど、2017年前半これを観ずにして的な作品です。賛否両論あるみたいですが、私は楽しく観ることができました。家族ものも、ハートウォーミング系とかコメディ系は苦手だけど、愛憎でプッツンドロドロな逆噴射ものは好物なんです。この映画、家族がひたすら罵り合い傷つけ合うだけの内容なんですよ。ちょっと「8月の家族たち」に似てる?8月の家族たちより登場人物が少ない分、この映画のほうがシンプルで濃ゆいかも。

 それにしてもフランス人(設定はカナダ人?)、激しいですね~。フランス人って普段はクールでドライだけど、愛となると男女の愛も家族愛も命がけなんですね。激怒も悲嘆も、何だか某半島の人たちみたいで怖かったわ~。何か悪いものに憑かれたようでしたもん。本人たち以上に、見てるほうが疲れます。もうちょっと冷静に穏やかになれませんかね~、そのエネルギーもっといい形で使いましょうよ~と、仲裁に入りたくなりました。家族の中でも特に、ママンと長男アントワーヌのハイテンションさは、ほとんど病気でした。精神的にヤバい人たちとしか思えませんでした。

 和やかさが長続きせず、ちょっとしたことですぐにカっとなってギャーギャー大騒ぎする一家。その異様さが、だんだん笑えてくるようになるんですよ(私だけ?)。ケンカの原因は、ほとんどが実にくだらないことなんです。いちいち&熱心に相手の言葉尻をとらえ、揚げ足をとって波風立てまくり。それが何か、楽しそうにも見えてきたり。わざとやってんのかな?これって、ひょっとしてこの家族のゲームなのかな?和やかに穏やかに過ごすよりも、トゲトゲしくいがみ合うほうが家族愛を実感できるドM一家なのかも?めんどくさい人たちだな~と苦笑。でも、他人は迷惑かけず、家族だけでやってるので、問題ありません

 あまりにも愛が強くて激しいと、その裏返しの憎しみも比例しちゃうんですね。私の家族なんて、ケンカなんかほとんどしません。愛の反対は憎しみではなく無関心だとよく言われてますが、ぶつかり合いすぎて心身ともに疲弊しちゃう愛よりも、平和で穏やかな無関心、距離感のほうが心地よいです。家族に(他人にもですが)何かを期待しすぎ、求めすぎるのもよくないな~とも、つくづく思いました。

 ルイはいったい何を伝えるために帰省したのか、過去にルイと家族の間に何かあったのかなど、はっきりと説明しないところも謎めいてて私は好き。たぶんこうなんだろう、と想像はつくようにしてあります(ルイは余命いくばくもない、たぶんエイズ?とか)。私がもっとも想像をたくましくしてしまったのは、ルイとアントワーヌの関係。アントワーヌがあまりにもルイに対して情緒不安定で、ルイも兄に対して何だかとりわけ辛そうな様子が、まさか兄弟同士で禁断な想い、できごとがあったのでは?!な~んて、思わせぶりなシーンや台詞から深読みしてしまったり。アントワーヌの恨みがましい執念深い態度は、まるで自分を捨てた男と再会し怒ってる女だもん
 ドラ美のもとに集まったフランス映画界の人気スターたちの、激突する個性とアンサンブル演技に目はクギヅケに。主人公のルイ役のギャスパー・ウリエルは、この映画でセザール賞の主演男優賞を受賞!去年に続いてピエール・ニネとの一騎打ちでしたが、今年はギャス男に軍配が上がりました。

 ギャス男、いい役者に成長しましたね~。しゃべくりまくる他の出演者と違って、彼だけはほとんど台詞がなく、ほぼ表情だけで演じてるのですが、すごく優しそうで悲しそうで辛そうで、でも大げさな顔芸などしない静かな痛ましさが胸に迫る名演でした。やつれてくたびれた容貌ながら、やっぱイケメン!家族みんなから愛して!関心もって!とうるさく求められるのも理解できる。美しく才能あるルイ役は、演技力があってもブサイクでは演じられない役です。そこはさすがドラ美、ギャス男を選ぶなんて確かな観察眼、審美眼の持ち主です。あそこまで顔アップに耐えられる俳優、なかなかいません。時おり若い頃の甘い残滓も見てとれて、そこに男の色気も加わって、魅惑的な男ざかりにさしかかってるギャス男です。私、ギャス男の瞳が好きなんですよね~。あんなに優しい瞳は稀有。あの瞳のせいで、ギャス男は悪役はできないかも。映画の冒頭で判明する、映画ポスターでルイの目を覆ってる人の正体が、意外かつ微笑ましかったです。

 ママン役は、大好きな大女優ナタリー・バイ。「わたしはロランス」に続いてのドラ美作品出演。ケバケバしいファッションとメイク、テンション高すぎるキャラがぶっとんでます。シュザンヌから、女装した男みたい!とバカにされるのが笑えた。確かにあんな女装おじさん、いますね(笑)。ナタリーおばさまのKYなコミカルさ、絶望と虚無に老いた顔が、憎めない妖怪ちっく。彼女の存在が、この映画を悲喜劇にしてます。
 アントワーヌ役のヴァンサン・カッセルが、こ、怖い!あんな24時間プッツン兄ちゃんいたら、絶対イヤだ~。キレまくり、どこ踏んでも爆発の地雷男。ほんとどき○がいです。顔もケダモノじみてるし、デカいので迫力、威圧感ハンパないです。ヴァンサンみたいな怪優ではなく美男俳優だったら、怖くはないけどきっと禁断のBLちっになってただろうな~。そこは惜しい。それはそうと。ギャス男って、前はヴァンサンの妹と付き合ってたんだよな~。
 カトリーヌ役はマリオン・コティアール、妹シュザンヌ役はレア・セドゥと、国際的に活躍する働き者女優たちが好演。静かで寂しげな風情のマリ子は、いつもより地味で可愛く見えました。おどおどした遠慮がちな表情、不満や怒りを抑圧してる忍耐顔が秀逸。レアは、ヴァンサン相手にキレまくり応戦!ギャス男に対しては別人のように、シャイで不器用な妹なのが可愛かった。
 独特の演出と編集、こだわりのある音楽の使い方が、相変わらずドラ美の才気を感じさせます。ラストのハトポッポ時計が笑えた。いったい何しに帰ってきたの?なラストのルイも、何か笑えたわ。ひょっとしたら、死なずに来年もひょこっと悲しそうな顔して戻ってきて、また家族と同じことやるのではなかろうか、とか思ってしまいました。
 この映画、日本でリメイクされるとしたら、理想妄想キャストはこうだ!

 ルイ … 妻夫木聡 
 アントワーヌ … 内野聖陽  
 カトリーヌ … 和久井映見
 シュザンヌ … のん 
 ママン … 大竹しのぶ
 
 こんなん出ましたけどぉ~?
 イケメン、ゲイ役、優しそう、30代、台詞が少ないルイ役、ブッキーに適してると思う!のんちゃん、シュザンヌみたいな役でイメチェンしてほしいかも。

 ↑ドラ美とギャス男、まるで恋人同士みたいお似合いですが、ギャス男はバリバリのストレートで、いつの間にか一児のパパになってた!

 ↑この頃の可愛さといったら。ウリ坊と呼ばれてた時代から応援してた者としては、最近のギャス男の成熟ぶりには隔世の念を禁じ得ません…

 ↑つっても、まだ32歳。嵐とかと年、変わんないんだよね~。大人の男だけど可愛さも残してて、理想的な30代ですね。ジョニー・デップの娘共演の新作「ザ・ダンサー」が、年内日本公開!セザール賞で去年はサン・ローラン対決、今年は天才ゲイ監督作品で火花を散らしたピエール・ニネと、いつか競演してほしいわ~
 
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華麗なる熟女のベトナム案内!

2017-04-07 | フランス、ベルギー映画
 「インドシナ」
 1930年代、フランスの植民地インドシナで生まれ育ったエリアーヌは、養女である王族の娘カミーユを育てながら、広大なゴム園を切り盛りしていた。特権階級に抵抗する独立運動が激化する中、フランス軍将校のジャン・バティストと恋に落ちたエリアーヌだったが、カミーユもまたジャン・バティストを愛するようになって…
 1992年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した、「イースト/ウェスト」や「運命の門」などのレジス・ヴァルニエ監督作品。
 異国情緒あふれるインドシナ(現ベトナム)、激動の時代の中で繰り広げられる運命的な恋と波乱の人生…こういう大河ロマン、大好きです。めっきり作られなくなってる現状が悲しい。内容的には韓流時代劇に近いものがあるけど、ありえない展開やキャラが多い韓流と違い、時代の流れや人間関係の描写も丁寧で、男女のロマンスも複雑で濃密、どこか退廃的でアンニュイ、エレガンスあふれるリッチ感は、フランスならではです。
 フランス占領下のベトナムが、興味深く描かれていました。現地人を奴隷扱い、家畜扱いにし、優雅に豊かに我が物顔なフランス人たち。イギリスや日本もだけど、フランス人も結構やりたい放題だったんですね~。今では考えられない、ありえないけど、植民地時代はあれがフツーだったんですよね。エリアーヌも、支配者側のフランス人にしては現地人に優しく寛大でしたが、決して彼らとは平等とは思ってないし、そんな態度もとらない。なので、偽善者ヒロインにならずにすんでいました。

 支配する側される側のフランスとインドシナが、まるで男女のような、親子のような、決して離れられない愛憎で結ばれた関係のようでした。カミーユを愛し、守っていると同時に支配しようとしているエリアーヌ。エリアーヌへの依存心を捨て自由を求めるカミーユ。二人のヒロインの愛と生き方が、フランスとベトナムの関係と運命にカブっていたのが秀逸でした。時代の大きなうねりの中、ジタバタすることなく冷静沈着に栄枯盛衰を見つめるエリアーヌは(男を追って出奔したカミーユのことを心配してオロオロする以外、意外なまでに何もしてなかったし)、まさにフランス人の愛国心をくすぐるキャラではないでしょうか。

 エリアーヌ役は、泣く子も黙る大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。彼女はこの作品で、初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。70を過ぎた今もなお精力的、意欲的に映画出演を続けているドヌーヴさん、「太陽のめざめ」など近年の彼女は、どっしりずっしりしたオバチャンと化してますが、この映画ではまだ太ってなくて美しいマダム風です。女王さまのような貫禄と威厳、風格がカッコいい。美しいけど、なよなよしい手弱女ではなく、内面はほとんど男な雄々しさ強靭さが、ドヌーヴに代表されるフランス女優の魅力でしょうか。他の作品に比べると、エモーショナルな演技を披露してるドヌーヴ。数ある彼女の代表作の中でも、私はこの映画が特に好きです。彼女のとっかえひっかえな、決して庶民には着こなせないマダムファッションも目に楽しいです。波乱と激動の時代を経て晩年を迎えたエリアーヌの、ほとんど変化がない美魔女っぷりが、まさに女王ドヌーヴって感じです。

 母と娘に愛され親子どんぶりな運命の男、ジャン・バティスト役は、かつてはフランス大物女優の相手役御用達だった色男、ヴァンサン・ペレーズ。この頃の彼は、まさにイケメン絶頂期にありました。熟女も少女もメロメロにするフェロモンが、キツい香水のようです。そんなに肉体美ではないけど、浅黒い艶肌がエロい。でも、痩身で意外と小柄なせいか、軍服があんまし似合ってなかったような。すごいデコッパチで、頭髪がすでにヤバかった。現在のペレーズ氏は、ほとんどそのままま東な頭になってます
 カミーユ役のリン・ダン・ファンが、可憐で凛としててチャーミングでした。韓国や中国といった見慣れてるアジア美女とは違う独特の愛らしさ。純真で情熱的なカミーユのキャラ、強く悲しい生き方も胸を打ちます。エリアーヌを愛している警察署長役のジャン・ヤンヌ、友人役のドミニク・ブランなど、フランス映画ではおなじみの名優が脇を固めています。
 美しいインドシナの風景も、この映画の見どころです。映画の冒頭、カミーユの両親の葬儀シーンが、静謐で清冽で印象的でした。次はベトナムに行きたいな~。王宮やハロン湾、劇中ドヌーヴがお茶してたホテル・コンティネンタル・サイゴンのカフェとか、旅心をそそります。
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盗(と)んでイスタンブール

2017-04-04 | 北米映画 60s~70s
 さっきまでTVでカープVS中日戦観てたんですけど…それより気になって面白すぎたのが、阪神VSヤクルト戦です。久々の大乱闘!
 阪神の藤浪が、ヤクルトの畠山にデッドボール!怒った畠山がマウンドのナミーに近づいていくと、両軍のベンチからナインやコーチが飛び出してきて、バレンティンに突き飛ばされた阪神の矢野コーチが、報復の膝蹴り!金本監督まで激怒で我を忘れ、京セラドームはカオスと化したのでした。
 最近のプロ野球選手はおとなしいので、昔は珍しくもなかった乱闘も今はすっかり影を潜めてしまってますが、やっぱたまには見たいですよね~。カープなんか特に優しく品行方正なので、そんなオマケは期待できないけど。
 それにしても。目の前の乱闘に青ざめてるナミーに既視感。忘れもしない、カープ戦でも黒田に殺人ボールをぶつけそうになって、あわや乱闘の事態に茫然と立ち尽くしてたナミー。わざとじゃないんだろうけど、危ない子だわ~。カープ戦ではno more, please!

 それにしても。バレンティンの凶暴さ、凶悪さときたら。怖すぎるわ~。殺人バットで石原を殺しかけたり、カープも酷い目に遭ってますしね~。実際にも奥さんを殺しかけて逮捕されたりもした極悪外人バレンティン、いくら実力があるとはいえ、こんなのカープにいなくて本当に良かった。バレンティンとか巨人の狂犬マイコラスとかと違い、カープの外人選手ジョンソン、エルドレッド、ジャクソン、ヘーゲンス、みんな明るく協調性があって紳士的。スカウトには人柄も重視してるところが、カープらしい。それは遵守してほしいものです。
 
 懐かしの60s70s映画③
 「トプカピ」
 美しき女盗賊エリザベスは、元恋人のウォルターと組んで仲間を集め、イスタンブールのトプカピ美術館にある宝刀を盗み出す計画を立てる。ひょんなことから、イギリス人のシンプソンはそれに巻き込まれてしまい…
 「日曜はダメよ」など、アメリカ人ながら主にヨーロッパで佳作を撮った名匠、ジュールズ・ダッシン監督の1964年の作品。
 数ある泥棒コメディ映画の中でも、屈指のクオリティの高さを誇る名作です。少なくとも、実写版ルパン3世の1億倍は面白いと思います。大人が観ても楽しめる映画です。

 まず、怪盗グループのキャラ立ちが素晴らしい。妖艶な熟女エリザベス、チームリーダーの頭脳派ウォルター、メカニック担当の英国紳士セドリック、実行隊の軽業ボーイ&怪力男、そして彼らに無理やり仲間に引きこまれてしまうトンマなシンプソン。みんな見た目も個性的で、彼らのやりとりも小粋で楽しいです。
 出色なのは、トプカピ美術館から宝刀を盗み出すシーン。え!これって、ミッションインポッシブルじゃん?!もちろんこの映画のほうが先に作られてるので、パクリなのはMIのほうになります。でも、こっちのほうがすごい緊迫感あり。いっさいの音を消した無音状態なのが、秀逸すぎる演出でした。

 キャストもキャラに負けない強烈な個性派ぞろいで、国際的かつ濃ゆい!ヒロインのエリザベス役は、ギリシア出身の大女優で、ジュールズ・ダッシン監督の「日曜はダメよ」でオスカー候補となり、監督の愛妻でもあったメリナ・メクルーリ。女怪盗というより、マフィアの大姐御みたいな豪快さと貫禄、男みたいなドラ声。男たちを手玉にとり翻弄する峰不二子な役には、ちょっと熟女すぎるきらいはあるのだけど。男たち、彼女の魅力に屈して、というより、彼女の迫力に気圧されて、みたいな感じだった。彼女のとっかえひっかえなファッションも目に楽しいです。
 ウォルター役は、名作「ニュールンベルグ裁判」でオスカーを受賞した、オーストリア出身のマクシミリアン・シェル。ダニエル・デイ・ルイス+ウォーレン・ビーティ、みたいで男前!めちゃくちゃ頭よさそう!テキパキと冷静にチームを指揮する姿がカッコよかったです。
 いちばん美味しい役で目だちまくりだったのが、シンプソン役のピーター・ユスチノフ。

 日本では名探偵ポアロ役で知られてる彼、この映画での名演で、「スパルタカス」に続いて2度目のオスカーを受賞しています。オロオロとアタフタ、ドジでマヌケなおっさんを、楽しく可愛らしく演じてます。トンマな役、演技でも、全然おバカにも下品にもならないところは、さすが英国俳優の中でもとりわけインテリとして有名だったユスチノフ氏です。太ってるけど、よく見れば顔立ちはすごく整っていて美男子。デブ専でオヤジ専な人にはたまらん男かも。セドリック役は、偶然!「料理長殿、ご用心」のロバート・モーリー!ここでもイギリス紳士らしく、ちょっと気取ってて皮肉な言動で笑いを誘ってます。
 イスタンブールの異国情緒も、存分に味わえます。トルコ相撲が、すごい迫力と臨場感で撮られていました。トルコも行ってみたいな~。60年代らしい色彩感覚とかカメラワーク、音楽も好き。特にオープニングの演出が洒落てます。現代だとかなり無理があって成り立たない、60年代はこんなんだったんだな~と返って新鮮に思える内容です。でも、この映画のハッピーなリッチさは、現代の映画では出せない魅力です。監督も主要キャストもみんな、もう故人なのが悲しい…
  
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黒いテレキネシス

2017-03-31 | イギリス、アイルランド映画
 懐かしの60s70s映画②
 「恐怖の魔力 メドゥーサ・タッチ」
 作家のモーラーが瀕死の状態で発見された殺人未遂事件を、ロンドンで研修中だったパリの警視ブリュネルが捜査する。モーラーのカウンセリングを担当していた精神科医ゾンフェルドから、モーラーには恐ろしい念力があり、事件前に起きた旅客機墜落事故も、モーラーの起こしたものだとブリュネルは告げられるが…
 日本では劇場未公開ながら、カルト的なファンが多いと言われている隠れた名作です。「オーメン」とか松本洋子先生の怖い漫画が好きな人なら、すごく楽しめると思います。

 主人公のモーラーが、幼い頃から自分を虐げる者や邪魔をする者、不快な者を、念力で次々と無残に抹殺していくのですが、どんどん制御不可能になって、飛行機墜落や大聖堂破壊、さらに宇宙ステーション事故など、災厄がエスカレートしていくのが恐ろしくも笑えた。念力で人が死ぬシーンの演出やムード、音楽など、かなりオーメンっぽいです。オーメンほどショッキングに残虐でもおどろおどろしくもないのですが、この映画の惨劇もかなり非道いです。特にインパクトがあったのは、少年のモーラーが両親を念力で殺すシーン。無人の車に激突され、ぎゃー!!と高い断崖から海へ落ちていく男女…あんな死に方、絶対イヤ~!と戦慄しつつ、両親の恐怖顔と落下する姿が何か笑えて仕方なかったです。

 恐ろしい念力のせいで、重苦しく孤独な暗闇人生を送っていたモーラー。自分に関わりのある者のみならず、ぜんぜん関係ない人たちまでに災いをもたらしてしまう彼は、まさに悪魔のような男でした。コントロールできなくなり、植物人間になっても念力だけは大暴れな展開が、怖くて面白かったです。でもあの念力、うまく使うことができれば素晴らしい力です。あの魔力を得たら、私なんか私利私欲まみれでガンガン悪用しちゃうことでしょう。そして、ろくな末路を迎えないんだろうな。人を呪わば穴二つですもんね。モーラーのように、死んでほしいと呪ってしまうほどの憎悪や怒りを、私は抱いたことがないけど…

 この映画、今はTVでは放送できないシーンがあります。高層ビルに突っ込んで爆破する旅客機…まるで9.11のテロを予言したような、不吉で衝撃的なシーンです。あと、ロンドンの大聖堂が祭典中に崩壊して、阿鼻叫喚のパニック地獄絵図とかも、現代社会最大の脅威、恐怖のひとつであるテロへの警鐘みたいでゾっとしました。
 モーラー役はリチャード・バートン、ブリュエル警視役はリノ・ヴァンチュラ。今は亡き英仏のシブい名優二人が、静かなる熱演。

 リチャード・バートンは、暗い!重い!カルマ感ハンパないです。睨まれたらホントに呪い殺されそうな鋭い目つきが怖い!でも、インテリダンディな熟年で、悲劇しか似合わない風情に惹かれます。リノ・ヴァンチュラは、刑事役かマフィア役のどっちかしかできなさそうなコワモテ風貌。ナヨっちい軽薄な男が多い中、そのどしっとした力強さ沈着さがカッコいいです。台詞はすべて英語。フランス俳優が英語で演技って、私すごく好きなんですよね~。美貌の女医ゾンフェルド役が、オーメンで悪魔の子ダミアンの母役だったリー・レミックだったのが、なかなか粋なキャスティングでした。モーラーを殺そうとした犯人の正体も、意外で驚かされます。
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