まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

天高く鯉昇る秋 前編

2017-09-18 | カープ
 カープ、ついに優勝!!2連覇です!!
 25年ぶりの歓喜パニックに酔ったあの夜から1年、再び広島は興奮のるつぼに。あの弱かったカープが、2年連続リーグ優勝だなんて。わし世代のファンにとっては、今でもほっぺをつねってしまう夢のような幸せです。それにしても。今年も圧倒的に強く、早くからほぼ独走だったカープでしたが、ラストスパートをかける頃になって、思わぬつまづきと不運が重なってしまい、熱望されていた地元マツダスタジアムでの優勝を逸してしまったことだけが、唯一の心残りとなりました。

 ↑今年もこの光景が見られて、本当に感謝感激…カープが繰り広げた様々なシーンが、走馬燈のように蘇ります
 勝利の女神さまって、意地悪というかイタズラ好きというか。今年もカープにいっぱい微笑んであげたんだから、最後ぐらいちょっと焦らせてやれ♪とばかりなイケズさを見せて、え!?ウソやろ?!な形で2度も絶好のチャンスで地元V逸まず、DeNAを撃破し、巨人が阪神に勝てば優勝!だった夜。去年は阪神が巨人に勝てば、でした。でも、巨人も阪神も示し合わせたかのように、去年同様の超KYっぷりを発揮し、カープは優勝持ち越し。ならば次のヤクルトを倒せば!だった先日。相手が最下位のヤクルトだったこともあり、広島中がもうすっかり優勝決まり!ムードで昂っていました。今年はどうしても仕事を放棄できず、泣く泣くラジオを聴きながら戦況を追っていた私も、職場の人たちと今日じゃ今日じゃと浮かれ気分だったのに、ああ、何ということ!

 ↑今年も胴上げ投手は中崎どんでしたね
 逆転がオハコだったカープが、よりによって今日?!なゲームで逆転されてしまい、ヤクルトに敗退ヤクルトも最後っ屁のような意地でカープ優勝を阻止。そして、翌日は台風で試合中止他球団のささやかな抵抗と悪天候に阻まれ、ズムスタ優勝の夢は潰えてしまったのでした。すべて思うようにはいかないものだ、という現実の壁に頭ゴツンな日々でした。気持ちをちょっと引き締めて、今度こそはと乗り込んだ甲子園。まさかここでカープの胴上げとは。これはカープファン以上に、阪神ファンにとって思うところが多い事態となったのではなかろうか。カープに3タテを食らって引導を渡されたけど、目前胴上げは見ずにすんだはずだったのに。優勝爆弾がDeNA、ヤクルトをたらい回しにされて、まさか自分たちの手に戻ってきてドガン!とは。阪神、かえずがえすカープ運の悪い年でしたね。
 本日、甲子園で連覇を決めたカープですが、トホホホ…今日も仕事でTV中継は観られずリアルタイムで優勝戦、優勝の瞬間を目にできないなんて、親の死に目に会えないのと同じぐらいの無念さじゃわいや~。スポーツニュースで詳細を知るなんて、物足りんわ~。TVの前にかじりついて応援に燃えた去年とは、やはり感動に温度差があります。

 ↑甲子園をも赤く浸食してしまうカープファン、恐るべし!
 今日も結構な胃痛ゲームだったみたいですね~。先発はノムスケ。去年の最多勝投手なのに、大丈夫?!と不安にさせてばかりな今年のノムスケでした。彼だけでなく、去年の沢村賞投手ジョンソンを筆頭に、大瀬良くんも岡ちゃんも、まさかの14勝をあげ数少ない絶好調先発投手だったヤブたんまでも、肝心な時においおい~な負け方をしたりと、勝負弱さが目立った先発陣。優勝も想定外の待ったがかかってしまい、今日もヤバそうな展開となったけれども、ついに!ようやく!今日カープはゴールテープを切ることができました

 ↑新井さんのこの笑顔が今年も見られて嬉しい
 ガン闘病から復帰した赤松と、怪我でリハビリ中のセイヤは、ズムスタで優勝したら感動の登場!のスタンバイしてたとか。甲子園でやっとそれが実現しました。二人とも元気そうで喜びもひとしお。

 ↑赤松の復帰をいちばん喜んでいると言われている菊池、仲良しの西川&野間に運ばれて笑いをふりまくセイヤ。チームの雰囲気の良さも、12球団随一なのでは
 とりあえず、ビールかけなど詳細をスポーツニュースで今から追っかけます!今夜は広島県民のほとんどが、寝不足覚悟のハッピーナイトです

 ↑セイヤをおんぶするエルドレッド。ほのぼのするわ~
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空でも海でもBOMB BOMB BOMB!

2017-09-13 | イギリス、アイルランド映画
 「ダンケルク」
 第二次世界大戦下のフランス北部ダンケルクで、40万人の連合軍がドイツ軍の猛攻により追いつめられていた。彼らを救うべく、イギリス空軍の戦闘機や民間の船がダンケルクへと向かうが…
 話題の作品をやっとこさ観ることができました~(^^♪
 今や新作が最も待ち望まれているクリストファー・ノーラン監督。やっぱノーランだよね、と言えば意識高い系の映画ファンとして認知される昨今ですが、悲しいかな私は意識低い系…決してつまんないとかワケワカメとは思わないし、ユニークで斬新だな~と感嘆しつつも、もてはやされぶりにピンとこないんですよね~。なので、この新作を観れば今度こそ意識高い系のノーラン信者になれる?と期待してたのですが。やはりいつもと同じで、面白かったけどスゴさがいまいち理解できない、という感想でした。どんだけ私、意識低いのよ。ノーランやっぱ最高~♪とか言える映画ファンになりたい~。
 この新作も、「ダークナイト」や「インセプション」同様に独特な映像、カメラワークで、圧倒されるやら惹きこまれるやら、これぞ映画!TVドラマの延長とは違う!な迫力とスタイリッシュさでした。これ、どーやって撮影したんだろ?な驚異に満ちていました。CGや特殊効果もふんだんに駆使したんだろうけど、昔と違ってそれがバレバレじゃなく、ほんとに爆撃したり撃沈してるとしか思えないリアルさに感嘆。

 主人公の兵士が、次々と襲いかかってくる危機から逃げ惑い、決死で難を回避する姿が、まるで戦争もののRPGみたいだった。絶体絶命の状況でも、ナンダカンダでスルっと助かって生き延びる主人公の強運にも驚嘆。平和な日本でバナナの皮で足を滑らせて頭打って死ぬ人もいれば、この映画の主人公のように爆弾が降ってこようが沈む船に閉じ込められようが、ぜったい死なない人もいるんですよね~。
 映像的、演出的には才気がほとばしってましたが、人間ドラマ的にはめっちゃ薄かったです。ただ単に逃げて戦うだけ、みたいな。感動とか衝撃はとほとんどなかったのが残念。人間ドラマよりも、映像重視なところがノーラン監督らしい。同じ第二次世界大戦映画なら、「ハクソー・リッジ」のほうがテーマが痛烈で、戦時下の人間の描写にもインパクトがありました。イギリス人が観たら愛国心をくすぐられるのかな?でも、鼻につくような英国万歳!なテイストもなかったです。反戦的なメッセージ色も特に感じられなかった。名誉ある撤退、みたいな描き方にはちょっと鼻白んでしまいました。過酷な戦場をサバイバルすることも立派だとは思うけど、やっぱ負けて逃げる姿はカッコよくは見えなかった…
 この映画を観に行ったのは、もちろんノーラン監督作だからではなく、トム・ハーディが出演してたから(^^♪

 ノーラン監督のお気に俳優であるトムハ、今回も英雄的な活躍をする戦闘機のパイロット、という美味しい役をもらってました、が。「ダークナイト ライジング」同様に、ずっとマスクかぶっていて顔がほとんど隠れてるせっかくの男前が、もったいない~。ほぼ目と声だけの演技なのですが、いい男であることは隠せません。目だけでも、兵士役のエキストラたちとの顔面偏差値の違いがわかります。

 スピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」でオスカーを受賞したマーク・ライランスが、イギリスからダンケルクまで兵士を救うために海を渡ってくる民間船の船長さんを好演。海の男というより、古書店の店長って感じの風貌でしたが。これまたノーラン監督のお気に俳優であるキリアン・マーフィや、「オリエント急行殺人事件」リメイクも楽しみなケネス・ブラナなど、映画ファンにはお馴染みの英国俳優も顔を見せてます。あと、英国の人気アイドルグループ、ワンダイレクションのメンバーだったハリー・スタイルズの映画デビュー作としても話題に。でも私、途中までどれがハリーくんなのか全然わかんなくて特別なきらめきとか存在感、カリスマ的魅力とかは感じなかったです。アイドルのハリーくんよりも、パイロット役のジャック・ロウデンのほうが目を惹くイケメンでした。

 女っけが全然ない男祭り映画なのですが、まったく男くさくない、どこか冷たくて乾いた感じなのも、ノーラン監督らしかったです。せっかく男だらけなのに色気がない映画ばかりだから、ノーラン監督にそんなに魅力を感じないのかな。

 ↑マッドマックス続編など、新作目白押しなトムハ。TVシリーズの「TABOO」がスカパーで放送!み、観たい!
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悪魔のような牧師

2017-09-10 | その他のヨーロッパ映画
 「Brimstone」
 19世紀末のアメリカ西部。言葉を話すことができないリズは助産婦をしながら、夫や娘と平穏に暮らしていた。しかし、村にやって来た新しい牧師を見た瞬間、リズは恐怖で凍りつく。牧師とリズは、誰にも言えない忌まわしい関係にあった…
 何か思ってた以上に陰惨で残虐な映画でした。救いようのない暗い物語が、うげげ!?と眉をひそめてしまう殺戮や暴力シーンてんこもりで描かれているんですよ。母体を助けるために出産時に赤ん坊の頭を割って殺したり、とか。腹を裂かれて飛び出た腸を首に巻き付けられて断末魔、とか。自分で自分の舌を切断、とか。トイレや教会で無残な首吊り死、とか。とにかく苦痛と血にまみれてます。それと、年端もいかぬ少年少女が、殺されたり性的虐待を受けたり。観る人に暗い気持ちやイヤな思いをさせるために作ったとしか思えぬ悪夢な映画でした。

 今まで数え切れぬほどの不幸なヒロインを見てきたけど、この映画のリズほど苦痛や恥辱、悲憤を味わい尽くすために生まれたかのようなヒロインはなかなかいないかも。父親であるキ◯ガイ牧師からの精神的肉体的虐待、母親が公衆の面前で自殺、初恋の男も殺され、逃亡したはいいが騙されて娼館に売り飛ばされ、せっかく幸せな結婚をしても血塗られた運命からは逃れられず、家族までも…と、世の不幸を一身に集めているかのような女。でも、ぜんぜん可哀想とは思えなかった。なぜなら、彼女以上に関わる人々のほうが悲劇的な末路を遂げてしまうから。累々の屍を越えて、心身ともに傷だらけになりながらも生き残るリズ、まるで呪われた疫病神みたいでした。

 タイトルの“Brimstone”とは、日本語に訳すと“硫黄”、聖書では地獄を表す言葉なんだとか。まったく宗教とは縁のない私などからしたら、まったくもって理解も共感もできない、敬虔を通り越して狂信的な信仰のおぞましさも、この映画をホラーにしてます。4つの章で構成されているのですが、リズの平穏な生活が牧師の登場で壊れる現在→娼婦ジョアンナが牧師と再会→少女ジョアンナと両親の異常な関係→最初に戻ってリズと牧師の最終対決、と現在過去が錯綜する構成になってるのが面白かったです。それぞれに宗教的なタイトルがついてたのも英語の語彙の勉強になりました。海外旅行に行っても、絶対使わないだろうけどあと、2時間30分近くもあって、長い映画が苦手な人にはキツいかもです。
 リズ役は、かつての名子役ダコタ・ファニング。ちょっと前に観た「リチャード・ギア/人生の特効薬」など、すっかり大人の女優になった彼女ですが、でもどこかまだ幼さが残っている、未発達な雰囲気がちょっと安達祐実っぽいです。娘がいる役も、母親というより年の離れた姉にしか見えなかったり。バックから客に激しく突かれたり娼婦な演技も、何だか居心地の悪さしか感じませんでした。もうちょっと成熟したら、ケイト・ウィンスレットっぽい風貌になりそう。
 悪魔の牧師役は、大好きなガイ・ピアース

 ガイピー、何でこんな役を引き受けたの?!宗教き◯がいなだけでなく、SMロリコン変態な殺人鬼、という悪役というよりキワモノ役。狂った宗教観を振りかざし、大真面目に異常な言動を繰り返すガイピーが怖くて笑えます。ウゲゲなことばかりするガイピーですが、初潮を迎えたばかりの娘の入浴姿をこっそりのぞき見してる姿が特にキモくて、でも何か可愛くて笑えた。き◯がいでも変態でも殺人鬼でも、やっぱ男前どうでもいい俳優のヒーロー演技より、ガイピーの変態演技のほうが100倍いい。上半身裸で自分をムチ打つドMシーンも、セクシーで素敵でした。
 少女ジョアンナが出会う無頼の若者役で、キット・ハリントンが登場。

 キット、可愛いジョアンナに豚小屋で匿われてるキット、まるでイケメンペットみたいで萌え~。腕っぷしが強く頭が良くて屈折してるけど、どこか人が善さそうで甘いところがある役って、キットに最も似合う役ですね。ジョアンナを悲惨な運命から救ってくれる騎士な役なのかな?と期待してたのですが、え!?うそ?!と目がテンになってしまったほど、あっという間に消えちゃいます。キットの無駄づかいはヤメロ!

 牧師の妻役のオランダ人女優カリス・ファン・ハウテンは、キットと同じく人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演してるとか。何とこの映画の共演が縁で、ガイピーと恋におちて彼の子どもを出産!あんな異様で悲惨な夫婦だった二人が、幸せなカップルになるとは。すごい違和感。

 ↑ガイピーもいつの間にか50歳。今でも全然イケてますたくさんある新作の中では、シアーシャ・ローナン主演の時代劇“Mary Queen of Scots”が特に楽しみ!

 ↑キットの最新作は、何と!グザヴィエ・ドラン監督の初英語作品“The Death and Life of John F. Donovan ”です。ジェシカ・チャステインやナタリー・ポートマン、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツといった大物女優たちを脇に従えての主演!ドラ美とキットの親密そうな撮影現場に萌え~
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あれこれ思う秋の日

2017-09-06 | 映画雑記
 Good-bye,summer!涼しくなった風や夜の虫の音に、秋の気配を感じるようになりましたねひとりで紅茶飲みながら、絵葉書なんか書きそうになる思秋期な私ですが、映画三昧な秋にしたいな~なんて思ってます。とりあえず今月は、「ダンケルク」と「エル ELLE」を観に行くゾっと!
 秋に日本で公開される絶対観る!な映画、ピックアップしてみたけんね~

婚約者の友人

 フランソワ・オゾン監督×ピエール・ニネ主演!この顔合わせに期待しないなんて、ありえない~。ニネっちは、ヒロインを惑わすミステリアスな美青年を演じています。

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者

 パブロ・ラライン監督×ガエル・ガルシア・ベルナル主演!これも期待しないなんて無理!ガエルっちは、政治犯の詩人を追跡する刑事をチャーミングに演じてます。

MASTER マスター

 イ・ビョンホンが久々の悪役で、若手トップスターのカン・ドンウォンと対決。俺のほうが格上!役者の違い見せたるわ!なビョン吉さんに期待。

密偵

 ソン・ガンホとコン・ユ主演のスパイ映画。イ・ビョンホンがゲスト出演してることも話題です。



 原作である三浦しをんの小説は、とても面白かったです。主演の井浦新と瑛太は、原作を凌駕する演技を披露してくれるでしょうか?

静かなふたり

 ヒロインを演じてるロリータ・シャマは、あの大女優の娘!やっぱ何となく似てますね~。

 皆さまはどんな映画を楽しみにしてらっしゃいますでしょうか。おすすめがあれば、ぜひ!
 ご一緒に秋も、充実したcinema lifeをLet's enjoy!
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美しき遺産争族の館

2017-09-04 | イギリス、アイルランド映画
 「ハワーズ・エンド」
 20世紀初頭のイギリス。文化的な中産階級のシュレーゲル家の次女ヘレンは、裕福なウィルコックス家の息子と浮名を流してしまう。そんな妹を気遣う姉マーガレットは、ウィルコックス家の当主であるヘンリーの妻ルースと親しくなる。病で余命いくばくもないルースは、マーガレットに愛着ある別荘ハワーズ・エンドを贈ろうとする。しかしルースの死後、彼女の遺言書はヘンリーや子どもたちによってもみ消されてしまい…
 「眺めのいい部屋」「モーリス」に続き、ジェームズ・アイヴォリー監督がE・M・フォースターの小説を映画化。前2作以上に高く評価され、アカデミー賞でも主要数部門でノミネートされ、主演女優賞、脚色賞、美術賞を受賞しました。

 最近、こういう格調高い文芸作品、作られなくなりましたね。ララランドとかムーンライトとかも悪くないのだけど、たまにでいいので庶民には縁のないリッチでハイソな世界を描いた映画も観たい。TVシリーズの「ダウントン・アビー」が大人気でしたが、やっぱ何かTVよりも映画のほうが芳醇で奥が深いんですよね~。そして、同じお金持ちの話でも、アメリカの大富豪や成金セレブと、英国の貴族や上流社会とでは、まるで違います。この映画の人々は、まったく贅昧三昧じゃない、むしろ吝嗇なんだけど、生活のためにあくせく働いたり、家事や育児に追われたりといったドメスティックな苦労など気配もなく、みんな優雅にキチンとした趣味の高い日々を送ってるんですよ。ああいった生活、本当に憧れます。私も贅沢はできなくてもいいので、きれいな屋敷で大勢の召使いにかしずかれて、生計を立てていくことを気にせず暮らしてみたいです。

 この作品は、「眺めのいい部屋」や「モーリス」のような恋愛映画ではなく、どちらかといえばイギリスの階級社会の中にある格差や軋轢に右往左往したり、お金や土地のことで揉める人間模様をメインに描いてる映画です。階級差は古今東西ですが、イギリスのそれは歴史的にもお国柄的も、とりわけドラマになりやすい面白さを孕んでますよね~。露骨でありながら慇懃でもあるところが、ほんと英国って感じ。この映画では、シュレーゲル姉妹と関わりをもつレオナルド・バストという青年が、労働階級であるがために翻弄されたり辛酸をなめたり屈辱を味わうのですが、階級差ってほんと理不尽で不公平だよな~と、みじめな彼を見ていて同情せずにいられませんでした。「モーリス」の森番アレックもそうでしたが、頭も性格も良くても、逃れることができない、あきらめることのほうが圧倒的に多い身分の悲しみに暗澹となります。私も似たような身分だし…あと、同じ中産階級でも、文化的なシュレーゲル家と現実的なウィルコックス家の価値観の相違も興味深かったです。
 アイヴォリー監督の文芸作はいつもキャストが素晴らしいのですが、この作品はとりわけ行き届てる感じ、集大成的な顔ぶれとなっています。ヘンリー役はアンソニー・ホプキンス、ヘンリーの後添えとなるマーガレット役はエマ・トンプソン。

 ホプキンスおじさまは、何かもうレクター博士にしか見えなくてでも、ハリウッドの大御所俳優にどんな高い演技力があっても、ハワーズ・エンドの主人役はできないでしょう。英国的な雰囲気、貫禄、品格はさすがイギリス名優です。ちょっとズルくて裏表があるところなど、英国人っぽい人間臭さもホプキンスおじさまならでは。最も美味しい役マーガレットを好演し、その年の主演女優賞を総なめにし、オスカーにも輝いたエマ・トンプソンの、大真面目なんだけどちょっと笑えるユーモラスな味わいが秀逸。彼女のテキパキシャカシャカした動きとか、ひとが善すぎて板挟みになってオロオロな表情とか、かなりコミカルです。知的な才媛だけど、それをひけらかすことがない慎ましさも、英国女性らしい魅力。顔も演技も、ちょっと高畑淳子に似て見えたのは気のせい?
 アイヴォリー監督作品の常連だったヘレナ・ボナム・カーターが、ヘレンをチャーミングに演じてました。

 実際にも貴族出身のヘレボナさんですが、しがらみや因習に縛られない自由奔放なお嬢さまを演じさせたら、やはり右に出る者はいません。めっちゃ勝気でアグレッシヴなところも彼女らしい。いつもに増して、眼光鋭いヘレボナさんでした。時代劇の衣装が誰よりも似合うところも、彼女ならでは。この映画では仲良し姉妹だったけど、後にヘレボナったらエマ・トンプソンからケナス・ブラナを略奪しちゃうんですよね~。映画よりも面白い私生活でのドロドロ関係です。
 ヘンリーの妻ルース役は、大女優のヴァネッサ・レッドグレイヴ。前半だけの出演でしたが、アンソニー・ホプキンスが可愛く見えてしまうほどの存在感の強さ。哀れなレオナルド・バスト役は、エマ・トンプソン主演の「キャリントン」でも典型的な英国美青年だった、最近はドミニク・クーパー主演のドラマ「フレミング」などバイプレイヤーとして活躍してるサミュエル・ウェスト。モーリスことジェームズ・ウィルビーが、ヘンリーの長男役。モーリスとは打って変わって、スノッブでセコい役でした。

 この映画の主役は、やはりハワーズ・エンドでしょうか。決して壮大なる館ではないのですが、優美さと安らぎに満ちていて、こんなところで引きこもりたい~と、心の底から思ってしまいました。オスカーを獲っただけあって、ハワーズ・エンド内やシュレーゲル姉妹の家とかの室内装飾、ティータイムのセットでさえ、趣深い美しさです。 
 ジェームズ・アイヴォリー監督は、とんと新作を発表しなくなりましたね。亡くなったわけではないようだけど、ご高齢なのでもう引退状態なのでしょうか。
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