まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

猿の惑棲

2007-11-13 | 北米映画 00~07
 年末の紅白歌合戦の司会者が発表になりましたね。
 何だか不健康で邪悪な感じがするコンビですねえ。この二人を見て、キャッチセールスとかオレオレ詐欺が思い浮かぶのは、私だけ?それにしてもN居、肌の色だけでなく頭髪も、かなりヤバくね?!植毛に成功した(としか思えない)草なぎに相談すればいいのに。
 今年は、何がヒットしたっけ。ぜんぜん思いつかない。楽しみなのは、ここのところ恒例になってる、“全盛期は紅白出演を拒んでたけど、売れなくなって今さら出てくる大物アーチスト”。今年は誰かな?

 「ジェームズ・フランコVSエイプ」
 ジェームズ・フランコの映画初監督作品。演出のみならず、主演、脚本、そして製作も彼がこなしている、完全なる“フランコ映画”!
 小説家を目指すハリーは、うるさい妻子から離れて、執筆用に部屋を借りる。だがそこには、人間の言葉を話すゴリラが住んでいた!
 設定や邦題からして、相当アホらしい映画かと思いきや。おバカなんだけど、ただノーテンキにアホバカなのではなくて、結構ブラックでダークな電波系コメディだったのが意外。
 何でゴリラが!?という疑問は、主人公同様だんだん気にならなくなってきます。ああ、そーいうことか、とゴリラの正体に気づくと、ゴリラよりハリーのほうが異様に見えてきて笑えます。

 ゴリラと同棲し始めて、家庭や仕事に対する抑制とか忍耐を失い、その代わりに自分は才能がある!という根拠のない自信が膨張して、どんどんコワレていくハリー。その姿は滑稽なんだけど、かなり狂っていてヤバすぎます。
 興味があること以外には無関心で無気力、社会や家庭生活でのストレスや抑圧、その他大勢の一人に過ぎない自分への絶望、でもそれを否定せずにはいられず、自分は特別な存在!と信じこんでしまう妄執。そんなものに蝕まれた現代人特有の病んだ心が、ゴリラという奇妙な形でハリーの前に現れたのでしょうか。ラストは、バカバカしさと同じくらい、狂気も炸裂しています。この珍奇で不条理な内容は、ロマン・ポランスキー監督の隠れた傑作「テナント 恐怖を借りた男」を、ちょっとだけ思い出させました。

 ジェームズ・フランコが、ハリー(蜘蛛男シリーズと役名が同じなのは、偶然?)を珍・怪演!
 職場での使えない無気力リーマンぶりとか、マーキング!とエイプが投げたウンコが裸の自分にベチャ!となり呆然とか、かなり笑えます。自分も猿化?したハリーが、すっかり一心同体な仲になったエイプに、ゴリラのダッチワイフをプレゼントし、ときどき貸して♪と頼んだり、イっちゃってるアホっぷりが大笑い!でもすぐに、怒涛の狂乱!ぶっコワレちゃってる電波男フランコくんです。
 合間に入るドストエフスキーの引用文とか、使われてる音楽が流麗なクラッシックとか、珍妙ながらも知的な味わいで、フランコくんの才気が感じられます。N.Y.の風景も美しく撮られています。
 DVD特典の、フランコくんへのインタビューが興味深い内容でした。この映画の基は、彼が大学時代に劇団の仲間と上演した舞台だとか。その舞台の映像も観ることができます。大劇場と違って、観客の手の届くところで演じているフランコくん。いいなあ!あんな至近距離でフランコくんが!
 今後も、ユニークな映画を監督してくれそうなフランコくんです。でも、俳優業をおろそかにしないでね!
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 海兵フランコ 肉肉しき闘魂 | トップ | 最後に冬は蒼ざめた »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿