麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第692回)

2020-04-26 21:40:23 | Weblog
4月26日

岩波文庫から「から騒ぎ」の新訳が出たので読みました。年のせいで、人物設定を頭の中に定着させるのに最初の20ページを何度も読み返しました。すごくおもしろかったです。

小学館新書「怖い仏教」を読みました。仏教の、おとなしいイメージを覆そうとかなり意図的なデフォルメがされていますが、実は岩波文庫の中村元先生訳の原始仏典をよく読めば気がつくことばかりです。ブッダには明らかに変人としての側面があり、私のような人間にはそこがたまらなく魅力的です。共感したのは、ブッダは死後の世界のことなど何も語っていない、と著者が言っているところ。日本では輪廻転生とすぐに結びつけられますが、輪廻はバラモン教の古典的な世界観であり、仏教はバラモン教にとって異端の新興宗教だったわけで、むしろ対立していたはず。ダンマパダ(真理の言葉)に見られる、「地獄に落ちる」という表現は後世のつけ加えだと以前から感じています。スッタニパータにあるとおり、「この世とかの世をともに捨て去る」がブッダの教えだと感じます。「犀(サイ)の角のようにただひとり歩め」。はい、そうします。
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生活と意見 (第691回)

2020-04-19 23:22:47 | Weblog
4月19日

キンドル版「完訳 聊斎志異」1巻を読みました。上妻さんという編者の作ったほかの電子書籍同様誤植(校正ミス)があるけど、やはり柴田天馬訳はいいですね。サービス期間が終わって300円になっていますが、ぜひ読んでみてください。
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生活と意見 (第690回)

2020-04-12 23:29:05 | Weblog
4月12日

いまの子どもたちが青年になったとき友だちと、「ああ、あのころな」と、アホなダジャレで回想するようになるこのわずかな時間が、進行形であるというだけで多くの人にこれほど凶暴な力を持つ不思議。でも、時間よ。俺はお前に力など認めない。お前が壊せるものは日常を信じる者たちが持つ概念だけであり、俺はそれらをいっさい持っていないから。山を山だと認識しない俺には「山が崩れる」という現象は起こらない。そのように、お前がどれほど「破壊するぞ」と意気込んでも、俺の何も破壊できはしないのだ。そのことは畏友宮島径と行った「世界のしくみ」と「裏山現像」という表現活動でも明確に示した。そう、いってみれば、俺の人生はお前の力を否定するためだけにあった。いま、それがとてもよくわかる。俺がどんな時もクソまじめなのを笑われたり、宮島径が世界を背負っていることを笑われたりしたのも、日常を信じる人たちには俺たちが戦っている相手が誰なのかわからなかったからだ。いま、そのことをこの機会に書けて俺は満足だ。きっとまた多くの人に笑われるだろうが。宮島さん、巻き込んで申し訳ない。
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生活と意見 (第689回)

2020-04-05 23:42:39 | Weblog
4月5日

キンドル版「完訳 聊斎志異」が出始めました。私が一度通読した柴田天馬訳です。響林社版はすでに出ていましたが、これは昔の紙の本をスキャンしたもので字が小さくて表示の調整ができないため(おまけに旧かな)読みにくい。今回のものが初めての本当の電子書籍版といっていいと思います。分厚い角川文庫で4冊だったものを12冊に分けるようです。第1巻が今なら100円で買えます。ぜひ読んでみてください。平凡社ライブラリー版で挫折して以来ですが、私ももう一度読もうと思います。

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