麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第761回)

2022-04-17 23:46:17 | Weblog
4月17日

新訳スッタニパータ、読了。本当にいい訳でした。これからも何度も読み返すと思います。まだ電子版が出てないのですが、出たらもちろん、それもキンドルに入れておこうと思っています。今回の訳で一番すばらしいと感じたのは、この訳者が、ブッダが死後の世界や輪廻を完全に信じていたわけではない、ということを注釈で明言している点です。ブッダは、当時一般常識だったそういう世界観を「方便」として説法の材料にしているだけで、本当は信じていない。そういう理解のもとに訳されている。そこが画期的だと思いました。私は昔から、ブッダが、「悪いことをしたら死後、地獄に落ちて苦しむぞ」と人々を脅すようなことを言ったとは思えませんでした。ダンマパダ(岩波文庫「真理の言葉」)では、そんな脅しの発言が増えるのですが、最古の経典といわれるスッタニパータでもそれは散見されます。おそらくその部分は、編纂した当時の人間によって書かれたのだと私は思ってきました。そんな私的な「感じ」を、間違ってはいないと、ちゃんとした学者に言ってもらってすっきりしました。
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生活と意見 (第760回)

2022-04-10 21:22:56 | Weblog
4月10日

ショック。なんと三省堂神保町本店が、5月から数年間、建て替えのためにいまの場所では営業しなくなるとのこと。自分が生きているうちにそれはないだろう、と思っていたことがまたひとつ現実に。キッチン南海がなくなったときにもショックを受けましたが、それ以上ですね。まあ、戦争がもっと大きくなれば、そんなことすらいっていられないのかもしれない。なんという無意味な人生の締めくくり。しかたない。もともと無意味な存在なのだから。でも無意味だからこそ、戦闘という殺人行為にはいっさい手を貸さないまま死にたいものです。子供がいれば社会に人質をとられたのも同然だからそうはいかないかもしれないけど、万一の場合も、逮捕されようがどうされようが拒否するのみですね、一代限りの人間は。「考えすぎだろ」と、笑い話で終わることを祈りますが。
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