麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第668回)

2019-09-29 20:59:39 | Weblog
9月29日

飯を食うこと周辺で忙しく毎日無意味。唯一読了できたのが、角川ソフィア文庫の新刊「ファン・ゴッホ」。前に読んだ中公文庫の分厚い伝記より淡々とした記述で、でも、だからこそその生涯がよりリアルに感じられました。大きめの図版が見たくなって、何十年かぶりに集英社の現代世界美術全集のゴッホの巻を開くと、その本を買ったのが大学3年(3回目の1年生)の夏休みだとわかりました。人生で一番悩んでいたころです。
「ファン・ゴッホ」を読んで今回初めて知ったのは、「開かれた聖書のある静物」に描かれた聖書に、「イザヤ書53章」という言葉が書きこんであるということ。その章は、拙作「風景をまきとる人」の終わり近くで一部を引用した章です。旧約聖書を通読したときに、キリストという存在の簡潔な定義がここにあると思ったので引用しました。たぶん有名な章で、いろいろなところに引用されているのでしょうが(本当はどうなのか知りません)、ゴッホが「そこを見よ」と注意を促しているというのは、やっぱりちょっとうれしかったです。

しばらく前、また、「風景をまきとる人」を読みました。いまキンドル版として発売しているものは本当に決定稿になっています。キンドルのアプリを入れてあればスマホでも読めます。80年代の底辺文化を思い出す、それだけの目的でもいいので、読んでもらえたらうれしいです。アドレスがすごく長いので貼り付けませんが、アマゾンで「風景をまきとる人」と検索してもらったら出てきます。ぜひ、読んでみてください。
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生活と意見 (第667回)

2019-09-23 20:38:29 | Weblog
9月23日

ダンセイニ「五十一話集」の「客」を読みました。文庫でたった3ページほどの掌編ですが、失恋した主人公の絶望がそのまま心に入り込んでしばらく動けなくなりました。知る限り、最も短く、最も悲しい話です。
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生活と意見 (第666回)

2019-09-15 06:20:35 | Weblog
9月15日

ここでも何度か書き写した、芭蕉と、杜甫と、ツァラの言葉を、エルンストのコラージュのように頭の中で組み合わせていたら、いまの自分にぴったりの詩のようなものができました。


なんの詩情もわかないまま
朝顔を前に朝めしをぱくつく
誰からも相手にされない東京の貧乏人、俺。
俺は65%自殺している。

俺はいまでも自分のことを
とても感じがいいと思うよ。
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生活と意見 (第665回)

2019-09-08 19:19:17 | Weblog
9月8日

フローベールの「ブヴァールとペキュシェ」の新訳が出ました。若いころ、大昔の岩波文庫3冊を8000円も出して買って読んだ、思い出深い作品です。
2週間前に近所の本屋で見て、高いので迷い、先週も立ち読みをしただけで買うのをためらい、ようやく昨日決心して買いに行ったら売れていました。在庫はないとのこと。こういうことが多い人生です。
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生活と意見 (第664回)

2019-09-02 06:03:03 | Weblog
9月2日

「裏山現像」が終わりました。来てくださった方、関心を持っていただいた方、ありがとうございました。
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