麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第690回)

2020-04-12 23:29:05 | Weblog
4月12日

いまの子どもたちが青年になったとき友だちと、「ああ、あのころな」と、アホなダジャレで回想するようになるこのわずかな時間が、進行形であるというだけで多くの人にこれほど凶暴な力を持つ不思議。でも、時間よ。俺はお前に力など認めない。お前が壊せるものは日常を信じる者たちが持つ概念だけであり、俺はそれらをいっさい持っていないから。山を山だと認識しない俺には「山が崩れる」という現象は起こらない。そのように、お前がどれほど「破壊するぞ」と意気込んでも、俺の何も破壊できはしないのだ。そのことは畏友宮島径と行った「世界のしくみ」と「裏山現像」という表現活動でも明確に示した。そう、いってみれば、俺の人生はお前の力を否定するためだけにあった。いま、それがとてもよくわかる。俺がどんな時もクソまじめなのを笑われたり、宮島径が世界を背負っていることを笑われたりしたのも、日常を信じる人たちには俺たちが戦っている相手が誰なのかわからなかったからだ。いま、そのことをこの機会に書けて俺は満足だ。きっとまた多くの人に笑われるだろうが。宮島さん、巻き込んで申し訳ない。
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