9月27日
プラトン「ゴルギアス」を読みました。中公クラシックス版の藤澤令夫訳。初めて最後まで読みました。この作品では、いつも冷静なソクラテスが感情的になり「弁論家」に罵声を浴びせる場面がたびたび出てきます。プラトンがゴルギアスという人物を本当に嫌いだったのだろうな、というのがものすごく伝わってくる。中身のない技術で人を説得して謝礼を受け取り、裕福になっていく弁論家=商売人が許せなかったのでしょうね。それだけ師・ソクラテスの清貧をなによりも立派だと考えていた証拠。あっぱれなお弟子さんです。10代のころは対話編で「正義」という訳語が出てくると、ケッ と感じてそれだけで先を読めなくなったものですが、やがてソクラテスがドン・キホーテであり、それを自覚しているとわかったとき、すべての言葉の意味が私の中で生まれ変わりました。正義はない。善はない。しかし、ないものを信じないでなにが哲学者か。ないものを信じないでなにが男か。現実にあるものは女の腐ったような政治家や女に任せればいい。パイドンの世界観が現実的でなく笑ってしまうだと? そういうおまえの所属する世界は幼児の空想にも劣る粗雑で低劣な世界じゃないか。巨人の代わりに風車しか見えないおまえに伝えたい言葉などなにもない――「ゴルギアス」の読書感想文でした。
プラトン「ゴルギアス」を読みました。中公クラシックス版の藤澤令夫訳。初めて最後まで読みました。この作品では、いつも冷静なソクラテスが感情的になり「弁論家」に罵声を浴びせる場面がたびたび出てきます。プラトンがゴルギアスという人物を本当に嫌いだったのだろうな、というのがものすごく伝わってくる。中身のない技術で人を説得して謝礼を受け取り、裕福になっていく弁論家=商売人が許せなかったのでしょうね。それだけ師・ソクラテスの清貧をなによりも立派だと考えていた証拠。あっぱれなお弟子さんです。10代のころは対話編で「正義」という訳語が出てくると、ケッ と感じてそれだけで先を読めなくなったものですが、やがてソクラテスがドン・キホーテであり、それを自覚しているとわかったとき、すべての言葉の意味が私の中で生まれ変わりました。正義はない。善はない。しかし、ないものを信じないでなにが哲学者か。ないものを信じないでなにが男か。現実にあるものは女の腐ったような政治家や女に任せればいい。パイドンの世界観が現実的でなく笑ってしまうだと? そういうおまえの所属する世界は幼児の空想にも劣る粗雑で低劣な世界じゃないか。巨人の代わりに風車しか見えないおまえに伝えたい言葉などなにもない――「ゴルギアス」の読書感想文でした。