10月23日
性欲が描かれないという点で、現代リアリズム小説を読み慣れている私たちからすれば、「レ・ミゼラブル」にはなにかものたりないような感じ、人間という生き物の上辺のみを扱って最も醜いところにはふたをしているような、童話めいた感じを持ちます。しかし、だからといってこの作品が深みに欠けるということにはならない。この作品では性欲というリアリズムの代わりに、「悪」(というか「悪党」)についてものすごく深く掘り進め、その世界を別の方向に深化しているからです。 (続く)
2011年3月の書評。「結果を出し続けるために」(羽生善治著、日本実業出版社)。
性欲が描かれないという点で、現代リアリズム小説を読み慣れている私たちからすれば、「レ・ミゼラブル」にはなにかものたりないような感じ、人間という生き物の上辺のみを扱って最も醜いところにはふたをしているような、童話めいた感じを持ちます。しかし、だからといってこの作品が深みに欠けるということにはならない。この作品では性欲というリアリズムの代わりに、「悪」(というか「悪党」)についてものすごく深く掘り進め、その世界を別の方向に深化しているからです。 (続く)
2011年3月の書評。「結果を出し続けるために」(羽生善治著、日本実業出版社)。