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11月3日が本来の「憲法記念日」だった…「明治節」に戻そうという自民党の動き(伊藤 千尋 2016.11.3)

2016-11-03 09:55:21 | 憲法
11月3日が本来の「憲法記念日」だった
 
伊藤 千尋さんのプロフィール写真伊藤 千尋さんFBより

2016.11.3
 
世界の慣例は・・・
 
 「文化の日」の11月3日を、明治天皇の誕生を祝う「明治節」に戻そうという自民党の動きがあります。11月3日は本来、日本国憲法誕生の憲法記念日になるはずでした。
 明治天皇を祝う日に変えるのは、日本国憲法を踏みにじる行為です。1年前の今日、書かせていただいた文をもう一度掲載します。前に読まれた方は危機感を持って、初めての方は新鮮な目で、お読みいただければ幸いです。
 
 まず、世界の慣例を知りましょう。普通、どこの国も憲法を制定した日を憲法記念日としています。
 米国の憲法は「1787年アメリカ合衆国憲法」と呼ばれ、1787年9月17日に作成され88年に施行されました。制定された9月17日が米国の憲法記念日です。
 「スペイン1978年憲法」は1978年12月6日に国会で可決されたもので、制定された12月6日がこの国の憲法記念日です。...


日本国憲法は・・・

 日本国憲法は1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行されました。世界の常識から言えば、本来は11月3日が憲法記念日になるはずです。では、どうして施行の日が記念日になったのでしょうか。

 このいきさつを当時の法制局長官、入江俊郎が書き残しています。新憲法ができたあとの1946年10月29日の閣議で、いつ公布するかを話し合いました。まずは、いつから施行するかを論議しました。施行の半年前が公布の日になるからです。
 施行は1947年5月1日ころと決まりました。しかし、この日は労働者の祭典メーデーなのでまずいと、はずしました。5月5日は男の子の節句で男女平等の新憲法の理念に反し、端午の節句は「武」の祭なので戦争放棄の憲法には合いません。こうして中間をとって5月3日になったのです。

 となると公布は半年前の11月3日です。しかし、この日は旧「明治節」です。当時の国民の意識の上で、戦前の天皇制を温存することにつながりかねません。そこで衆議院は施行された5月3日を憲法記念日として決めたのです。
 このとき、世界の常識にのっとって11月3日を憲法記念日にしようと奔走した人がいます。当時の参議院議員で、国民の祝日法案を審議した参議院文化委員会の委員長だった山本勇造です。ペンネームは山本有三。『路傍の石』『真実一路』などで名高い作家です。


11月3日が文化の日となったのは・・・
 
 山本は食い下がりました。「11月3日という新憲法発布の記念すべき日を祝日から除いてしまったら、今後、新憲法はどうなるか。われわれは新しい憲法によって、新しい日本を創り上げてゆきたいのである。この日が消えてしまったら、国民は新憲法に熱意を失うと思う。ほかの名前にしてでも、この日だけは祝日に残したい」と書き残しています。

 山本の熱意で、名前を変えてこの日を祝日にすることになりました。「文化の日」という名を考えたのが、先ほどの入り江俊郎です。

 「新憲法は、戦争放棄という世界に類例のない条文を持った憲法である。こんな文化的な憲法はない」という理由からです。
 山本は1948年6月18日の参議院文化委員会で、11月3日を「文化の日」とすることについて、こう述べています。
 「この日は、憲法において、如何なる国もまだやったことのない戦争放棄ということを宣言した重要な日でありまして、日本人としては、この日は忘れがたい日なので、ぜひともこの日は残したい。戦争放棄をしたということは、まったく軍国主義ではなくなり、また本当に平和を愛する建前から、あの宣言をしておるのでありますから、この日を『自由と平和を愛し、文化をすすめる』そういう『文化の日』に決めたわけなのです」
   
 このようないきさつがあったのが11月3日です。
 つまり「文化」の眼目は「自由と平和」なのです。まさに9条をはじめとする日本国憲法が体現する発想だし、戦前回帰を狙う頑迷な保守派が忌み嫌う世界の常識です。
 

 この日を「明治の日」とするのは、単なる戦前回帰ではありません。山本の言い方をもじるなら、「この日を消すことによって、国民から憲法に対する熱意を失わせる」ことになるのです。日本を戦前に戻したいという時代遅れの人々の発想です。すでに大きな犠牲を払った教訓があるのに、それをあえて記憶から除こうとするのは歴史に逆らう行為です。私たちは前に進みましょう。

 

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