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国民93%から見た、アベノミクス④ 企業収益は、本乙に賃金にまわるのか(高橋 仁也)

2014-12-06 00:41:41 | シェアー
高橋 仁也さんのフェイスブクより
 

「これから良くなる」× 「ものすごい二極化」○

「企業の業績が良くなれば、賃金も上がる」.....はたして、アベノミクスの骨格であるこの図式は正しいのでしょうか。「次は自分の番が来る」「これから良くなる」と思ってらっしゃるのなら、いっしょに考えてみませんか。

グラフの「労働投入量」とは、個人の労働ではなく、全産業で投入された労働時間です。これは勤労者数×実労働時間で求めますので、景気が良くなると数値は上がります。実際に2008年のリーマンショックの時に景気が悪化して数値は下がりました。しかし、よく見ると2010年頃から回復基調になっているのも分かります。企業努力で業績回復すると雇用や労働時間が増えるので、この頃から失業率や新規採用者の内定率の改善が、すでにトレンド形成していました。アベノミクス固有の成果ではありません。

重大な問題は、その勤労者の「実質賃金」が低下していることなのです。特に、アベノミクス後は劇的に低下しています。

さらに踏み込むと、企業は収益(付加価値)を十分に人件費に振り分けているとは言えません。収益から人件費にまわす割合を「労働分配率」と言います。これを、労働所得÷GDP(付加価値)と経済から計算すると、原油の高騰した90年代後半から先進国すべてが低下しています(70%前後)。そして驚くことに、日本の低下がもっとも激しく、67%あたりから一気に60%あたりまで落ちています。先進国の中でも、日本はものすごい勢いで二極化がすすんでいるのです。実質賃金を下げて、労働投入量を増やしています。

日本の企業には、業績が回復しても勤労者への配分をおさえこむ雇用構造があります。賃金はせいぜい賞与を増やし、ベースは上げません。採用は非正規社員を増やします。こうした構造で実質賃金が上がらなければ、個人消費を中心とする民需主導の継続的安定的経済成長は、まったく望めません。

アベノミクスと同じような量的緩和を先行した米国では、企業から見た労働の欠損率(人員不足感)は0%あたりから3.4%に上昇して、リーマンショック以前(2007年)と同様な数値に改善しています。一方、実質賃金は伸び悩み、職種別には事務職▲0.4%、接客▲1.6%、建設▲1.2%などの低下もあります(▲はマイナス)。人手不足なら賃金が上がる、という従来の法則が壊れています。

さて、みなさんはアベノミクスに何を期待しますか。日本の雇用構造、そして先行する米国の事例から何が見えますか。僕はものすごい二極化です。

(注)図右上の「国民93%」とは、株式相場上昇で富全体から自分の比率を落とした国民です。そして、実質賃金の下がっている国民です。

 


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