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<ふるさとを返して>7年が過ぎた今も、1万2千人が裁判を続けているという原発事故の現実 2018.4.6 NHKニュース

2018-04-08 22:46:55 | 福島、原発

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News Up ふるさとを返して

NHK  https://www3.nhk.or.jp/n…/html/20180406/k10011391961000.html

生まれ育った家、家族や友人との生活。ある日、その日常のすべてが奪われたら、あなたはどう感じますか。福島第一原発事故から7年。事故の賠償をめぐる問題は収束するどころか、ますます複雑になっています。(社会部記者 藤田日向子)

 

相次ぐ賠償命令

相次ぐ賠償命令平成29年3月17日 前橋地裁
去年3月、前橋地方裁判所。

法廷から飛び出した弁護士は「国の賠償責任を認める」と書かれた紙を掲げていました。集まった多くの人から、わき起こった大きな拍手。

その日、言い渡されたのは、福島県の避難指示区域などから避難した人たち1万2000人が起こした一連の集団訴訟の初めての判決でした。

裁判の目的は、国や東京電力が事故の対策を怠っていたという責任を追及すること。そして、東京電力が国の指針をもとに行ってきた賠償の基準が妥当ではないことを明らかにすることでした。

国と東京電力の両方を訴えた裁判では、先月までに判決が出た5件のうち、前橋、福島、京都、東京の4つの裁判所が、国と東京電力の責任を認め、賠償を命じました。

なぜ責任を認めたのか

なぜ、事故の責任を認める判決が相次いだのでしょうか。
なぜ責任を認めたのか
判決文では、平成14年に政府の地震調査研究推進本部が福島県沖で大津波を伴う地震が起きる可能性を指摘していたことが挙げられています。

これに基づいて対策を取っていれば、事故は防げたという理屈です。

これに対して国と東京電力は、地震調査研究推進本部が公表した内容は専門家の間でも評価が定まっていなかったと主張しましたが、退けられました。

国と東電には厳しい判決

この判断には、原発事故の特殊性ともいえる被害の大きさや広がりが影響しているという見方も出ています。

ある司法関係者は「原発事故の被害を裁判官自身が目の当たりにしたことが大きかったのではないか」と話しています。

また、別の司法関係者は、4年前に最高裁判所がアスベスト被害をめぐる裁判で国の責任を認めたことを引き合いに出し「アスベストと同様に国策として進められた原発の事故で重大な結果が生じたのに、国に責任はないという判断はできないのではないか」と話しています。

「被害の重大さ」と「事故を予測できたかどうか」は、本来、別の問題です。

それでも、複数の司法関係者から、被害の重大さが裁判所の判断に影響した可能性があるという見方が出るほど、一連の判決は国と東京電力にとって厳しいものでした。

原告の涙の訳は

原告の涙の訳は南相馬の避難者訴訟判決後の会見 (平成30年2月 )
しかし、勝訴したはずの原告は、その多くが、判決の後の会見で涙ながらに「納得できない」と訴えました。

判決は、国の指針をもとに東京電力が行ってきた賠償の基準は十分ではない部分があるとして、既払いの賠償金に一定の額を上乗せするよう命じました。

しかし、原告たちが納得できなかったのは、賠償の考え方でした。その1つが、「住み慣れたふるさとを失った」という訴えに対する答えです。

多くの集団訴訟で、原告側は、避難に伴う苦痛に対する慰謝料とは別に、ふるさとを失ったとして、その慰謝料も求めています。

しかし、一部の判決をのぞいて「ふるさとを失った」という訴えは特別なものとして扱われず、慰謝料を考える事情の1つにとどまるとされました。

東京の裁判に加わったある男性は「我々はふるさとを奪われ、家族の団らんを奪われ、なりわいを奪われ、人生さえも奪われました。認められた内容にはどうにも合点がいかないのです」と話していました。

さらに、避難する必要があったと認められた期間が人によっては求めていた水準よりも大幅に短かったことも、納得のいかない理由の1つになっています。
原発事故全国弁護団連絡会の米倉勉弁護士は「国の帰還政策に追従し、ふるさとの喪失を認めず、避難の合理性があると認めた期間も短かった。賠償問題の収拾がつかなくなることを恐れた判決だ」と批判しています。

ふるさとは失われたのか?どれだけの人が、いつまで避難を続ける必要があるのか?目に見えない被害だけに、人によって受け止め方は異なります。

司法の場に持ち込まれたこうした問いに対する答えは、どちらにとっても納得のいかないものとなりました。

広がり続ける「溝」

広がり続ける「溝」
これまでに判決が言い渡された7件の裁判は、すべて双方が控訴したため、2審の高等裁判所で改めて審理されることになりました。

高裁でも、国・東京電力の責任や、目に見えない放射能の被害をどう受け止めるべきかが争われ、裁判は長期化する見通しです。

裁判とは別に、国の仲介で和解を進めるADRの手続きもありますが、一連の判決の影響で手続きが止まるケースが相次いでいます。

このままでは、大きな溝がさらに広がっていくのではないでしょうか。7年が過ぎた今も、1万2000人が裁判を続けているという原発事故の現実。私たちは、目をそらしてはいけないと思います。

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