森本博氏さんの 「とりたちとの田舎ぐらし」 その1
夜明けを告げるにわとりたち
わが家では108羽のにわとりを飼っている。
なぜ108羽なのか。ついこのあいだの大晦日、108個の除夜の鐘が無事鳴り終わったので、ゴロ合わせにそういうことになっているのかもしれないが、正確に数えたことはない。
実際には110羽前後はいるのだから、人間どもの108種類の煩悩をのぞく108羽のにわとりということにしておけば、舌の回り具合がよいだろう。
孫たちの活躍
今は2月。
昨日の夕方も、6歳を頭に4人の孫たちは北風の吹きぬけるなか、エサやりに汗がくである。
2歳になったばかりの一番の末っ子は空腹と寒さとで、泣いたり泣き止めて兄達の真似の作業にとりかかったり。県職員のパパは休日を利用して機械を使って整地作業に集中。
農作業などの仕事は続けるほど楽しくなるものらしい。
「おじいちゃん、ピヨのエサを取ってきたよ」と、4歳になる悠介と啓介の双子の男の子が言うので、ふと見ると、なんとニンニクとコカブをバケツに入れて取ってきているではないか。これは事だ。ニンニクはおばあちゃんが「無農薬野菜焼肉のたれ」を作るときの重要な素材のひとつである。
今後のために叱っておいたものかどうか、一瞬考えたが、寒風の中でせっかく精出して集めてきた野菜である。
肉体労働をいとわないでむしろ嬉々として働くということは、子供にとって最重要な自然体の教育ではないか。ここで叱る親は今後にわたって子育てに失敗するだろう。
「がんばったねえ。ピヨが喜ぶねえ」と言ってほめて励まし、後でこっそり植えなおしておくことに決心した。
かなり大きくなったニンニクをいまごろ植えなおしても、果たして成長するものかどうか定かではない。
しかし、物事はわからないことはやってみるしかないではないか。しかも、植えてあったところに一本もないことが判明したそのときには、カミナリがおちることよりも誰かの落胆の姿が予想されることの方がよほどつらい。
(トラストみらい第4号 2005.7.1 社団法人生態系トラスト協会 発行より転載)
森本博氏さんは、小学校の校長先生をしながら、高知県環境教育研究会の初代会長を務められました。
社団法人生態系トラスト協会の副会長、高知県子ども会連合会専門員。
定年退職後、古い農家に移住して「百姓道」の追求を始めました。
「地域活性化につなげる森本農園の循環型生活システム」「古民家の保全と再生(土蔵~囲炉裏)」などなど、今後が楽しみです。
こんなイベントを企画しています
「シイタケのコマ打ち体験をしよう!」ー環境教育野外研修のご案内ー
さてこの度、第一次産業の一つであります「森林の恵み」ということで、研修会を計画しましたので、参加いただきますよう、ご案内申し上げます。
どなたでも自由にご参加ください。(高知県環境教育研究会)
日時:平成21年
3月28日(土)10時集合~12時頃まで
場所:香南市香我美町下分1567番地
森本農園(元小学校の校長先生で元高知県環境教育研究会会長の森本博氏さんが「有機農園と養鶏」を営んでいる)
詳細はこちらです。